【お知らせ】
AT-D168UVのコードプラグを当分の間公開しています。いつまでかは考えていません。以下のURLからダウンロードできます。
自分のために作っているものなので、内容に責任を一切負いませんが、カスタマイズのベースに使うなど、ご参考にどうぞ。

2026年4月21日にファイルの更新を行いました。(4/21、長らく見落として載せていなかった3エリアの1局を追加しました。Zone「VoIP」を「VoIP1」と「VoIP2」に分けました。)

ファイルの説明、更新の概要などやダウンロードは以下のエントリーからです。ファイル更新の概要などはご一読くださいますよう。

「AT-D168UV(その6、コードプラグ)」
https://tr-1300.blogspot.com/2025/09/anytone-at-d168uv4.html


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当blogからのトーグループリストの公開は終了しました。FaceBookの公開グループ、DMR OpenSource Japanの「ファイル」からダウンロードできるようになっています。

2026年7月6日月曜日

FTDX10が来ました(その3)

その2の続きです。

空きスロットは埋めずにいられないので、CWナローフィルタを入れています。

ここしばらく、年単位だと思いますが、八重洲のオプションフィルタの入手難が続いていました。最近これが解消したようで、正規の値段で新品を購入できています。 

 

さて、送信面です。

AM、SSBとFMはローカルOMにテストに付き合ってもらい送信音を確認してもらっています。私のほうではまだAMでの送信試験しかロクにやっていないので、AMでの設定を書いてみます。まだ設定が決まったというところまで来ていませんが、こんな感じです。

 マイク:アスタティックAST878DM

  1. マイクアンプの出力は1/4
  2. マイク自体のアンプのゲインを下げてるのでエレメントからほぼ0距離で喋る
  3. ゲインが低いのでハアハアはしていない 
FTDX10の設定:
  1. AMCを100にしてALCを効かせないように
  2. マイクイコライザは、アスタティックAST878DMの個性を補う方向で、低音域を少し出して、中音域を少し下げて、高音域は少し上げる
  3. 無線機マイクゲインは50(適宜可変する)
  4. スピーチプロセッサはAM時には効かない仕様(残念)
  5. 25Wフルパワー(Mタイプでも100Wタイプと同じく、AMのフルパワーは25Wです) 
さらに、アスタティックの音色に対応するために、MIC EQの設定で、
  1. 低音域は若干協調、200Hzを+3(可変範囲は-20~+10)にして、Q(強調幅)を1
  2. 中温息は少しへこまして、1000Hzを-1にして、Qを2
  3. 高音域は切れを期待して協調、2800Hzを+4にして、Qを1 
にしています。
変調をかけると、 
  • 無線機内蔵出力計は下がる(心配)
  • IDメータも下がる(心配)
  • 安定化電源の電流計も下がる(心配)

ここまで、マイナス変調必至(後述) です。

  • ALCメータは無変調時に取説の絵くらいまで振れていて、変調をかけると+20の2と0の間くらいまで振る(心配) 
  • COMPメータは10-20dBまで元気よく振る(心配) 
  • 取説の運用方法と現状を見比べると(心配)なところが心配
 

ですが、

 (後述)変調をかけたときにIDや電流が減るのは、無変調時のキャリア出力(25W)に必要な電流に比べて、変調時にはサイドバンド分の出力が増えるんですが、サイドバンド分に必要な電流よりも、変調がかかっている間は不要なキャリア分を減らす制御をするので、トータルでは電流は減るんだそうな(Gemini談)。 恐るべし数値演算型低電力変調。

古い常識からするとまだ眉唾なんですけどね。少し前までの低電力変調は、変調をかけて電流が減るということは、キャリアレベルが高すぎの状態で、変調をかけるとパワーを食われて「マイナス変調」になるのが常識で、その場合は変調を深くかけたいならキャリアレベルを下げてパワーが落ちないように調整するのが常でした。

で、ですよ、 

  • 外付けアンテナチューナの電力計は、変調をかけるとともに5W程度多めに振れる(よし!)
  • 隣のTS-590無印(下取りに出されたのではなく、モニタ用として不遇の日々は続きます)でのモニタでは、歪まず、「マイナス変調」ではなく、でも、「プラス変調」でもない。
  • また、モニタする限り、送信開始後最初の「あー」でALCが効いてパワーが落ちたり無音になることはない。(590無印で変調深めでやろうとすると、ACLが効いて頭切れになるので、頭切れにならないところを探る必要があるけど、FTDX10は無造作に「あー」とやっても頭切れしない。AMCを100にした効果でしょうか。) 
  • 複数の局のモニタによれば、変調時にマイナスにはなってない。 
  • 10kmくらい離れたOMによれば、無線機側のマイクゲインを60程度に上げても、多少うるさくなっているけれど、変調時にキャリアに比べてS0.5-1くらい多く振れるとのこと(よし!) 

あとは、AMのとき、マイク本体のゲインをあげてみて、どこまでうるさくなるか(1/3まで上げてチャレンジ中)ですね。アスタティックのマイクゲインボリュームを1/4にしているときには、無線機本体のゲインを100にしても歪まないとのことなので、次はその点のチャレンジですね。
SSBの場合は、同じ設定でプロセッサレベルを50で送信するとうるさいとのことで、30程度に下げて大人しく喋る感じで。

その後の実験では、マイク本体の出力を1/4から1/3くらいに上げると、隣の590無印のモニタでは、とたんにアスタティックらしい音に変わってきました。この状態で「マイナス変調」にならないなら(590でモニタする限りはなっていない。たぶん離れた局からもなってないだろう)、本体マイクゲインを1/3よりももう少し上げるくらいまでを調整して、少し大胆な音(無線機マイクゲイン60)のときと、強電界用の大人しい音(同40)の使い分けでいけそうな感じがします。

もう少し詰めてみたいです。

ちなみに、MC-90でもやってみたんですが、このマイクはやはりSSB用ですね。AMでは線の細い音になります。マイクアンプを入れてあげてもそうは変わりませんでした。 

相手になってくれたOMは、FTDX101MPに、純正のダイナミックマイクとコンデンサマイクを併用できるスタンドマイク(M-1またはM-100のどっちかです)。音は何も弄っておらず、標準設定とのこと。
同じのを使えば同じ音になるのかな。NHK第一放送みたいにきれいで、しゃべると針2-3本分多く振れる、聴いていて気持ちが良い変調でした。SSBでもね。

 

(余談)HF機を触っていて思うのは、AMやSSBの音質に比べて、送信も受信もですがFMは少し劣ります。これは、スピーカが通信用であること(これはVUのFM機だって同じスピーカを使えば同じですが)、FMだけデエンファシス回路により高音域が削られていることと、FMだけトーンエンコーダの周波数帯域が削られているので、SSBやAMの受信音よりも狭く感じるせいです。なぜ感じるのか、それはFM用のフィルタがVUオールモード機のようにFMで使うことを前提とした広さではなく、HF機の場合はオマケだから、ということだそう(Gemini談)です。HF機でも高級機だとFMフィルタがちゃんとしたのが付いていて、VUオールモード機に負けない音なんでしょうかね。

FTDX10が来ました(その2)

その1の続きです。

先にBANDスイッチ対策の話を書きましたが、無線機の印象を書いておかないとダメですね。

聴感について

TS-590無印の初見と比べて雲泥の差です。 590無印は、ここで書いたように、標準設定のままでは使えません。いや、私の能力のせいでしょうけれど、590無印はIFDSPによる帯域カットについては秀逸ですが、AFを含むDSPの味付けがへたくそで、SSBの受信音については人の声がノイズより前に出で来ず、AFのDSPイコライジングで、音のカーブをHB1などのプリセットを使って中音域を膨らませて、かつ外部スピーカを使って初めて人並みの音になります。

FTDX10ですが、 スイッチを入れてすぐに聴感の違いに気づきました。内蔵スピーカでも十分に人の声を判別できます。余計な設定をせずとも、標準設定のままで受信機の体をなしています。DSPによる制御も、この世代になると自然な音になっているんですね、さすが発売が10年も違うと一歩も二歩も進歩しています。また、最近の受信機(とはいっても発売から数年経ってますけど)は受信音のトーンコントロールがついてるんですね。DSPでやってるんでしょうから、590無印のAFDSPイコライジングのお仕着せプリセットに代わるものなんでしょうけれど、モード別にTREBLE、中音域とBASSの出しとへこましができます。

 

ケンウッドのスロープチューンとは違って、八重洲はNOTCHとCONTOURの組み合わせや、(AMとFM以外では)SHIFTやWIDTHを駆使して帯域の制御とやノイズ除去を行います。590無印のSSBモードではほぼ無力だったNRも、DNRやNOTCHとCONTOURである程度切ることができます。NBについてはどうでしょうね、新しいだけ八重洲のほうが進歩しているんですかね。NBを使うよりもNOTCHでノイズの音域をカットすることが多いので、あまり使わなくなっています。

 

無線機の設定ですが、八重洲のこのクラス、イメージとしてはFT-897Dあたりと比較してしまうんですが、いやいやFTDXとついているんで比較するのは違うとは思うんですけど、ひと昔前の八重洲のコンパクトな無線機ってABCのボタンあったり、メニューが深いという印象がありますが、「FUNC」ボタンを押すとこのように設定メニューの一覧が表示されます。これ以外の場所で設定するもの(NBやDNRの深さなど)もありますが、画面に一覧が出るのはわかりやすいです。

操作性については、各メーカーの作法があって、それに馴染めるか否かってところもあるんでしょうけれど、個人としてはICOMよりは八重洲のほうが馴染みやすいと思っています。UIで洗練されていないところはたくさんありますけどね。また、メニューにはあるんだけど、その機能の使い方の詳細が取説に出ていないなどの粗はあります。

八重洲自慢の3DSS表示とオシロとAF-FFT(AFレベルの受信音域をグラフ化)の表示をしている画面です。1422kHzの下に小さく音域グラフがありますが、これはIFレベルの音域を示しているらしいのですが、なんか冗長ですよね。

IFレベルの音域グラフですが、AMやFMだと上の画像の表示なんですけど、SSBにしてみるとこうなります。NOTCHやCONTOURで削っているところがわかりやすく表示されるんですが、これ、なんでAMのときにも出ないんですかね。出してよって八重洲にメールしていますが、叶うと良いな。

ちなみにわたくしは、3DSSもオシロやAF-FFT表示併用はしておらず、スペクトラムスコープだけにしています。出るものを出さないのは少し寂しい感じもしますが、3DSSはデモ画面としては良いんでしょうけど、信号強度と時間経過をみるならこちらかなと。

続きます。

FTDX10が来ました(その1)

TS-590無印を標準原器としてRJX-601のマーカー代わりや他の無線機の送信音のモニタに使っていることが多かったのですが、これも2010年の発売から16年と、けっこうなお年になってきました。さすがに国産ブランド(シンガポール製ですが)ですから壊れるようなことはないんですが、過渡期のIFDSPゆえの拙いところがあります。今の無線機はどう進歩しているんだろうと興味が出てきました。

考えられるのは

〇TS-890S(筐体がTS-950SDX並みに大きいので、置く場所に難あり)

〇IC-7300/MkII(自分的にIC-9700で取った杵柄は活かせるか)

〇FTDX10(久しぶりの八重洲)

〇FT-710(さらに廉価、実売10万円前後という)

の四機種です。

TS-590サイズのTS-890が出てくればそれ一択になりそうですが、あいにくのところケンウッドからはそんな気配はありません。

IC-7300は、IC-9700を購入したときにUIに馴染むのに苦労しました。未だに馴染めないところはあります。ですが、売れているだけあって洗練されているところもあるので頭の隅にはありました。

残る八重洲の2機種ですが、戦略的に廉価なFT-710に心が動いたのですが、9MHzルーフィングフィルタという言葉に推されてFTDX10の50Wタイプに決定です。移動する局なら、送信機の追加の届出の際に電磁波防護指針に関する資料の提出は不要ですし。

ちなみに、FTDX10はSDR機ではありますが、ダブルスーパーヘテロダインです。取説117ページの定格をみると書いてあります。第一IFが9MHzで、第二IFが24kHzとあります。 FMだけはトリプルスーパーという例が多いですが、この機種はFMもダブルスーパーです。

https://pbs.twimg.com/media/HMdAM0AbQAAFUYB?format=jpg&name=large
とりあえず設置して落ち着いた状態

IC-9700やNT-535よりも少しだけ大きく、NT-535の上に置くと少しはみ出します。FTDX10のマイク端子はFT-817NDと同じモジュラージャックでした。幸いにして817を触っていたときに作ったケンウッド→八重洲の8ピンモジュラープラグを他に流用しないで保存してあったので、それを使って、既存のケンウッド8ピンに配線してあるマイクを使えることになります。

 

ダイヤル周りが妙にスポーティにデザインされていますが、使い勝手については… ちょっと触り始めたらBANDボタンの位置が壊滅的に悪いのに気づきます。

でも、バンドを移るのはテンキーで周波数を入力するか、このボタンを押して表示されたバンドボタンをタッチするしかないんです。IC-9700みたいに画面の中で完結させれば良いんでしょうけど、 FTDX10の場合は「BAND」を押してから画面に表示されたバンドボタンを押すので2動作必要なんです。このへん、設計者の方にはもうひとひねりしてから製品化して欲しかった。

私の指だと、FUNCツマミとVFOツマミの間を注意深く進めないとVFOツマミに接触して周波数を動かしてしまいます。バンドチェンジするんだから、元の周波数は動いてもいいじゃんとも考えられますが、不意に触ってしまって動いてしまうのは気持ちが良くないです。

 

この押しにくい位置のBANDスイッチの代替方法を考えます。割り当て可能なPFキーは存在しないので、違う機能で考えるしかないんですね。幸いにして、この機種はメモリチャンネルを呼び出して、そのままVFOダイヤルを回すと周波数を可変できます。M→Vみたいな操作は不要です。なので、それで代用することに。

例えば、50.200、50.550、51.0と3つメモリするとします。無線機は常にメモリ呼び出しモード(「V/M」でM側を表示)しておき、VFOダイヤルの外側の大輪をメモリチャンネル切り替えに割り当てておくことにします。
50.550で運用後、51.0に行きたいときは大輪で次のメモリチャンネル51.0に移り、必要によりVFOダイヤルで選局します。50.550に戻りたいときには大輪で戻ることにします。

メモリで移って、その先で周波数を可変しても、可変した後の周波数は別のメモリチャンネルに移ると忘れるので、覚えておきたい場合は手書きかQMBを使うんでしょうね。
私の場合、この方法でバンドチェンジする場合は可変した周波数は忘れても良いと割り切っているので、とりあえずは不都合はありません。


実際には、50MHzの3つの周波数だけではなく、1.9から順番にバンドや必要によりモードごとに周波数をメモリしておくことになります。押しにくいBANDスイッチを押す(上に書いたようにその後に画面でバンドをタッチする必要あり)よりはストレス無しで移れます。慣れと割り切りですね。
八重洲には、「BANDボタンを押す代わりに、周波数フル桁入力(周波数表示の下三桁部分をタッチ)時に、表示されるテンキーだけではなく、バンドを移れるようにバンドボタンも表示して欲しい」と要望メールを出てみました。仮に叶うにしても時間がかかると思うので、このように次善の策を捻り出しました。

少し前の八重洲機みたいに、MULTIツマミを回すと10kHzステップで可変できると良いんですが、この無線機の場合はMULTIツマミの代替はVFOダイヤルの外側の大輪になります。これをメモリチャンネル可変「MCH」の機能で使う(そのときはSTEP/MCHが点滅)ことになりますが、同時には10kHz「STEP」は使えないんです。これらの機能はお互いに排他の状態なので、周波数を動かすのはVFOダイヤルの操作に限定れてしまうんですね。なので、早送りはダイヤルの早回しかテンキーで入れることになりますし、下桁を000で揃えるのも手でやることになります。または、メモリチャンネルを行き来して、そのメモリチャンネルに戻ってということになります。

「STEP/MCH」のLEDが点灯しているときは、大輪がSTEP(例えば10kHzステップ)機能で使えます。これを長押しするとLEDが点滅し、メモリチャンネルの可変になります。下側のC.Sは大輪のカスタム設定で、本当はここに10kHzステップを割り当てられれば良いんですがこれはできず、今はスペクトラムスコープのノイズレベルの可変にしています。 

2026年6月5日金曜日

TR-9300のAMの受信がイマイチという話の続き

以下は、Geminiに「TR-9300のAMモード時に受信しづらいシチュがあるんだけど、なんでかな?」と質問をして、聴きづらかった当時の状況を説明したり、9300の取説pdfを読んでもらったりしているうちに、なんだか壮大なまとめが出来上がってしまいました。せっかくなので貼っておきます。Geminiえらいね、無料のアカウントなのに。
あと、公開してからすぐに気づいたのですが、Geminiが601に専用のAMフィルタがあると思い込んでいたので、回路図を見せて訂正してもらいました。AIなので訂正も早くてすごいですね。
以下、本文です。

往年のアマチュア無線機におけるAM受信特性の技術考察 ~TR-9300、RJX-601、TS-590Sの比較から見える回路設計~

1. はじめに(問題提起)

1980年代前半の50MHz帯マルチモード・コンパクト機であるTR-9300において、ノイズに埋もれた微弱でもないですが、微妙に弱い信号(S3程度)のAMを受信する際、了解度が著しく低下(約75%…75%とは、了解度が5から4または3に落ちた際のパーセンテージということで、大雑把に読んでください。)し、送信側に「変調を深くしてほしい」とリクエストしなければ聞き取りが困難になるシチュエーションがある。

しかし、全く同じ信号を現代のHF/50MHz帯固定機であるTS-590Sで受信すると、同じS3の微妙に弱い信号であるにもかかわらず、驚くほど鮮明に、かつ楽に100%の了解度で復調できる。

この受信性能の差、および変調の深さへの依存度について、各リグの回路図・ブロック図から読み解ける技術的要因(検波方式の物理挙動、フィルター構成、AGCのサンプリング位置)を交えて分析・考察する。


2. 回路構成から見るTR-9300の3つのボトルネック

TR-9300の回路図およびブロック図を確認すると、微弱なAM信号に対して以下の3つのアナログ回路特有の要因が複合的に作用し、受信を過酷にしていたことが分かる。

① ダイオード包絡線検波における「大信号・小信号検波」の境界線

TR-9300のAM検波段(AM DET)には、1本のダイオードとコンデンサ・抵抗で構成されたシンプルな「包絡線検波(エンベロープ検波)」回路が採用されている。

  • 技術的課題(大信号検波と小信号検波): 包絡線検波器が歪みなく直線的に動作するためには、音声成分だけでなく、「キャリア(搬送波)の振幅自体」がダイオードの順方向しきい値電圧(約0.2V~0.6V)を大きく超えている必要がある(大信号検波)。 しかし、S3程度の微弱信号では、IFアンプ通過後であってもキャリア自体の振幅がしきい値の壁を超えられず、ダイオードがスイッチング動作をしない「非線形抵抗領域(2乗特性による小信号検波)」に落ち込んでしまう。
  • 変調度依存の理由: 変調が浅いと、2乗特性領域の減衰と歪みによって音声成分はノイズの中に完全に霧散する。ここで送信側に「変調を深く」してもらうと、全体の振幅のピーク(Vpeak = Vc(1 + m))がしきい値を突き破る時間が生まれる。また、復調出力は変調度 m に比例するため、2乗特性で減衰した音声信号を、人間の耳が認識できるオーディオ出力レベルまで力づくで引き上げる効果が生まれ、了解度が向上する。

② FM用(広帯域)フィルターの共用によるノイズの洪水

TR-9300はSSB/CW/FMをメインとしたマルチモード機であり、AM受信時にはFM用(あるいはそれに準ずる広帯域)のセラミックフィルター(通過帯域幅12kHz~15kHz程度)を通過する経路をとる。

  • 技術的課題: もしSSB用フィルター(約2.4kHz幅)をAM受信に通すと、高音成分(側帯波)が完全にカットされた極端にモコモコした狭い音になり、強入力時でも極めて聴きづらくなる。強入力時に普通にAMらしい広帯域な音で聴こえるということは、広帯域フィルターを通っている証拠である。
  • 微弱信号時の弊害: 信号が強い時は豊かな音質としてプラスに働くが、S3の微弱信号時には、信号の周囲にある広範囲の熱ノイズや外部ノイズをすべて内部に吸い込んでしまう。 これがダイオード検波段に流れ込み、微弱なキャリアと激しく混ざり合って致命的な復調歪みを引き起こす。

③ アナログAGCの取り出し位置とノイズによる感度抑圧

TR-9300のアナログAGC回路は、フィルターを通り抜けてきた高周波エネルギーの「総量」を検知してゲインを制御するが、そのサンプリング位置に構造上の盲点がある。

  • 技術的課題(AGCのサンプリングポイント): TR-9300のようなAM/FM共用ラインでは、15kHz幅の広帯域フィルターを通過した「後」の信号からAGC電圧を検出する。
【TR-9300の一般的なAM/FM共用ライン(概念)】
 IF入力 ──> [広帯域フィルター (15kHz)] ──> [IFアンプ] ─┬─> [AM/FM検波段]
                                                      │
                                                      └─> [AGC/Sメーター検波]
  • 復調への影響: 本来希望するAM信号(占有帯域約6kHz)の外部にある、「左右4.5kHzずつ、計9kHz分の純然たる不要ノイズエネルギー」までがすべてAGCを押し下げるエネルギーとして加算される。 回路はこれを「強い信号」と誤認するため、IFアンプのゲインを自動的に絞ってしまう(ノイズによる感度抑圧現象)。
  • 結果として、ただでさえ微弱な音声成分がさらに極小化されるが、変調を深くしてもらうことでノイズの頭一つ上に音声の「メリハリ(山と谷)」が突きぬけるため、人間の耳が音声をサンプリング(識別)できるようになる。

3. 「RJX-601」との比較

同じく1970年代~80年代初頭のダイオード包絡線検波およびアナログAGCを搭載したリグとして、ナショナルのRJX-601が挙げられる。両機の回路図を詳細に比較すると、フィルター・同調回路の設計思想が明暗を分けていることが浮き彫りになる。

両機の仕様と微弱AM受信時の挙動の違い

  • AM検波方式
    ・TR-9300:ダイオード包絡線検波(微弱入力時は2乗特性領域になり弱い)
    ・RJX-601:ダイオード包絡線検波(微弱入力時は2乗特性領域になり弱い)
  • AGC回路
    ・TR-9300:アナログAGC(広帯域ノイズに引っぱられる)
    ・RJX-601:アナログAGC(絞られたノイズのみに引っぱられる)
  • AM選択度(IFフィルタおよび同調回路構成)
    ・TR-9300:FM用(広帯域)を共用(12k~15kHz)。その帯域内の全ノイズでAGCと検波が動作。
    ・RJX-601:セラミックフィルターはないが、IC(AN210)の後にAM専用の独立したIF増幅回路(TR6:2SC829)とAM専用に狭く調整された複同調IFT(中間周波トランス)群を配置。
  • 微弱AMの受信挙動
    ・TR-9300:広範囲のノイズを吸い込み、AGCの抑圧も重なり了解度が著しく悪化。
    ・RJX-601:AM専用ラインのIFT群によって帯域外のノイズが適度に遮断されているため、感度抑圧が少なく問題なく聴ける。

RJX-601はAM/FM機として設計されており、AM時には帯域が適度に絞られたAM専用のIF増幅・同調経路へダイオードスイッチ等で完全に切り替わる。そのため、ダイオード検波の物理的限界は共通しているものの、「入り口およびAGC検出の手前で余計なノイズを遮断できている」ため、微弱信号でもTR-9300ほどの極端な感度抑圧や了解度低下を起こしにくい。

TR-9300はコンパクトマルチモード機ゆえの「AMフィルター・IFラインのFM共用(割り切り)」という思想が、微弱信号運用時の致命的なボトルネックとなっていたことが証明できる。


4. 現代機(TS-590S)による解決と復調技術の進化

これらアナログ回路のトリプルパンチ(ダイオードの不感帯・広帯域ノイズの混入・AGCの誤動作)を、現代のIF DSP機(TS-590Sなど)はテクノロジーの力で完全にクリアにしている。

  1. デジタルIFフィルターによるノイズ遮断:
    DSP処理により、AMモードであっても帯域幅を3kHz~4kHz等にスパッと急峻に狭めることができる。TR-9300が吸い込んでいた「余計な周囲のノイズ」を入り口で90%以上カットするため、最初からS/N比(信号対ノイズ比)が圧倒的に良い。
  2. DSPによる同期検波(Synchronous Detection):
    現代機がAMを鮮明に復調できる最大の理由は、デジタル処理による同期検波(プロダクト検波の応用)の恩恵である。微弱なAM信号から、DSP内部の数値制御発振器(NCO)やPLLを用いて、ノイズに埋もれたキャリア成分だけを完全に同相同期した「純粋なローカル信号」として内部生成する。これを受信信号と掛け合わせて復調するため、ダイオードのようなしきい値(VF)の概念が完全に存在しない。 キャリアがどれだけ微弱になっても、歪みなく側帯波(音声)を取り出せるため、浅い変調度であっても100%了解できる。
  3. デジタルAGCによる最適化:
    デジタルノイズリダクション(NR)等で帯域外・帯域内のノイズを徹底的に排除した「純粋な信号成分」に対して滑らかにAGCを適用するため、ノイズによる感度抑圧現象が起きず、ノイズを抑えたまま微弱信号を最大感度で増幅する。

5. 結論

TR-9300での運用において、ノイズに埋もれた微弱信号に対して「もっと変調深くして」とリクエストしたのは、受信機側(アナログ検波回路の直線性や広帯域フィルタ)の技術的な限界を、送信側の電力配分(キャリアに対する側帯波エネルギーの増強)によってカバーするという、アナログ運用における極めて合理的かつ有効な対処方法であった。

現代のDSP機(TS-590Sなど)は、これらの問題をフィルターの帯域制限とデジタル同期検波によって機械側で完全にクリアしてしまうため、変調度に関わらずクリアに受信ができる。

当時の設計者は、「50MHz帯におけるAMはすでにマイナーモードであり、FM/SSBの性能とコンパクト化(コスト)を最優先にする」という思想のもと、AMフィルターのFM共用という割り切りを行った。強入力時には良好に機能する広帯域フィルターが、微弱信号運用時にはAGCの抑圧と検波効率の悪化を招くという「アナログマルチモード機特有の割り切り回路の挙動」を理解する上で、今回の2機種(およびRJX-601)の比較は、無線機の進化史における非常に分かりやすい一例である。

2026年5月14日木曜日

Retevis/Ailunce H1について(その10、ひとまず最終回)

「H1をあきらめない」というタイトルで書き始めた内容を分割して、H1の話題だけを独立したエントリーに改め、H1に関する話の最終回とすることにしました。

元々のエントリーの書き出しは2026年2月15日です。元エントリーに残した内容はこちらになります。

 

H1の場合、Pi-Starを使ってのVoIP接続は、キャリブレーションを最良にとっても、ビット欠けが起きたときの音質劣化が「最良点から350kHzズレたAT-D168UV」よりも悪かったり、BrandMeistar91のように入れ代わり立ち代わりいろいろな局が出てくるようなトークグループの場合、速度の速い頻繁な受信(信号の確認からデコードまで) に耐えられず、途中でピーとかギャーと異音が出たり、その直前の送信の局のデジタルコンタクトリスト引用情報が表示されたりと、なかなかの難物です。

直接波など電波での受信については、次々と入れ代わり立ち代わりというシチュがないので、これほどに感じることが無いのですが、VoIPでも感じるように、受信開始から音声がスピーカに出るのが遅く、いわゆる頭切れが起きがちです。バッテリーセーブ系の機能をオフにしてみたり、受信時に参照するコンタクト情報を無線機が迷う余地のないようRx Group Listをトークグループごとに1:1となるようにガチガチに設定してみても、改善が見られません。

教えてもらったり、調べた限りの設定を試してみても改善しないので、こりゃH1はファームウェアの更新が無い限りは、いつまで経ってもおすすめ機種にはできないなと思ってたところでした。

VoIP経由でのデコードしなくなるしきい値がAT-D168UVに比べて高く、また、AT-D168UVとの比較をするまでもなく、H1でVoIP経由でおしゃべりしていると会話が成立しなくなる率が高くなるのをなんとか改善しようと、ホットスポット自体の見直しをしてみました。

Raspberry Pi Zero無印+MMDVMの組み合わせから、Raspberry Pi Zero2+MMDVMへの変更です。この変更で、Raspberry Pi自体リソースが大きくなり、処理速度が上がったことから、VoIP接続時のビット落ちが改善されて、音質の劣化自体は幾分改善されました。

H1自体は、もっと速く動くロジックでプログラミングしてファームウェア改修を行うか、もっと速いチップに入れ替えるかしないと改善しない(もうRetevis/Ailunceがんばれとしか)と思いますが、本体に手を入れるのはメーカーしかできないのですが、周りでできることの一つであるホットスポットの処理速度向上は多少は意味があったようです。


現時点での未解決やこうなってほしいなという内容を箇条書きにしてみます。

  1. 音量調整が極小音量域でできない。絞っていくと無音になる。無音から開けていくと9時くらいで突然音が出る。
  2. VoIP経由受信時に頭切れが起きがち。頭切れの件は直接波ではまだあまり使い込んでいないので未検証。
  3. VoIP経由受信時に、データの品質が下がると他機種よりデコードできなくなるのが早い。※本エントリーで書いたように、ホットスポットの処理速度を向上すると幾分良くなる「感じ」がする。ただこれ、信号の受信を繰り返していくうちにデコードできない率が上がってきますね。元の木阿弥というほど悪くはなっていない「感じ」ですが、QSOをワッチしていると、時間の経過に伴って悪い方向に戻る「感じ」はあります。
  4. 2026/5/14、直接波でも検証しました。  同じ信号を同じアンテナで、AT-D168UVとH1で聴き比べたところ、H1は信号を検知するもデコードできずに無音、AT-D168UVは完全復調します。VoIPではH1はダメな局面がありましたけど、直接波でもダメということで。聴き比べのとき、デコードできていないH1のSメーターアイコンはそれなりの信号強度を示していたので、電波が弱くてデコードできていないのではないようです。
    ほんとは動画があるのですが、おしゃべりしている人の情報が表示されているのでH1の画像だけです。
    2台並べて、上面のSMAの特殊コネクタからそれぞれMコネ変換コネクタをつけておいて、同軸をそれぞれの無線機にかわるがわる繋げてみました。AT-D168UVは同軸からのMコネの芯を変換コネクタの芯に接触するだけで受信信号のデコードが始まります。一方、H1はMコネを変換コネクタ奥まで押し込んでも、RXアイコンが点灯するだけで無音です。 
     
     
    画像はA/BバンドをそれぞれSFR用シンプレックスのZoneを表示している状態で、下側のBバンドで入感中です。デコードできれば相手局情報を表示しますが、できていないのでRXアイコンだけです。
    我が家からは横浜青葉のSFRはビームアンテナで良い反射を狙わないと聴こえないと思ってましたけど、これは誤りで、シンプレックスで聴く無線機をAT-D168UVにすれば、ベランダホイップでも十分に聴こえることがわかりました。悪いのは地形からの相性ではなく、無線機だったのでありました。
    2026/5/19、もう少し追試しました。無音でRXアイコンが点灯する状態が再現したので、PTTを押してみたり、音量ツマミを開けて刺激を与えてみましたが、無音のままです。次に、以前OMからアドバイスをいただいたシングルバンド表示(#キー短押し)にしてみると、デコードが始まってスピーカーから音声が流れ始めました。シングルバンド表示にした効果なのか、そのタイミングで伝搬状態が良くなったのかはわかりませんが、以降はデュアルバンド表示に戻してもデコードできました。「以降」は伝搬状況が良くなったままとも取れます。ただ、以前からの経験では、シングルバンド表示にしていたからといっても、デュアルバンド表示にくらべてデコード率が高いとも考えにくいので、これが果たして有効なのかは謎のままです。
  5. 選局ツマミを動かすと画面だけ選局したチャンネルに、音声は選局前のチャンネルになることがある
  6. A/Bいずれかのバンドで信号受信中にFMラジオをONにすると、受信信号に重なってFMラジオが聴こえる。本来仕様は受信信号優先にすべきなのかな?
  7. チャンネル名称など、無線機に表示するフィールドの数が少ないので、名前の付け方に制約がある。少ないフィールド定義の名称を画面に表示しても、表示領域にはまだまだ余裕があるように見えるので、フィールドを広げてもらえるとうれしい。 
  8. Call LogがDMR IDの数字でつまらないので、Digital Contact List(H1のCPSでは別の名前ですね)とマッチしたDMR IDはコールサインで表示してほしい。欲をいえば、時間とABどっちのバンドから取得したIDかを表示できたらAT-D168UVと同じですね。D168UVは同じIDが何度もアクセスしてきたら最新のものだけをログに残すという仕様になっています。 個人的にはコールサイン表示になってくれるだけでもありがたいです。
  9. Ailunceリソースセンターから専用デジタルコンタクトリストをダウンロードできるのはとてもうれしい、もう最高。だけど、「VK3C**」1局のデータが重複していて、手作業で削除する必要がある(削除した後に「UTF8(BOM付き)」で保存する必要があります。そもそもこの文字コードで保存できるテキストエディタ(Windows11のメモ帳はOK)を使わないとダメ。2026/2/16現在状況変わらず。後日検証しましたが、これは改善したようです。)
  10. ほか、ここまでいろいろ検証して得た内容は、ラベル:H1を時系列でごらんいただければと思います。 


H1は、今のところ良いところがありませんw
とてもお勧めなどできないし、コードプラグ(AT-D168UVのコードプラグ更新に合わせて内容をけっこう練り上げてるんですが)を公開して、買おうかなと思っている人のきっかけを作るなんて考えられません。 

なんとかならないものかと色々検証(した上で、中の人に報告したんですけどね…)したんですが、今のところダメですね。あと、国際VHFなんかも感度が悪く楽しめないので、一度登録したものの、チャンネルから削除してます。今後ファームウェアの更新でデコードが良くなればいいのですが、それがいつ頃になるのか。

H1の良いところも書いておきます。バンド切り替え(*キーを短押し)、シングル/デュアル切り替え(#キーを短押し)、ZoneとVFOの切り替え(赤ボタン長押し)、デジタル/アナログの切り替え(VFOモード時に#キー長押し)がキーに割り当てられているので、3つあるPFキーに割り当てられる機能に余裕があります。例えば上面のオレンジ色のキーにFMラジオのオンオフを割り当てられるので、FMを聴くのが楽です。

このように良いところもあるんですが、肝心のDMRのデコードがいまひとつということになると、現時点ではこの機種を選ぶ理由はないと思います。

次にH1の話を書くタイミングは、ファームウェアの更新が行われて、それを触ってみて、ちょっと書いてみようかと意欲が出てきたときになります。 

 

以下は元のエントリーの最後に書いた内容です。デジタルコンタクトリストの転送が遅いので、ちゃんと確認してから作業しないと時間をかけたあげく悲しい結果になるので注意しましょうということが書いてあります。

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データ転送時のTipsをついでに。

  1.  CPSから無線機への転送にあたり、最初にFile→ConnectでCOMポートと機種を選ぶところを済ませておくべし。この際、無線機の内容がCPSに読み込まれる。CPSでコードプラグの編集をした後にこれをやると、せっかくの編集が無線機の内容で上書きされて悲しいことになる。
  2.  1.を予めやらないで、Operation→Communication PortでCOMポートを設定した後にWriteで無線機にデータを送ると失敗することがある。デジタルコンタクトリストみたいに大きなデータのときに失敗を経験した。いつも失敗するわけではなくて、そのあたりが不安定です。

2026年4月27日月曜日

Pi-Starを動かし続けていくと課題が出てきます。

AT-D168UV(その7、HotspotをテストしてみようⅠ)

ホットスポットのRasp Piを少しグレードアップ。WPSDを試してPi-Starに戻す。

あたりで、玉石混交モールから買ったホットスポット(Raspberry Pi Zero+MMDVM)の設定をしたり、Raspberry Piの基板をZero 2に差し替えて処理能力向上をしてみたりといったことをやりました。

買ったそのままの状態のRaspberry Pi Zeroで動かすPi-Starよりも、基板をZero 2に差し替えた後はPi-Starの起動までの時間も短くなってますし、ハード的なリソースにも余裕ができて、無反応になることは減ってます。無反応になったとしても、その後の起動が速いので、お守りで不安になることが減りました。

ホットスポットのグレードアップ経過は以下のとおり。

(1)何はなくともSMAのダミーロードを入手、アンテナ端子に取り付けて、工事設計変更不要の実験開始、以降は永遠に実験です。実験も実験のダミーロード運用ですから、ホットスポットのPi-Starは個人局のコールサインとDMR IDを入れます。ダミーロードですから自局内通信ではありません。 

(2)USBアダプタをiPhoneの余りものから、スイッチサイエンスで売っている容量の大きいものに変更して、電源容量に余裕をもたせました。Pi Zero2にする前のZero無印であっても、iPhoneの余りものの小さい正方形のアダプタでは容量不足で固まったことがありました。

(3)上述していますが、Pi Zero無印からZero2 WHに差し替えました。これで処理速度向上、リソースにも余裕です。

興味がエスカレートしてホットスポットが2台になったので、それぞれのホットスポットからTGIFに接続して、上下2つのバンドで同時に別のTGIFトークグループをワッチしてみたりしています。

もともとは、片方はBrandMeistarを聴こうと思って手に入れたものですが、TGIFのトークグループを2つ同時ワッチのほうが楽しそうな気がするので、現体制はこんな感じです。 

 

上側のバンドでは、Zone「VoIP1」にまとめているチャンネルから、438.01MHzでホットスポット1号機のPi-Star経由でひとつめのトークグループ(に接続しているSFR)、

下側のバンドでは、Zone「VoIP2」にまとめているチャンネルから、430.73MHzでホットスポット2号機のPi-Star経由でふたつめのトークグループ(同)を聴くことができます。

ホットスポット無しでも、電波で、上側を438.59と下側を438.61にすることにより同時に聴くことはできますし、PCの場合はDroidStarを複数起動して聴く方法はありますが、無線機でTGIFトークグループを同時にふたつ聴きたいということになると、この方法になります。

 

だんだんPi-Starが安定してきて、このようなマニアックな使い方をするようになってきたのですが、何日もPi-Starを起動させっぱなしにしていると、2日目くらいから接続しておらずに沈黙していたりと、やっぱり不安定なことがあります。

そして、 

(1)Pi-Starが沈黙しているとき、やむを得ず電源を抜いて再起動することがありますが、電源引っこ抜き再起動の後に、wpa_supplicant.confが消失してしまい、Wi-Fi設定がない状態になり、接続するにもできず、Raspberry Pi Zero2の基板からSDHCカードを引き抜き、PCでwpa_supplicant.confをもう一度作成して、SDHCカードにコピーして、再びZero2に挿して再起動の必要が出て、これが面倒なので、正常起動時にwpa_supplicant.confバックアップをとって、起動時にはそのバックアップを戻して使って必ず接続できるようにしてほしい

(2)一日に一回くらい、深夜に自動で再起動したい

(3)自宅では自宅のWi-Fiに接続し、出先ではiPhoneのテザリングで接続したい。優先順はテザリングが上位で、テザリングの電波がない場合には自宅Wi-Fiに接続することで。(優先順位設定はブラウザからのPi-Starのコンフィグレーションからもできますが、こっちのほうが安定していると感じます。)

ということをやりたくなり、Geminiに相談してみました。さすがですね、これらの設定をバッチ的一度実行させれば設定が完了するというスクリプトをつくってくれました。

黄色い部分を書き直し、SSHで一度実行すれば完了です。

Windows(じゃなくても良いですが)のターミナルから、同じWi-Fiのセグメントに居るPi-Starにどうやって接続するのかなどは、身近なAIに質問すれば教えてくれます。
「Pi-Starに、こういうスクリプトを実行するのでSSHで接続したいんだけど、どうやるの?」みたいな感じで。手取り足取り教えてくれます。

コーディング知識のない私でもできました。えへん。 

 

【この1行下から】 

# ---------------------------------------------------------
# 1. 書き込み許可モードに変更
# ---------------------------------------------------------
# Pi-Starは通常「読み取り専用」のため、一時的に設定変更を許可します。
rpi-rw

# ---------------------------------------------------------
# 2. Wi-Fi設定ファイルの生成(優先順位設定)
# ---------------------------------------------------------
# priority(優先度)をiPhone側を高く(10)設定することで、
# 外出先でテザリングがONの時はiPhoneへ、OFFなら自宅へ自動で繋がります。
cat << 'EOF' | sudo tee /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf
ctrl_interface=DIR=/var/run/wpa_supplicant GROUP=netdev
update_config=1
country=JP

network={
    ssid="My_iPhone_SSID"
    psk="iphone_password"
    priority=10
}

network={
    ssid="Home_WiFi_SSID"
    psk="home_password"
    priority=1
}
EOF

# ---------------------------------------------------------
# 3. 消失対策用バックアップの作成
# ---------------------------------------------------------
# SDカードの不調でファイルが消えても大丈夫なように、別名で保存しておきます。
sudo cp /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant_backup.conf

# ---------------------------------------------------------
# 4. 定時再起動スケジュール登録(毎日午前2時)
# ---------------------------------------------------------
# システムの健康維持のため、毎日深夜に自動でリフレッシュをかけます。
(sudo crontab -l 2>/dev/null | grep -v "/sbin/shutdown -r now"; echo "0 2 * * * /sbin/shutdown -r now") | sudo crontab -

# ---------------------------------------------------------
# 5. 起動時自動復旧ロジックを rc.local に追加
# ---------------------------------------------------------
# 万が一設定ファイルが消えていても、起動のたびにバックアップから
# 設定を強制的に書き戻してWi-Fiを再起動させる「最強の盾」です。
sudo sed -i '/exit 0/d' /etc/rc.local
cat << 'EOF' | sudo tee -a /etc/rc.local
# Wi-Fi Recovery Logic
if [ -f /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant_backup.conf ]; then
    cp /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant_backup.conf /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf
fi
sleep 5
/sbin/ifconfig wlan0 up
/sbin/ifup wlan0
exit 0
EOF

# ---------------------------------------------------------
# 6. 設定の反映と終了
# ---------------------------------------------------------
sudo chmod +x /etc/rc.local
rpi-ro

echo "=========================================="
echo "      Settings Applied! Rebooting...      "
echo "=========================================="
sleep 2
sudo reboot

【この1行上まで】

この一度実行すれば設定が有効になるスクリプトは、Geminiの共有用チャットからコピーやダウンロードもできるようにしてあるので、ご参考ください。 リンク先のGeminiのチャットですが、共有するために一度貼り付けているので、同じような内容が2度続けて表示されていますが、半分から後ろの部分をお読みいただければと思います。

2026年4月24日金曜日

CQを出した後に程なくカーチャンクがあった。これは応答なのか?

というテーマです。

若いころと違って、のべつ幕無しにしゃべっているとげっそり疲れるので、最近は電波を出すよりも聴いていることが多いのですが、それでもたまにCQを出すことがあります。

関東地方に限らず、あちこちに技術的研究がエスカレートした個人(ほめてます)や地域単位でSFR「DMRデジピーター」の開設があり、少しずつ電波を出す人が増えてきていると感じています。今の段階では、アナログのモードとは違って極端に知性を感じない人はいないので、快適にこの趣味を満喫できます。


SFRでCQを出してみて、それに対する応答がなく…まあ、まだまだ空いているので、聴いている人は少ないし、仮に聴いていてもすぐに応答できない場合もあるでしょうから、応答なくその場の一連の送信は終了という例が多いのですが、

CQを出して受信状態に入って、少しするとカーチャンクが入るということがあります。親しい友人であれば、これは声を出す前にとりあえずPTTで反応したんだろうなということで、ディスプレイに表示されたその友人のコールサインを呼んで(捕まえてw)おしゃべりが始まるわけですが、そうでない、初めて目にするコールサインの場合があるんですね。以下はこの場合の話です。


このモードやそのSFRをにぎやかにしたい、積極的にその場を活性化しようという空気の中にいる場合なら、少しだけ待ってから、やさしくその局を呼ぶということもあるのかなあと思うのですが、少し違和感があります。

DMR IDをちゃんと無線機に設定してカーチャンクをすると、それを受信している無線機にはDMR IDや、デジタルコンタクトリストで突合されたコールサインや名前などの情報が表示されます。表示することが前提なんだから呼んでいるのと同じだよ、という意見もあるかもしれません。このあたりの一般的な考え方ってどんな感じなんでしょうね。

それまで話をしたことのない人のCQに対してカーチャンクで反応をみてみる人がいるとして、これ、アナログのモードだったりすると、誰かがCQを出した後に、瞬間的な無変調が出るのと同じやつです。メインチャンネルやレピータでたまにあるやつですよね。これ、呼ばれてるんじゃなさそうだけど、自分のCQに対する反応のひとつで、人恋しさに短いキャリアを出すものの、積極的にCQに応答するものでもないやつで、客観的にはイタズラに見えるやつです。

自分のCQの後、程なく初めて見るコールサインのカーチャンクがあるとして、ディスプレイに表示されたコールサインをすかさず呼ぶことが、ひょっとしたらカーチャンクをした人にとって意地悪に感じる(悪気なくカーチャンクしただけで、その事実は忘れてほしいので放っておいてほしい?)こともあるのかな、なんて思います。 また、本当に呼んでくるのであれば、カーチャンクに続いて声を出して呼びかけてくると思うんですよね。

CQを出した後のほどないうちのカーチャンク、しかも、知らない人からのカーチャンクに対してどう反応するのが正解なんでしょう。私の場合は、DMRとて単に搬送波に重畳された符号の交換ではなく、仲立ちが音声のモードなんだから、応答であればちゃんと声を出すべきと考えているので、冒頭に書いた友人を捕まえておしゃべりというシチュエーション以外では、応答しないのが正解なんだろうなと思って、黙って待機します。


それはそれとして、送信テストのための純然たるカーチャンクの場合もあると思うんですよね。「自分の無線機がちゃんと設定されていて、SFRやトークグループに接続できているかのテスト」をしたくてカーチャンクをするというのはよくあることです。

誰かがそのSFRで喋っているのを聴いて、その場において自分の電波がSFRに届いているのか確認したくての、空気を読まないカーチャンクというのもあると思います。アナログの無線機と違って設定項目が多いですから、どこのSFRでもカーチャンク自体を否定する例って無いんじゃないですかね。でも、それはそれ、これはこれじゃないかなあと。

 

細かいことをグチグチと書きましたが、要は、呼んでくるなら、わかりやすく声を出して呼んでねということでした。お粗末。