2015年9月16日水曜日

追体験中・TR-1300

TR-1300/VFO-40
TR-1300の話題にやっと入る。

古い無線機を楽しむ流れに溺れている間、何年か前にTR-1300を手に入れていた。

最初の頃に書いたとおり、TR-1300を使う機会に恵まれなかったのだが、このとき初めて触って驚いた。
仕様どおりといえばそのとおりなのだが、シンセサイザ+「常識的な可変範囲のVXO」の組み合わせによる、40年の時を超えても現役使用に耐える周波数安定度は素晴らしい。
この機種の発売当時は、出られる周波数の範囲がウイークポイントだったのだが、それは安定度というストロングポイントとの裏返しで、40年前の日本のアナログ技術はすごいと思う。

惜しいのは、今であれば、1300でDXハンティングなんてことは無いので、周波数の範囲を50.150-50.300くらいに上に50KHzくらいシフトして、ノイズブランカを入り切り(仕様では入りっぱなしで、近所でハイパワーの局が出てくるとガサゴソと辛い)できれば言うことはない。

付属マイクロホンのMC-20は元々持っていた。このマイク、FMで使うとどうにもならない音なのだが、SSBで使うと幾分マシ(筐体の大きさを考えればこれくらいだろう)なもの。
1300本体を手に入れた段階では純正のロッドアンテナを持っていなかった。背面のMコネクタからL字BNCジャックに変換する変換コネクタを付けて、ハムフェアで見つけたサードパーティの50MHz用の短縮コイル付きのロッドアンテナでも使おうかと思っていたところ、ヤフオクで見かけたので購入。
あとはソフトケースでもあればいいな、と思いながらたまにスイッチを入れて、常用しているTR-9300やTS-680Sと並べて楽しんでいた。

VFO-40/TR-1300/VL-1300/MC-20
ハムフェアに行って、クラブのブースを徘徊してたところ、なんとVFO-40を安価に売っているところを発見、後先考えずに購入してしまったのでした。
この年は買い物の意欲があまりなく、重たいものを持って帰ること完全に考えていなかったため、帰路の電車にはとても苦労。

VFO-40が予想外に手に入ってしまったので、あわててVL-1300を探し回ることに。
たまたま売り物があったので逃さず購入して、今はこうして並べて楽しんでいるところです。

TR-1300とVFO-40、そしてVL-1300を接続するには、MT9ピンのプラグと7芯ケーブル(必要最低限の配線なら芯の数はもっと少なくても問題なし。ジャンクのマイク用ケーブルで代用可。)なのだが、ケーブルのほうはともかく、MT9ピンプラグが無くて困った。結局、販売店の在庫を探し回ったり、ヤフオクで出品されるのを待って、必要個数(今回はトータル4つ)そろえることになりました。

1300のVXOの窮屈さがVFO-40によって解決されて、バンドを連続可変させながら聴くことができるのはとても良いです。
しかし、VFOダイヤルをぐるぐる回しながら湧き出てきたのは、ここまでするのなら、再びTS-600を入手したほうが良いのでは?という疑問でした(苦笑)


※2017年9月7日追記
TR-1300とVFO-40の接続について調べてここに行き当たる方がいらっしゃるので大雑把な解説をします。
以下の画像のとおり、MT9プラグのうち最大で8本の端子を使用するので、8芯のマイクケーブルなどを流用してストレート結線してあげれば接続できます。MT9プラグの入手に多少苦労するかもしれませんが、オークションなどに出ています。足元を見て高い値段がついていることがありますが、費用対効果を考えて検討してください。
TR-1300の背面のAUXジャックと、VFO-40の裏側の「A」のMT9ジャックをストレート結線で接続した後、TR-1300のチャンネルセレクタを「VFO」にして、VFO-40のMODEを「A」にすると、VFO-40の周波数インジケータが点灯して使用できます。
(VL-1300も同時に接続する場合は、VL-1300の背面のAUXジャックとVFO-40の「A'」ジャックを接続すれば、VFO-40のMODEを「A」にした状態で、リモートコントロールして送受信できます。)

2015年9月15日火曜日

今も現役・TR-2300

TR-2300
電話級の講習会のとき、無線工学の講師氏が講習会場に持ち込んでデモQSOを見せてくれたリグ。
そのとき実機を見て一目ぼれ。

既に開局は50MHzでと決めていたのですが、TR-2200シリーズよりも一回り小さいこと、シンセサイザにより145MHz台を20KHzセパレーションで50ch実装という、当時としてはとても高機能であったことから、いつかは欲しいと思った機種だった。

TR-2300/VB-2300/MC-20
一目ぼれとは言いながらも、実際に入手したのはそれから23年後の西暦2000年、オークションのアマチュア無線カテゴリが盛んになった頃。

中学生当時とは違い、財力に物を言わせて(笑)、ソフトケース、純正別売りのヘリカルホイップアンテナや10WブースターのVB-2300も揃えて満足しています。

この機種に限らず、シンセサイザ等により進化した後の2mFM機は、日本では2mのレピータが許可になっておらず、未だにFMのシンプレックスによるQSOが主流であることから、wiresなどをやるためにトーンエンコーダやDTMFを使用することを考えない限りは、現役で使うことができるのが良いです。


TR-2300/MC-20/1200トランスバータ

この世代くらいまでの機種は、ハンドマイクから指先で周波数のアップダウンをコントロールすることは出来ず、腕を伸ばしてロータリースイッチをぐるぐると回して選局する操作が必要ですが、この操作が「無線ってこうだったよね」と思い出すきっかけにもなるので、お勧めします。

ちなみに現在も、TR-2300は1200MHzFMにQRVすべく、トランスバータの親機として活躍中です。
気が向いたときにでも、電池を入れて、ケースに入れて、そしてショルダーベルトで肩からぶら下げて屋外運用と洒落こんでみたいなと夢想しています。

2015年9月14日月曜日

後年の紆余曲折(番外・TR-50編)

今日は番外編。
TR-50
この機種を初めて見たのは80年代に入ってからの友人宅。
見慣れないシルバーの筐体に緑色に照らされたデジタル液晶表示だった。
当時、私は430MHzFMでラグチュー…

(余談)細かい話をすると長くなるのだが、80年代の初頭にゆっくりとラグチューをするには、飛ぶけれども混雑を極める144MHzではなく、430MHzに逃れるのが常道で、50MHzで知り合った友人たちがこぞって430MHzFMへ。
なぜ50MHzのFMで、とならなかったのかは、おそらく彼らが運転免許を取るお年頃になっていき、車でやるならアンテナが短く小さく済み、しかも空いている430MHz帯が合理的だったということだろう。
また、430においては、ワイドFMからナローFMに移行するのが50MHzや144MHzに比べて数年遅く、ちょうどこのころ430MHzもナロー化する前後で、ワイドFM機が安く売られていたのもあった。

(続余談)これもまた長くなる話だが、アイコムからIC-3Nが発売された前後においても、まだ販売店では福山MULTI-400Sや八重洲FT-720Uなどのワイド機が安売りされていた。
もちろん、近い将来のナロー化のためにフィルタ交換やデビエーション調整をすることを前提としているのだが、バンドが空いているので、438MHz台にワイド機で出ていても、そうシビアな問題にはならなかった。一時期は、回りが皆、安いMULTI-400Sばっかりだったこともあった。
その2年後くらいには、430MHzも混み始めて、上下20KHzで出られるとワイド機では被ってしまうので、ナロー機を買わないとね、という状況になっていった。

TR-50/VB-50
本編続き…430MHzFMでラグチューをするために、トリオからケンウッドに社名変更をする頃に売られたTM-401を買った頃なのだが、このデザインと似たような、でもTR-2300の大きさで、アンテナが無骨に左側に付いていて、と奇妙な印象を抱いた筐体を友人宅で見て気になったものだった。
しかし、TR-50は1240から1300MHzまで出られる(友人が持っていたのはバンド下側20MHzが削られる前の仕様、後日私が入手したのは1260-1300の現在のバンドプランの仕様だった。)のは良いのだが、1Wしか出ずに、しかもハンディ機なのに9万円くらいしたので、自分で買おうとするには現実感が無かった。

2005年あたりか、1200MHzFMでラグチューをしようよ、と思っていた頃に中古でそろえたが、今、私のラインナップの中で最前線で活躍している(おおげさ)のTM-833Sよりも送信音声が良く、コストダウンを図っていない良さがあったと思う。
何台か使っては壊してということを繰り返して、今年に最後の筐体を売却して、卒業と相成りました。

2015年9月13日日曜日

後年の紆余曲折(RJX-601編)


RJX-601
RJX-601
IC-502が我が家に来る前に、一緒に講習会に通っていた同級生が秋葉原に行って無線機の下見をするというので付き合った際に、初めて実機を見た。
最後期型に近かったので、定価37000円だった頃になる。ラオックスのエスカレーターを2階に上ってすぐの無線機コーナーの一角に箱が積まれていて、確か26800円で売られていた。
見た瞬間、ああ安い、欲しいと思ったのだが、残念ながらお金が無い。
私も下見のつもりだったし、貯金もないし。お年玉が残っていれば後先考えずにこれを買ったんだろうなあと。
その日、結局、同級生はIC-502を買って帰ったのであった。

後年、大人になってからヤフオクで購入。
ソフトケースを探して購入してみたりと、店頭で見かけた当時のことを思い出して楽しんだ。

キャリブレーションを50.0MHzで取る仕様だったので、これは不便と、51.0MHzのFMのメインチャンネルでキャリブレーションを取れるように30MHzを発振する水晶を発注、シールド盤の裏にあったオリジナルの29MHzの水晶と交換して仕様変更した。

次に必要なのはFMのナロー化。抵抗をカット(R14)するロットと、抵抗の値を変更(R80を12kΩから68kΩ)する必要のあるロットがあった。

それからΔf(RIT)の送受連動可変改造。これはΔfのスイッチ付きボリュームを、平時は送受信連動、PULL時は受信のみ可変とする改造。これはwebで「RJX-601 VXO改造」などと検索すると情報があります。

これらの改造をして楽しんでみたものの、1台目の個体はコンデンサが破裂して、破裂したコンデンサと同じ規格のものに置き換えてもショートするようになってしまい、ジャンク化へ。
2台目の個体は…原因を忘れてしまったが動作しない状況になってしまい、新たに入手した3台目もこれらの改造をして楽しんでいたところ、この個体が壊れたらそろそろ潮時なのかなあと思いつつ、置き場所にも困り始めたので、卒業と相成りました。

2015年9月12日土曜日

後年の紆余曲折(IC-502/202編)

だいたい、子供の頃に免許をとったいい大人がそうしているように、ヤフオクやハムフェアで昔欲しかった無線機を手に入れて、レストアして、壊して、というのを繰り返した。
いや、私はまだまだその流れの中から抜け出せていないのだが、ちょっとその流れを書いてみる。
ちょうどIC-502の話になっているのでこの機種から。


IC-502/IC-50L/IC-3PS/IC-SM2
IC-502
かつて使った個体はどこかに無くなってしまい、後年再びヤフオクで求める。
再び触ってみると、手元に無かった時期が長かったため、懐かしく感じた。

しかし、この機種は送受信周波数がだいたい一致していない。RITのセンターを決める基板の半固定ボリュームの位置を調整して、送信周波数を可変してトランシーブできるようにするのである。
隣に別の50MHzの無線機を置いて、そちらで「あー、わんつーわんつー」と送信して、502でゼロインする。このとき502のRITはセンターのクリックのある位置にする。 502でゼロインできたら、今度は502で「あー、わんつーわんつー」と送信して、隣の無線機でゼロインするように、502側のRITの基板の半固定ボリュームを調整用ドライバで操作する手順。

両方の無線機が同一の周波数で送受信しているかな?と判断し、半固定ボリュームに挿していた調整用ドライバを外すと、502の送信周波数が変わるのがご愛嬌で、外したときのズレを見込んで調整するのにちょっとした苦労がある。

そういえば、昔もこの調整をたまにやったよなあ、と思いながら「わんつーわんつー」とやっていると「うるさい」と苦情が入るのは世の常。

そんなこんなで調整が終わる。502単体で使える状態になると、当時使っていたIC-50L(10Wリニアアンプ)、IC-SM2(コンデンサマイク)や、 当時は持っていなかったIC-3PS(スタンドとスピーカー付きの安定化電源)が欲しくなる。そして探し回って、画像のとおりそろえるのである。


IC-202。マイクはトリオMC-30を接続
で、実際にこれでQSOをすると、
周波数は読めない(わかっていた)、
VFOは不安定…ある程度の暖機を行うとVFOが動くのは改善されるのだが、いかんせん周波数を読めないのはつらい(わかっていた)、
「すぽんっ!」で始まる送信音はあまりきれいではない(わかっていた)、
IC-SM2を使っても送信音は良くない(わかっていた)、
などなど、当時の不満を思い出して、それを存分に味わった。


IC-202はVXOだからどうなんだろうと、手に入れて再調整して使ってみた。ところがこのVXOは200KHzと可変範囲が広いためか、周波数安定度とチューニングのクリチカルさは502と変わらなかった。
それらを一つ一つ追体験して卒業、売却と相成りました。

2015年9月11日金曜日

いざ50のSSBへ

50MHzのSSBに出ようと決めた後、気持ちとしてはTR-1300が欲しいと思ったものの、1300のシンセサイザ+VXOで出られる範囲が50.092-.258MHzという狭い範囲。
対してIC-502は1300の1.5Wに比して3Wの出力に加え、CWでも出られて、50-51MHzまでカバーできる。
あと、IC-502はTR-1300に比べると値引きの関係で少し割安だったかもしれない。そんなこんなで、そのうちに父親がIC-502を買ってきてしまった。

買って来ちゃったんだから仕方ないし、目の前で動いて聞こえている50MHzSSBの世界は楽しそうだし、そのうちTR-1300の存在は頭の隅に追いやられてしまう。

そして、IC-502とIC-50Lの組み合わせで開局、当時の流行のタニグチのスイスクワッドと組み合わせて、夜になると、中学生になっていた私は、ろくに勉強もせずに、毎晩のように近隣の中高生とおはなしをしていたのであった。
502のVFOの1MHz幅にも及ぶ可変範囲の広さのせいで周波数の変動に悩むのだが…その代わり、左手を常にダイヤルに沿えてゼロインし続けるテクニックを覚えることは出来た。幸か不幸か。 

2015年9月10日木曜日

50MHzは学生がたくさんOn Airしているバンドだ

70年半ばから後半、アマチュア無線の入門書にはこう書いてあった。
ずばりこう書いてあったかは別として、「50MHzには学生がたくさんいるんだよ」と。

夜な夜な中高生がラグチューしている賑やかなバンドだ、なんて、本や入門系の雑誌にそう書いてあれば、自然と50MHzに興味が出てくる。
次に悩むのはモード、そしてリグ。
SSBか、AM/FMか、という選択肢に悩むのと同時に、SSBなら井上IC-502かトリオTR-1300、AM/FMなら松下RJX-601かNECのCQ-P6300かという悩みがあった。悩みというか、雑誌を見ながら頭の中でどのスイッチをどう動かすとどうなる、という妄想を繰り返し、甲乙を比較してみるという楽しい作業だったのだが。

私が1978年の春から夏にかけて電話級の講習会に通った頃は、既に50MHzはSSBに相当数移行というか、新規開局はSSBで始める人が多かったことから、SSBなら必然的にIC-502かTR-1300のどちらかにしようと考えることになり、毎夜の脳内比較で悶々としたものだった。

ちなみに、NECのCQ-P6500やミズホのピコ6は少し後の世代だし、講習会終了後の時期に出てくるRJX-610の存在を知らず、候補にはなり得なかった。610は1978年8月発売で、どの無線機を買おうか悩んでいる時期はこれより少し前になる。610は50.0-50.5MHzまで周波数カウンタ付きのVFOでSSB/CWで出られるので、あと数か月早く出てくれば一番の候補になったに違いない…

2015年9月9日水曜日

「ハンディ機」大好き。

小学生の頃、アマチュア無線に興味を持ち、CQ誌やラ製に載っている無線機の広告をじっくり見て、自分の机にこれを並べたらどうなるのだろう、肩からハンディ機、今でいえばポータブル機を下げて、アンテナを伸ばして丘の上に登って電波を出してみたらどれくらい楽しいのだろう、と夢想した。

小学生の学習机の片隅に無線機を置く、という妄想だったので、当時の真空管ファイナルの固定機をという発想にはならず、当時のハンディ機やこれらより一回り大きいモービル機を置いて、窓から小さなホイップアンテナを外に出して、という想像を膨らませたものだった。

思えば、これが今に至る無線機の嗜好の原点だったのでしょう。
その後、大人になってから、想像を膨らませていた当時に欲しかった、あこがれていた70年代の「ハンディ機」を入手して、やってみたことや考えてみたことを書いてみます。