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2025年6月4日水曜日

TR-9300でAMを送信する(続)

何年ぶりのTR-9300でしょう TR-9300でAMを送信する の続きです。

左から、DX-344、元IC-SM2、ノーマルIC-SM2、MC-90


ちょっと基本方針を確認します。

目的はTS-600やTR-9300でのAMの送信で、きれいな音をお届けするのではなく、多少歪んでも、スプラッタをまき散らさない程度の歪で、私の電波が弱かったり、ノイズに埋もれそうになっているときにある程度の了解度をキープすることです。カツミのマイクコンプレッサを使っても良いのですが、少しでもゲインボリュームを開けると歪が大きいので、これは使わずに、できれば無線機本体のマイクゲインの設定とマイクやマイクアンプでなんとかしたい、というものです。

本来であれば、この手のマイク選びではMC-90が候補として筆頭にあがりますが、TS-600にしろ、TR-9300にしろ、骨とう品になりつつある筐体の昔の狭いクリスタルフィルタにマイクアンプ段の組み合わせなので、MC-90を付けても期待したような鮮明な、解像度の高い音にはならないのではと思っています。また、10Wの無線機ですから、AMの場合にTS-590S無印のようにキャリア25W+内蔵スピーチプロセッサを入れて送信できるわけではないので、まずは相手に届かせるというところから考えないと、先方には了解度の低いおとなしい音になってしまいます。

うちのMC-90には台座にエレキットのマイクアンプを入れています。入れるマイクアンプは、もちろん自作の設計の一石程度のアンプでもOKです。これは主にTS-590のFMでの運用を意図して入れました。以前はマイクアンプ用に006Pを内蔵させていたのですが、最近のIC-9700のFM音質迷走の過程で8ピンマイクコネクタ(ケンウッドなら5番)から電源を取るようにしてしまったので、マイクアンプを使いたい場合には4ピンや6ピンの無線機からは電源が取れません。TR-9300は、コンデンサマイクを使えるように、余っているマイク5番ピンに6-7V程度が出て来るように中を配線したので、8ピンジャックを経由して6ピンプラグに変換すれば使えはするんですが。…あれ、9300でMC-90使えるじゃん。

えー、気を取り直して。主題はAMなんです。AMの送信についてつらつら考えてきましたけど、でもまずMC-90にマイクアンプを入れたAMの音を聴いてみたいな。 

で、聴いてみました。TR-9300で送信して、これをTS-590S無印でヘッドフォンを使って聴く方法です。590は同じ無線機机の近くに置いてあるんですが、少し離れているのでせいぜいメータ9つくらいで受信することになり、ヘッドフォンで聴けばハウリングも無くちょうどよさげです。

〇MC-90の音は素直できれいです。最初は台座のマイクアンプ無しでしゃべってみましたが、それだとおとなしくきれいなMC-90らしい音なのですが、やはり物足りません。マイクアンプを入れてみると、マイクのエレメントにゼロ距離でしゃべれば、入力過大気味ゆえの歪が少し出ます。でもこの歪の加減ですが、音の解像度が下がらないのはさすがで、これ使いたいなあと思わせます。AMのときにはもう少し歪ませたいですが、これ以上歪ませないで使いたい気分になります。例えると、MC-90を繋いだTS-950SDXでSSBで送信するときにスピーチプロセッサを軽く入れて少し歪ませたような音みたいな感じです。今回MC-90はIC-9700に繋ぎっぱなしなので、9300での使用は我慢することにします。やっぱりMC-90は良いですねえ。ケンウッドの無線機だと良い音が出るなあと感心します。

〇次に古いアツデンのDX-344を持ち出してきました。これは単一指向性ダイナミックマイクのアンプ入りです。経年劣化でゲインが少なく感じますが、程よい大きさに設定してしゃべってみると、MC-90よりおとなしい音でした。ちょっと物足りないかな。

〇さらに、IC-SM2のECMを取り外し、これを科学教材社の66円のものに変更してある、少し前までTM-833で常用していたマイクを使います。見てくれはIC-SM2なので、ここでは元IC-SM2と呼称します。SSBやFMでは想定どおりのきれいなコンデンサマイクっぽい音です。でも、このマイクはマイクアンプを取り去っているので、AMでもう少し入力を大きくして歪ませたいというのには少し足りません。 (※)科学教材社の66円ECMはマイクのホット、コールド、+電圧の3端子仕様)です。元SM2の台座を開けて、マイクコネクタからの配線を、マイクのホット、コールド、電圧、PTT、PTTのグランドにして、台座とフレキシブルパイプの連絡もECMの3端子化に伴って配線をやりなおしています。インピーダンスマッチングなどは全く考えていませんが、833やTR-50ではそれなりに良い音で使えています。

〇最後に真打、ここで再び入手したノーマルのIC-SM2です。マイクコネクタのピンアサインをケンウッド仕様に変更しただけのオリジナルです。元々のECMもそのまま、アンプもそのまま台座に入っています。

実は、IC-SM2って長年、それこそIC-502で開局した頃から音が悪いと思い込んでいました。IC-502や、202でも良いのですが、これで送信するIC-SM2の音を聴いたことのある人がどれくらい残っているかわかりませんが、 狭い音がしていた記憶がありませんか。そんな印象をそれこそ半世紀近く持ち続けていたんですが、先日、IC-9700にSM2と同じ仕様のIC-SM5を繋いで出てきた友人の声を聴いて、あれ?そんなに悪くないぞ??と思い直すに至りました。そっか、音が悪かったのは主に502のほうに原因があったんだと気づいたのです。それでも、このときに最初に配線だけをケンウッドにして試したときには、良い音だとは思わなかったんだよなあ。502のときの先入観があったんですかね。

今回またIC-SM2を入手し、ケンウッド配線にして使ってみたんですけど、AMの場合、台座の中のアンプのボリュームを軽く開けた状態で程よい歪を伴った声が聴こえます。もっとボリュームを開けるとすぐに下品方向に変わりますが、マイクアンプを軽く使うくらいならOKでしょう。マイクから口を離せばさらに下品さは軽減できます。SSBやFMでも普通に使える音です。MC-90のようにきれいな解像度の高い音質とは違いますが、そうですね、アドニスのコンプレッションマイクのゲインがある音や、最近のアイコムのSM30などの音がイメージに近いでしょうか。アドニスやSM30も軽く使えば同じなんでしょうね。上品ではありませんが、全体的に圧が出るような感じの音です。また、カツミのマイクコンプレッサを無線機とマイクの間に繋ぐよりもコンパクトで良いです。 

というわけで、送信音が貧弱な昔の無線機にトークパワーが欲しいときに使えるマイクとしてノーマルIC-SM2をしばらく使ってみようかと思います。TS-600では別に電源を引かないと使えないので、9300でのアプローチ悪あがきですね。アスタティックのロードデビルの高音域強調とは違う方向の音質ですが、私の電波の弱いときに了解度維持の助けになるでしょうか。 乞うご期待。

これを書きながら、科学教材社の2端子タイプのECM(53円!)を見つけてしまったので、これをノーマルIC-SM2に付けてみたいなと思い始めてしまった…

2025年6月2日月曜日

TR-9300でAMを送信する

何年ぶりのTR-9300でしょう の続きです。

TS-600の修理と調整をしてEsシーズンに入ったのは良かったのですが、新たな不具合が。送信中にAFが動き続けていて、自分のしゃべる声がスピーカーから聴こえるようになっちゃいました。体の良いモニタ機能と考えるのも良いのですが、しばし600はお休み。

TS-590無印でも良いのですが、どうも新しい無線機では楽しくないので、TR-9300の出番になります。この9300は、マイクのエレメントを科学教材社の66円のECMに変更してあります。インピーダンスマッチングとかは全く考えずに、マイク配線に直結して、別途電源を引いているだけなのですが、純正のダイナミックマイクMC-40S(MC-43Sと同じ)の尖った音とは違って、マイルドで深い変調がかかっているようで気に入っています。

とはいえ、AMで送信することを考えると、もう少し考える必要があるかなとあれこれ始めました。まず、AM時の出力ですが、仕様では3Wとあります。この個体を実測してみると4Wを指します。そして、変調をかけてみるとRFメーターはしゃべりの大きさに応じて振れるのですが、パワー計や電流計をみると変調がかかるごとに数値が下がります。いわゆるマイナス変調ってやつです。もう少しキャリアを減らして、変調がかかるとそれに応じてパワーが出るようにしたいところです。 

上側の蓋を開けて、奥側のドライブユニットを触ってみます。こちら(とてもありがたい) によれば、AMのキャリア調整はVR7、マイクゲイン調整はVR6です。


うちの個体では、変調をかけても電流が下がらない設定は、

〇TR-9300単体で使う場合 キャリア2W、変調をかけて2.5Wくらいか。せいぜいキャリア2.5Wの変調時3Wくらいまで。M57735でこんな感じですから、RJX-601の2SC1306で3Wはやりすぎですね。 

〇HL-66Vを繋ぐ場合 キャリア0.5W、変調時に1.5Wまでに留めると電流は下がらず、この場合66Vの出力はキャリア10Wで変調時15W

でした。 低電力変調だとこんな感じなんでしょうかね。キャリア調整と合わせてマイクゲイン調整をしました。もうちょっと深くしたいとまわしていたら、開く方向に回し切った状態になっています。歪んでいないのでまあ良いでしょう。

いつもリニアの電源を入れっぱなしということでもないので、キャリアを2.5Wくらいにしておきます。この状態だとHL-66Vを通すとキャリア30Wになりますが、しゃべると電流が減って、いわゆるマイナス変調になります。でも仕方ないということにします。

この状態でS7つくらいで入感している局を呼んでみたのですが、クリアだというレポートをもらいました。 本当は友人と長時間シビアにあーでもないこーでもないと調整したいところですが、50のAMが強くもなく弱くもない感じで程よく届く友人がいないので、機会に恵まれません。至近距離の友人にATTとRFゲインを絞って聴いてもらうのも良いんですが、程よく弱いところをノイズ交じりで聴いて欲しいんですよね。難しいです。

あとは、もう少しゲインが高いマイクを使ってみたいと思っています。カツミのマイクコンプレッサーを出してくるのも良いのですが、コンプレッションのゲインを上げると簡単に歪むし、かといってゲインを下げると音が出なくなったりと難しいです。これを使うと簡単に実現できるハイパワー市民ラジオの音は、近くでモニタするとひどいものですが、あれ、実際に遠いところの局が何を言っているのかはよくわかるので、受信状況が悪いときには効果があるんだよなあと関心します。もちろん彼らは出力も大きいんでしょうけれど。エコーも効果的ですよね。アマチュアバンドでやると下品になるので考えものではあります。でもたまにエコーを利かせている人っていますよね。

「マイナス変調」って実践的にはどの程度OKなんでしょう。変調をかけるごとに盛大に電流が下がり、受信側のSメーターもパワーが食われるがごとく下がるという状況があるにしても、了解度が下がらない信号であれば、カッコは悪いですがアリなのかなとも思っています。

送信側では変調時に電流が下がって「マイナス変調だな」と思っていても、受信側ではちゃんと変調に応じてSメーターが数値の大きいほうに振れている場合もあるでしょう。これも結局、実際に受信してもらわないとわからないんだよなあ。 

2025年5月9日金曜日

TS-600その3

TS-600を愛でる。TS-600その2に続き、 TS-600のおはなしを続けます。

現在我が家にある個体は私が使う割りにはけっこう手を入れてます。

(1)電源ユニットのチューブラコンデンサ交換

AMで送信するとハムが乗るんです。まるでFT-620Bみたいと笑ったのですが、笑ってもいられず、とりあえず電源ユニットのコンデンサを全交換しました。チューブラで大容量だったからけっこう高かったんだよな。でも改善していません。いろいろと調べてみると、マイクのラインの引き回しに難があって、これが電源ユニット近くを通っているせいでハムが乗るという話がありました。多芯のシールドケーブルを友人にもらったので、そのうちにマイクラインの引き回しを変えてみようかと思っています。思っているだけでなかなか着手に至りません。

とりあえずはACでは使わず、DCで使うと幾分改善します。 でも、DCで使う場合でも、電源ユニットから何ボルトかを取り出して使っていて通電しないわけではないので、改善が幾分でしかないのは納得できます。

(2)GENユニットのマイクアンプ部のコンデンサとトランジスタ交換

600の送信音ってイマイチなんですよね。たまに600で出ている人がいますが、狭い固い音です。良い音とは感じられません。10.7のクリスタルフィルタ、YF107Sは600以外ではTR-1300でも使われているのですが、1300はMC-90で喋ると好評だったんですけど、600で同じことをやってもあんまり反応がありません。

うちの600の個体の問題かと思い、マイクアンプ段のコンデンサとトランジスタを交換してみたんですが、結果が変わりません。YF107Sが劣化していることも考えられますが、600の別個体も同じように送信音はイマイチだったので、600はこんなもんなのかもしれませんね。そのうちYF107Sを交換してみたいと思うんですが、出品されている値付けが高くて躊躇します。

(3)VFOサブスケール裏とSメーター裏の電球が切れちゃったので交換

古い無線機は電球で照らされる照明が美しいです。特にTS-700/GIIや600の照明は本体のデザインも相まって、透過式の照明が美しいです。しかし、電球ですから、切れちゃうこともあります。古い無線機の電球式の照明が切れた状態ってとても悲しいです。

うちの600もVFOサブスケール裏とSメーター裏の照明が立て続けに切れちゃいました。切れた電球を外してみると、スタンレーの自動車用の12Vの電球と同じ大きさのものであることがわかりました。全く同じ規格のものは見つけられませんでしたが、モノタロウで適当に探すと少し消費電力が少ない電球があったので注文、交換しています。スタンレーじゃなくても小糸でも何でも良いんですけどね。

 

この画像はSメーター裏の電球を引き抜いて外したときのもの。電球がゴムのカバーに包まれていて、後ろからリードが出ています。電球とゴムカバーと一体だと面倒だなと思いつつ、ゴムカバーから電球を外してみたら外れました。接着はされていませんでした。なので、同じようにリードを半田付けしてカバーにはめ込んで終了です。ただし、純正の電球は白いものです。購入したスタンレーは裸電球なので、少し色味が変わります。こんな感じです。


ピントがあっていませんが、雰囲気はわかるでしょうか。元々の状態よりもSメーター照明は明るくなっています。画像でみたイメージどおりです。交換直後は「以前より明るいな」と思いますが、すぐに慣れます。

最初、電球色のLEDに置き換えようと思って試してみたんですが、電球色であっても、実際に透過させて光らせてみると、電球に比べて色が青く出るのでイマイチです。やはりフィラメントの暖かい光がマッチします。

(4)固定チャンネル水晶をアロー電子で作って、51.00、50.49、50.55に一発でQSYできるようにした 

実際には一発ではなく、50.200USBの状態から、固定チャンネルの水晶スロットの1番目に入れている51.00にQSYするには、

①固定チャンネルダイヤルを「1(5*.00用)」にする

②バンドスイッチを「51」にする

③DRIVEツマミで受信最良点(送信が伴うなら送信最良点)に調整する

④モードスイッチをFMにする

が必要です。今のPLLの無線機に比べると時間がかかりますね。



これはもう見ただけになりますが、取説画像のとおり、一番奥の水晶スロットは配線がなく、奥から2番目から1ch、2ch…になります。

 

余談です。

このバンドと固定チャンネルのツマミですが、Action☆HandyシリーズのTR-1300、2200GII、3200のチャンネルツマミと同じものです。描かれている数値や色は違いますが、同じものです。2022年の暮れに眺めていたらやっと気づきました。

この画像は上が600のバンドツマミ、下がTR-3200のチャンネルツマミです。


 

<参考資料>TS-600取扱説明書

ケンウッド公式からダウンロードできるTS-600の取説です。解像度の高い回路図付きのpdfファイルです。ありがたく拝見しましょう。

2025年5月8日木曜日

TS-600その2

TS-600を愛でる。の続きになるのかな、けっこう時間が経ちましたが、その後Xに書き連ねたTS-600の与太話をまとめました。

○AMのときには送受信の周波数が一致せず、受信周波数に対して送信周波数が600Hz下になるのが仕様であること

SSBやCWでは許されないことですが、AMではこうなっています。取説にもちゃんと書いてあります。

600同士がAMでQSOする場合は、このように相手にVFOダイヤルで合わせるとゼロイン合戦で永遠に600Hzずつ送受信の度に動き続けてしまうというおはなしです。だったら、RITツマミに「AM時はここに合わせるとゼロインだよ」という印(印を付ける案は友人談)を11時くらいに付けてくれれば解決します。当時のトリオ開発陣に提案したいですね。

TS-590と鳴き合わせるとこんな感じになりました。うちの個体だと11時です。


○TS-600の電源スイッチから右への横並びのスイッチの一番右隅は「R-DX」だが、輸出版はここがCALスイッチであること

並んでいる一番右のR-DXスイッチをONにするとプリアンプが動作し、ノイズが増えますw。長年これが当たり前だと思っていたのですが、輸出版の「KENWOOD TS-600」はこの位置が「CAL」になっています。600を国内に出す際に、日本の6mマンは目を三角にしてプリアンプを使うだろうという予想をしたのでしょうか。反対に海外では、聴こえないならボリュームを大きくすれば良いだろうということだったんでしょうか。

キャリブレーションですが、国内仕様はスケルチツマミをゼロ位置にするとクリックがあって、このクリックでリレーがカチンと動いてマーカーがONになってダイヤルを校正できます。うちの個体はリレーの動きが悪くてCALを切った後に電波が出なくなったりしてするので、その場合はカチカチやって復旧するのですが、それはさておき、輸出版はR-DXの位置のスイッチでこれをやるんですね。

ところが、そのRigPixのTS-600のページからリンクされているpdfの英語版サービスマニュアル(このリンクうれしい)をみると、並んでいるスイッチのユニット「スイッチユニット」の一番隅のS6が「CAL」ではなく「R-DX SW」になっていて、???となります。

英語を読める国でも仕向け地によってはR-DXになっている場合があるのかな。私はこれ、英語版サービスマニュアル作成の際に国内仕様のサービスマニュアルを単純にコピーしたので、画像が国内版のスイッチユニット基板になっちゃってるという想像をしているところです。

 

以降は余談です。

ところでこのスイッチユニットの一番右ですが、国内版の600はR-DXでした。TS-700(初期)はというと「SPOT」という謎機能です。

謎機能の解説を拡大すると「7. SPOTスイッチ このスイッチのみは、ノンロックタイプで、SSB送信のみに使用します。 SSBの送信時、このスイッチを上側に保持するとキャリア(搬送波)が発射されますので、交信相手にゼロビートを取ってもらうことにより、SSBの周波数同期ができます。」とありました。スイッチを下から摘まみ上げるときだけ動作するんですね。

でも、単にゼロインするだけなら受信音を聴けば良いわけだし、SSBでキャリアレベルでゼロビートを取る目的ってなんだったんだろう。モードスイッチを触らずに送信中に口笛の代わりにキャリアを送信するのって、SWRを測るシチュでは便利そうです。それなら悪くないですね。Belcom LINER2にもスイッチを押してキャリアを出す機能がありました。当時は何か目的があったのかな。

国内仕様の後継のTS-700GIIは、この機能の代わりにFMのナロー化対応のための「WIDE/NARROW」の切り替えになっています。

ちなみに輸出モデルを調べたら、「KENWOOD TS-700」、「TS-700A」や「TS-700G」では、このスイッチは「TONE」でした。レピータ対応ですね。 

さらに余談ですが、TS-600ではR-DXであるこの位置のスイッチ、TS-700GIIの次のTS-700SでようやくR-DXになりました。大混雑の2mでも飽和しないプリアンプが実現したんでしょうね。

2025年4月2日水曜日

FT-690mk2とTR-9300のモード変更時の現在周波数の違い

690mk2は純正リニアをつけて、9300はそのまま車に乗せてオンエア可能ということで、両機を比較したことがある方はいらっしゃると思います。  そんなライバルの両機なのですが、

FT-690mk2の項で触れるのを忘れて時間が経ってしまった内容で、

FT-690mk2は、モードボタンでUSB→LSB→CW→FM(変更は一方向)にした後、再びUSBにすると、モードが変わるごとにモード毎のステップの切りの良い00.0kHzに桁合わせが行われるので、SSBのQSO中に誤ってモード変更をするとゼロインしていた元の周波数に戻れません。

例えば50.215.5USBでQSOしている最中にモードボタンを押すと、LSB、CWの順にモードが変わります。モードが変わることについては、遡ることはできません。Fボタンと同時押しで戻れるなんてことができれば良いのですが、Fボタン+モードではNBのオンオフの切り替えになります。問題はFMモードを通過すると、FMモードの最小可変周波数は2.5kHzなので、その単位で桁合わせされてしまいます。50.215.0になるのか、50.217.5になるのかは覚えていないのですが、どちらかに寄せられてしまい、再びUSBに戻っても周波数はそのままで元の周波数ではないため、相手が行方不明(これ、相手から見て、私のほうが勝手に行方不明になっているだけですね)になります。FT-690mk2取扱説明書にはこの挙動のことまでは書いてありません。

この挙動、初めてQSO中にモードボタンを押して(押すなよw)経験したことで、びっくりしたものでした。

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TR-9300は、モード毎に周波数をモード毎の最小端数を覚えているので、ロータリースイッチでパチンとUSBからFMに行ってまたUSBに戻っても、元の周波数に戻れます。
USB/CWだと50.215.5のとき、AMにすると50.215(.0)、FMにすると50.21(0.0)になります。そのままメインダイヤルを触らずに再びUSBにすると50.215.5に戻れます。 AMにしたときに50.216にすると、USBに戻ったときは50.216.5になります。FMのときに50.22にすると、USBには50.220.5で戻ります。 モード毎の最小端数を覚えている仕様です。 

その程度の「覚えている」内容ですが、モードを切り替えて戻ってきたとき(イレギュラーな操作ですけど)に行方不明にならないように、そのモードの最小値を覚えているようです。
USBで受信中に他のモードに切り替えて戻すなんて変なことを、どれだけの人かやるかわかりませんが、私はやる方の人でw、そんなイレギュラーな操作のフールプルーフを念頭に置いたロジックを考えた設計者はすごいと思います。これもTR-9300取扱説明書には書かれてはいません。

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このあたりの細かい話ですが、21世紀に入ってから中古を安価で入手して弄りまくって理解した操作ですけど、発売当時の新製品のときに、雑誌記事にそのあたりまでしっかり書いてあって、それを読む機会があれば良いんですけどね。あとは販売店や人柱のローカルから弄らせてもらって気付くしかないんだよなあ。私はこういうのは調べずに買う口だったりするので、望まない挙動に直面して真っ青という可能性は高かったと思います。

いや、不必要なボタンはQSO中に押すもんじゃないというのはごもっともですね。

※例示の周波数を修正しました。

2025年3月28日金曜日

何年ぶりのTR-9300でしょう

久しぶりにTR-9300を触っています。

50MHzで全てのモードに出られて、周波数が読めて、それなりにコンパクトなのは良いですね。ハンディ機ではないので肩から下げて運用というのには無理がありますが、出先で自動車の中から簡易に運用ができるのは良いです。


トリオでは、最初のPLLオールモード機としてTS-770が1979年に出ています。それ以前にあったアイコムのPLL機のIC-710、221、同じ50MHzではIC-551がありましたが、それらはSSB時には100Hzステップでした。それらとは違い、TS-770はSSB時に20Hzステップでチューニングが取れるので、ほぼアナログVFOと同じ感覚でゼロインができました。同じようにしてくれればよかったのですが、コストダウンでしょうか、モービル運用時はこれくらいで良いだろうという割り切りでしょうか、TR-9000シリーズは100Hzステップと簡略化されてしまっているので、SSBでは相手にちゃんとゼロインすることができません。 そのまたすぐ後に八重洲から出てきたTR-9000シリーズと同じコンセプトのFT-280/680/780シリーズは10Hzステップだったので、TR-9000シリーズは中途半端な感じがしたものでした。

これまでTR-9000シリーズは

○TR-9000G:20年近く前、無線機の数を減らした頃に144を聴いてみたくなって入手、しかし、スルーホール基板の劣化による不具合で実用にはならず。9000Gは何個体か試しましたが、直してもスルーホール基板の劣化でダメになります。

○TR-9500:430のSSBに出てみようと昨年入手。経年でけっこうQRHがあったり、周波数を校正するにも手間がかかりそうでこれはダメだなあと手放す。その後TR-851Dを再び手に入れる。だったら最初から851にすべきですねw

○TR-9300:これも20年近く前に、車で使えそうな50のオールモード機が欲しくなって入手。旅行に一度持ち出した後だったか、役目を終えた感もあり、ローカルに買ってもらった記憶が。

といった感じで、手に入れたものの手放しています。特に9300の場合はSSBの選局のしにくさと100Hzステップがネックでした。

去年、webでTR-9300のRITを送信時も有効にする記事(※)を見つけ、RITのVXO化ができればSSBでもゼロインできるよなあ、いいなあと触発を受けて、適当な個体を入手、マネをしてみたのが我が家の9300です。

(※)「TR-9300 RIT改造FINEチューニング化」などのキーで検索してみてください。ありがたいご教示にたどり着けると思います。

無事、送信時にもRITが有効になって、送信周波数も動かせるようになっています。SSB時の選局のしにくさは仕様なので解決できませんが、そのあたりは無線機に合わせるということで楽しんでます。

この個体を持って私の開局から2年目3年目あたりにタイムリープできれば、オールモードに出られるし、SSBでゼロインできるし、周波数も読めるので、夜な夜なラグチューにばっちりだなって思います。筐体も固定機とは違ってコンパクトだし、勉強机の近くに置くのも良さそうです

当時、IC-502で読めないダイヤルを頼りに同級生と待ち合わせるにしても、みんな502で読めないダイヤルなので、こちらがちゃんとしたアナログの固定機で待ち合わせ周波数どんぴしゃを聴いているだけでは気づけなかったりします。そんなとき、9300のDSボタンを押してワッチすれば10kHz幅でスキャンできるし、さらにノイズブランカを入れておけば強い信号でガサゴソいうのでさらに分かりやすいです。と、書きつつも、TS-600のノイズブランカも近隣周波数の強い信号でガサゴソ賑やかになるので、ノイズブランカでワッチなら600の方が得意?ですねw FT-620、620Bや625はこの辺りどうだったんだろう。9300の優位はタイムリープしないと証明できませんね。

 

こちらの動画は先日FK4(ニューカレドニアはFK「8」だけじゃないんですね)が聴こえていたので動画をば。ノイズがけっこうあるので、高い音で聴きやすく微調整して受信中。これだけのことなら無改造のRITでできますね。

あと、うちのTR-9300は、MC-43Sのダイナミックマイクエレメントをエレクトレットコンデンサマイクに変更して使っています。MC-43Sはゲインがあって元気でいいんですが、音が悪いので、少しでもマトモな音にということで。9000シリーズの6ピンのマイク配線は+8Vが来ていないので、使っていない5番ピンに適当なところから取って電源を入れています。

9000シリーズ付属の6ピンマイクMC-40Sの場合、マイクコネクタとマイク本体の間のケーブルが必要最低限の(マイクホット、PTT、UP、DWN、アース)の5本しか入っていないので、科学教材社ECMのように3端子のもの使う場合には、電源用ケーブルをカールケーブルに沿わせて別配線するしかありません。(※UPだかDOWNから電源を取る方法があるとのことです(未検証)。)マイクのホットと電圧が重畳される前提の2端子のECMユニットを使うなら、コネクタ側でマイクのホットの電源を重畳する方法は考えられますね。

もし、ジャンク箱の中に8ピンのMC-43Sが転がっていれば、マイクの筐体を開いてよくみるとなぜか1本余っている配線があるので、その配線を電源用として使えば、音が悪いので使われずに転がっているMC-43Sを活用できます。 あとはコネクタを6ピンに配線するだけ。使う配線も6本なので問題ありません。MC-43Sの配線を余らせているってことは、ケンウッドはMC-43Sの筐体でコンデンサマイク仕様を出す気があったのでしょうか。

2024年5月15日水曜日

そして令和6年のFT-690mk2です。(続き)

周波数を読める50MHzハンディ機!の続きです。

ここからはノウハウ編ですね。

FT-690mk2を手元に置くにあたりあったほうが良いもの

本体(当然ですね)

この機種は電池ボックスの出来がイマイチで、電池の出し入れに伴う開閉を繰り返すとプラスチックのフレームが割れます。そんな電池ボックスですが、あったほうが良いです。

メタル8ピンのマイク、八重洲純正には拘らない

純正のダイナミックマイクは音が良いのか悪いのかわかりません。690mk2のマイクメタル8ピンコネクタの2番には+5Vが来てるので、ここはエレクトレットコンデンサマイクを使いたいところです。変換コネクタを作ってケンウッドのコンデンサマイクかな。

 

上の画像では変換コネクタ経由でMC-90を繋いでます。小さい無線機にリニア+MC-90って好きです。 

フロントパネルのBNCジャックに取り付けるアンテナ

BNCの50MHz用の短縮ロッドアンテナです。これが無いとさびしいですね。本体に一緒に付いてこないなら探すのが難しそうな気がしますが、実は現行品のサガ電子のSUPER ROD-2があるので、妄想する屋外での運用は夢のままには終わりません。

リニアアンプ

自宅でゆっくり運用するときのためにリニアはあったほうが良いです。電池ボックスを外してその代わりに後ろ側に取り付ける10Wリニアアンプ、FL-6020がありますが、私はこれではなく、HL-66Vを使っています。2Wで押しても20-30W出ますし。

当然ながら、HL-66Vなど汎用のリニアを使う場合は、フロントパネルのBNCジャックからの出力をリニアに持っていくので、両端がBNCプラグとMコネのプラグの中継ケーブルが必要です。

HL-66Vの場合は、リモートコントロール端子に送信時に+3~9Vを加えると連動できるピンがある(よくある送信時にアースに落ちるピンもありますが、今回はTXBを簡単に取り出せるので)ので、690mk2のTXB端子(上側蓋を開けると奥に純正リニアコントロール用の端子があって、その真ん中がTXB)を伸ばして、トーンエンコーダ用の穴から電池ボックスを通して後ろ側に伸ばしたところにミニジャックを付けて、これ経由でコントロールすることにしました。

690mk2のTXBは13.8Vなので、何か負荷を入れて電圧を下げたほうが良いです。私の場合はムギ球代替品の電球色LEDを入れていて、閉じられた電池ボックスの中で無駄に光っています。

 ※電池ボックスの中はサビサビのガリガリなので撮影を省略しました。

こうすると、電池ボックスを外したり、中を触れないのでは?と思うところですが、一度このように配線した後は、電池ボックスを外すことはありません。

じゃ、電池運用の場合はどうするのかというと、電池ボックスのDCジャックは生かしてあるので、普段は安定化電源からDCジャック経由で690mk2への電源供給をし、電池運用時はこのように外付け電池ケースに単三エネループ10本12Vを装填して、これをDCジャックに繋いで使います。
外部電池ケース採用案はニャンダース氏よりお知恵をいただいてます。これで心置きなく単二電池用の部品を取り去って、このような使用法に至ることができました。

電池ボックスのDCジャックですが、センターマイナスなので注意してください。どうせ改造するならセンタープラスに変更するのもアリですが、私の場合は安定化電源用のプラグや外付け電池ケースはセンターマイナスになるように配線しました。

肩掛けベルト

手芸屋さんに売っている平らなベルトや留め具を使っても良いと思ってます。私の場合は、かつてRJX-601のために買った手芸屋さんベルトを流用する予定です。


【FT-690mk2のクラリファイヤについて】

この機種はSSB/CW時には最小25Hzステップなので、ほぼゼロインできます。なのでゼロインのためにクラリファイヤを使う必要はないと思っています。また、ズレた相手局を追いかけるためにクラリファイヤを使う場合がありますが、私の場合、習慣的にこれがないんです。IC-502でデビューして以来、ダイレクトにダイヤルで追いかける癖がついてしまっているので、クラリファイヤを使うことはほぼありません。

で、この690mk2のクラリファイヤは仕様上常時ONになっています。つまり、誤ってクラリファイヤつまみがセンター以外の位置にある状態だと、送受信アントランシーブになってしまいます。クラリファイヤのON/OFFができれば良いのですが、その機能はありません。また、このクラリファイヤつまみのセンタークリックが柔らかく、知らないうちにセンターから外れていることもあります。なんで、八重洲はつまみを引くとONとか、もう一手間かけなかったのかなと。

さらに続けますがw、このクラリファイヤつまみですけど、回そうと力を入れるだけで周波数が動きます。(690mk2から音楽を流して、隣の無線機でゼロインして、隣の無線機で音楽を流して、690mk2で音楽がちゃんと聴けるかという方法の)送受信鳴き合わせチェックのときにわかりました。なんかイヤな感じです。クラリファイヤのON/OFFがスイッチでできれば気にしないのですが、常時入った状態でズレる可能性があるというのは、古い無線機だからということをさし置いてもちょっと困ります。

私の場合はこれがイヤで、本体底面の蓋を開けてアクセスするPLL/PAユニット基板のJ05を抜いて、クラリファイヤつまみへの配線を外しました。クラリファイヤの機能は無くなりますが、このつまみが原因でアントランシーブになるのはもっとイヤなので、これでとりあえずの対策としています。

テクニカルサプリメント(mods.dkにFT-690R2のものがあります)にPLL/PAユニットの回路図などが出ているので、ご興味の向きはどうぞ。

PLL/PAユニットの裏側にアクセスして、送信時もクラリファイヤつまみが生きるようにできれば、送受信周波数ともにつまみ位置とともに動くからOKと思ったのですが、不器用なので、寄木細工のように入れられている基板を外して、その裏側へのアクセスの過程で壊す可能性が高いのでやめました。

2024年5月18日追記 コネクタをまた挿して、クラリファイヤ機能を復活させました。送信してると熱で周波数がズレて、お互いに周波数を合わせあってるうちに、これクラリファイヤ使ったほうが良いのでは?と思い至り、復活です。

2024年5月14日火曜日

周波数を読める50MHzハンディ機!

6mハンディ機のないものねだり集 に書きましたが、私の世代が知る50MHzハンディ機に関する印象はこんな感じです。

水晶発振の場合は周波数を読めますが、VFOの場合は大雑把な目盛を参考に勘を鍛えるしかないですし、VXOの場合はVFOよりはマシなものの、それでも目分量でVXOダイヤルを回して選局することになります。

1978年にRJX-610が発売されて、ハンディ機としては初めてデジタル表示で周波数を読めるようになりましたが、この当時は50MHzSSBの平日の夜は混雑して、私が住んでいた1305市付近では50.600以上の周波数でようやく安住の地を見つけるのが通例でした。なので、RJX-610では役者が不足していたんですね。

この頃のわたくしは、自分の部屋におさがりのIC-502を持ち込んで、窓際に1/4λのホイップをガムテープで留めて、中学校の同級生や市内の高校生と夜な夜な喋っていたものでした。502は50MHz台の1MHz幅をフルカバーしていたので、上のほうで待ち合わせをする場合でも追いかけられたんですね。しかし、周波数を読めないので、「50.580で待ち合わせだよ」と言われても自力ではそこに行けないので、前の晩にラグチューしたままの周波数でダイヤルをいじらずに翌晩待ち合わせなんてこともありました。仲間の一人がIS(インターバルシグナル)代わりに音楽を流して、ゼロインして聴きながら待つなんてこともありました。そんな頃、502のダイヤルを眺めて、周波数を読めると楽なんだけどなあと思ったものです。

その数年後、昭和57年の暮れあたりかな、近所の高校生にIC-505を貸してもらったことがあります。PLLのデジタル表示でAM以外は出られる、505の場合は電源があれば10W出るしとすごいなと思ったものです。でも、IC-551と同じで、SSB時の周波数ステップが最小でも100Hzなので、ゼロインもできないし、肝心の無線機としての機能はまだまだと思ったものでした。

で、FT-690mk2です。


この機種、正直なところノーマークでした。大学時代に中学の同級生(この同級生が中学と大学の同級生だったりするんですが)の家に行くとこれがあって、小さいし、周波数は読めるし、SSB以外のモードも出られるし、周波数ステップの切り替えが面倒そうだけど、中学の頃にこういうのがあればなあと思いました。でも、そのころは430MHzFMでラグチューしたり、車に無線機を積んで走り回ったりと無線がからんでも別の興味に移っていたので、欲しいというところまでの熱意は湧きませんでした。

余談ですが、この同級生、ピコ6のオプションを集めてセットにしておかもちのようなラックに収納してみたり、430出ようよと誘ったことがありましたが、それに応じてマランツのC4800を買ってみたり、ハンディトーキー型のハンディ機を何台も持っていたりと、小さい無線機が好きでした。少し前だったらFT-817や818、今だったらIC-705を嬉々として使ってるんだろうなと想像しています。元気かな。

話は690mk2にもどりますが、就職した後、平成に入った後あたりでしょうか、何かのついでに秋葉原のロケットの店頭で見かけて、この機種買っておいた方が良いかなあなんて思いつつも、歩き出したらもう忘れてといった具合で、令和6年の今まで忘れていた存在でした。

長年、IC-502、TR-1300やRJX-601のように、周波数が読めない無線機に興味が行っていたので、肩掛けスタイルのハンディ機で、現代においても実用になるのってあるのかなと興味を持ち、少し調べてみると、

IC-505(FM/SSB/CW)

FT-690(FM/AM/SSB/CW)

FT-690mk2(FM/SSB/CW)

といった機種が浮かびます。505や690無印はSSB時の最小ステップが100Hzなのでイマイチです。反面、690無印の場合はAMにも出ることができます。690mk2の場合はSSB時25Hzステップなので、これなら使えそうということで探してみることにしました。

リニアアンプFL-6020とセットだったりセットじゃなかったり色々ですが、1万円以下で入手できるんですね、面白がって触ってみるくらいならお手頃です。

 

続きます。

2024年4月16日火曜日

6mハンディ機のないものねだり集

私の場合、電話級をとった前後、いちばん無線機を触っていた時期に目の前にあったのがIC-502でした。

ご存じのとおり、502は周波数が読めなくて、温まるまでの間はQRHが大きいという印象の無線機です。これを触りながら、周波数を読めたらずいぶん違うんだけどなと思ったものでした。

そこで、記憶と少しのインターネット上の調査をもとに、私が知っている範囲の6mハンディ機のないものねだり集というのを書いてみました。

---TR-1100B以前は省略

TR-1200 FMでスケルチが使えない、52.5MHzより上に出られない
RJX-601 周波数を読めない、キャリブレが50.0MHzで、51のメインがわからない
IC-502 周波数を読めない(より深刻)上、QRHが大きい

---ここまで周波数を読めない

TR-1300 VFO-40なしでは50.258までしか出られない
RJX-610 デジタル表示だけどQRHが大きい

---PLL化以降

IC-505 SSBが100Hzステップでゼロインできない、AMモードが無くなったBFO入りでしか聴けない、FMがオプション(505はIC-551と違ってA3Hも無くなっちゃったんですね)
FT-690 SSBが100Hzステップでゼロインできない
FT-690mk2 SSBが25Hzステップになったものの、AMモードが無くなった

---以降、いきなりFT-817に至る


※CQ-Pシリーズとピコシリーズは除外してます。

〇CQ-P6300はTR-1200やRJX-601の販売時期に出ていたので、購入する際の比較に挙がったと思うのですが、他の6400(アナログVFOでAM/水晶発振でFM)と6500(アナログVXO、CW/SSB)はそれぞれの機構の旬から遅れていたので、特別この機種が好きという理由がないと買う人はいなかったのかなと。ツクモの広告には安い値段でよく出てましたよね。私は6400の値段をみて欲しいと思いつつも、やっぱり古いんだよなあと思って食指が伸びないよう抑えていました。

〇ミズホのピコシリーズはまた一般的なハンディ機の購入動機とは違うかなと。キットを作ってみたいとか、高田先生のファン(私もそうですけどね)に訴えるものがあって、長期にわたり販売されてました。 ピコシリーズの場合は「ないものねだり」ではなく、自分でなんとかする、または、これはこういうものだと割り切る向きが多かったのではと。

2023年4月3日月曜日

TS-600を愛でる。

開局前に50MHzのSWLを始めたのは、1978年の春あたりから。

その当時、50MHzのSSBで良く使われていたのは、圧倒的にIC-502で、たまにTR-1300、FT-620/Bの人がいて、ちょっとDXっぽい人はTS-600でした。同じ年にFT-625Dの発売があって、600から625に移る人が多かったという印象がありました。IC-501やLINER6の人はレアでした。
我が家の場合、この年の春ごろに父親が突然IC-502とIC-50Lを買ってきて、当初は144の5/8λのGPに繋いだもののあんまりよく聴こえないので、日本RAKのハンディダイポールにしたり、当時流行のタニグチエンジニアリングのSQ-61をあげたりしたのですが、やはり周波数を読めないのがネックで、父親の好みでFT-625Dの導入に至りました。ここにTS-600が割り込む余地はなかったようです。

同年秋に開局した私は、625導入後におさがりのIC-502を自分の部屋に持ち込んで、勉強もせずに夜な夜なローカルの高校生と無駄話をしたものでした。

枕が長いのですが、本題のTS-600です。

TS-600は、CW/LSB/USB/AM/FMと4モードに出られる最初の本当の「オールモード機」でした。HF機と同じく1kHzまで読める安定したVFO、聴きやすい音、強力な内蔵LPFといった強みはあったのの、78年当時では既に機能的に古くなっています。スプリット運用もできず、AGCの切り替えもできません。51.00のFMメインチャンネルQSYも、スイッチ一つでできる後発のFT-625Dに比べると古さは否めません。

でも、開局前の憧れの無線機だったんですね。76年にTS-600が発売されて少しした頃に、トリオにカタログと回路図を請求(注)して、送られてきたカラー印刷のカタログを毎日のように眺めていました。TS-600はCQ誌やラ製の広告にも載ることはあったのですが、いつも600だけがクローズアップされているわけではないので、眺めるにはカタログに勝るものはなかったんですね。その当時住んでいたところには近所にハムショップが無かったので、実物を見る機会がなく、トリオから送ってもらったカタログをとても大切に眺めていました。少し柔らかいフロントパネルのデザイン、緑色のSメータやサブスケールの透過照明はあこがれの対象でした。




600の話を続けます。2000年前後に一度中古で購入して、スケルチが閉じなくなったりで2SC460を交換したりして使っていた時期がありました。その後、引っ越しなどが重なって手放したのですが、2021年の夏に再び盛り上がって、近所のハムショップに中古があるよとの情報に我慢ができず、2度目の購入に至っています。
この筐体は、私の環境ではACでの送信時にハムが入り、まるでFT-620Bみたいだなと苦笑しつつ、電源ユニットの大容量コンデンサを交換してみたりしたのですが、私の環境固有の問題のようで、以降は安定化電源経由で使っています。


 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに、固定ch用水晶をつくりました。5*.00、5*.49、5*.55の3つの周波数です。 .00は51MHzのポジションで使うメインチャンネル用、.49は50MHzのポジションで聴く大田区のビーコン、.55は50MHzのポジションで使うAMで良く使われる周波数用です。でも、水晶を入れたのは良いのですが、意外と使わないんですよね。
※うちの近所の川崎電波研究所がなくなってしまったので、webで検索してアロー電子で作りました。こちらのアロー電子は水晶を1個から作ってくれるので現代ではとても貴重な存在です。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

70-80年代とは違って、TS-600を現代のノイズに囲まれた環境で使うには苦労があります。ある種のノイズはノイズブランカを入れると切れるんですが、近い周波数に強い局が出て来るとノイズブランカを入れたままではガサゴソで使えず、ノイズブランカを切るとノイズまみれになって使えません。特に空気が乾燥した季節はなかなか厳しいです。
このへんはTS-590無印に優位があって、2010年代のノイズブランカ、ノイズリダクション、ノッチでかなり改善されます。今の無線機はもっとすごいんでしょうね。


我が家の50MHzに出られる3台そろい踏みの画像です。画像から察するに、50.100で3台相互に送受信をして調整と確認をしているところではないかと。

600が再び我が家に来てからしばらくの間は、TS-590Sはベンチマーカーというか計測器代わりに使われることが多いので不憫でしたw
SSBの送信音は、600よりもTR-1300のほうが良い音のようです。MC-90を使ってみると、1300では音が良いと驚かれて、600では古い狭い音なのか無反応だったことが多いです。両機ともに使っているクリスタルフィルタは同じなので、フィルタ単体の劣化具合が違うのか、マイクアンプ段の劣化具合か設計の違いってことなんでしょうね。

あと、困ったことにTS-600のマイクの配線とTR-1300のマイクの配線は同じ4ピンながら、マイクとPTTのコールド側の無線機内部側の配線が違っていて、MC-20とMC-50は両機ともに使えるのですが、MC-30Sなど4ピンとしては後期のものは600では使えません。反対に、古いマイクは1300でも使えるんですけどね。
70年代のトリオ機に複数ある4ピンマイク配列ですが、トリオ・ケンウッド純正のマイク変換コネクタMJ-84(メタル8ピンのマイクを4ピンに変換)を使うと、600でも1300でも8ピンマイクを問題なく使えます。さすが純正。
 



















 

 

 

 

(注)ほぼ同じタイミングで高田先生のミズホ通信にMK-610の資料請求をしています。免許をとる1-2年前に、極私的に盛り上がってたんですね。

2022年11月30日水曜日

ACTION☆HANDYの筐体について

TR-3200で430MHzFMを聴くのを楽しんでいる(注)のですが、このTR-2200無印から続く「ACTION☆HANDY」の筐体は、内部に余裕があるせいか聴きやすい音が出ます。

TR-3200で430MHzのメインを聴いていて、「次回433.10、さんてんひとまるにて待機します」なんていうのを聴いていると、3200で3.10を聴いてみたいと思ってしまうのですが、その度に水晶を増やすのは切りがないですし、古い無線機を手軽に楽しむことから遠ざかってしまいます。

 

だったら2mをTR-2300で聴けば良いじゃんってことで、2mならバンド内どこにも出られる2300を出してきてみたのですが、3200の音に慣れてくると2300の音はいまひとつなんです。「ACTION☆HANDY」の後継機種のひとつ、「COMPACT HANDY」TR-2300のは、この2200サイズよりも集積化・小型化していることから、スピーカ周りの音声の響き方がいまひとつで、ダイナミックレンジの狭い音になります。聴いていて楽しい音とはいえません。

以前から我が家にあったTR-1300はSSBなので、2300の音との差はあまり気にしたことが無かったのですが、同じFMだとわかりやすいんですね。この時代の水晶発振の無線機の筐体は余裕があって、やはり良いです。

 

430を聴くならTM-833でいいじゃんってことにもなるんですが、そういうことじゃないんですよね。やっぱり70年代の無線機を今日使うのが楽しいんです。

 

(注)TR-3200にVB-3200を取り付けられるように工事設計変更の届出をして、2022/11/29に審査終了しているのですが、VB-3200の送受切替リレーの接点に劣化があるようで、VB-3200を繋ぐと単体時よりも受信感度が悪くなってしまっています。リレーなら接点洗浄剤でなんとかなるんでしょうけれど、RF GAINの回路に不具合があってこれをパスさせる必要があるなら面倒だなということで、相変わらず接続しないまま本体だけで楽しんでいる状況です。

2021年7月21日水曜日

うちのTR-1300、新スプリアス基準をクリアし、第五送信機として復帰す。

※2021年9月28日追記:JARDより、新スプリアス確認保証の対象機種としてTR-1300他が追加されたことが、2021年9月24日付で発表になりました。

JARDで計測して、新スプリアス基準に適合している個体を何台か確認すると新スプリアス確認保証可能機器リスト(2021/9/24更新済)に載るようです。うちのTR-1300が、計測した適合個体の数の確保の最後のひと押しになったとするとうれしいです。

これからは、TR-1300の工事設計の追加の際の保証認定手続きには、計測は不要になりますよ。よかったよかった。「当分の間」の使用ではなく、新スプリアス基準(というか、現行のスプリアス基準)が認められる間は、ずーっと使えます。1975年発売の当年とって46歳の無線機ですから、壊さないようにしないといけないですね。

※2021年8月27日追記:本日、関東総合通信局への変更届が無事審査終了し、TR-1300、VL-1300及びVFO-40は第五送信機として工事設計に復帰しました。タイトルもこれに合わせて「復帰(予定)す。」から「復帰す。」と改めています。

 

以下、当初投稿の2021年7月21日の内容です。

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これまで何度かTR-1300の話を書きましたが、うちのTR-1300は、2年ほど前に工事設計全体を新スプリアス対応するために、当時の第一送信機から落としました。

今年(2021年)になってから、総務省令の改正があって、工事設計に既にある(今、免許にぶら下がっている)送信機のうち、旧スプリアス基準のものは「当分の間」使えるようになりましたが、私の場合は工事設計から落としてしまっているので、送信機を増設して工事設計に加える必要があり、その場合は新スプリアス基準をクリアする必要があります。

もうこれで電波を出せないんだなあとか、一回くらい肩にかついで外に持ち出して、近所の高いところから電波を出してみるべきだったなあとか、新スプリアス保証リストに載らないかなあなどと考えつつ、箱にいれて物入の奥底行きでした。

以前、JARDには「TR-1300は新スプリアス保証リストに載っていないけれど、これは測ってダメだったのか」という質問をしたことがあったのですが、このときの答えはサンプル数が少なかったとのことでした。以前、計測するための無線機を大々的に募集した時期がありましたが、TR-1300を送り付ける人が居なかったんですかね。

当初リストに載らなかったRJX-601やTS-600は後日載ったりしたので、出られる周波数の範囲が狭いTR-1300(ご存知のとおり、本体だけでは50.092-50.258MHzだけです)にこだわる人が居なかったのかなとも考えられます。

TR-1300が世に出たのは昭和50(1975)年です。前年に電話級の勉強と試験本番の両方を棄権しつつも、BCLラジオへの興味と同じく、この手のハンディ機に興味しんしんな日々を送っていた私にとっては憧れの無線機でした。ラ製でも山手線で通信実験の記事がありましたね。そんなTR-1300を、もう一度工事設計に加えて電波を出したいというか、電波をいつでも出せる状況にしたいという希望を、2年前に工事設計から落として以来ずっと持っていました。

古い無線機を見て触るのは楽しいです。TR-1300はJARL保証認定機種で、しかもその後登録抹消されている機種ですから、工事設計に加えるなら保証会社による保証後に関東総合通信局に変更申請となるわけですが、これまで何度かあった「保証会社で保証を受けた後、変更申請先の関東総合通信局で工事設計の変更が認められない」といったことで消耗するのは楽しくないので、ここはストレートJARDの計測サービスを利用して、新スプリアス基準をクリアしているかを確かめて、クリアしているのであれば、その計測データをエビデンスに保証を受ける、ということを考えました。

省令改正案を見たときには、「何だよ、工事設計から落とさなきゃ良かったよ」とも思ったのですが、新スプリアス基準をクリアすれば「当分の間」以降も使えるのだから、と思い直しました。

計測サービスを利用するにはJARD測定器室の開放(一般利用)から予約が必要です。休めそうな日に予約ができたので、梅雨の中、TR-1300を持って巣鴨のJARD事務所を訪問します。 測定結果が思わしくない場合にALC調整をすぐにできるように、トリマ回しを忘れずに持ってきています。また、どうしても高調波(スプリアス領域における不要発射の強度)の基準をクリアできない場合のために、伝説のコスモ電子のローパスフィルタ、LF-50Bもバッグの中で控えています。

測定に対応してくれたのはベテランの職員の方でした。まずは計測して、必要なら調整をしてからもう一度計測しましょうとやさしく言われ、安心しつつも、一回目の計測でクリアするといいなと緊張しながら計測に入ります。

持参した電源コードを備え付けのプロ用電源に繋ぎ、スイッチを入れ、VXOを回して、指示された周波数はだいたいこのへんかな?と電波を出します。TR-1300はSSB専用機なので、無変調時の信号と、備え付けの装置でトーンを発生させて信号を計測します。

うちのTR-1300は、今回の計測のために特に調整を行ってはいません。この個体は、2010年代にハムフェアで買ってきた後、改造といえば電源ジャックを一般的なDCプラグ対応にしたことと、照明をLEDに置き換えた程度で、本質的なところは触っていません。工事設計から落とす2年前まで不具合なく使えていた状態のものを、少し前に再び箱から出してきて電源を入れていただけのものです。計測本番で(例えば)50.200で電波を出してみてくださいと指示された際に、実際の周波数はだいたいこの辺だろうとあたりをつけるためにVXOのずれを確認したくらいです。 

計測結果です。

〇無変調で計測した、帯域外領域におけるスプリアス発射の強度
〇音声を入れて計測した、スプリアス領域における不要発射の強度
ともに合格です。 

スプリアス領域のほうは余裕しゃくしゃくというレベルではありませんが、クリアしました。トリマ回しとローパスの出番が無くて良かったです。

※これらの計測2要素はスプリアス発射の強度の許容値に係る技術基準の改正内容(総務省)新スプリアス対応について(JARD作成のpdfファイル、50MHzの場合の具体的記述がある)をみるとわかりやすいです。

 

JARDの計測サービスでは、上に書いたように計測した結果を持参したUSBメモリにファイルでもらえて、これを保証願いのエビデンスに使うことができます。

同行した友人に新スプリアス保証リストに掲載されていないTR-8400Gを持ってこさせ(本人は乗り気ではなかったですが、文字どおり持ってこさせました。)、1300の後に計測し、合格しています。

もちろん、持ち込んだ無線機が軒並みスプリアス基準を満たすかは別ですが、計測機器を持っておらず、保証リストに記載の無い無線機を使いたいと思いつつもモヤモヤしている方は、モヤモヤしている時間がもったいないので、ぜひとも測りに行っちゃうべきだと思います。費用も2時間の計測枠あたり税込み2200円(現金で用意してください)ですし。自作機にもお勧めです。地理的に近い方は、ちょっと測りに行って、その日にダメなら調整してまた後日チャレンジということでも良いと思います。

帰宅後、早速JARDに保証願いを出して、変更申請の準備に入りました。今回は第五送信機になります。

上機嫌でVL-1300(今はまだ送信できないですが、繋ぐとRFゲインの調整が可能になります。)やVFO-40(送受信可能な周波数を50.0〜51.0まで拡大できます。ただし、仕様で50.5あたりから感度が落ちます。)を接続し、Eスポで聴こえる信号をモニタしてみました。お盆明けあたりには工事設計に加わっているでしょうか。今回の変更申請では指定事項の変更はないのですが、免許状はもらっておこうかしら。

早く、堂々とマイクを接続した画像を掲載できるようにしたいですね。


※本項について:アマチュア局の無線設備に新スプリアス基準を厳格適用することの是非についての議論があるのは承知しています。ここでは是非の議論よりも、この無線機を使うために目先の規制をクリアするにあたり、単純で確実な方法という視点で書いています。

2020年7月2日木曜日

立ちはだかるTS-950SDX(TS-590無印の受信音を追求するの続き)

続きです。
自分的にはこれで良いと思う設定を見つけて、しばらくの間TS-590無印を楽しんでいました。そこで、自分の中の理想の一つである、TS-950SDXの455KHzのみの6kフィルタを通過させた音との比較をしてみたいという欲望がふつふつと湧いてきました。

自分の周りでは、最近になってTS-950SDXブームが来ており、複数台所有の猛者が2人もいます。私自身は2011年の地震の少し前に手放して、一旦は過去の無線機になったものの、TS-590無印を入手してから経験する初めての聴きづらさに、590を経験した後に950SDXで聴いてみたらどんな感想を持つだろうという興味を持っていました。


(TS-950SDXの上にTS-590無印、さらにその上にちらっと写っているのは、590に接続したトリオSP-70)
























ふとした偶然が重なり、昨日、我が家に再びTS-950SDXが来ました。当然ながら以前手放した個体とは別のものですが、細かいことを言わなければ状態も悪くなく、私が「これが950SDXだ」と思っていた性能は期待できるでしょう。
しかし、大きい…重い…

2台にアンテナをつないで、早速スイッチを入れます。ちょうど21でEsが出ており、国内が良く聴こえます。両方で同じ局にゼロインしつつ、ぱっぱっとアンテナを切り換えつつ、聴き比べ開始です。
950SDXのほうはやはり古さが目立ちます。チューニングの際にVFOダイヤルを回したときの受信周波数の変化する音の体感的な遅れが最初に気になります。この、体感的な遅れは、590無印と比べてということではなく、950SDXを10年少し前に使っていた時期にもそう思った記憶があります。

音に関してですが、自分好みに追い込んだ590が結構健闘するのではと思っていたら、比べてしまうと、やはり950の「8.8MHzはスルーで455KHzのみを通過させた6kで聴いたSSB」は聴きやすいです。人の声が自然と耳に入ってきます。
ノイズや妨害信号がある場合は、フィルタを狭めるなりなんなりして、そのときはじめて眉間にしわを寄せて集中することになります。

一方のTS-590無印ですが、ここまでがんばって設定したグラフィックイコライジングの成果で、AF的な音色を自分好みにしても、IFから通過してくる幅の広さの信号の音声成分がすべて一旦耳に入り、耳の中で人の声を分離するプロセスがあるように感じています。
なので、ある程度耳障りの良いイコライジングカーブを作ってあげても、(950SDXに比べて)音量をあげてその中から(眉間にしわを寄せて)人の声を解釈する作業がもうひと手間必要なんですね。
もちろん、これはフィルタの幅の選択やイコライジングカーブの設定で緩和できますが、950SDXの6kそのままは実現できません。950SDXを到達点という視点でみると、どうしてもこうなってしまいます。でも仕方ないです。アナログの無線機でこういう世界に入って、これが普通だと思っていたわけですから。

90年代の高級機向け技術でIFをアナログフィルタで構成するのと、2010年のIFDSP普及機との比較ですからフェアじゃないとは思うのですが、やはりアナログのセラミックフィルタやクリスタルフィルタを経由する信号は、帯域間際の信号の切れ方などはファジーなところがありますが、自然な音で聴こえます。
この自然な音というのが重要で、イコライジングカーブの設定で音声を加工しなくても、そのままで聴きやすい音で聴こえるのです。

ただし、設定を煮詰めたTS-590無印も、950SDXに比べて大きく劣るかというと、確かに聴感では完全には追いつけないものの、IFDSPフィルタのばっさりと切れるところは素晴らしいですし、デジタル処理によるノイズブランカやノイズリダクションやノッチは適正な深さに設定すればよく効きますし、ボタン一発で消えるビートキャンセルやオートノッチは使ったらこれが無い状態に戻るのには抵抗があります。ノイズや妨害信号がある場合は、590無印のほうがはるかに機能的です。当時としてはよく効くNBや比較的使いやすいマニュアルのノッチがついている950SDXですが、これにはかないません。
アナログ慣れした私の耳にはTS-950SDXの音はよく馴染み、聴き疲れしないところは強みです。しかし、自分好みの音に詰めたTS-590無印もけっこう良い勝負になったのではと思っています。というか、950が来たからもう590は売ってしまおうかと短絡的な考えにならないところが、590の粘り腰(表現が古いw)ってところでしょうか。

2台の比較の結論としては、HFをダイヤルをくるくる回してながら聴きしたいときにはTS-950SDXが最適です。近所の局とラグチューも950です。6KHzの幅の中に耳で解析できないような混信が発生するまでは、950SDXを使いたくなります。
しかし、帯域内に混信が発生した後のシチュエーションとしては、最初に950SDXを2つのIFともに2.7kHzのフィルタに設定してスロープチューンを使ってということをやるわけですが、スロープチューンにしても、アナログフィルタの組み合わせで上下を切るよりもIFDSPのほうがきれいに切れるので、ここからは590のほうが性能が上で、更に混信の中のQSO継続ということであれば590が勝ります。
そういうシチュエーションで使い分けをするかは別として、そうするために持っておいても良いのではと思うところです。50MHzの100Wはこれで免許されてますし。

机の上がいっぱいになりましたが、しばらくこのまま併用していこうと思います。
というか、比較が終わったら950SDXは売却しようと思っていたのですが、こっちも手元に置いておきたいと思ってしまいます。いけませんねえ。

(後注1)「TS-590無印を入手してから経験する初めての聴きづらさ」を後から読んで、TS-2000SXで50MHzSSBを聴いているときに、ノイズと受信信号の分離が悪く感じて、どうも信号がノイズに埋もれる感じがする、なるべく帯域外のノイズを減らないかとプリセレクタを入れてみたりしたことを思い出しました。これって、目的信号が弱かったとか、TS-2000SXの50MHzの感度が悪かったんじゃなくて、IFDSPフィルタはいちばん広いのが良いと思い込んだことや、受信DSPイコライザの設定を詰めなかったので、当初の590無印同様に聴感が悪かったんだと思います。もうちょっと突き詰めてというか、そういう気付きがあれば良かったと思います。
でも、TS-2000の場合は、590無印で最初にすぐに感じた、「もうどうにもならないほど喋ってる人の声がノイズの前に出て来ない」というほどの違和感は感じなかったんですけどね。

(後注2)「TS-950SDXの455KHzのみの6kフィルタを通過させた音」が何度も出てきますが、これ、6kHz幅を聴いているものの、Hi-Fi的な聴感ではないです。セラミックフィルタやクリスタルフィルタを通過した自然な音がしています。むしろ、590の受信DSPイコライジングで加工した音(しかも私の場合はIFDSPフィルタは4k弱の幅で聴いてます)のほうが低音域と高音域が出ていて、ドンシャリ感があります。そのドンシャリ的な音を耳に全部入れた後、人の声を浮き出させるといった脳みその解析プロセスがあるので疲れちゃう…となります。

(後注3)2021年2月24日、訂正及び加筆しました。

2020年7月1日水曜日

TS-590無印の受信音を追求する

と、GタイプではないTS-590S(以下、TS-590無印)について、聴きやすい設定は無いかと試行錯誤、というかより良い聴き心地を目指していた(おおげさ)ところです。

TS-590無印の受信系の音質に関する主な設定は、
(1)DSPIFフィルタによる、IF通過帯域のスロープチューン的な可変
(2)受信DSPフィルタによる、AF的な音質の味付けの調整
の2つがあります。

こんな話は、2012年のTS-590無印が市場に出た当初にみなさんがけっこうやっていると思います。手が届く価格帯の中古の無線機を後年になってからいじるような私の場合、その当時の論に触れる機会が既になく、webに残っている識者の方々の記事を読むくらいがせいぜいなところが現状です。
で、しかも、私がここにこのようなことを書いても、これが世間の目に触れることもないわけですがw

(1)のDSPIFフィルタの可変については、スロープチューン的なツマミを可変して上下の帯域を絞ることができます。これは音質にも直結して、絞ると鼻つまみ的な音になります。広げると広くなったような音になりますが、TS-590の場合はいっぱいに広げても聴きやすくなるかというとそうでもないです。ただし、IFを通過する周波数を上下からばっさりと切れるので、帯域内に混信がある場合にはこれを切る手段としてはとても有効です。これは素晴らしいと思います。さすがIFDSPというやつです。
私の場合、TS-590がA/Bと切り換えて持てる二つの設定値を、A:100Hz-4000Hz、B:100Hz-2800Hz(つまり、通過帯域2.7KHzでダウンコンバージョンを使いたいとき ※ )としています。
Aの場合はながら聴き、Bの場合は混信があるときなど、少し真面目に聴きたいときに使います。

(※)21MHz以下のクラシックなアマチュアバンドの場合で2.7KHz以内を通過させる場合にはダウンコンバージョン(11MHz)の回路を通り、それよりも広い設定の場合にはアップコンバージョン(73MHz、10MHz)を経てということで、通る中間周波数によって(メリットデメリットを含んだうえで普及機にどれくらいコストをかけられるかということも踏まえた上で)相当(それにふさわしいレベル)の性能が発揮できるというシロモノです。
このあたりは TS-590 徹底解説集 を読んでみて下さい。特に、PDFの7ページにある、「1受信 1.1コンバージョン方式」を読むと、なるほどねということが書いてあります。

(2)については、受信した信号をオーディオ的に加工して聴きやすくするものです。
TS-590無印の場合は、「切」「ハイブースト1/2、フォルマント・パス、バス・ブースト1/2、フラットがプリセットされていて、他にPCをUSBで接続した上で設定できる「ユーザ設定」を使うことができます。
TS-590無印の購入当初「受信した人の声が前に出てこない、聴きにくい」という印象を持ち、未だにこれを払しょくできていません。購入後は「切」の状態で長く使っていて、これで人の声が聴きにくいと騒いていたのですが、フォルマント・パスやハイブースト2(Hb2)にすることにより改善しました。無線機を通じてよく聞く声の周波数帯域は、これらの設定値で増幅(または減衰しない)ことで強調できているようです。
少し前に気が向いて、ファームウエアをアップデートした際に、ARCP-590(ケンウッドが未だに提供し続けてくれているありがたいPCコントロールソフト、これはGタイプ用ではなく、「無印」用です。)で、プリセットのイコライジングのカーブを見てみました。

まず、良かったハイブースト2(Hb2)です。












フォルマント・パスはこんな感じ












フラットはこんな感じ












「切」、オフはこんな感じ。












驚いたのは、切っている状態と、「フラット」は違うということです。聴感上確かに違うように感じていたのですが、メニューの一番最初と後ろで、スイッチ一回押しでパタパタと比較できない位置にプリセットされていたのでこんなに差があるのに気づきませんでした。
道理で、人の音声帯域が含まれる(と思われる)高い周波数を減衰させているんですから、「切」では聴きにくいはずです。

私のユーザ設定はこれ。ハイブースト2(Hb2)を参考に、少しだけ弄った状態です。上の3つのバンドはこの画像では絞っていますが、その後設定を見直しをして、一番上まで上げてあります。












このユーザ設定と、(1)の「IFDSPをいっぱいに広げて使わないこと」の併用で、ずいぶんと聴感は改善しました。
 
もう一つ、書き忘れていたのですが、590本体のスピーカではなく、
(3)外部スピーカ(トリオSP-70)で聴くこと
でさらに改善しました。このTS-600や700用の古いスピーカですが、TS-590無印(Gタイプでも良いと聞きました)と相性が良く、(1)(2)に加え、これで聴くと了解度がかなり向上します。(1)(2)(3)の合わせ技を駆使すれば、TS-950SDXに迫れるかもと言っても言い過ぎではないでしょう。
 
これらのおかげで、スイッチを入れて、ゼロインして、いきなり眉間にしわを寄せて信号に集中することになって、すぐに疲れるという状況からは脱せたような気がしています。
これなら、TS-950SDXの455KHzだけ通す6kHz幅の受信音とそん色ないところまで行けるかも?と思って、本日テストをしてみたところなのであります。(続きます)

2018年9月2日日曜日

TS-590S(ただし、Gではない)が来ました。


これまで移動しない局についてはTS-130Sを使っていました。
かつて、友人に丁寧に直してもらったのですが、あれから5年くらい経ったのでしょうか。あまり電波を出さないというか、電源を入れない日々が続いていた結果、スイッチを入れてもうんともすんとも言わない状態になってしまい、これ以上の使用をあきらめることになりました。
また、新スプリアス機だと申請も楽だしということもあり、今回、TS-590Sに入替を行いました。

これがTS-590Sの雄姿であります。ただし、これは最新型のGが付くタイプではなく、2010年秋に発売された初期型です。
しかし、我が家に来た最新機種であります。発売的には8年落ちですが。
この手の新しい機械を使い始めたのは15年くらい前に購入したTS-2000SX以来となります。

※去年秋にFT-897DMを手に入れて、移動する局の無線設備に加えたのですが、いろいろありまして、既に売却しております。
これは私の中では無かったことにしておりますので、定期的に訪問された方の中には、該当の記事をお読みになったことがある方がいらっしゃるかもしれませんが、お忘れになってくださいませ。

で、590Sのおはなし。
8年前とはいっても、私の中では最新の設計です。
まずはUSBケーブルをPCに接続して、ファームウエアを購入した状態の1.04から最新の2.03に更新し、NB1とNB2を同時に入れられるようにしました。windowsにドライバを入れてコントロールソフトを入れての更新ですが、USBケーブルで行えることもあって、簡単にすぐに終わりました。
※関係ファイルをダウンロードしたのは TS-590S/D/V ファームウェア アップデートのお知らせ から。

手回しよく、予め免許を変更申請しておき、既に590Sを根拠にした免許状がハムフェアの少し前に到着しているので、我が家に590Sが来た時点ではすぐに電波を出せる状態です。へへへ。
早速送信テストです。取扱説明書を読みながらメニューに入って、ディスプレイの照明を緑にするとか、ボタンを押したときの音が出ないようにするとか、お約束のSSBの送信帯域の上下を広げるところまでをとりあえず行って、50MHzでQSOをしてみます。

しかし、出力が大きいというのは正義ですねw
これまでのしばらくの間、TR-1300+VL-1300の10Wで、割と張りのある声を心がけてマイクに向かっていたのですが、100W機だとそこまでしなくても出力計の針が振れます。しゃべるのが楽です。パイルアップに参加するのではないのであれば、普通の声の大きさでスピーチプロセッサを軽めにかけてあげれば、同じ程度の出力の局であれば電波がこちらに届いている限りは楽に電波が届き、QSOが成立します。(あたりまえの話ですね。)

ここまで気づいたことを書いてみると以下の感じです。
・NBの効きは、TS-680、690、950SDXの効き方とは違って、深くかけるとDSP処理風のごにょごにょを感じます。ある種のノイズには効いています。深くかけると目的信号をつぶすのは同じですが、以前の機種とは違って無理やりノイズを制圧させている感はありません。
・NRの効きは、TS-2000より良いです。SSBやAMでノイズに埋もれた相手の「声(信号というより、声というイメージ)」が浮き上がります。NR1が良い場合やNR2が良い場合はケースバイケースです。
・SSBの場合のノイズフロアからの信号の浮き上がり感は、正直なところいまいちです。受信帯域を広げると、真ん中あたりの人の声のあたりの音域が沈むように感じます。DSP帯域フィルタで狭めてやれば幾分改善しますが、どうもいまいちです。TS-950SDXがやっぱり聴きやすさではベストでした。DSPの最新技術(ただし8年前)ではこんな感じなんでしょう。

S5くらいの同じ信号をTR-1300と聴き比べてみると、浮き上がり感は1300のほうが上でした。
TR-1300って、どちらかというと聴きやすい無線機ではなかったはずなのですが、それでも1300のほうが良いと感じるのは、まだ、アナログの聴感にDSPの制御が追いついていない(ただし、8年前の水準です。)のでしょう。
または、私の耳が老いの方向に深化する際中で、それ系の都合があるのかもしれませんw

そこで受信DSPイコライザーを試してみることにします。
とりあえずSSBで使うにあたり、「Hb2」が良さげだったので、これでしばらく行っていようかと思います。
ただ、音声を加工している感があるんですよね、このあたりはアナログの機械と違って仕方ないんでしょうね。
PCのコントロールソフトを使うと、ユーザ設定で好きな帯域を膨らましたり凹ましたりできるので、拘る場合にはそこまでやるんでしょうね。私はたぶんやりません(;´Д`)

送信については、今のところ帯域を広げているだけで何もやっていません。
近場の局には強く信号が届くでしょうから特に問題はないとは思いますが、少し離れた状態、例えばS5くらいで届くくらいの場合は、のっぺりした広い音では了解度が悪いんだろうなと想像しています。
送信DSPイコライザで音を加工するとか、スピーチプロセッサをもう少し深くかけるとか、良さそうな設定を探しておく必要があります。
このあたりは友人と時間をかけて、あーでもないこーでもないとしゃべりながら調整するしかないでしょうね。

マイクについては、今は無難にMC-90をつないでいますが、今後はRANGER SRA-198も試してみたいです。

てなわけで、久しぶりの最新鋭機(ただし販売開始は8年前)の導入のおはなしでした。しばらくの間はスイッチを入れるのが楽しい日々が続くでしょう。へへへ。

2018年6月24日日曜日

久しぶりに1300で運用でした。


TR-1300とVL-1300を久しぶりにチェックしてみると、ちゃんと動作しているようです。
Eスポも発生しているようで、ノイズブランカ入りっぱなしのせいもあり、がさごそとバンドは賑やかです。
そんな合間を縫って、直接波で信号の強い局がCQを出していたので呼んでみると、59-59でQSOできました。

最近はみなさん50Wだ100Wだ200Wだって出力を手軽に出せるので、強く聞こえても10Wで呼んだら届かないってことがあるのですが、本当にS9ですよって言ってもらえたのでニコニコ。


このときは、マイクロホンをRANGER SRA-198に交換して送信していたのですが、音質的にも悪くないとの評価をもらっています。
このマイクですが、ブランド名でわかるように、米国でCB機用に売られているものなのですが、見た目とは違って歪まずにきれいな音なんです。
単一指向性でゲインが低いので、「送話口」と言えそうなデザインのダイナミックマイクのユニット部分にかぶりついて声を出さないと出力が小さいのですが、意識してはきはきと明朗な声を心がけてしゃべると、けっこう良いんです。

そんなレポートをもらって機嫌が良いので、今夜はAMのロールコールでも聴いてみましょうか。 VFO-40は50.5を超えると発振が弱くなり、感度が落ちるのが難点で、取扱説明書にもそのようなことが書いてありましたが、それはそれとして。良いアンテナや高出力の局なら聞こえるでしょう。
SSBでAMの複数の局をとっかえひっかえ復調するのは、ゼロインのためにダイヤルを左右にうろうろさせなければならないので面倒だったり、古いトランシーバの局だと変調の深さに応じて周波数が動いたりと大変なのですが、それはそれということで。

ところで、VFO-40のダイヤルって、同じようなデザインのTS-600/700とは違って、照明がダイヤルに当たるようにスリットが切られていない(注)ため、暗闇では1KHz直読ダイヤルを読めません。

(注:2023/5/15)照明がダイヤルに当たるようにスリットが切られているのはFT-101(初代~E)ですね。TS-600/700と勘違いしてました。


また、TR-1300も電池運用を前提とした「ハンディ機」だったため、周波数インジケータの照明とSメーターの照明が共通なため、暗いところではメーターを読めません。
安定化電源に繋ぐ前提であるVL-1300のレベルメーターの煌々とした明るさと比較すると、TR-1300のSメーター照明の暗さ(ダイヤルの照明と共通で、電球1つで照らしています。)がよくわかります。


(追加1)
というわけで、暗闇で撮影しなおしてみました。上段のTR-1300のSメーターの照明に比べて、下段のVL-1300の照明の明るいこと。

(追加2)
同じく暗闇でVFO-40のダイヤル部分を撮影。窓の中の光が1KHz直読ダイヤルに導かれておらず、周波数が大雑把にしか読めない絵です。


TR-1300、VL-1300にVFO-40を組み合わせて、机の上に並べて楽しむという嗜好は、ミズホのピコ6にリニアアンプなどを専用ラックに取り付けて楽しむというものと同じ傾向なんでしょうね。40-30年前の中学生に戻った気分になります。

2017年7月23日日曜日

TR-1300、電池運用できず。

ハンディ機の定期点検ということで、TR-2300の動作チェックをし、その次にTR-1300のチェックを始めたところ、外部から電源を供給させてあげると動作するのに、電池ボックスに電池を入れて内蔵させてやっても電源が入りません。
我が家にやってきて以来、ずーっと安定化電源に繋がれていたので、気づきませんでした。

ばらしてチェックしてみると、電池ボックスからリードで背面の3極電源ジャックに来るところまではちゃんと電圧がかかっています。しかし、3極の電源プラグを抜いた状態では電池からの電圧が本体にかかりません。
それどころか、恐る恐る電池ボックスを入れ、電源が入らないのを確認する度(たび)に素早く電池ボックスを外すと、電池ボックスから来る電圧を受け止める1300本体側の電極部分が熱を持っています。何らかの原因でショートしているようです。

電池ボックスまわりの配線はチェックしても問題ないし、外部から電源を供給すれば正常に動作するので、「3極ジャック自体の、3極プラグを挿さないとき」に発生するトラブルと特定しました。

通常のDCジャックやイヤホンジャックの場合は、プラグを挿さないと2番ピンと3番ピンが導通、挿すと2番ピンと3番ピンが切り離されるという単純なロジックです。(これ、えらそうに書いていますが、DCジャックのロジックのおさらいに モバイル電子工作の第一歩!3端子DCジャックの使い方 を読みました。)

当時トリオや井上で使われていた3極ジャックは少し複雑で、表から見える3つのピンに加えて裏側下部に2つ端子があって、プラグを挿していないと下部の2つの端子が導通していて、プラグを挿すと(仮称)3番ピンが下部の右側の端子と導通するといった…このへんはうろ覚えです…ロジックになっています。

内部にどうトラブルが発生しているのはわかりませんが、電池使用時に仕様通りの動作をしていないということで、TR-1300 DCジャック変更 (2020/8/7 当該blog移転先にURL変更)を参考にさせていただき、入手しやすいDCジャック・プラグに置き換えることで解決することにしました。

3極ジャックは背面表側から左右2つのビスで留められています。同じように左右から留められる仕様のDCジャックを探すところからスタートです。
webで「DCジャック ビス留め」で検索すると マル信のMJ-065Mという製品がヒットします。ビス穴がプラスチックなので強く締め付けると舐めそうですが、注意して締め付ければ良さそうです。

また、3極ジャックのほうは、プラグを挿している状態(つまりこれまで外部電源で電圧をかけていた状態)ではトラブルが無かったので、プラスとマイナスが掛かっている2つのピンのみを使用することにして、VL-1300から来た3極プラグをDCプラグに変換するための変換コードとして活用することにしました。こうすればVL-1300は弄らずに済みます。
これで外部電源でも、外に持ち出して電池でも使えます。

webを参考にさせていただいた諸兄、ありがとうございました。