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2024年4月16日火曜日

6mハンディ機のないものねだり集

私の場合、電話級をとった前後、いちばん無線機を触っていた時期に目の前にあったのがIC-502でした。

ご存じのとおり、502は周波数が読めなくて、温まるまでの間はQRHが大きいという印象の無線機です。これを触りながら、周波数を読めたらずいぶん違うんだけどなと思ったものでした。

そこで、記憶と少しのインターネット上の調査をもとに、私が知っている範囲の6mハンディ機のないものねだり集というのを書いてみました。

---TR-1100B以前は省略

TR-1200 FMでスケルチが使えない、52.5MHzより上に出られない
RJX-601 周波数を読めない、キャリブレが50.0MHzで、51のメインがわからない
IC-502 周波数を読めない(より深刻)上、QRHが大きい

---ここまで周波数を読めない

TR-1300 VFO-40なしでは50.258までしか出られない
RJX-610 デジタル表示だけどQRHが大きい

---PLL化以降

IC-505 SSBが100Hzステップでゼロインできない、AMモードが無くなったBFO入りでしか聴けない、FMがオプション(505はIC-551と違ってA3Hも無くなっちゃったんですね)
FT-690 SSBが100Hzステップでゼロインできない
FT-690mk2 SSBが25Hzステップになったものの、AMモードが無くなった

---以降、いきなりFT-817に至る


※CQ-Pシリーズとピコシリーズは除外してます。

〇CQ-P6300はTR-1200やRJX-601の販売時期に出ていたので、購入する際の比較に挙がったと思うのですが、他の6400(アナログVFOでAM/水晶発振でFM)と6500(アナログVXO、CW/SSB)はそれぞれの機構の旬から遅れていたので、特別この機種が好きという理由がないと買う人はいなかったのかなと。ツクモの広告には安い値段でよく出てましたよね。私は6400の値段をみて欲しいと思いつつも、やっぱり古いんだよなあと思って食指が伸びないよう抑えていました。

〇ミズホのピコシリーズはまた一般的なハンディ機の購入動機とは違うかなと。キットを作ってみたいとか、高田先生のファン(私もそうですけどね)に訴えるものがあって、長期にわたり販売されてました。 ピコシリーズの場合は「ないものねだり」ではなく、自分でなんとかする、または、これはこういうものだと割り切る向きが多かったのではと。

2023年4月3日月曜日

TS-600を愛でる。

開局前に50MHzのSWLを始めたのは、1978年の春あたりから。

その当時、50MHzのSSBで良く使われていたのは、圧倒的にIC-502で、たまにTR-1300、FT-620/Bの人がいて、ちょっとDXっぽい人はTS-600でした。同じ年にFT-625Dの発売があって、600から625に移る人が多かったという印象がありました。IC-501やLINER6の人はレアでした。
我が家の場合、この年の春ごろに父親が突然IC-502とIC-50Lを買ってきて、当初は144の5/8λのGPに繋いだもののあんまりよく聴こえないので、日本RAKのハンディダイポールにしたり、当時流行のタニグチエンジニアリングのSQ-61をあげたりしたのですが、やはり周波数を読めないのがネックで、父親の好みでFT-625Dの導入に至りました。ここにTS-600が割り込む余地はなかったようです。

同年秋に開局した私は、625導入後におさがりのIC-502を自分の部屋に持ち込んで、勉強もせずに夜な夜なローカルの高校生と無駄話をしたものでした。

枕が長いのですが、本題のTS-600です。

TS-600は、CW/LSB/USB/AM/FMと4モードに出られる最初の本当の「オールモード機」でした。HF機と同じく1kHzまで読める安定したVFO、聴きやすい音、強力な内蔵LPFといった強みはあったのの、78年当時では既に機能的に古くなっています。スプリット運用もできず、AGCの切り替えもできません。51.00のFMメインチャンネルQSYも、スイッチ一つでできる後発のFT-625Dに比べると古さは否めません。

でも、開局前の憧れの無線機だったんですね。76年にTS-600が発売されて少しした頃に、トリオにカタログと回路図を請求(注)して、送られてきたカラー印刷のカタログを毎日のように眺めていました。TS-600はCQ誌やラ製の広告にも載ることはあったのですが、いつも600だけがクローズアップされているわけではないので、眺めるにはカタログに勝るものはなかったんですね。その当時住んでいたところには近所にハムショップが無かったので、実物を見る機会がなく、トリオから送ってもらったカタログをとても大切に眺めていました。少し柔らかいフロントパネルのデザイン、緑色のSメータやサブスケールの透過照明はあこがれの対象でした。




600の話を続けます。2000年前後に一度中古で購入して、スケルチが閉じなくなったりで2SC460を交換したりして使っていた時期がありました。その後、引っ越しなどが重なって手放したのですが、2021年の夏に再び盛り上がって、近所のハムショップに中古があるよとの情報に我慢ができず、2度目の購入に至っています。
この筐体は、私の環境ではACでの送信時にハムが入り、まるでFT-620Bみたいだなと苦笑しつつ、電源ユニットの大容量コンデンサを交換してみたりしたのですが、私の環境固有の問題のようで、以降は安定化電源経由で使っています。


 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに、固定ch用水晶をつくりました。5*.00、5*.49、5*.55の3つの周波数です。 .00は51MHzのポジションで使うメインチャンネル用、.49は50MHzのポジションで聴く大田区のビーコン、.55は50MHzのポジションで使うAMで良く使われる周波数用です。でも、水晶を入れたのは良いのですが、意外と使わないんですよね。
※うちの近所の川崎電波研究所がなくなってしまったので、webで検索してアロー電子で作りました。こちらのアロー電子は水晶を1個から作ってくれるので現代ではとても貴重な存在です。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

70-80年代とは違って、TS-600を現代のノイズに囲まれた環境で使うには苦労があります。ある種のノイズはノイズブランカを入れると切れるんですが、近い周波数に強い局が出て来るとノイズブランカを入れたままではガサゴソで使えず、ノイズブランカを切るとノイズまみれになって使えません。特に空気が乾燥した季節はなかなか厳しいです。
このへんはTS-590無印に優位があって、2010年代のノイズブランカ、ノイズリダクション、ノッチでかなり改善されます。今の無線機はもっとすごいんでしょうね。


我が家の50MHzに出られる3台そろい踏みの画像です。画像から察するに、50.100で3台相互に送受信をして調整と確認をしているところではないかと。

600が再び我が家に来てからしばらくの間は、TS-590Sはベンチマーカーというか計測器代わりに使われることが多いので不憫でしたw
SSBの送信音は、600よりもTR-1300のほうが良い音のようです。MC-90を使ってみると、1300では音が良いと驚かれて、600では古い狭い音なのか無反応だったことが多いです。両機ともに使っているクリスタルフィルタは同じなので、フィルタ単体の劣化具合が違うのか、マイクアンプ段の劣化具合か設計の違いってことなんでしょうね。

あと、困ったことにTS-600のマイクの配線とTR-1300のマイクの配線は同じ4ピンながら、マイクとPTTのコールド側の無線機内部側の配線が違っていて、MC-20とMC-50は両機ともに使えるのですが、MC-30Sなど4ピンとしては後期のものは600では使えません。反対に、古いマイクは1300でも使えるんですけどね。
70年代のトリオ機に複数ある4ピンマイク配列ですが、トリオ・ケンウッド純正のマイク変換コネクタMJ-84(メタル8ピンのマイクを4ピンに変換)を使うと、600でも1300でも8ピンマイクを問題なく使えます。さすが純正。
 



















 

 

 

 

(注)ほぼ同じタイミングで高田先生のミズホ通信にMK-610の資料請求をしています。免許をとる1-2年前に、極私的に盛り上がってたんですね。

2022年11月30日水曜日

ACTION☆HANDYの筐体について

TR-3200で430MHzFMを聴くのを楽しんでいる(注)のですが、このTR-2200無印から続く「ACTION☆HANDY」の筐体は、内部に余裕があるせいか聴きやすい音が出ます。

TR-3200で430MHzのメインを聴いていて、「次回433.10、さんてんひとまるにて待機します」なんていうのを聴いていると、3200で3.10を聴いてみたいと思ってしまうのですが、その度に水晶を増やすのは切りがないですし、古い無線機を手軽に楽しむことから遠ざかってしまいます。

 

だったら2mをTR-2300で聴けば良いじゃんってことで、2mならバンド内どこにも出られる2300を出してきてみたのですが、3200の音に慣れてくると2300の音はいまひとつなんです。「ACTION☆HANDY」の後継機種のひとつ、「COMPACT HANDY」TR-2300のは、この2200サイズよりも集積化・小型化していることから、スピーカ周りの音声の響き方がいまひとつで、ダイナミックレンジの狭い音になります。聴いていて楽しい音とはいえません。

以前から我が家にあったTR-1300はSSBなので、2300の音との差はあまり気にしたことが無かったのですが、同じFMだとわかりやすいんですね。この時代の水晶発振の無線機の筐体は余裕があって、やはり良いです。

 

430を聴くならTM-833でいいじゃんってことにもなるんですが、そういうことじゃないんですよね。やっぱり70年代の無線機を今日使うのが楽しいんです。

 

(注)TR-3200にVB-3200を取り付けられるように工事設計変更の届出をして、2022/11/29に審査終了しているのですが、VB-3200の送受切替リレーの接点に劣化があるようで、VB-3200を繋ぐと単体時よりも受信感度が悪くなってしまっています。リレーなら接点洗浄剤でなんとかなるんでしょうけれど、RF GAINの回路に不具合があってこれをパスさせる必要があるなら面倒だなということで、相変わらず接続しないまま本体だけで楽しんでいる状況です。

2021年7月21日水曜日

うちのTR-1300、新スプリアス基準をクリアし、第五送信機として復帰す。

※2021年9月28日追記:JARDより、新スプリアス確認保証の対象機種としてTR-1300他が追加されたことが、2021年9月24日付で発表になりました。

JARDで計測して、新スプリアス基準に適合している個体を何台か確認すると新スプリアス確認保証可能機器リスト(2021/9/24更新済)に載るようです。うちのTR-1300が、計測した適合個体の数の確保の最後のひと押しになったとするとうれしいです。

これからは、TR-1300の工事設計の追加の際の保証認定手続きには、計測は不要になりますよ。よかったよかった。「当分の間」の使用ではなく、新スプリアス基準(というか、現行のスプリアス基準)が認められる間は、ずーっと使えます。1975年発売の当年とって46歳の無線機ですから、壊さないようにしないといけないですね。

※2021年8月27日追記:本日、関東総合通信局への変更届が無事審査終了し、TR-1300、VL-1300及びVFO-40は第五送信機として工事設計に復帰しました。タイトルもこれに合わせて「復帰(予定)す。」から「復帰す。」と改めています。

 

以下、当初投稿の2021年7月21日の内容です。

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これまで何度かTR-1300の話を書きましたが、うちのTR-1300は、2年ほど前に工事設計全体を新スプリアス対応するために、当時の第一送信機から落としました。

今年(2021年)になってから、総務省令の改正があって、工事設計に既にある(今、免許にぶら下がっている)送信機のうち、旧スプリアス基準のものは「当分の間」使えるようになりましたが、私の場合は工事設計から落としてしまっているので、送信機を増設して工事設計に加える必要があり、その場合は新スプリアス基準をクリアする必要があります。

もうこれで電波を出せないんだなあとか、一回くらい肩にかついで外に持ち出して、近所の高いところから電波を出してみるべきだったなあとか、新スプリアス保証リストに載らないかなあなどと考えつつ、箱にいれて物入の奥底行きでした。

以前、JARDには「TR-1300は新スプリアス保証リストに載っていないけれど、これは測ってダメだったのか」という質問をしたことがあったのですが、このときの答えはサンプル数が少なかったとのことでした。以前、計測するための無線機を大々的に募集した時期がありましたが、TR-1300を送り付ける人が居なかったんですかね。

当初リストに載らなかったRJX-601やTS-600は後日載ったりしたので、出られる周波数の範囲が狭いTR-1300(ご存知のとおり、本体だけでは50.092-50.258MHzだけです)にこだわる人が居なかったのかなとも考えられます。

TR-1300が世に出たのは昭和50(1975)年です。前年に電話級の勉強と試験本番の両方を棄権しつつも、BCLラジオへの興味と同じく、この手のハンディ機に興味しんしんな日々を送っていた私にとっては憧れの無線機でした。ラ製でも山手線で通信実験の記事がありましたね。そんなTR-1300を、もう一度工事設計に加えて電波を出したいというか、電波をいつでも出せる状況にしたいという希望を、2年前に工事設計から落として以来ずっと持っていました。

古い無線機を見て触るのは楽しいです。TR-1300はJARL保証認定機種で、しかもその後登録抹消されている機種ですから、工事設計に加えるなら保証会社による保証後に関東総合通信局に変更申請となるわけですが、これまで何度かあった「保証会社で保証を受けた後、変更申請先の関東総合通信局で工事設計の変更が認められない」といったことで消耗するのは楽しくないので、ここはストレートJARDの計測サービスを利用して、新スプリアス基準をクリアしているかを確かめて、クリアしているのであれば、その計測データをエビデンスに保証を受ける、ということを考えました。

省令改正案を見たときには、「何だよ、工事設計から落とさなきゃ良かったよ」とも思ったのですが、新スプリアス基準をクリアすれば「当分の間」以降も使えるのだから、と思い直しました。

計測サービスを利用するにはJARD測定器室の開放(一般利用)から予約が必要です。休めそうな日に予約ができたので、梅雨の中、TR-1300を持って巣鴨のJARD事務所を訪問します。 測定結果が思わしくない場合にALC調整をすぐにできるように、トリマ回しを忘れずに持ってきています。また、どうしても高調波(スプリアス領域における不要発射の強度)の基準をクリアできない場合のために、伝説のコスモ電子のローパスフィルタ、LF-50Bもバッグの中で控えています。

測定に対応してくれたのはベテランの職員の方でした。まずは計測して、必要なら調整をしてからもう一度計測しましょうとやさしく言われ、安心しつつも、一回目の計測でクリアするといいなと緊張しながら計測に入ります。

持参した電源コードを備え付けのプロ用電源に繋ぎ、スイッチを入れ、VXOを回して、指示された周波数はだいたいこのへんかな?と電波を出します。TR-1300はSSB専用機なので、無変調時の信号と、備え付けの装置でトーンを発生させて信号を計測します。

うちのTR-1300は、今回の計測のために特に調整を行ってはいません。この個体は、2010年代にハムフェアで買ってきた後、改造といえば電源ジャックを一般的なDCプラグ対応にしたことと、照明をLEDに置き換えた程度で、本質的なところは触っていません。工事設計から落とす2年前まで不具合なく使えていた状態のものを、少し前に再び箱から出してきて電源を入れていただけのものです。計測本番で(例えば)50.200で電波を出してみてくださいと指示された際に、実際の周波数はだいたいこの辺だろうとあたりをつけるためにVXOのずれを確認したくらいです。 

計測結果です。

〇無変調で計測した、帯域外領域におけるスプリアス発射の強度
〇音声を入れて計測した、スプリアス領域における不要発射の強度
ともに合格です。 

スプリアス領域のほうは余裕しゃくしゃくというレベルではありませんが、クリアしました。トリマ回しとローパスの出番が無くて良かったです。

※これらの計測2要素はスプリアス発射の強度の許容値に係る技術基準の改正内容(総務省)新スプリアス対応について(JARD作成のpdfファイル、50MHzの場合の具体的記述がある)をみるとわかりやすいです。

 

JARDの計測サービスでは、上に書いたように計測した結果を持参したUSBメモリにファイルでもらえて、これを保証願いのエビデンスに使うことができます。

同行した友人に新スプリアス保証リストに掲載されていないTR-8400Gを持ってこさせ(本人は乗り気ではなかったですが、文字どおり持ってこさせました。)、1300の後に計測し、合格しています。

もちろん、持ち込んだ無線機が軒並みスプリアス基準を満たすかは別ですが、計測機器を持っておらず、保証リストに記載の無い無線機を使いたいと思いつつもモヤモヤしている方は、モヤモヤしている時間がもったいないので、ぜひとも測りに行っちゃうべきだと思います。費用も2時間の計測枠あたり税込み2200円(現金で用意してください)ですし。自作機にもお勧めです。地理的に近い方は、ちょっと測りに行って、その日にダメなら調整してまた後日チャレンジということでも良いと思います。

帰宅後、早速JARDに保証願いを出して、変更申請の準備に入りました。今回は第五送信機になります。

上機嫌でVL-1300(今はまだ送信できないですが、繋ぐとRFゲインの調整が可能になります。)やVFO-40(送受信可能な周波数を50.0〜51.0まで拡大できます。ただし、仕様で50.5あたりから感度が落ちます。)を接続し、Eスポで聴こえる信号をモニタしてみました。お盆明けあたりには工事設計に加わっているでしょうか。今回の変更申請では指定事項の変更はないのですが、免許状はもらっておこうかしら。

早く、堂々とマイクを接続した画像を掲載できるようにしたいですね。


※本項について:アマチュア局の無線設備に新スプリアス基準を厳格適用することの是非についての議論があるのは承知しています。ここでは是非の議論よりも、この無線機を使うために目先の規制をクリアするにあたり、単純で確実な方法という視点で書いています。

2020年7月2日木曜日

立ちはだかるTS-950SDX(TS-590無印の受信音を追求するの続き)

続きです。
自分的にはこれで良いと思う設定を見つけて、しばらくの間TS-590無印を楽しんでいました。そこで、自分の中の理想の一つである、TS-950SDXの455KHzのみの6kフィルタを通過させた音との比較をしてみたいという欲望がふつふつと湧いてきました。

自分の周りでは、最近になってTS-950SDXブームが来ており、複数台所有の猛者が2人もいます。私自身は2011年の地震の少し前に手放して、一旦は過去の無線機になったものの、TS-590無印を入手してから経験する初めての聴きづらさに、590を経験した後に950SDXで聴いてみたらどんな感想を持つだろうという興味を持っていました。


(TS-950SDXの上にTS-590無印、さらにその上にちらっと写っているのは、590に接続したトリオSP-70)
























ふとした偶然が重なり、昨日、我が家に再びTS-950SDXが来ました。当然ながら以前手放した個体とは別のものですが、細かいことを言わなければ状態も悪くなく、私が「これが950SDXだ」と思っていた性能は期待できるでしょう。
しかし、大きい…重い…

2台にアンテナをつないで、早速スイッチを入れます。ちょうど21でEsが出ており、国内が良く聴こえます。両方で同じ局にゼロインしつつ、ぱっぱっとアンテナを切り換えつつ、聴き比べ開始です。
950SDXのほうはやはり古さが目立ちます。チューニングの際にVFOダイヤルを回したときの受信周波数の変化する音の体感的な遅れが最初に気になります。この、体感的な遅れは、590無印と比べてということではなく、950SDXを10年少し前に使っていた時期にもそう思った記憶があります。

音に関してですが、自分好みに追い込んだ590が結構健闘するのではと思っていたら、比べてしまうと、やはり950の「8.8MHzはスルーで455KHzのみを通過させた6kで聴いたSSB」は聴きやすいです。人の声が自然と耳に入ってきます。
ノイズや妨害信号がある場合は、フィルタを狭めるなりなんなりして、そのときはじめて眉間にしわを寄せて集中することになります。

一方のTS-590無印ですが、ここまでがんばって設定したグラフィックイコライジングの成果で、AF的な音色を自分好みにしても、IFから通過してくる幅の広さの信号の音声成分がすべて一旦耳に入り、耳の中で人の声を分離するプロセスがあるように感じています。
なので、ある程度耳障りの良いイコライジングカーブを作ってあげても、(950SDXに比べて)音量をあげてその中から(眉間にしわを寄せて)人の声を解釈する作業がもうひと手間必要なんですね。
もちろん、これはフィルタの幅の選択やイコライジングカーブの設定で緩和できますが、950SDXの6kそのままは実現できません。950SDXを到達点という視点でみると、どうしてもこうなってしまいます。でも仕方ないです。アナログの無線機でこういう世界に入って、これが普通だと思っていたわけですから。

90年代の高級機向け技術でIFをアナログフィルタで構成するのと、2010年のIFDSP普及機との比較ですからフェアじゃないとは思うのですが、やはりアナログのセラミックフィルタやクリスタルフィルタを経由する信号は、帯域間際の信号の切れ方などはファジーなところがありますが、自然な音で聴こえます。
この自然な音というのが重要で、イコライジングカーブの設定で音声を加工しなくても、そのままで聴きやすい音で聴こえるのです。

ただし、設定を煮詰めたTS-590無印も、950SDXに比べて大きく劣るかというと、確かに聴感では完全には追いつけないものの、IFDSPフィルタのばっさりと切れるところは素晴らしいですし、デジタル処理によるノイズブランカやノイズリダクションやノッチは適正な深さに設定すればよく効きますし、ボタン一発で消えるビートキャンセルやオートノッチは使ったらこれが無い状態に戻るのには抵抗があります。ノイズや妨害信号がある場合は、590無印のほうがはるかに機能的です。当時としてはよく効くNBや比較的使いやすいマニュアルのノッチがついている950SDXですが、これにはかないません。
アナログ慣れした私の耳にはTS-950SDXの音はよく馴染み、聴き疲れしないところは強みです。しかし、自分好みの音に詰めたTS-590無印もけっこう良い勝負になったのではと思っています。というか、950が来たからもう590は売ってしまおうかと短絡的な考えにならないところが、590の粘り腰(表現が古いw)ってところでしょうか。

2台の比較の結論としては、HFをダイヤルをくるくる回してながら聴きしたいときにはTS-950SDXが最適です。近所の局とラグチューも950です。6KHzの幅の中に耳で解析できないような混信が発生するまでは、950SDXを使いたくなります。
しかし、帯域内に混信が発生した後のシチュエーションとしては、最初に950SDXを2つのIFともに2.7kHzのフィルタに設定してスロープチューンを使ってということをやるわけですが、スロープチューンにしても、アナログフィルタの組み合わせで上下を切るよりもIFDSPのほうがきれいに切れるので、ここからは590のほうが性能が上で、更に混信の中のQSO継続ということであれば590が勝ります。
そういうシチュエーションで使い分けをするかは別として、そうするために持っておいても良いのではと思うところです。50MHzの100Wはこれで免許されてますし。

机の上がいっぱいになりましたが、しばらくこのまま併用していこうと思います。
というか、比較が終わったら950SDXは売却しようと思っていたのですが、こっちも手元に置いておきたいと思ってしまいます。いけませんねえ。

(後注1)「TS-590無印を入手してから経験する初めての聴きづらさ」を後から読んで、TS-2000SXで50MHzSSBを聴いているときに、ノイズと受信信号の分離が悪く感じて、どうも信号がノイズに埋もれる感じがする、なるべく帯域外のノイズを減らないかとプリセレクタを入れてみたりしたことを思い出しました。これって、目的信号が弱かったとか、TS-2000SXの50MHzの感度が悪かったんじゃなくて、IFDSPフィルタはいちばん広いのが良いと思い込んだことや、受信DSPイコライザの設定を詰めなかったので、当初の590無印同様に聴感が悪かったんだと思います。もうちょっと突き詰めてというか、そういう気付きがあれば良かったと思います。
でも、TS-2000の場合は、590無印で最初にすぐに感じた、「もうどうにもならないほど喋ってる人の声がノイズの前に出て来ない」というほどの違和感は感じなかったんですけどね。

(後注2)「TS-950SDXの455KHzのみの6kフィルタを通過させた音」が何度も出てきますが、これ、6kHz幅を聴いているものの、Hi-Fi的な聴感ではないです。セラミックフィルタやクリスタルフィルタを通過した自然な音がしています。むしろ、590の受信DSPイコライジングで加工した音(しかも私の場合はIFDSPフィルタは4k弱の幅で聴いてます)のほうが低音域と高音域が出ていて、ドンシャリ感があります。そのドンシャリ的な音を耳に全部入れた後、人の声を浮き出させるといった脳みその解析プロセスがあるので疲れちゃう…となります。

(後注3)2021年2月24日、青字部分を訂正、加筆しました。

2020年7月1日水曜日

TS-590無印の受信音を追求する

と、GタイプではないTS-590S(以下、TS-590無印)について、聴きやすい設定は無いかと試行錯誤、というかより良い聴き心地を目指していた(おおげさ)ところです。

TS-590無印の受信系の音質に関する主な設定は、
(1)DSPIFフィルタによる、IF通過帯域のスロープチューン的な可変
(2)受信DSPフィルタによる、AF的な音質の味付けの調整
の2つがあります。

こんな話は、2012年のTS-590無印が市場に出た当初にみなさんがけっこうやっていると思います。手が届く価格帯の中古の無線機を後年になってからいじるような私の場合、その当時の論に触れる機会が既になく、webに残っている識者の方々の記事を読むくらいがせいぜいなところが現状です。
で、しかも、私がここにこのようなことを書いても、これが世間の目に触れることもないわけですがw

(1)のDSPIFフィルタの可変については、スロープチューン的なツマミを可変して上下の帯域を絞ることができます。これは音質にも直結して、絞ると鼻つまみ的な音になります。広げると広くなったような音になりますが、TS-590の場合はいっぱいに広げても聴きやすくなるかというとそうでもないです。ただし、IFを通過する周波数を上下からばっさりと切れるので、帯域内に混信がある場合にはこれを切る手段としてはとても有効です。これは素晴らしいと思います。さすがIFDSPというやつです。
私の場合、TS-590がA/Bと切り換えて持てる二つの設定値を、A:100Hz-4000Hz、B:100Hz-2800Hz(つまり、通過帯域2.7KHzでダウンコンバージョンを使いたいとき ※ )としています。
Aの場合はながら聴き、Bの場合は混信があるときなど、少し真面目に聴きたいときに使います。

(※)21MHz以下のクラシックなアマチュアバンドの場合で2.7KHz以内を通過させる場合にはダウンコンバージョン(11MHz)の回路を通り、それよりも広い設定の場合にはアップコンバージョン(73MHz、10MHz)を経てということで、通る中間周波数によって(メリットデメリットを含んだうえで普及機にどれくらいコストをかけられるかということも踏まえた上で)相当(それにふさわしいレベル)の性能が発揮できるというシロモノです。
このあたりは TS-590 徹底解説集 を読んでみて下さい。特に、PDFの7ページにある、「1受信 1.1コンバージョン方式」を読むと、なるほどねということが書いてあります。

(2)については、受信した信号をオーディオ的に加工して聴きやすくするものです。
TS-590無印の場合は、「切」「ハイブースト1/2、フォルマント・パス、バス・ブースト1/2、フラットがプリセットされていて、他にPCをUSBで接続した上で設定できる「ユーザ設定」を使うことができます。
TS-590無印の購入当初「受信した人の声が前に出てこない、聴きにくい」という印象を持ち、未だにこれを払しょくできていません。購入後は「切」の状態で長く使っていて、これで人の声が聴きにくいと騒いていたのですが、フォルマント・パスやハイブースト2(Hb2)にすることにより改善しました。無線機を通じてよく聞く声の周波数帯域は、これらの設定値で増幅(または減衰しない)ことで強調できているようです。
少し前に気が向いて、ファームウエアをアップデートした際に、ARCP-590(ケンウッドが未だに提供し続けてくれているありがたいPCコントロールソフト、これはGタイプ用ではなく、「無印」用です。)で、プリセットのイコライジングのカーブを見てみました。

まず、良かったハイブースト2(Hb2)です。












フォルマント・パスはこんな感じ












フラットはこんな感じ












「切」、オフはこんな感じ。












驚いたのは、切っている状態と、「フラット」は違うということです。聴感上確かに違うように感じていたのですが、メニューの一番最初と後ろで、スイッチ一回押しでパタパタと比較できない位置にプリセットされていたのでこんなに差があるのに気づきませんでした。
道理で、人の音声帯域が含まれる(と思われる)高い周波数を減衰させているんですから、「切」では聴きにくいはずです。

私のユーザ設定はこれ。ハイブースト2(Hb2)を参考に、少しだけ弄った状態です。上の3つのバンドはこの画像では絞っていますが、その後設定を見直しをして、一番上まで上げてあります。












このユーザ設定と、(1)の「IFDSPをいっぱいに広げて使わないこと」の併用で、ずいぶんと聴感は改善しました。
 
もう一つ、書き忘れていたのですが、590本体のスピーカではなく、
(3)外部スピーカ(トリオSP-70)で聴くこと
でさらに改善しました。このTS-600や700用の古いスピーカですが、TS-590無印(Gタイプでも良いと聞きました)と相性が良く、(1)(2)に加え、これで聴くと了解度がかなり向上します。(1)(2)(3)の合わせ技を駆使すれば、TS-950SDXに迫れるかもと言っても言い過ぎではないでしょう。
 
これらのおかげで、(以上赤字部分、2021年2月24日追記)スイッチを入れて、ゼロインして、いきなり眉間にしわを寄せて信号に集中することになって、すぐに疲れるという状況からは脱せたような気がしています。
これなら、TS-950SDXの455KHzだけ通す6kHz幅の受信音とそん色ないところまで行けるかも?と思って、本日テストをしてみたところなのであります。(続きます)

2018年9月2日日曜日

TS-590S(ただし、Gではない)が来ました。


これまで移動しない局についてはTS-130Sを使っていました。
かつて、友人に丁寧に直してもらったのですが、あれから5年くらい経ったのでしょうか。あまり電波を出さないというか、電源を入れない日々が続いていた結果、スイッチを入れてもうんともすんとも言わない状態になってしまい、これ以上の使用をあきらめることになりました。
また、新スプリアス機だと申請も楽だしということもあり、今回、TS-590Sに入替を行いました。

これがTS-590Sの雄姿であります。ただし、これは最新型のGが付くタイプではなく、2010年秋に発売された初期型です。
しかし、我が家に来た最新機種であります。発売的には8年落ちですが。
この手の新しい機械を使い始めたのは15年くらい前に購入したTS-2000SX以来となります。

※去年秋にFT-897DMを手に入れて、移動する局の無線設備に加えたのですが、いろいろありまして、既に売却しております。
これは私の中では無かったことにしておりますので、定期的に訪問された方の中には、該当の記事をお読みになったことがある方がいらっしゃるかもしれませんが、お忘れになってくださいませ。

で、590Sのおはなし。
8年前とはいっても、私の中では最新の設計です。
まずはUSBケーブルをPCに接続して、ファームウエアを購入した状態の1.04から最新の2.03に更新し、NB1とNB2を同時に入れられるようにしました。windowsにドライバを入れてコントロールソフトを入れての更新ですが、USBケーブルで行えることもあって、簡単にすぐに終わりました。
※関係ファイルをダウンロードしたのは TS-590S/D/V ファームウェア アップデートのお知らせ から。

手回しよく、予め免許を変更申請しておき、既に590Sを根拠にした免許状がハムフェアの少し前に到着しているので、我が家に590Sが来た時点ではすぐに電波を出せる状態です。へへへ。
早速送信テストです。取扱説明書を読みながらメニューに入って、ディスプレイの照明を緑にするとか、ボタンを押したときの音が出ないようにするとか、お約束のSSBの送信帯域の上下を広げるところまでをとりあえず行って、50MHzでQSOをしてみます。

しかし、出力が大きいというのは正義ですねw
これまでのしばらくの間、TR-1300+VL-1300の10Wで、割と張りのある声を心がけてマイクに向かっていたのですが、100W機だとそこまでしなくても出力計の針が振れます。しゃべるのが楽です。パイルアップに参加するのではないのであれば、普通の声の大きさでスピーチプロセッサを軽めにかけてあげれば、同じ程度の出力の局であれば電波がこちらに届いている限りは楽に電波が届き、QSOが成立します。(あたりまえの話ですね。)

ここまで気づいたことを書いてみると以下の感じです。
・NBの効きは、TS-680、690、950SDXの効き方とは違って、深くかけるとDSP処理風のごにょごにょを感じます。ある種のノイズには効いています。深くかけると目的信号をつぶすのは同じですが、以前の機種とは違って無理やりノイズを制圧させている感はありません。
・NRの効きは、TS-2000より良いです。SSBやAMでノイズに埋もれた相手の「声(信号というより、声というイメージ)」が浮き上がります。NR1が良い場合やNR2が良い場合はケースバイケースです。
・SSBの場合のノイズフロアからの信号の浮き上がり感は、正直なところいまいちです。受信帯域を広げると、真ん中あたりの人の声のあたりの音域が沈むように感じます。DSP帯域フィルタで狭めてやれば幾分改善しますが、どうもいまいちです。TS-950SDXがやっぱり聴きやすさではベストでした。DSPの最新技術(ただし8年前)ではこんな感じなんでしょう。

S5くらいの同じ信号をTR-1300と聴き比べてみると、浮き上がり感は1300のほうが上でした。
TR-1300って、どちらかというと聴きやすい無線機ではなかったはずなのですが、それでも1300のほうが良いと感じるのは、まだ、アナログの聴感にDSPの制御が追いついていない(ただし、8年前の水準です。)のでしょう。
または、私の耳が老いの方向に深化する際中で、それ系の都合があるのかもしれませんw

そこで受信DSPイコライザーを試してみることにします。
とりあえずSSBで使うにあたり、「Hb2」が良さげだったので、これでしばらく行っていようかと思います。
ただ、音声を加工している感があるんですよね、このあたりはアナログの機械と違って仕方ないんでしょうね。
PCのコントロールソフトを使うと、ユーザ設定で好きな帯域を膨らましたり凹ましたりできるので、拘る場合にはそこまでやるんでしょうね。私はたぶんやりません(;´Д`)

送信については、今のところ帯域を広げているだけで何もやっていません。
近場の局には強く信号が届くでしょうから特に問題はないとは思いますが、少し離れた状態、例えばS5くらいで届くくらいの場合は、のっぺりした広い音では了解度が悪いんだろうなと想像しています。
送信DSPイコライザで音を加工するとか、スピーチプロセッサをもう少し深くかけるとか、良さそうな設定を探しておく必要があります。
このあたりは友人と時間をかけて、あーでもないこーでもないとしゃべりながら調整するしかないでしょうね。

マイクについては、今は無難にMC-90をつないでいますが、今後はRANGER SRA-198も試してみたいです。

てなわけで、久しぶりの最新鋭機(ただし販売開始は8年前)の導入のおはなしでした。しばらくの間はスイッチを入れるのが楽しい日々が続くでしょう。へへへ。

2018年6月24日日曜日

久しぶりに1300で運用でした。


TR-1300とVL-1300を久しぶりにチェックしてみると、ちゃんと動作しているようです。
Eスポも発生しているようで、ノイズブランカ入りっぱなしのせいもあり、がさごそとバンドは賑やかです。
そんな合間を縫って、直接波で信号の強い局がCQを出していたので呼んでみると、59-59でQSOできました。

最近はみなさん50Wだ100Wだ200Wだって出力を手軽に出せるので、強く聞こえても10Wで呼んだら届かないってことがあるのですが、本当にS9ですよって言ってもらえたのでニコニコ。


このときは、マイクロホンをRANGER SRA-198に交換して送信していたのですが、音質的にも悪くないとの評価をもらっています。
このマイクですが、ブランド名でわかるように、米国でCB機用に売られているものなのですが、見た目とは違って歪まずにきれいな音なんです。
単一指向性でゲインが低いので、「送話口」と言えそうなデザインのダイナミックマイクのユニット部分にかぶりついて声を出さないと出力が小さいのですが、意識してはきはきと明朗な声を心がけてしゃべると、けっこう良いんです。

そんなレポートをもらって機嫌が良いので、今夜はAMのロールコールでも聴いてみましょうか。 VFO-40は50.5を超えると発振が弱くなり、感度が落ちるのが難点で、取扱説明書にもそのようなことが書いてありましたが、それはそれとして。良いアンテナや高出力の局なら聞こえるでしょう。
SSBでAMの複数の局をとっかえひっかえ復調するのは、ゼロインのためにダイヤルを左右にうろうろさせなければならないので面倒だったり、古いトランシーバの局だと変調の深さに応じて周波数が動いたりと大変なのですが、それはそれということで。

ところで、VFO-40のダイヤルって、同じようなデザインのTS-600/700とは違って、照明がダイヤルに当たるようにスリットが切られていない(注)ため、暗闇では1KHz直読ダイヤルを読めません。

(注:2023/5/15)照明がダイヤルに当たるようにスリットが切られているのはFT-101(初代~E)ですね。TS-600/700と勘違いしてました。


また、TR-1300も電池運用を前提とした「ハンディ機」だったため、周波数インジケータの照明とSメーターの照明が共通なため、暗いところではメーターを読めません。
安定化電源に繋ぐ前提であるVL-1300のレベルメーターの煌々とした明るさと比較すると、TR-1300のSメーター照明の暗さ(ダイヤルの照明と共通で、電球1つで照らしています。)がよくわかります。


(追加1)
というわけで、暗闇で撮影しなおしてみました。上段のTR-1300のSメーターの照明に比べて、下段のVL-1300の照明の明るいこと。

(追加2)
同じく暗闇でVFO-40のダイヤル部分を撮影。窓の中の光が1KHz直読ダイヤルに導かれておらず、周波数が大雑把にしか読めない絵です。


TR-1300、VL-1300にVFO-40を組み合わせて、机の上に並べて楽しむという嗜好は、ミズホのピコ6にリニアアンプなどを専用ラックに取り付けて楽しむというものと同じ傾向なんでしょうね。40-30年前の中学生に戻った気分になります。

2017年7月23日日曜日

TR-1300、電池運用できず。

ハンディ機の定期点検ということで、TR-2300の動作チェックをし、その次にTR-1300のチェックを始めたところ、外部から電源を供給させてあげると動作するのに、電池ボックスに電池を入れて内蔵させてやっても電源が入りません。
我が家にやってきて以来、ずーっと安定化電源に繋がれていたので、気づきませんでした。

ばらしてチェックしてみると、電池ボックスからリードで背面の3極電源ジャックに来るところまではちゃんと電圧がかかっています。しかし、3極の電源プラグを抜いた状態では電池からの電圧が本体にかかりません。
それどころか、恐る恐る電池ボックスを入れ、電源が入らないのを確認する度(たび)に素早く電池ボックスを外すと、電池ボックスから来る電圧を受け止める1300本体側の電極部分が熱を持っています。何らかの原因でショートしているようです。

電池ボックスまわりの配線はチェックしても問題ないし、外部から電源を供給すれば正常に動作するので、「3極ジャック自体の、3極プラグを挿さないとき」に発生するトラブルと特定しました。

通常のDCジャックやイヤホンジャックの場合は、プラグを挿さないと2番ピンと3番ピンが導通、挿すと2番ピンと3番ピンが切り離されるという単純なロジックです。(これ、えらそうに書いていますが、DCジャックのロジックのおさらいに モバイル電子工作の第一歩!3端子DCジャックの使い方 を読みました。)

当時トリオや井上で使われていた3極ジャックは少し複雑で、表から見える3つのピンに加えて裏側下部に2つ端子があって、プラグを挿していないと下部の2つの端子が導通していて、プラグを挿すと(仮称)3番ピンが下部の右側の端子と導通するといった…このへんはうろ覚えです…ロジックになっています。

内部にどうトラブルが発生しているのはわかりませんが、電池使用時に仕様通りの動作をしていないということで、TR-1300 DCジャック変更 (2020/8/7 当該blog移転先にURL変更)を参考にさせていただき、入手しやすいDCジャック・プラグに置き換えることで解決することにしました。

3極ジャックは背面表側から左右2つのビスで留められています。同じように左右から留められる仕様のDCジャックを探すところからスタートです。
webで「DCジャック ビス留め」で検索すると マル信のMJ-065Mという製品がヒットします。ビス穴がプラスチックなので強く締め付けると舐めそうですが、注意して締め付ければ良さそうです。

また、3極ジャックのほうは、プラグを挿している状態(つまりこれまで外部電源で電圧をかけていた状態)ではトラブルが無かったので、プラスとマイナスが掛かっている2つのピンのみを使用することにして、VL-1300から来た3極プラグをDCプラグに変換するための変換コードとして活用することにしました。こうすればVL-1300は弄らずに済みます。
これで外部電源でも、外に持ち出して電池でも使えます。

webを参考にさせていただいた諸兄、ありがとうございました。

2016年8月10日水曜日

妄想:TR-1300

TR-1300は、
・キャリア発振の10.6985MHz
・水晶発振の8.2-4MHz(水晶3つ)、または8.2-9.2MHzを発振するVFO
・15.5MHzの水晶(水晶4つ)を2逓倍(こちらをVXOで可変)
を混合して50MHz台を得ている。

細かい字が見えない回路図、ブロックダイヤグラムやwebで集めた情報をまとめて、適当に計算してみると、

となる。ただし、これは机上計算なのでご注意。うそかもしれないので。
川崎電波研究所(2017年2月8日追記:残念ながらお辞めになったとの情報がありました。)に水晶を注文して試してみたいところ。どうせ1300で50.110なんて聞かないでしょうし。
ちなみに、VX配線を切断している場合にチャンネルセレクタをVFOの位置にしたら50.085MHzが出るという話は 復古的無線機展示館 トリオ6m機の部屋修理のヒント を参照しました。
水晶の置き換えをした後で、新スプリアス基準に基づく保証認定を受けたいと思っているところですが、JARDで対応してもらえるといいのになあと。

2015年9月16日水曜日

追体験中・TR-1300

TR-1300/VFO-40
TR-1300の話題にやっと入る。

古い無線機を楽しむ流れに溺れている間、何年か前にTR-1300を手に入れていた。

最初の頃に書いたとおり、TR-1300を使う機会に恵まれなかったのだが、このとき初めて触って驚いた。
仕様どおりといえばそのとおりなのだが、シンセサイザ+「常識的な可変範囲のVXO」の組み合わせによる、40年の時を超えても現役使用に耐える周波数安定度は素晴らしい。
この機種の発売当時は、出られる周波数の範囲がウイークポイントだったのだが、それは安定度というストロングポイントとの裏返しで、40年前の日本のアナログ技術はすごいと思う。

惜しいのは、今であれば、1300でDXハンティングなんてことは無いので、周波数の範囲を50.150-50.300くらいに上に50KHzくらいシフトして、ノイズブランカを入り切り(仕様では入りっぱなしで、近所でハイパワーの局が出てくるとガサゴソと辛い)できれば言うことはない。

付属マイクロホンのMC-20は元々持っていた。このマイク、FMで使うとどうにもならない音なのだが、SSBで使うと幾分マシ(筐体の大きさを考えればこれくらいだろう)なもの。
1300本体を手に入れた段階では純正のロッドアンテナを持っていなかった。背面のMコネクタからL字BNCジャックに変換する変換コネクタを付けて、ハムフェアで見つけたサードパーティの50MHz用の短縮コイル付きのロッドアンテナでも使おうかと思っていたところ、ヤフオクで見かけたので購入。
あとはソフトケースでもあればいいな、と思いながらたまにスイッチを入れて、常用しているTR-9300やTS-680Sと並べて楽しんでいた。

VFO-40/TR-1300/VL-1300/MC-20
ハムフェアに行って、クラブのブースを徘徊してたところ、なんとVFO-40を安価に売っているところを発見、後先考えずに購入してしまったのでした。
この年は買い物の意欲があまりなく、重たいものを持って帰ること完全に考えていなかったため、帰路の電車にはとても苦労。

VFO-40が予想外に手に入ってしまったので、あわててVL-1300を探し回ることに。
たまたま売り物があったので逃さず購入して、今はこうして並べて楽しんでいるところです。

TR-1300とVFO-40、そしてVL-1300を接続するには、MT9ピンのプラグと7芯ケーブル(必要最低限の配線なら芯の数はもっと少なくても問題なし。ジャンクのマイク用ケーブルで代用可。)なのだが、ケーブルのほうはともかく、MT9ピンプラグが無くて困った。結局、販売店の在庫を探し回ったり、ヤフオクで出品されるのを待って、必要個数(今回はトータル4つ)そろえることになりました。

1300のVXOの窮屈さがVFO-40によって解決されて、バンドを連続可変させながら聴くことができるのはとても良いです。
しかし、VFOダイヤルをぐるぐる回しながら湧き出てきたのは、ここまでするのなら、再びTS-600を入手したほうが良いのでは?という疑問でした(苦笑)


※2017年9月7日追記
TR-1300とVFO-40の接続について調べてここに行き当たる方がいらっしゃるので大雑把な解説をします。
以下の画像のとおり、MT9プラグのうち最大で8本の端子を使用するので、8芯のマイクケーブルなどを流用してストレート結線してあげれば接続できます。MT9プラグの入手に多少苦労するかもしれませんが、オークションなどに出ています。足元を見て高い値段がついていることがありますが、費用対効果を考えて検討してください。
TR-1300の背面のAUXジャックと、VFO-40の裏側の「A」のMT9ジャックをストレート結線で接続した後、TR-1300のチャンネルセレクタを「VFO」にして、VFO-40のMODEを「A」にすると、VFO-40の周波数インジケータが点灯して使用できます。
(VL-1300も同時に接続する場合は、VL-1300の背面のAUXジャックとVFO-40の「A'」ジャックを接続すれば、VFO-40のMODEを「A」にした状態で、リモートコントロールして送受信できます。)

2015年9月13日日曜日

後年の紆余曲折(RJX-601編)


RJX-601
RJX-601
IC-502が我が家に来る前に、一緒に講習会に通っていた同級生が秋葉原に行って無線機の下見をするというので付き合った際に、初めて実機を見た。
最後期型に近かったので、定価37000円だった頃になる。ラオックスのエスカレーターを2階に上ってすぐの無線機コーナーの一角に箱が積まれていて、確か26800円で売られていた。
見た瞬間、ああ安い、欲しいと思ったのだが、残念ながらお金が無い。
私も下見のつもりだったし、貯金もないし。お年玉が残っていれば後先考えずにこれを買ったんだろうなあと。
その日、結局、同級生はIC-502を買って帰ったのであった。

後年、大人になってからヤフオクで購入。
ソフトケースを探して購入してみたりと、店頭で見かけた当時のことを思い出して楽しんだ。

キャリブレーションを50.0MHzで取る仕様だったので、これは不便と、51.0MHzのFMのメインチャンネルでキャリブレーションを取れるように30MHzを発振する水晶を発注、シールド盤の裏にあったオリジナルの29MHzの水晶と交換して仕様変更した。

次に必要なのはFMのナロー化。抵抗をカット(R14)するロットと、抵抗の値を変更(R80を12kΩから68kΩ)する必要のあるロットがあった。

それからΔf(RIT)の送受連動可変改造。これはΔfのスイッチ付きボリュームを、平時は送受信連動、PULL時は受信のみ可変とする改造。これはwebで「RJX-601 VXO改造」などと検索すると情報があります。

これらの改造をして楽しんでみたものの、1台目の個体はコンデンサが破裂して、破裂したコンデンサと同じ規格のものに置き換えてもショートするようになってしまい、ジャンク化へ。
2台目の個体は…原因を忘れてしまったが動作しない状況になってしまい、新たに入手した3台目もこれらの改造をして楽しんでいたところ、この個体が壊れたらそろそろ潮時なのかなあと思いつつ、置き場所にも困り始めたので、卒業と相成りました。

2015年9月12日土曜日

後年の紆余曲折(IC-502/202編)

だいたい、子供の頃に免許をとったいい大人がそうしているように、ヤフオクやハムフェアで昔欲しかった無線機を手に入れて、レストアして、壊して、というのを繰り返した。
いや、私はまだまだその流れの中から抜け出せていないのだが、ちょっとその流れを書いてみる。
ちょうどIC-502の話になっているのでこの機種から。


IC-502/IC-50L/IC-3PS/IC-SM2
IC-502
かつて使った個体はどこかに無くなってしまい、後年再びヤフオクで求める。
再び触ってみると、手元に無かった時期が長かったため、懐かしく感じた。

しかし、この機種は送受信周波数がだいたい一致していない。RITのセンターを決める基板の半固定ボリュームの位置を調整して、送信周波数を可変してトランシーブできるようにするのである。
隣に別の50MHzの無線機を置いて、そちらで「あー、わんつーわんつー」と送信して、502でゼロインする。このとき502のRITはセンターのクリックのある位置にする。 502でゼロインできたら、今度は502で「あー、わんつーわんつー」と送信して、隣の無線機でゼロインするように、502側のRITの基板の半固定ボリュームを調整用ドライバで操作する手順。

両方の無線機が同一の周波数で送受信しているかな?と判断し、半固定ボリュームに挿していた調整用ドライバを外すと、502の送信周波数が変わるのがご愛嬌で、外したときのズレを見込んで調整するのにちょっとした苦労がある。

そういえば、昔もこの調整をたまにやったよなあ、と思いながら「わんつーわんつー」とやっていると「うるさい」と苦情が入るのは世の常。

そんなこんなで調整が終わる。502単体で使える状態になると、当時使っていたIC-50L(10Wリニアアンプ)、IC-SM2(コンデンサマイク)や、 当時は持っていなかったIC-3PS(スタンドとスピーカー付きの安定化電源)が欲しくなる。そして探し回って、画像のとおりそろえるのである。


IC-202。マイクはトリオMC-30を接続
で、実際にこれでQSOをすると、
周波数は読めない(わかっていた)、
VFOは不安定…ある程度の暖機を行うとVFOが動くのは改善されるのだが、いかんせん周波数を読めないのはつらい(わかっていた)、
「すぽんっ!」で始まる送信音はあまりきれいではない(わかっていた)、
IC-SM2を使っても送信音は良くない(わかっていた)、
などなど、当時の不満を思い出して、それを存分に味わった。


IC-202はVXOだからどうなんだろうと、手に入れて再調整して使ってみた。ところがこのVXOは200KHzと可変範囲が広いためか、周波数安定度とチューニングのクリチカルさは502と変わらなかった。
それらを一つ一つ追体験して卒業、売却と相成りました。

2015年9月11日金曜日

いざ50のSSBへ

50MHzのSSBに出ようと決めた後、気持ちとしてはTR-1300が欲しいと思ったものの、1300のシンセサイザ+VXOで出られる範囲が50.092-.258MHzという狭い範囲。
対してIC-502は1300の1.5Wに比して3Wの出力に加え、CWでも出られて、50-51MHzまでカバーできる。
あと、IC-502はTR-1300に比べると値引きの関係で少し割安だったかもしれない。そんなこんなで、そのうちに父親がIC-502を買ってきてしまった。

買って来ちゃったんだから仕方ないし、目の前で動いて聞こえている50MHzSSBの世界は楽しそうだし、そのうちTR-1300の存在は頭の隅に追いやられてしまう。

そして、IC-502とIC-50Lの組み合わせで開局、当時の流行のタニグチのスイスクワッドと組み合わせて、夜になると、中学生になっていた私は、ろくに勉強もせずに、毎晩のように近隣の中高生とおはなしをしていたのであった。
502のVFOの1MHz幅にも及ぶ可変範囲の広さのせいで周波数の変動に悩むのだが…その代わり、左手を常にダイヤルに沿えてゼロインし続けるテクニックを覚えることは出来た。幸か不幸か。 

2015年9月10日木曜日

50MHzは学生がたくさんOn Airしているバンドだ

70年半ばから後半、アマチュア無線の入門書にはこう書いてあった。
ずばりこう書いてあったかは別として、「50MHzには学生がたくさんいるんだよ」と。

夜な夜な中高生がラグチューしている賑やかなバンドだ、なんて、本や入門系の雑誌にそう書いてあれば、自然と50MHzに興味が出てくる。
次に悩むのはモード、そしてリグ。
SSBか、AM/FMか、という選択肢に悩むのと同時に、SSBなら井上IC-502かトリオTR-1300、AM/FMなら松下RJX-601かNECのCQ-P6300かという悩みがあった。悩みというか、雑誌を見ながら頭の中でどのスイッチをどう動かすとどうなる、という妄想を繰り返し、甲乙を比較してみるという楽しい作業だったのだが。

私が1978年の春から夏にかけて電話級の講習会に通った頃は、既に50MHzはSSBに相当数移行というか、新規開局はSSBで始める人が多かったことから、SSBなら必然的にIC-502かTR-1300のどちらかにしようと考えることになり、毎夜の脳内比較で悶々としたものだった。

ちなみに、NECのCQ-P6500やミズホのピコ6は少し後の世代だし、講習会終了後の時期に出てくるRJX-610の存在を知らず、候補にはなり得なかった。610は1978年8月発売で、どの無線機を買おうか悩んでいる時期はこれより少し前になる。610は50.0-50.5MHzまで周波数カウンタ付きのVFOでSSB/CWで出られるので、あと数か月早く出てくれば一番の候補になったに違いない…