2023年8月10日木曜日

(続)そして2023年のFT-207へ。

長い長いマクラの続きになります。

このFT-207ですが、業界初めてのハンディ機のデジタルディスプレイ、テンキーボード実装、PLLシンセサイザによる200ch、肩掛けではなくハンディトーキー型と先進的な形で発売されました。1979年の秋です。ガワはFT-202の流用で、その部分だけは真新しさを感じませんが、この小ささで144MHz帯どこにでも出られるという、画期的な機能でデビューしました。

翌年1980年の晴海のハムフェアで、現地で会ったローカルがこれを持っていて、簡単な改造で148.99まで聴けるようになっているのを見せてもらって、小さなヘリカルホイップと電池でいろいろできるんだと感動しました。

 









 

 

 

このHPの7セグデジタル表示が良いんですね。蛍光表示管でもニキシー管でもなく、未来的なLEDのデジタル表示です。この当時、この7セグLEDを使った腕時計がありました。消費電力の関係から常時点灯ではなく、時計を触る(龍頭を押す?)と表示が点灯する形式だった記憶があります。また、電卓でもこのLEDを使ったものがありました。どれも格好よく、欲しいと思ったものです。

ちなみに、この時代にはまだロータリーエンコーダは実装されていません。周波数の変更はテンキーで直接入力するか、UP/DNキーで上下します。外部マイクからのコントロールもできません。操作性については、後年のIC-3Nをはじめとするサムホイールスイッチの機種のほうが勝ります。テンキーは一見便利そうなのですが、まだまだです。でも、148.41など当時の埼玉県で人気の周波数に即QSYしたいときにはサムホイールをパチパチ動かすよりも速かったので、便利なところも見つけられました。

FT-207については、上で先進的、画期的と書いたのですが、他の機種からの流用部分も目立ち、まだ実験機的な要素は残っていると感じました。FT-207ではなく「CPU-207」として出してきてもよかったのかもしれません。外部マイクを繋ぐと、受信音声が本体スピーカとマイク内蔵スピーカの両方から出るというなかなか笑えるところもあります。

それでも他のメーカーを機能的に一気に追い越して出てきたことはすごいと思います。デザインについてはFT-207は一目でFT-202の流用とわかりましたが、翌年デビューのFT-208/708になると八重洲らしからぬ格好良いデザインになりました。残念ながらHPのLEDはFT-207限りで、FT-208の世代からは液晶表示+バックライトになってしまいましたが。

で、縁あってFT-207は2023年の春に私の手元に来ました。エージングをし、送受信テストをしてみると、送受信のFズレがあります。受信感度はそれなりですが、追及して設定を追い込むほどのものではないですから現状のままとして、周波数ズレはなんとかしたいところです。

八重洲が公式に出している取説をみたり、RigPixに置いてある英語版取説をみながら調整します。 とりあえず書いてあるとおりの調整をして、誤差数kHzまで合わせて概ね良しとします。

それにしても、この機種は肩掛け型のTR-1300/2200GⅡ/3200シリーズやTR-2300よりも小型化への努力を感じます。部品間の間隔が狭く、不具合部品の交換に苦労しました。現在みたいにチップコンデンサの多用こそないものの、従来型部品が狭いピッチで並び、基板上の線も細いですし、基板間の連絡も細いケーブルで行われています。経年劣化もあり、ちょっとのテンションで細いケーブルの半田が外れ、作業中にそのようなことがおきると中断してどこから外れたかを探してメモるという二次作業が発生します。

ちなみに、このハンディトーキーには、両側面にストラップを付けられるようになっていて、もともとは純正の肩掛け紐が用意されていました。2023年の今では入手するのは難しいので、手芸屋さんなどで代替品になるものを探していたのですが、

〇三角環 ニコン純正品が使えそう(ただし未検証)

〇ストラップ  ニコン純正品が使える

がありました。三角環は本体に残っていたのでそのまま使えたのですが、ストラップのほうは、カメラ量販店の通販で上のリンクのメーカー公式サイトよりも安価に入手して使っています。

また、元からついていた純正のニッカド電池が劣化してしまっているので対策を考えました。この機種は、現代のスマートフォンのように、充電ケーブルで充電した電池で動きます。配線を電池の端子に直結すれば動きますが、そうすると安定化電源なしでは動かせません。せめて電池で動かして持ち歩けるようにしておきたいところです。

webを調べると、電池を内蔵させる動画の例示(音が出ます。注意)がありました。 これだということで、真似しました。単四アルカリ電池を使えば10.5Vなので仕様どおりの出力が出ると思われますが、私の場合は単四エネループを使っています。8.4Vと電圧が低いかな?と思いきや、ちゃんと動いてます。2Wフルパワーで送信するシチュエーションが想像できないので、これでよいかなと割り切りました。

ここで使った単四電池ケースですが、秋月で売られているものは寸法的にギリギリまたは入らない可能性(実際、仲間が秋月のを試したのですが、入らず、単四電池ケース側の不要部分を削って入れたとのことです。)があったので、他を探して買っています。

その後、なんだかんだで保証認定を受けて、第〇送信機追加の届出審査終了を経て電波を出せる状態にするに至っています。でも、窓際でヘリカルホイップでメインチャンネルを聴いていても、144MHzのFMは空いているのか、あんまり声が聴こえないところが現代なんでしょうね。

※電池については、ebayで純正ニッカド電池FNB-2と同じ寸法でニッケル水素電池があったので買ってみたところ、経年劣化で使えないことが判明、返品・返金処理をしてもらってます。古いニッカド互換のニッケル水素電池は容量も大きく魅力的ですが、需要もそんなにないでしょうし継続的に作られているわけではないので、古い劣化した在庫が流通している可能性があるようです。

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