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2025年11月19日水曜日

6桁のコンテストナンバーは好きではないのです。

Grokに「日本の市区町村及び特別区の数、政令指定都市の場合は市の数に代えて行政区の数」として都道府県別に並べてもらったのがこれです。けっこうしつこくカウントしなおしてもらったのですが、まだ誤りが隠れているかも。

都道府県はエリアごとにまとめていますが、並び順は建制順でもなんでもありません。 

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各都道府県の市区町村等の総数
政令指定都市の行政区、東京都の特別区、その他の全市町村を含めた総数です。データは2024年4月1日またはそれ以降の最新情報に基づいています。

名称    市区町村等の総数    内訳備考(政令指定都市の行政区数、特別区数)
北海道        189                     札幌市10区、他34市129町15村

青森県          40    
岩手県          33    
宮城県          35                     仙台市5区を含む
秋田県          25    
山形県          35    
福島県          59    

茨城県          44    
栃木県          25    
群馬県          35    
埼玉県          63                    さいたま市10区を含む
千葉県          54                    千葉市6区を含む
東京都          62                    特別区23区、市町村39(島嶼部含む)
神奈川県       61                    横浜市18区、川崎市7区、相模原市3区を含む
山梨県          27 

新潟県          37                    新潟市8区を含む
長野県          77 

富山県          15    
石川県          18    
福井県          17  

岐阜県          42    
静岡県          39                    静岡市3区、浜松市3区を含む
愛知県          69                    名古屋市16区を含む
三重県          29    

滋賀県          19    
京都府          42                    京都市11区を含む
大阪府          77                    大阪市24区、堺市7区を含む
兵庫県          41                    神戸市9区を含む
奈良県          39    
和歌山県       30    

鳥取県          19    
島根県          19    
岡山県          27                    岡山市4区を含む
広島県          23                    広島市8区を含む
山口県          19   
   

徳島県          24    
香川県          17    
愛媛県          20    
高知県          34    
 

福岡県          60                    北九州市7区、福岡市7区を含む
佐賀県          20    
長崎県          21    
熊本県          45                    熊本市5区を含む
大分県          18    
宮崎県          26    
鹿児島県       43    

沖縄県          41    

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これによれば、北海道だけは189要素ですが、他都府県の要素の数はすべて2桁に収まります。

仮にすべてを4桁で定義しようとすると、北海道は100以上あるので81**、82**にするとして、以下、青森から71**、岩手72**とエリアごとに振っていって、国内現存の市町村と特別区と行政区はすべて4桁でいこうという考えです。

1桁目をエリア、2桁目をエリア内の都道府県分類、3桁目と4桁目を区市町村で定義です。
  
なんでこんなことを書いているかというと、理由の一つは、特別区と行政区のコンテストナンバーが6桁になってから、「110の306マイクです」という言い方をする人が多くて、これを聞くのがちょっとイヤなんです。これって、情報として伝えるべき都道府県コードと市郡区コードをないがしろ(大げさ)にしてると思うんですよ。「1103の06マイク」なら違和感ないんだけどな。
もう一つは、特別区と行政区の場合はナンバーが長くて不利ってのもあります。
全市町村と区が同じ4桁でナンバー交換するのって良いと思うんだよなあ。コンテストなら消滅市区町村は意識しないで良いはずだし。
 
この設計だとしても、今後の要素の変化による並べ替えの是非は要検討なんですけどね。
消滅して歯抜けになる分には問題ないんだけど、合併で政令市が誕生して、新規に割り振った結果、その都府県の要素が99以上になる場合には、関東は前2桁の余裕がないから厳しいか。要素が99を超えたところは、1桁目をエリアじゃなくて従事者免許の最初のアルファベット、関東ならAにするのも手ですね。例えば埼玉の99要素以内は1399まで、超えた場合にはA301からというように。そしたら当分いけそうです。アルファベットがいまいちなら、何県かをごっそりゼロエリアの系統に移すという乱暴な案もアリか。

または、もう一桁増やして、
1桁目をエリア、2桁目をエリア内都道府県分類、3、4、5桁目を区市町村で定義すると要素が増えた場合の余裕はできるけど、「11のゼロ34です」みたいな言い方になっちゃうんだろうな。その場合、頭の2桁が都道府県を表すならまだいいか。でも、「110の34です」みたいのが出てきたらまたイヤですね。
日本人は長くなるとすぐに「の」が入るクセがあるので、 やっぱり4桁に無理やり収めるのが良いですね(独断)

2025年8月31日日曜日

MULTI PalmsizerⅡであります。(その3)

というわけで宿題が残りました。

〇マイクジャックの外部マイク用の配線と、スピーカの内部と外部の切り替え部分の精査

なんで精査かというと、電池を押し込んだりいろいろやっているうちに、あそこやここのリード線の半田付けが取れて内部スピーカから音が出ない!なんてことに。電池の押し込みと音の復旧のために切り替えスイッチの半田を外したりして、もう一度リード線の一本一本を確認する羽目になっています。作業の前に画像をとっておけば良いのに、簡単に終わるとナメるとこうなるという典型例です。

ロジック的には難しくなく、本体スピーカに行っている配線を外部と切り替えるようにスイッチを使うこと、PTTはあの線とあの線をショートなのでその旨配線をすれば良いし、そんなに大変じゃないと思うんですが、重たい腰を下ろす前に一気にやる必要があります。 

本体内蔵のスピーカ(兼マイク)から分岐させて、スピーカと、あの線とあの線からPTTを取り出してテストしてみると、音も出て、送信する際にはスピーカからも変調がかかるので、これでOKということで終了。

〇スピーカの大きいスピーカーマイクの入手

今風のではなく、少し古い大きなスピーカのついているのを探しますかね。SMC-30あたりが良さそうな気がするので確保します。

(追記)確保しました。古いので、筐体もスピーカーマイクとしては大きめで、立派なスピーカが付いてます。受信音はまあまあ、送信音はそれなりです。

〇パネル取り付け用DCジャックの取付

前述のとおり、元々のマイクジャック用の穴を使ってDCジャックを外に出さないと外部電源で使えなくなるというか、電池の充電ができなくなるのでなんとかしないといけないのです。これは秋葉原に捜索の旅に行ってきました。マル信のDCジャックに良さそうなのがあったのでラジオデパートの門田無線で購入です。

また、作業中にスピーカの内外切り替えスイッチが壊れてしまったのですが、幸いにして別用途で同じようなスイッチを買ってきていて事なきを得ています。でも、ツマミ部分が短くて、取り付けた状態で操作しようとするとつまようじかボールペンが必要に…(※後からツマミの長いスイッチを手配して解決しました。(その2)のスイッチ部の画像はツマミが短いスイッチに置き換えた直後のものです。ツマミの先っぽが低くて見えにくいでしょ。)

見てくれに関してうまくリカバリできたと思います。元からこうなっていたに違いないと自分で思い込むことにして、とりあえずはひととおりの整備完了です。もちろん、DCジャックの配線は、なんでそうしたかよくわからないセンターマイナスから標準的なセンタープラスに変更しています。幸いにして完全にジャックの端子が浮いているので、プラスとマイナスをひっくり返して配線するだけで済みました。下の画像、こちらから見て右側面下側の白いところは「このジャックはセンタープラスだよ」と書いたラベルです。

というわけで、完成です。スピーカーマイクのコネクタが標準状態とは反対側から出ていますが、ご愛敬ということで。 

スピーカ部分のパンチ穴がかわいらしいPalmsizerⅡです。

MULTI PalmsizerⅡであります。(その2)

次の段階です。

この無線機を実用的に使うためには解決しないといけないポイントがあります。

〇純正の電池はニッカド。昭和53年モノなので、ヘタった結果、以前の所有者により廃棄されて付属していません。現物があれば電池の規格がわかるのですが、残念ながらカタログから想像するしかありません。

最初は23Aという小さな12V電池を並列で5つ繋いで1時間程度の運用ができるようにしました。とりあえず動けばよいということであればこれでも良いんですが、保証を受けて届出をしちゃったので、もうちょっとマトモな電池にしたいところです。

カタログ画像や本体の電池スペースの寸法を測りつついろんなサイトを見てみると、単三の2/3の長さの2/3AA電池という規格があるようです。このサイズでニッカドもあるんですが、ニッカドってメモリ効果ですぐにダメになるので、現代ならニッケル水素電池を使いたいですね。2/3AA規格でもニッケル水素電池を見つけることができました。

裸で入れるのは危険なので、バッテリー用の収縮チューブ(電池を包んでドライヤーで温めると縮んでそれっぽくなるんですね)で電池パック状にしてから入れることにします。
初めての電池パック加工だったので想定よりも大きくなってしまいました。無理やり押し込んでなんとかしました。次(は無いはず)はもうちょっと上手にできるかも。


〇外部マイク端子が現在の規格ではなく、互換のプラグを見つけられません。プラスチックの筐体に穴をあけて取り付けられているので、穴を広げて普通の4ピンマイクジャックにしても良いのですが、ダメ元で同じくらいのサイズの外周12mmの「航空コネクタ」というのを買ってみました。でも1mm大きくてこれも合わず。これは普通の4ピンプラグとの比較。

モンキーで挟んでいるのは、左が航空コネクタ、右がPalmsizerⅡに付いていたコネクタです。

仕方がないので外部マイクジャックの穴の拡張工事を行うことになりました。リーマーがあるので、この手はすいすいっとできます。プラスチックなので力も要らず。きれいにできたじゃんと悦に入っていると、ふと違和感が。

外部マイクジャックの穴と対照の位置に同じような大きさで丸くDCジャック用の穴が開いてるのですが、誤ってDCジャック用の穴を拡張(=破壊)してしまいました。マイクジャックの取付はできたものの、反対側の元々のマイクジャック用の穴ではDCジャックの位置決めができなくなってしまいました。接着剤で留めるのもどうかと思うので、11mm径よりも大きいパネル取り付け用のDCジャックを探さないといけなくなりました…

すでに破壊後の画像。航空コネクタのジャックを仮止めしているところに、本来はDCジャックがあるはずでした。 こうなったら両方の穴を拡張してなんとかするしかないです。

〇外部マイク端子に来ている4本の線がよくわかりません。回路図にもこのへん載っていないんです。回路図はPalmⅡのものにPLL部を書き加えただけのもののようで、PalmSizerⅡの実態と合っていないようです。

上のブロックダイヤグラムにはコンデンサマイクと思しきものとスピーカーマイク両方の絵が描いてありますが、下の定格には「内蔵スピーカー兼用マイク」とあります。

元々のマイクジャックの裏側に4本来ているということは、①マイク②PTT③アースとグランド④音声くらいのものだと思うんですけど、なんか違うんです。一部の線同士をショートさせると送信になるので、これがPTTとグランドなんだなというのはわかりますが、マイクのラインがよくわからないんですね。

また、この無線機には、スピーカの外部と内部の切り替えスイッチがわざわざついています。FT-207の例では、外部スピーカーマイクをつなげると、本体と外部と両方から音が出ていて、マイクについても両方から拾っていたような記憶が。

マイクとスピーカが共用(というかスピーカでしゃべる)という前提で考えると、スピーカの内部と外部の切り替えは、そのまま「マイクとスピーカ」の外部切り替えなんだろうなと思い始めました。
外部マイクに使うのは、普通のダイナミックマイクみたいに薄いフィルムが振動するのもではなく、少し強度のあるスピーカである必要があります。使っていないスピーカーマイクを流用するとして、これのマイク配線は使わず、スピーカ部分だけをマイクとスピーカとして使うように配線する必要がありそうです。

【追記】ダイナミックスピーカ兼用マイクですから、今回は航空コネクタに置き換えましたが、普通の4ピンメタルジャックに置き換えたとして、ピンアサインをそのまま、これまた貴重な金色っぽい変な色の福山のMULTI400Sなどのモービル用のダイナミックマイクを落札して繋ぐと、受信時にダイナミックマイクのフィルムを破いて壊すといったことが想像できます。なので、互換性を考えずに航空コネクタに置き換えてよかったんでしょうね。

たぶん、メーカー側も、その当時に福山のほかのマイクをつないで壊すことが考えられたので、4ピンマイクプラグが物理的に挿さらない、変なコネクタを使ったんだろうなと想像しています。

 

続きます。

MULTI PalmsizerⅡであります。(その1)

CQ誌1978年(昭和53年)9月号の広告です。福山電機から面白いハンディが出ました。

既存の2m水晶発振式ハンディ(手で持てるハンドヘルド機)であるマランツのC145に比べてかなり小さく、八重洲の水晶発振式のFT-202に比べても小さい、MULTI PalmⅡがまず出ました。この水晶発振式のPalmシリーズは、福山一流の無線機らしくない無骨ではない、かわいらしい(とはいえファンシーなものではありません)好感の持てるデザインでした。
無線機のデザインから少し離れた良さという意味ではマランツの機種も良いものがありますが、福山のデザインはまたこれとも違うんですね。マランツは繊細な良さ、福山はかわいらしい感じです。そのかわいらしさは、TS-600/700のデザインと通じるものがあると思います。

先行したPalmⅡの後、430MHz用のPalmⅣ(水晶発振6ch)とほぼ同時に出たPalmsizerⅡは、ハンドヘルドとしては初めてのPLL機です。同じ年にTR-2300がPLLで出ていますが、これはハンディと呼称しているものの肩掛けのポータブル機です。翌79年にハンドヘルドではFT-207がPLLで出てきますが、それに先んじての発売でした。

PalmsizerⅡは、PLLユニットを取り外してPalmⅡのフロントパネルに交換するとPalmⅡに変身することができます。PalmⅡは同じようにPLLユニットをつけるとPalmsizerⅡに変身できるという、面白いコンセプトです。
PalmⅡを設計した段階でそこまで目論んでいたのかは不明ですが、多チャンネルが進む2mでPalmⅡの6chの水晶発振は現実的じゃないですから、PLL化は視野に入れていたんでしょうけど、先行したPalmⅡの電源や送受信の基本部分は共用して、発振段にPLLを増設して合体ロボットのように変身とは面白いです。

今年、ようやくオークションで入手できました。ごくたまに出品されるのですが、見逃しているうちに終わっていることが多く、今回はうまくタイミングが合いました。CQ誌の広告で見てから何年ぶりかな、一度、ハムフェアで販売店ブースのジャンク500円の箱の中にあるのを見たことがあったのですが、動きそうな感じではなかったので見送って以来の現物を触ることになります。

わりときれいな個体で、回路図入りの取説もついていて、申請は楽にできそうです。スペアナを持っていないので、そのうちJARDで測ってみようかと、とりあえずは調整を。IC-9700という素晴らしいスペアナもどきがあるので、周波数や近接周波数のスプリアスを見ることができるのは時代のせいですね。

PLLの周波数は良さそうです。9700のスペクトラムスコープの真ん中で針が立ちます。出力は300mWくらいかな、もうちょっと出ると良いなとドライブやファイナル回りのトリマを回して500mWくらいになりました。これくらいなら見回せる範囲での連絡くらいなら使えるでしょう。プラスマイナス500kHzくらいのスパンでみると、ちょっとニョキニョキ針が生えています。これが規定値以下かどうかが焦点ですね。

うまくタイミングが合って、JARDの計測サービスをやる水木曜日に休めたので、さっそく行ってきました。無変調で測る帯域外(占有周波数対幅の外側でかつスプリアス領域の内側)領域、高調波や低調波のスプリアス領域ともに適合でした。出力は自宅のSX-1000で測るよりも出ていて700mWでした。これなら繰り上げして1Wと思い込んで良いでしょう。一応2mのBPFも探して持参したのですが、使わずに済みました。ニョキニョキも規定値以下ということでよかった。リニアは繋げませんね。

で、計測データをもらって、送信機追加の届出をして、免許的には使えることになりました。 

続きます) 

2025年8月24日日曜日

ハムフェア2025

2025年のハムフェアです。昨年から場所を有明GYM-EXに移して2度目になります。東京ビックサイトに比べて交通的には不便になりますが、これもだんだん慣れるんでしょう。

今年はUnidenが戻ってきました。70年代のほんの一時期ですが、輸出向けのCB機のノウハウを投入して、HF機と2mのモービル機で参入してきましたが、すぐに撤退していきました。アマチュア向けって商売としてはめんどくさそうですしね。


こちらはアンケートに答えてもらえたUniden名前入りキャップ。黒に黒の刺繍ってカッコいいじゃないですか。もらえたのがうれしくてかぶってみたのですが、私の頭が大きいのでちょっとサイズが合わないのが残念です。でもかぶるぞ。そのうち似合うようになると思います。

ユニデンの技術の方がいらっしゃったので、展示されているFCC規格の40ch機、ハンディ機とモービル機を国内アマチュア向けの10mトランシーバとして出せません?とお願いしてみました。彼らも企業ですから採算が取れないと難しいでしょうけれど、テスト的に出してくれないかなあ。

ユニデンブランドのピカピカした無線機で合法的に電波を出すなんて、なんか楽しくないですか? 一緒に技術の方に話をしたにゃん氏はハンディ機のほうが切り口として良いという提案をしていました。ユニデンのハンディ機も出来がよさそうですね。

出展したブースの数は去年よりも増えて、あと、感染症の流行にも慣れたんでしょうね、人出が多かったです。あまりにも混んでいるので、初日は早々に撤退、埼玉時代の友人と飲んでました。二日目は少しは空いているだろうということで、会場をゆっくり回って、お祭りを満喫して帰ってきました。

  
今年は、先日JARDで計測してきた(帯域外領域、スプリアス領域ともに現行基準に適合!)こいつを見せびらかせるご披露するつもりで会場に持ち込んだんですが、首から下げるとけっこう重たく感じるんですね。年齢のせいもあるんでしょうけど、TH-59なんかと比べるとやっぱり重たいです。でも、会場で144MHzを聴いていたのですが、430よりも空いていて、1200と同様に連絡用に使えそうだなという感触がありました。144は飛ぶので、パワーを絞っても届くので良いですね。
来年は本格的にこいつでやりますか!なんて思うんですが、電池の内蔵方法と外部マイクで悩む必要があります。このPalmSizerⅡの話は改めて書きたいと思います。
 

2025年6月4日水曜日

TR-9300でAMを送信する(続)

何年ぶりのTR-9300でしょう TR-9300でAMを送信する の続きです。

左から、DX-344、元IC-SM2、ノーマルIC-SM2、MC-90


ちょっと基本方針を確認します。

目的はTS-600やTR-9300でのAMの送信で、きれいな音をお届けするのではなく、多少歪んでも、スプラッタをまき散らさない程度の歪で、私の電波が弱かったり、ノイズに埋もれそうになっているときにある程度の了解度をキープすることです。カツミのマイクコンプレッサを使っても良いのですが、少しでもゲインボリュームを開けると歪が大きいので、これは使わずに、できれば無線機本体のマイクゲインの設定とマイクやマイクアンプでなんとかしたい、というものです。

本来であれば、この手のマイク選びではMC-90が候補として筆頭にあがりますが、TS-600にしろ、TR-9300にしろ、骨とう品になりつつある筐体の昔の狭いクリスタルフィルタにマイクアンプ段の組み合わせなので、MC-90を付けても期待したような鮮明な、解像度の高い音にはならないのではと思っています。また、10Wの無線機ですから、AMの場合にTS-590S無印のようにキャリア25W+内蔵スピーチプロセッサを入れて送信できるわけではないので、まずは相手に届かせるというところから考えないと、先方には了解度の低いおとなしい音になってしまいます。

うちのMC-90には台座にエレキットのマイクアンプを入れています。入れるマイクアンプは、もちろん自作の設計の一石程度のアンプでもOKです。これは主にTS-590のFMでの運用を意図して入れました。以前はマイクアンプ用に006Pを内蔵させていたのですが、最近のIC-9700のFM音質迷走の過程で8ピンマイクコネクタ(ケンウッドなら5番)から電源を取るようにしてしまったので、マイクアンプを使いたい場合には4ピンや6ピンの無線機からは電源が取れません。TR-9300は、コンデンサマイクを使えるように、余っているマイク5番ピンに6-7V程度が出て来るように中を配線したので、8ピンジャックを経由して6ピンプラグに変換すれば使えはするんですが。…あれ、9300でMC-90使えるじゃん。

えー、気を取り直して。主題はAMなんです。AMの送信についてつらつら考えてきましたけど、でもまずMC-90にマイクアンプを入れたAMの音を聴いてみたいな。 

で、聴いてみました。TR-9300で送信して、これをTS-590S無印でヘッドフォンを使って聴く方法です。590は同じ無線機机の近くに置いてあるんですが、少し離れているのでせいぜいメータ9つくらいで受信することになり、ヘッドフォンで聴けばハウリングも無くちょうどよさげです。

〇MC-90の音は素直できれいです。最初は台座のマイクアンプ無しでしゃべってみましたが、それだとおとなしくきれいなMC-90らしい音なのですが、やはり物足りません。マイクアンプを入れてみると、マイクのエレメントにゼロ距離でしゃべれば、入力過大気味ゆえの歪が少し出ます。でもこの歪の加減ですが、音の解像度が下がらないのはさすがで、これ使いたいなあと思わせます。AMのときにはもう少し歪ませたいですが、これ以上歪ませないで使いたい気分になります。例えると、MC-90を繋いだTS-950SDXでSSBで送信するときにスピーチプロセッサを軽く入れて少し歪ませたような音みたいな感じです。今回MC-90はIC-9700に繋ぎっぱなしなので、9300での使用は我慢することにします。やっぱりMC-90は良いですねえ。ケンウッドの無線機だと良い音が出るなあと感心します。

〇次に古いアツデンのDX-344を持ち出してきました。これは単一指向性ダイナミックマイクのアンプ入りです。経年劣化でゲインが少なく感じますが、程よい大きさに設定してしゃべってみると、MC-90よりおとなしい音でした。ちょっと物足りないかな。

〇さらに、IC-SM2のECMを取り外し、これを科学教材社の66円のものに変更してある、少し前までTM-833で常用していたマイクを使います。見てくれはIC-SM2なので、ここでは元IC-SM2と呼称します。SSBやFMでは想定どおりのきれいなコンデンサマイクっぽい音です。でも、このマイクはマイクアンプを取り去っているので、AMでもう少し入力を大きくして歪ませたいというのには少し足りません。 (※)科学教材社の66円ECMはマイクのホット、コールド、+電圧の3端子仕様)です。元SM2の台座を開けて、マイクコネクタからの配線を、マイクのホット、コールド、電圧、PTT、PTTのグランドにして、台座とフレキシブルパイプの連絡もECMの3端子化に伴って配線をやりなおしています。インピーダンスマッチングなどは全く考えていませんが、833やTR-50ではそれなりに良い音で使えています。

〇最後に真打、ここで再び入手したノーマルのIC-SM2です。マイクコネクタのピンアサインをケンウッド仕様に変更しただけのオリジナルです。元々のECMもそのまま、アンプもそのまま台座に入っています。

実は、IC-SM2って長年、それこそIC-502で開局した頃から音が悪いと思い込んでいました。IC-502や、202でも良いのですが、これで送信するIC-SM2の音を聴いたことのある人がどれくらい残っているかわかりませんが、 狭い音がしていた記憶がありませんか。そんな印象をそれこそ半世紀近く持ち続けていたんですが、先日、IC-9700にSM2と同じ仕様のIC-SM5を繋いで出てきた友人の声を聴いて、あれ?そんなに悪くないぞ??と思い直すに至りました。そっか、音が悪かったのは主に502のほうに原因があったんだと気づいたのです。それでも、このときに最初に配線だけをケンウッドにして試したときには、良い音だとは思わなかったんだよなあ。502のときの先入観があったんですかね。

今回またIC-SM2を入手し、ケンウッド配線にして使ってみたんですけど、AMの場合、台座の中のアンプのボリュームを軽く開けた状態で程よい歪を伴った声が聴こえます。もっとボリュームを開けるとすぐに下品方向に変わりますが、マイクアンプを軽く使うくらいならOKでしょう。マイクから口を離せばさらに下品さは軽減できます。SSBやFMでも普通に使える音です。MC-90のようにきれいな解像度の高い音質とは違いますが、そうですね、アドニスのコンプレッションマイクのゲインがある音や、最近のアイコムのSM30などの音がイメージに近いでしょうか。アドニスやSM30も軽く使えば同じなんでしょうね。上品ではありませんが、全体的に圧が出るような感じの音です。また、カツミのマイクコンプレッサを無線機とマイクの間に繋ぐよりもコンパクトで良いです。 

というわけで、送信音が貧弱な昔の無線機にトークパワーが欲しいときに使えるマイクとしてノーマルIC-SM2をしばらく使ってみようかと思います。TS-600では別に電源を引かないと使えないので、9300でのアプローチ悪あがきですね。アスタティックのロードデビルの高音域強調とは違う方向の音質ですが、私の電波の弱いときに了解度維持の助けになるでしょうか。 乞うご期待。

これを書きながら、科学教材社の2端子タイプのECM(53円!)を見つけてしまったので、これをノーマルIC-SM2に付けてみたいなと思い始めてしまった…

2025年4月18日金曜日

IC-9700のレピータリストの並べ替え

IC-9700はcsvファイルによりレピータリストを取り込んで本体で表示する機能があります。主にD-Star用途だと思いますが、そちらのほうはよくわかりません。

このレピータリストは、csvファイルでアイコムが公開しているものですが、Dなんとかはともかく、アナログレピータのリストも一緒に入っています。これを知り、ちょっと心を惹かれました。

周波数の低い方から、公開されているリストを見ながら、ここにはアクセスできる、届かないなどとカーチャンク(またはワッチ)をしながら確認して回ることはたまにあります。また、知らない周波数でレピータのダウンリンクが聞こえていて、ここはどこのレピータだろうって思うこともあるじゃないですか。そんなときに無線機がリストを持っていて、ダイヤルを回すとこれがどこのレピータかが表示されると便利だと思います。それを期待しました。

ところが、アイコムが用意しているレピータリストのデータの並び方は、「エリア順の都道府県順のコールサインの昇順の周波数順」です。おそらくですがDなんとかの場合で複数のレピータを介してQSOする場合には、コールサインで覚えている接続先を設定する(のかもしれないですがよくわかりません)のでこれで良いんでしょうけれど、コールサインの次に周波数の昇順ですから、A局の430の次に1200、B局の430の次に1200といった形式で並んでいるので、なんだかデコボコしていて使えません、アナログレピータしか使わない、周波数順にカーチャンク(控えめにね)してチェックする、またはワッチする場合には甚だ不便です。エリアごとに、バンドごとに、周波数順に並んで欲しいです。

文科系のわたくしは、とりあえずこのアナログレピータ(csvの項目名は「13 FMレピータ」)の部分のレコードを並べ替えて、自分の使いやすいイメージに並べ替えようと思います。

手順ですが、Excelで開いて、該当の13 FMレピータ部分を選択します。レコード数はけっこうあります。csv中で一番多いんじゃないですかね。

(1)13の「FMレピータ」部分を黄色などでマーキングするとわかりやすい

(2)S列に「=mid(E**,3,1)」としてコールサインからエリアの数値を抽出

(3)並べ替えでJ列、S列、H列の昇順でソート

(4)S列を削除 消すのを忘れると、S列の分の項目が増えたままになってしまうので、日本語が化けるので注意してください。 

(5)csvで保存 ただしファイル名は大きく変えるとダメのようで、オリジナルの日付の前後あたりに変更して保存するのが無難です。

ソートが終わったらS列を削除しないと、このソートにより、430の0エリアの周波数順、1エリアの周波数順、2エリア…と並び、430の9エリアが終わったら、1200の0エリア、1エリア、2エリア…と並びます。

これを取り込んで(取説11-11あたりから)、レピータリストの呼出の【CALL[DR]】ボタンを長押しして、ロータリーエンコーダでFMレピータを選局すると便利です。アナログレピータの部分だけは 周波数の昇順イメージで局が並びます。

場所によっては、7と0と1エリアが隣り合っているほうが便利な場合などがありますが、そのあたりはエリアの数値の抽出ロジックでIF文でも入れて並べたいエリア順にキーを与えればよいかと。 例えば、北から並べたいのなら、8なら0、7なら1、1なら2、0なら3、2なら4、9なら5といった数値をS列に与えてソートする方法です。

東京の439.98MHzのように、近い距離で、トーン周波数を変えて周波数を共用している例では、ソートにより立川の88.5Hzのレピータと経堂の77Hzのレピータのレコードが隣り合うので、ロータリーエンコーダを1クリック切り替えるだけで聴き分け(聴き分けならトーンスケルチのほうが有用ですね。この場合はアクセス分けでしょうか)ができるようになります。

2025年4月2日水曜日

FT-690mk2とTR-9300のモード変更時の現在周波数の違い

690mk2は純正リニアをつけて、9300はそのまま車に乗せてオンエア可能ということで、両機を比較したことがある方はいらっしゃると思います。  そんなライバルの両機なのですが、

FT-690mk2の項で触れるのを忘れて時間が経ってしまった内容で、

FT-690mk2は、モードボタンでUSB→LSB→CW→FM(変更は一方向)にした後、再びUSBにすると、モードが変わるごとにモード毎のステップの切りの良い00.0kHzに桁合わせが行われるので、SSBのQSO中に誤ってモード変更をするとゼロインしていた元の周波数に戻れません。

例えば50.215.5USBでQSOしている最中にモードボタンを押すと、LSB、CWの順にモードが変わります。モードが変わることについては、遡ることはできません。Fボタンと同時押しで戻れるなんてことができれば良いのですが、Fボタン+モードではNBのオンオフの切り替えになります。問題はFMモードを通過すると、FMモードの最小可変周波数は2.5kHzなので、その単位で桁合わせされてしまいます。50.215.0になるのか、50.217.5になるのかは覚えていないのですが、どちらかに寄せられてしまい、再びUSBに戻っても周波数はそのままで元の周波数ではないため、相手が行方不明(これ、相手から見て、私のほうが勝手に行方不明になっているだけですね)になります。FT-690mk2取扱説明書にはこの挙動のことまでは書いてありません。

この挙動、初めてQSO中にモードボタンを押して(押すなよw)経験したことで、びっくりしたものでした。

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TR-9300は、モード毎に周波数をモード毎の最小端数を覚えているので、ロータリースイッチでパチンとUSBからFMに行ってまたUSBに戻っても、元の周波数に戻れます。
USB/CWだと50.215.5のとき、AMにすると50.215(.0)、FMにすると50.21(0.0)になります。そのままメインダイヤルを触らずに再びUSBにすると50.215.5に戻れます。 AMにしたときに50.216にすると、USBに戻ったときは50.216.5になります。FMのときに50.22にすると、USBには50.220.5で戻ります。 モード毎の最小端数を覚えている仕様です。 

その程度の「覚えている」内容ですが、モードを切り替えて戻ってきたとき(イレギュラーな操作ですけど)に行方不明にならないように、そのモードの最小値を覚えているようです。
USBで受信中に他のモードに切り替えて戻すなんて変なことを、どれだけの人かやるかわかりませんが、私はやる方の人でw、そんなイレギュラーな操作のフールプルーフを念頭に置いたロジックを考えた設計者はすごいと思います。これもTR-9300取扱説明書には書かれてはいません。

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このあたりの細かい話ですが、21世紀に入ってから中古を安価で入手して弄りまくって理解した操作ですけど、発売当時の新製品のときに、雑誌記事にそのあたりまでしっかり書いてあって、それを読む機会があれば良いんですけどね。あとは販売店や人柱のローカルから弄らせてもらって気付くしかないんだよなあ。私はこういうのは調べずに買う口だったりするので、望まない挙動に直面して真っ青という可能性は高かったと思います。

いや、不必要なボタンはQSO中に押すもんじゃないというのはごもっともですね。

※例示の周波数を修正しました。

2025年3月26日水曜日

IC-9700(その2)

 IC-9700(その1。その2はあるのかしら) の続きです。 

FMのマイクの問題はまだ解決していないのですが、とりあえずMC-90を直流カット+変換でマイクゲイン100%でマイクの目の前で猫背でしゃべることで行こうと思います。

 

車で走りながら1200MHzのFMでしゃべるシチュは年に何回かあるんですが、あっという間に距離による減衰で交信不能になるのが玉に瑕です。東京湾上の釣り船や品の無いしゃべりの運送業と思しき移動局はけっこう遠くまで聴こえるのに、法令の範囲で運用すると車ではほとんど使えない1200です。

そういうときは混んでる430に移ったり、仕方なく聴いているということになるんですが、せっかく1200でSSBが出る無線機が来たので、SSBに切り換えた場合はどの程度交信可能距離が延びるのかは興味があります。

そんなときでも、144や430のSSBのほうが楽なんでしょうね。なんせ50W出せちゃうんだし。 

でも、車で使う際にどんなマイクを使うべきなんだろう。SRA-198あたりを持ち出すか。その場合はマイクゲイン100%にしないとですね。

IC-9700(その1。その2はあるのかしら)

仲間から、地元のアマチュア無線ショップでICOMフェアをやるんだけど、このタイミングでIC-9700を何人かで買ってみたらどうかな?というお誘いがあって、1200のオールモード機は欲しかったし、ちょうどよいきっかけになるかと思って手を挙げて、晴れてIC-9700が我が家に来ました。

2025年にして、スペクトラムスコープ、SDRというものの初体験になります。スコープはオーディオのグラフと周波数幅を俯瞰してみることを切り替えてできるものです。さすが新しい機能、良いですね。これ無しでは生きていけないわけではないですが、あると便利です。SDRとスーパーヘテロダインの違いはよくわかりません。きっと良いことも悪いこともあるんでしょう。

SDRということで、BPFでアマチュアバンド内への混入を対策した結果でしょうか、広帯域受信機能もありません。80年代以前のように官公署の通信を傍受できるわけではないので、アマチュアバンドだけで良いんじゃないかなとは思います。

 

○SSBについて

SSBは送受信ともにICOMの音っぽい聴きやすい音です。

 

○AMについて

AMは付属のハンドマイクで送信すると聴きやすい音が出ます。それまで使っていたIC-SM2改(科学教材社ECM直結でアンプ無し)や、MC-90を使うと変な音になります。IC-705や9700のAMで送信する音を聴いたことがありますが、FT-817で苦労した送信音に比べると嘘のようなきれいな音です。付属マイクの送信音はAMに限定して好きです。受信のほうは特筆するようなものはありません。

 

○D-STARについて

音は悪いです。V/Uは反射波でQSOするシチュが多いですが、マルチパスに弱く、音声が途切れたりケロケロ言って了解度が悪くなることが多いです。取説にレピータ経由の通信のことを「山かけ」と表現していますが、この表現、あまりセンスを感じません。この変調方式は、おそらく仲間うちのQSOで興が乗ったとき以外は使うことはないと思います。

 

○FMについて

9700で一番の使用用途のFMでのラグチューですが、受信音質は悪いです。20点です。

SP-70をつけてもあまり改善しません。それでも本体スピーカーよりも幾分聴きやすくなるのでSP-70は必須です。SP-70のスピーカーユニットを入れ替えてみようかという意欲がわいています。 

ついでに送信音質もダメです。20点です。

 

○FMの送信音について

おそらく正解は、この1か2でしょう。特に2で決まりじゃないでしょうか。

1.付属ハンドマイクを使ってQSO相手に9700+自分の声は「こうである」と慣れてもらう。

2.ICOM純正オプションのSM30又はSM50を使う。

 

○SSBで純正マイク以外を使いたい

SSBはまだあんまり突き詰めていません。単に1番ピン(マイクのホット)に10μFのコンデンサを入れて直流カットし、ICOM配線からケンウッド配線に変換したMC-90でそれなりの音が出ているようです。9700の送信時のイコライジング設定(とりあえず低音プラス5、高音プラス2で設定した)やフィルタの設定でTS-950SDXの音みたいな音が出ていると思います。

 

○FMで純正マイク以外をなんですが

FMではエレクトレットコンデンサマイクを使うのが簡単なんでしょうね。IC-SM2改(科学教材社ECM直結でアンプ無し)=そのへんのコンデンサマイク でもそれなりにわかりやすい音が出ると思います。

純正ハンドマイクがAM以外ではダメだったので、SM2改を使ったりもしているんですが、TM-833やTR-50でSM2改を使っているときよりも音が悪いというレポートがあります。90年代のモービル機や80年代のハンディ機よりも音が悪いのは悲しい…

MC-90を直流カットと変換したもので、本体マイクゲイン設定を100%にして、SM2改よりは解像度の高い音が出ているとの評価があります。ただ、MC-90は感度は悪くないものの、ゲインがないので一段アンプを入れたくなります。元々使っていた2SC1815の小さなマイクアンプを入れるとマイクゲインは稼げるものの、アースがうまくいかずにゴソゴソガリガリと低級なノイズが混じります。マイクアンプがちゃんと動作していないと思ってTS-590Sに繋ぐと問題なく動きます。ICOM配線に変換するところで変なことになっているんでしょうね。

そもそも、ICOMは1番のマイクのホットに電圧を重畳しています。それとは別に2番から電源を供給できるようになっています。なんでこんなことをやっているのかわかりませんが、そうなっているので合わせないと使えないですから困ったものです。

2番から電源をとるのをやめて、電池でマイクアンプを動作させればよいのかな、でもFMで使うのを念頭においているので、そのへんは簡単にしたいんですよね。そもそもSSB時にはマイクアンプ無しでMC-90のままで使えていて、マイクアンプ不要ですし。 

ここで一点残念なのは、IC-9700には、TS-590Sで便利な「モードごとにマイクゲインの設定値を覚える機能」はありなせん。なので、FMで100%で使っていて、SSBに移る場合には下げないとってことがあります。 

 

○レピータリストのソートしなおし(後日別掲

ICOMがcsvファイルで提供しているレピータリストですが、私の場合はアナログレピータを周波数順にカーチャンク(控えめにね)するときに有効かと思っていました。実際に使ってみると、そのレコードの並び順がコールサイン順になっていて、とても不便に感じます。コールサイン順なので、例えば「JP1YZY 439.02」の次は「JP1YZY 1292.02」、その次は「JP1YZZ 439.04」となったりします。430と1200が交互になったりして、アナログレピータが周波数順に並んでいるのを意識できません。 D-STARの場合はそれでも良いんでしょうね、このあたりはよくわかりません。

なので、アナログレピータのレコードだけを、430でエリア順の周波数順、1200でエリア順の周波数順に並べ直して使っています。そうすると、「CALL【DR】」を長押しした後に、1エリアの430の周波数順を順送りで、同じように1200の周波数順を順送りで選局できるので、自分の用途には合うようになりました。


 

2024年7月3日水曜日

令和6年に再び触るFT-817NDについて

FT-817考 に「なんとも締まりのない話になりましたが、マルチモード、マルチバンドで電池で出られる存在というのは貴重です。そのうち(再び)買っておくべきでしょうか。」と書いて締めていましたが、何年ぶりでしょうか、我が家にFT-817ND(002KN453:新スプ適合)がやってきました。


 

Action☆HandyシリーズやFT-690mk2を触っていると、やはり現代的な性能が欲しくなってきます。連続的に可変できるVFO、HFから430まで自在に移ることができるバンド・モードが実装されているのは魅力的です。

817は初代の発売が2000年、途中で「ND」が付いてニッケル水素充電池が標準装備、さらに新スプリアス規制に適合し、後継のFT-818NDに道を譲り、2023年でしたっけ、ついに818も販売が終了しています。そのせいか、今は中古の817/818の値段がすごいことになっています。私が再び入手した個体は、外観の見栄えや箱入りやフルオリジナルに拘らなかったので、それでも比較的安価で済みました。

対抗馬として考えられたのはIC-705です。大型ディスプレイにHF-430までオールバンド・オールモードで、IFもデジタル化されていて、送信音も吊るしのままで聴きやすい良い音が出ます。ですが、まだそこまでの機種を触るには若干の抵抗があるので、レガシーな817をもう一度触ってみることにしました。

スイッチを入れて関心したのはSSBの受信音が聴きやすいことです。初期のPLLの無線機、FT-690mk2やTR-9300もそうでしたが、それらの世代の無線機は、アナログIFなのにもかかわらず、目的信号のノイズからの浮き上がり具合がいまひとつで、それ以前の完全アナログ機に比べると聴きづらく感じていました。いや、アナログ機でもTR-1300やIC-502は聴きやすいというほどの無線機ではなかったですが、それらに比べても一段劣ると感じていました。

【7/5追記】初期のPLL機でもTR-851のSSBは悪くないです。大昔、FT-100Dと比較してみて、FT-100Dのなんとも言えない聴きにくさに比べて、曇りが取れたような音に感じました。TR-851Dは今も愛用中です。

しかし、FT-817はそろそろPLLの処理が上手になってきた頃だったからでしょうか、デジタルPLL・アナログIF・DSP処理はやってもせいぜいAFくらいのFT-897やFT-920あたりと同様に、混雑をかきわけて使うといった極限的な状況ではなく、普通のQSOをするには十分な聴きやすさがあります。

※デジタルIFのTS-590などの評価については このあたり をごらんいただければ

FT-817には、アサップシステムのダイヤル電動ファンや、海外製品のフレームラックなどのサードパーティ製品がまだ売られていて、好みで買いそろえることができます。

  • アサップシステムの電動ファンですが、元々付いているNidecの低消費電力のファンはうるさいので、私はOMEGA TYPHOONの究極静音タイプに交換しています。また、ファンを回すシチュエーションを考えると、電池駆動のときには回さないでしょうから、この電動ファンのユニットについているスイッチはファンを回すだけのスイッチということにして、このユニット経由の817への電源供給は常時行うように配線の変更をしています。
  • なんでこんなことを言っているかというと、アサップシステムのこの電動ファンを付けるには、内蔵電池ボックスまたはニッケル水素電池を取り去ることになるので、817本体の外側から電源の供給を行うことになります。普段の想定は、「『安定化電源』→アサップシステムの電動ファンのユニット→817背面の電源端子」です。出先で運用する場合は、『安定化電源』が『シガーライター』に代わるか、または『外部に用意したエネループ10本の電池ボックス』ということになります。例えばエネループから供給した際に、オリジナルの配線だと電動ファンが必ず回ってしまうので、そうならないように外部から817に至るラインは直結、電動ファンはスイッチで冷やしたいときだけ回す、というように配線変更したわけです。
  • 【7/4追記】実はこのアサップのファンなんですが、少しTipsがあります。電池蓋の代わりにこれを取り付けるんですけど、寸法に余裕がありすぎてガタが出るんです。具体的に言うと、これを取り付けた状態でダイヤルを回そうとすると、ガタガタと揺れて快適に操作できません。そこで、薄いゴム板を挟みます。ゴム板ですが、適当にホームセンターで売っているものでいいです。2mm程度の厚みがあって、挟むことによりガタを吸収できれば良いです。厚すぎると蓋が閉まらなくなるので注意ですね。で、ゴム板を程よい大きさに切って、ラッチの部分に挟まるようにハサミで切れ目を入れます。
  • 【7/4追記】そして、ラッチに切れ目を差し込んで、閉じると。そうすると、ガタがなくなります。

純正のTCXOユニットやオプションのフィルタは既に販売終了していて、オプションのCWフィルタは法外な値段がついてたりします。TCXOについては第三国での安価なものが出回っているので、それに興味はあるものの、周波数がズレたら合わせなおせば良いと考えてしまうので、今すぐの導入には消極的です。また、フィルタについてはSSB用に限ればまだINRADのメカニカルフィルタが入手可能です。まずはとりあえず手持ちのCFJ455K13を標準のCFJ455K14と比較してみましたが、受信では少し広くなったような気がするものの、送信では差がほとんどわからないといったところです。K13って一時期IFが455kHzのHF機でSSBの送信音を良くするために交換するのがTipsとしてありましたけど、それほどでもないですね。それとも817だから差があまりないと感じるのでしょうか。 



SSBについては、マイクをMC-90にするだけでそれなりの音が出ます。フィルタをINRADの2.9kに交換すればもっと良くなるでしょうけど、かつて一度やってますし、今はもういいかなと。

問題はAMでした。前回触ったときにはAMでの送信には興味がなかったので知らなかったのですが、これがなかなかの曲者です。F長押しメニューのAMマイクゲインはデフォルトでは50という数値に設定されています。また、AMのキャリアレベルについてはABC起動メニュー#69でうちの個体は224と設定されていました。AMというか低電力変調の無線機の場合、キャリアをSSB時の出力の1/4程度に抑えて、変調は気持ち深めというのが原則ですが、まずはそのまま送信してみると、モゴモゴといった浅い変調で、しかも歪んでいます。

そうか、一時期の八重洲の無線機ってAMはダメって話だったっけといった朧気な記憶をもとに、webで調べ始めると、

  1. ABC起動メニューの#69のAMキャリアレベルを190程度まで下げてみる
  2. その上でマイクゲインを下げてみて歪まないポイントを探す

といったことで対策していることがわかります。

キャリアレベルを下げるのは原則どおりですから即マネをしてみます。あと、歪っぽい音はマイクゲイン過多というのも納得できるので、これもマネします。で、送信をしてみると、今度は「わんつー、わんつー」の二回目の「わんつ」あたりで通過型パワー計の針が落ち込みます。ALCが効いたようです。このALC、自然と全体のマイクアンプ段からの出力が抑えられるのではなくて、しきい値を超えた大入力をポイントで抑えているようで、「わんつー」が「 ん っー」になってしまって台無しです。それではということで、

  • ABC起動メニュー#65の50MHzのALCの戻りのレベル調整を変更してみる

ことを試してみたものの、数値を弄っても「 ん っー」は改善されません。ALCの戻りを弄るのも、キャリアレベルを下げる方法はやめることにします。もう一つの対策としてwebで諸氏が挙げられていた

  • ABC起動メニュー#69のAMキャリアレベルを240程度まで上げてみる

ことをやってみます。キャリアレベルを下げることについては、webの諸氏はいわゆるマイナス変調対策と説明されていて、そのとおりだと私も思うのですが、うちの個体はキャリアレベルを下げることによって、「わんつー」と送信したはずの信号なのにALCが盛大に効いて「 ん っー」と出力がカットされてしまうことが大問題なので、多少カットされてもキャリアが減らないように、上げてみるという方向です。マイナス変調上等です。

そうしてみると、ちょっと喋る限りはマイナス変調になってしまうのは仕方ないとして、「わんつー」でALCが効いても「 ん っー」にはならず、それほど出力も落ち込みません。ちょっとシメシメです。

ここまでの総括ではこんな感じです。

  1. AMキャリアレベルが標準の224
  2. AMマイクゲインは標準の50 
  3. その結果はモゴモゴ歪み気味のあまり好きじゃない音【ダメ】
  1. AMキャリアレベル190
  2. AMマイクゲインを20
  3. その結果、マイナス変調は解消したが、大入力時に出力が落ち込み「 ん っー」
  4. ならばALCの戻りを減らしてみても変化なし 【ダメ】
  1. AMキャリアレベルを240
  2. AMマイクゲインを20
  3. その結果、マイナス変調だけど大入力時にも出力の落ち込みはなし【行けるか?】

【行けるか?】というところで、AMマイクゲインを歪まない最大値を見つけて妥協しようかと思ったのですが、「マイクアンプ段からの入力をコンスタントに増やして、常にALCが効いているようにしたら出力が落ち込むということはなくなるのでは?」と思いつき、マイクコンプレッサを使ってみようと思い立ちました。

少し前にジャンクで「動くかも?」と買って、ちょっと電源を入れてみたら案の定動かなくてそのまま死蔵していたカツミのマイクコンプレッサを持ち出して弄り始めます。


 

電池を入れて電源を入れてみると動作がおかしかったのですが、そのうちにその理由はメインのスイッチの接触不良であることが判明し、スイッチの交換によりまずは動作できました。この個体はトリオ4ピン仕様という触れ込みだったので、TR-2300を持ち出して繋いでみます。MC-20→カツミMC-702→TR-2300の送信信号をTM-833でモニタしてみるとこれが見事にサイテーな音です。コンプレッサは生きています。4ピンマイクの出入りで動くことが確認できたので、ケンウッド8ピンマイク仕様に変更して、(八重洲8ピンモジュラー変換経由で)817に繋いで試してみました。


 

まずはSSBでテストしてみたところ、少し圧縮気味の音にはなりますが、TR-2300のFMで試したときに比べるとそれほど悪くないです。リニアを繋いだりパワーを出せるときに使うなら軽くにしろということなんでしょうけれど、使い方次第でアリかなと思います。

次に問題のAMです。まずはキャリア減らし方向のテストですが、見事にダメでした。常時入力過多傾向でALCが効きっぱなしというか送信信号が抑えられっぱなしになります。話になりません。次にキャリアを増やす方向でのテストですが、こちらは程よく変調が深いまま、隣のTS-590からは途切れずに私の声が聴こえます。いけるかも?と期待してしまいます。ただ、まだ客観的に信号を聴いてもらったわけではないので、この前者と後者、

  1. AMキャリアは増やす設定(マイナス変調上等)
  2. AMマイクゲインは20
  3. マイクコンプレッサON

と、

  1. AMキャリアは増やす設定(同 上等)
  2. AMマイクゲインは標準の50の標準状態
  3. マイクコンプレッサOFF

との差がどの程度あるのかというところを比較してみたいと思っています。 ちらっと自分の声を隣のTS-590で聴いた感じだと、マイクゲインを下げてコンプレッサを入れたほうが「歪がひどくならずに音の通りが良い」感じはします。プラシーボかもしれませんが。

【7/4追記】隣に置いたTS-590で聴いただけの比較ですが、端的にいうと、マイクゲインを上げたときと、スピーチプロセッサ(この場合はスピーチコンプレッサですね)を入れたときの違いがあるだけです。どちらかが良いという感じでもないです。なので、平均的な圧縮音声を期待するならコンプレッサ、やさしくしゃべってピークを出さないならマイクゲインを上げる、ということになるでしょう。どのみち817のAM送信音はどうあがいても 期待してはいけない というのが結論になりそうなので、このあたりはお好きに、コンプレッサをいれて平均電力をあげるということをやってみたい(ただし音質の改善があるわけではない)なら使ってみたらどうでしょう、という感じです。

私ですか?せっかく直ったカツミのスピーチコンプレッサを弄るのが面白いので、音質が悪くならない程度に軽く使ってみようかと思っています。 これTS-600で使ってみたいなと思いつつ、同時に600は送信音を期待しちゃいけない無線機だったと思いなおし…


 

しかし、こんな感じで試行錯誤していますけど、IC-705ならつるしのままで、良い・聴きやすい音が出るんだろうなと思います。

今回、817については悪あがきをして次善の設定を見つけようとしていますが、あまり大きな期待はせずに、小さな無線機を性能の範囲で楽しむという方向で考えるべきなんでしょうね。実際、バンド切替スイッチを押したときに、中からリレーの小さなパチパチという音がする様子はかわいらしいですし。

2023年8月10日木曜日

(続)そして2023年のFT-207へ。

長い長いマクラの続きになります。

このFT-207ですが、業界初めてのハンディ機のデジタルディスプレイ、テンキーボード実装、PLLシンセサイザによる200ch、肩掛けではなくハンディトーキー型と先進的な形で発売されました。1979年の秋です。ガワはFT-202の流用で、その部分だけは真新しさを感じませんが、この小ささで144MHz帯どこにでも出られるという、画期的な機能でデビューしました。

翌年1980年の晴海のハムフェアで、現地で会ったローカルがこれを持っていて、簡単な改造で148.99まで聴けるようになっているのを見せてもらって、小さなヘリカルホイップと電池でいろいろできるんだと感動しました。

 









 

 

 

このHPの7セグデジタル表示が良いんですね。蛍光表示管でもニキシー管でもなく、未来的なLEDのデジタル表示です。この当時、この7セグLEDを使った腕時計がありました。消費電力の関係から常時点灯ではなく、時計を触る(龍頭を押す?)と表示が点灯する形式だった記憶があります。また、電卓でもこのLEDを使ったものがありました。どれも格好よく、欲しいと思ったものです。

ちなみに、この時代にはまだロータリーエンコーダは実装されていません。周波数の変更はテンキーで直接入力するか、UP/DNキーで上下します。外部マイクからのコントロールもできません。操作性については、後年のIC-3Nをはじめとするサムホイールスイッチの機種のほうが勝ります。テンキーは一見便利そうなのですが、まだまだです。でも、148.41など当時の埼玉県で人気の周波数に即QSYしたいときにはサムホイールをパチパチ動かすよりも速かったので、便利なところも見つけられました。

FT-207については、上で先進的、画期的と書いたのですが、他の機種からの流用部分も目立ち、まだ実験機的な要素は残っていると感じました。FT-207ではなく「CPU-207」として出してきてもよかったのかもしれません。外部マイクを繋ぐと、受信音声が本体スピーカとマイク内蔵スピーカの両方から出るというなかなか笑えるところもあります。

それでも他のメーカーを機能的に一気に追い越して出てきたことはすごいと思います。デザインについてはFT-207は一目でFT-202の流用とわかりましたが、翌年デビューのFT-208/708になると八重洲らしからぬ格好良いデザインになりました。残念ながらHPのLEDはFT-207限りで、FT-208の世代からは液晶表示+バックライトになってしまいましたが。

で、縁あってFT-207は2023年の春に私の手元に来ました。エージングをし、送受信テストをしてみると、送受信のFズレがあります。受信感度はそれなりですが、追及して設定を追い込むほどのものではないですから現状のままとして、周波数ズレはなんとかしたいところです。

八重洲が公式に出している取説をみたり、RigPixに置いてある英語版取説をみながら調整します。 とりあえず書いてあるとおりの調整をして、誤差数kHzまで合わせて概ね良しとします。

それにしても、この機種は肩掛け型のTR-1300/2200GⅡ/3200シリーズやTR-2300よりも小型化への努力を感じます。部品間の間隔が狭く、不具合部品の交換に苦労しました。現在みたいにチップコンデンサの多用こそないものの、従来型部品が狭いピッチで並び、基板上の線も細いですし、基板間の連絡も細いケーブルで行われています。経年劣化もあり、ちょっとのテンションで細いケーブルの半田が外れ、作業中にそのようなことがおきると中断してどこから外れたかを探してメモるという二次作業が発生します。

ちなみに、このハンディトーキーには、両側面にストラップを付けられるようになっていて、もともとは純正の肩掛け紐が用意されていました。2023年の今では入手するのは難しいので、手芸屋さんなどで代替品になるものを探していたのですが、

〇三角環 ニコン純正品が使えそう(ただし未検証)

〇ストラップ  ニコン純正品が使える

がありました。三角環は本体に残っていたのでそのまま使えたのですが、ストラップのほうは、カメラ量販店の通販で上のリンクのメーカー公式サイトよりも安価に入手して使っています。

また、元からついていた純正のニッカド電池が劣化してしまっているので対策を考えました。この機種は、現代のスマートフォンのように、充電ケーブルで充電した電池で動きます。配線を電池の端子に直結すれば動きますが、そうすると安定化電源なしでは動かせません。せめて電池で動かして持ち歩けるようにしておきたいところです。

webを調べると、電池を内蔵させる動画の例示(音が出ます。注意)がありました。 これだということで、真似しました。単四アルカリ電池を使えば10.5Vなので仕様どおりの出力が出ると思われますが、私の場合は単四エネループを使っています。8.4Vと電圧が低いかな?と思いきや、ちゃんと動いてます。2Wフルパワーで送信するシチュエーションが想像できないので、これでよいかなと割り切りました。

ここで使った単四電池ケースですが、秋月で売られているものは寸法的にギリギリまたは入らない可能性(実際、仲間が秋月のを試したのですが、入らず、単四電池ケース側の不要部分を削って入れたとのことです。)があったので、他を探して買っています。

その後、なんだかんだで保証認定を受けて、第〇送信機追加の届出審査終了を経て電波を出せる状態にするに至っています。でも、窓際でヘリカルホイップでメインチャンネルを聴いていても、144MHzのFMは空いているのか、あんまり声が聴こえないところが現代なんでしょうね。

※電池については、ebayで純正ニッカド電池FNB-2と同じ寸法でニッケル水素電池があったので買ってみたところ、経年劣化で使えないことが判明、返品・返金処理をしてもらってます。古いニッカド互換のニッケル水素電池は容量も大きく魅力的ですが、需要もそんなにないでしょうし継続的に作られているわけではないので、古い劣化した在庫が流通している可能性があるようです。

2023年8月9日水曜日

FT-207です。まずは長い長いマクラ編。

1978年1月に144MHz帯のナロー化とFMを145MHz台に移すバンドプランの完全施行があって、これを機に、144MHzFM機は水晶発振の時代からPLLシンセサイザの多チャンネル時代に移りました。

それまでの40kHzセパレーションに対応したワイドFMの水晶発振トランシーバでは、受信フィルタを16kHz以下の狭帯域のものに変更すること、送信のデビエーションを40kHz幅から16kHz幅に収めることと、FMに割り当てられた145MHz台の水晶に交換しないと出られなくなりました。

この少し前のCQ誌には大々的にFMトランシーバのナロー化改造特集があって、各メーカーの機種別に改造方法が記載されました。免許を取る前の私も、父親からもらった水晶発振12ch機、FT-2Fをナロー化改造して、ほとんどのchの送受信別々の水晶を発注して、145MHz台で送受信できるように備えたものでした。

FT-2Fとは何ぞやというところですが、八重洲が公式に同機のマイナーチェンジモデルであるFT-2FBの取扱説明書を公開しているので、興味のある方はみてみてください。

 

マクラが長いですが、もう少し続きます。

件のFT-207が出る前の年である1978年に、水晶発振6chでハンディトーキーのFT-202が発売されます。このころの144MHzハンディ機は、

〇70年代初頭から続くマランツのSR-C145BN(Nはナロー、水晶発振5ch、ハンディ型)(後から気付いたのですが、このころ既にマランツからはC145BNの後継のC145G(ナロー、水晶発振6ch、ハンディ型)が発売されていたようです。この機種もけっこうな付け焼刃ですね。)を筆頭に、

〇トリオのTR-2200Gのナロー化対応機TR-2200GⅡ(水晶発振12ch、肩掛け型)、

〇アイコムからはIC-502と同じ形のIC-212(ナロー、水晶発振16ch、縦型の肩掛け型)、

〇NECからCQ-P2200N(水晶発振12ch、同じくNはナローの意、肩掛け型)、

〇福山からMULTI Palm2(水晶発振6ch、ハンディ型)

が販売されていました。ですが、どの機種も大混雑の144MHzFMなのに水晶発振で少しのチャンネルですから、関東地方の高いところに登ってCQCQなんてやろうものなら、持ってる周波数全部空いてないなんてことが頻発したと思います。

当時のバンドの混雑状況、しかしPLLシンセサイザにするには価格転嫁が難しい、開発コストもかかる、新機種を出すならナロー化145MHz台移行のバンドプラン完全施行後の早い時期にと各社考えていたのだと思います。

それにしてもFT-202はバンドプラン完全施行後の1978年になった後に出てきていますから、当時CQ誌を眺めていた私でも、業務機を転用して当座を凌いでいるんだろうなと達観して見ていました。広告には中学生が自転車で運用する姿を使ったりで、私らにワクワク感を喚起しようと努力してましたが…ね。

eham.netのFT-202Rレビューを読んでみると、「old brick HTs」と表現していて面白いです。この世代のハンディトーキーは煉瓦くらい大きいですからね。

事実、1978年の初夏、私自身が電話級の講習会に通っていた頃には、トリオからTR-2300が発売、ハンディ機も多チャンネル化の時代に入りました。同じころ福山からはデザインがかわいらしいMULTI Palmsizer2が発売され、145MHz台を20kHzセパレーションでフルカバーで出られるようになり、時代が進んだ感がありました。

そんな中、1979年になって、前年にFT-202で初めてハンディ機市場に入った八重洲が、デジタルディスプレイ付きの144.00-145.99MHzまでフルカバーのFT-207を発売しました。筐体はFT-202と共通のハンディトーキー型ですが、テンキーボードが筐体正面にあり、周波数を直接入力してQSYすることができる、未来を感じる機種です。

その当時、CQ誌の広告ページを舐めるように読んでいた私(こう書くとちょっと気持ち悪い中学生ですねw)は、このテンキーボードは既に発売されていたのCPU-2500(八重洲の最初の144MHzPLL機)のマイクロホンに実装されているテンキーの流用だと一目でわかりましたが、それでも、価格が高くなっても出してみようという実験的要素が伺えたCPU-2500の先進的なところを、低価格を目指すハンディ機に取り入れて出してきたというところも含めて、八重洲は付け焼刃的なFT-202から一気に他メーカーを追い越してきたなと感じたものでした。

<明日に続きます。>

※バンドプランの画像は、1978年春から夏にかけて私が受講した電話級の講習会の教科書から。それまで買いそろえていた144MHz台(144.36から144.96まで)の水晶が軒並み使えなくなるというのはインパクトが大きかったです。たった12chのFT-2Fでしたが、水晶入れ替えでかなりお金がかかりました。

※付け焼刃的な展開で出てきたFT-202の頃の他メーカーの機種は、ハンディ型は水晶発振5-6ch、肩掛け型は12-16chです。自宅で据え置いて使うには不向きのハンディ型は、時代遅れ感満載のチャンネル数の少なさですが、各社PLLシンセサイザ機を出す前の一時しのぎと割り切って少ないチャンネル数で良しとしたのでしょうね。12chの肩掛け型については旧来の機種を引っ張る形で、古さを感じて買う買わないはユーザサイドに任せた展開だったのでしょう。アイコムのIC-212は16chと中途半端ですが、 同社はそれまで144MHzFMのハンディ機(可搬機)が無かったので、IC-502と同じ顔で出してみましたというところなのでしょうけれど、当時これを見た私は、502と同じ顔は面白く感じても、水晶発振かぁ、追加でお金かかるじゃんとあまり刺激を感じませんでした。

※CPU-2500ですが、八重洲のトランシーバの名前である「FT」がついてないんですね。それゆえ実験的な販売だったんだろうなと。後継のFT-227 MEMORIZERには「FT」がついてますからね。 

※ちなみに、FMの145MHz台完全移行の144MHz帯でしたが、関東では1年で1プリフィックス進むくらいの局数の増加と、PLLシンセサイザによる10kHzセパレーション200ch機の発売で、結局バンド中20kHzおきにFMでしゃべるおじさんたちで埋まるという状況でした。でも結果的に20kHzセパレーションとナロー化だけはちゃんと実現できましたね。

※TR-2300の項ではここまで濃厚なマクラは書かなかったんですが、当時TR-2300は私にとっては先進的なあこがれの機種で、手が届かないイメージがありました。我が家にあったFT-101、625DやFT-2Fは身近でしたが、トリオ製品ってあこがれるものの、後年TM-401やTH-45を買うまでどうも縁遠かったんです。それで、TR-2300の項では後々に手に入れたあこがれの無線機ということで、無線機本体の話に終始したんですね。対して、本項については、目の前にあった八重洲のトランシーバを苦心してナロー化したり、その後中途半端な機種(FT-202ですね)が出たのを眺めたりした後で、新たに発売されたFT-207を見た印象が強かったので、こんな書き方になった次第です。

2022年2月1日火曜日

文化放送が弱い件

文化放送が弱いんです。

私の拙い経験では、川崎市多摩区、宮前区や横浜市青葉区あたりで聴いていると、送信所が同じような位置で同じ100kWの出力のTBSラジオに比べて、とても弱いです。

我が家の場合ですが、TS-950SDXとベランダに出したHR28で受信するとして、AIPを入れない状態で、文化放送(1134kHz)がメーター読み7つに対し、TBS(954kHz)は9プラス10dBくらいです。耳S的にもぜんぜん信号の力強さが違います。また、文化放送は時間帯によってはQSBを伴って届きます。

昔の中波モノバンドの6石ラジオで、バンドの下側に比べて上側はバリコンの都合でチューニングがクリチカルになるとか、感度が不足するなどの条件がある場合では、(送信所から受信場所への距離その他の条件は無視するとして)バンド中央のTBSラジオに比べてニッポン放送(1242kHz)が弱いなどは考えられます。

ですが、ほぼ現代水準のまともな受信機で比較してこの差ですから、何か理由があるんだろうなと思っています。

他局の例では、久喜(菖蒲)のNHK第一(594kHz 300kW)/第二(693kHz 500kW)、和光のAFN東京(810kHz 1050kW)は当地でも強いです。9+までメーターが振れます。川崎幸区の多摩川河川敷から送信しているRFラジオ日本(1422kHz 西に指向性の50kW)は近いせいかそれなりに強いです。ただし、近さの割りには強さはそれなりです。指向性アンテナがこちらに向いていないせいでしょうか。ニッポン放送(1242kHz 100kW)は木更津からなので、川崎や横浜の山側では強いとは言えませんが、文化放送ほど弱くはないです。

文化放送は我が家だけで弱いというわけではなく、冒頭に書いたように、川崎・横浜の山側の区を行き来している状態のカーラジオでの受信でも同じように弱いので、理由があるんだろうなと考えていました。ちなみに、自宅では強いと思っているNHK第一も、川崎・横浜の山の中を車で走り回っていると、「これほんとに300kWかい」というくらい弱い場合があります。埼玉県東部・南部方向から神奈川県東北部には弱く届く何か条件があるんでしょうかね。


さて、TBSと文化放送の比較検証です。

両局ともに、埼玉県南部である戸田市と川口市から100kWで送信しています。周波数も中波の受信機にとっては不利ではないバンドの真ん中あたりの954kHzと1134kHzです。距離的にもそこまで遠く離れているわけではないですし、ここは東京都心部のビルの谷間というわけでもないですから、都市ノイズに埋もれてしまうこともないです。

試しに、地理院地図を使って、両局の送信所から川崎市宮前区役所への地形断面図を作ってみました。

一つ目。TBS戸田送信所から宮前区役所の例です。

二つ目。文化放送川口送信所から宮前区役所の例です。

 

断面図を比較すると、文化放送のほうが荒川を挟んで都内に入った後の丘陵までの距離が長く、山の上の宮前区役所への到達が有利であるように思えます。反対に、TBSは送信所から2kmを過ぎると、荒川を渡ってすぐに丘陵に入るので、このへんは不利です。

ルートの比較では、文化放送のほうが都心寄りを通るので、障害物は多そうに見えます。距離も6-7km長いです。50MHzで10Wくらいでダイポールで送信した場合には、距離やルート的には文化放送のほうが弱く届きそうなイメージです。でも立派なアンテナに100kWですからねえ。

 

もう一つの面からの比較です。送信所付近の環境はどうでしょう。

TBS戸田送信所付近です。付近には戸田ボート場を始め、荒川が流れ、アンテナ設置条件の良さが伺えます。

文化放送川口送信所付近はというと、住宅地の中にあります。標高は少しこちらのほうが高いとはいえ、TBSに比べると不利ですね。

 

あくまでも仮説ですが、出力が同じで、かつアンテナ単体の性能が同じと仮定する場合、「アンテナの設置条件(TBSのほうが水場に近い、アースが取りやすい)及び送信所から受信場所へのルート(TBSは都心から遠いところを通る)」が文化放送に比べてTBSのほうが有利であると想像できます。このほか、波長の長さ(これはアンテナの短縮率でどうにもなりそうですが)の違い、低い周波数のほうが飛ぶということもあるのかもしれません。

※2025年3月27日に加筆

それでも、メーター読みが文化放送7つに比べてTBSが9+10dBですから、こんなに差が開きますかねえ。

送信所から受信場所のルートを同じようにするために、大田区の蒲田や六郷付近(または南方向へその延長)を受信場所にして比較できると良いですね。そうすると、出力は両局ともに同一、ルートもほぼ同等(ルートが同等になるとすると、今度は逆に、TBSのほうが板橋区志村坂上付近の丘陵に近いので不利になるのではと。)、差は送信所付近の水場の有無かしら?と考えることができるかもしれないですね。5900持って出かけてみようかしら。

 

それはそれとして、文化放送が強い埼玉県南部や都内北部ではできないBCLの例をお見せします。当地では文化放送が弱いせいで、1116kHzの新潟放送の受信ができるんです。動画開始からすぐに「BSNラジオ」と言っています。


 

2022年1月24日月曜日

BCLラジオの季節の続きというか

 夏、BCLラジオが欲しかった季節 の続きです。続きの話というには少し内容がずれているのですが、そこはご容赦を。 その後思い出したことがあって、つらつらと書いてみます。

1978(昭和53)年11月23日木曜日(※1)、中波放送がそれまでの10kHzステップから9kHzステップに変更されました。

関東地方でも、

  • NHK第一は590kHzから594kHz(まだ川口送信所の頃)
  • NHK第二は690kHzから693kHz(同鳩ケ谷送信所)
  • FEN(現AFN)は810kHzのまま変わらず
  • TBSは950kHzから954kHz
  • 文化放送は1130kHzから1134kHz
  • ニッポン放送は1240kHzから1242kHz
  • ラジオ関東(現アールエフ・ラジオ日本)は1420kHzから1422kHz

と変わっています。

この少し前、TBSラジオのベリカードをもらったところ、周波数表記の下に「昭和53年11月23日から954kHzにかわります」と印字されていました。周波数変更前は、番組の合間に周波数が変わるよと繰り返し広報が行われていました。

11月22日の夜、ラジオをつけっぱなしで寝てしまい、早朝に目覚めたらラジオのチューニングがずれていることに気づきました。あ、そうだった、今日から周波数が変わるんだったっけと思い出し、ダイヤルを少しだけ左に回してチューニングを取り直したのを覚えています。

ICF-5900。これは近年再入手した個体。

当時、既に私のものとなっていたICF-5900は、中波放送をBFOを入れずに聴く限り(中波でBFOを入れるひとはいないと思いますが)は安定度が良く、意図的にダイヤルを動かさない限りはずれません。そんなことから、私が寝ぼけてずらしたり、安定度が悪かった故のチューニングずれではなく、局側が動いたんだなとすぐに思ったんですね。

この日、朝5時のID以降は試験放送で、9時から新しい周波数での本放送を行うといった編成だった記憶があります。 免許上、そういうことだったんでしょう。

5900のようにアナログダイヤルで選局する場合はたいした影響はないのですが、当時のカーラジオは一部の例外(※2)を除き、大部分が5局程度をプリセットする形式(※3)のもので、数kHzのずれを併せなおしてプリセット(チューニングツマミを回してチューニングをとって、プリセットツマミを引いて、押しなおして設定する)が必要でした。この手の準備は事前に済ませられず、ある日車に乗ってラジオを付けたら、全局チューニングがずれていて、プリセットし直すということがあちこちであったんでしょうね。

 

(※2)当時の我が家の車は、マツダのサバンナGSⅡで、このGSⅡというグレードは、ロータリーエンジンは安いほうの10Aタイプなものの、ラジオは中波だけでしたがモータードライブのオートチューニングタイプの豪華仕様で、チューニングボタンを押すと順方向にモーターでアナログチューナーが動き、強い局で停まって自動選局完了というすごい仕組みでした。

聴きたい局の送信所からみて強電界の範囲で動いている限りは便利なんですが、地方向けの家族ドライブをする際、夜になってから関東地方から離れてしまった場合には、電離層反射でTBSの混信がひどくなってきたのでニッポン放送に移ってみようと思っても、他の地方や国の強い局に埋もれてしまい、チューニングしようにもボタンを押しちゃすぐに停まりの連続で、手動で局を探さないといけないという事態になりました。それこそ意図せず車内BCLの開始になります。そういうときには(※3)のプリセット方式のラジオのほうが良いなと思ったものです。 

90年代80年代も後半に入ってからは、カーラジオでも周波数が読めるシンセサイザのチューナーになったので、便利になったもんだなあと思ったものです。

 

(※1)JL1はいつから割り当てが始まり、終わったのか。 に書きましたが、私の局免許がきたのはこの数日後のことだったんですね。こんなイベントがあったりしたので、無線の免許は早くこないのかみたいな話は忘れていたような気がします。