2016年8月31日水曜日

FT-817考

【8/31付けの記事として再構成しました。】

八重洲FT-817、かつて一度買ったことがあります。私の場合は、一度買って、売って、再び買うということがけっこうあるのですが、817に関しては一度買って、売った状態のままです。

この手の無線機は、他にFT-100D、IC-706MKIIGと使ったことがあるのですが、小さな筐体で多くの機能を実現しようとしていることから、ボタンの数に制限があり、その少ないボタンで操作するメニューの階層が深いので、使いにくいという印象をもったままです。
それでも、FT-817は「ハンディ」機であるということから、一度は使ってみたいと思っていました。そして何年か前のハムフェアのときに買ってみました。

そのFT-817NDは、アサップシステムの電池ボックスに入れる電動ファンとノブ付きのメインダイヤルを入手して、INRADの2.9KHzの広いSSBフィルタを入れ、ケンウッドMC-90を8ピンメタルプラグからモジュラープラグに変換して、東京ハイパワーのHL-724D(144/430MHz 入力5W-出力25Wのリニアアンプ)を繋いでSSBで電波を出してということをやっていました。八重洲っぽい音じゃないですね、と言われるのが面白かったです。
そこまでやると使いにくさもあり、飽きてしまって売ってしまいました。

私が売ってしまってから数年経ちましたが、FT-817NDは未だに現役の機種として販売されています。画像は八重洲のwebからキャプチャーを撮ったのですが、2001年グッドデザイン賞受賞との記載があります。今年は2016年ですから、少なくとも15年間は売っているんですよね。FT-101シリーズよりも息の長い長い商品です。
対抗機だったIC-703がずいぶん前に販売終了した後は、電池で稼働するマルチモードの無線機って、このFT-817NDだけですから、貴重な存在になってしまいました。というか、このシリーズの新機種は出てこないのかしら、他のメーカーからでも良いのに。

もし再びこれを買ったら今度は何をしましょう。
フィルタは元々の村田CFJ455K14からCFJ455K13の広いやつに変更します。実はその広めのフィルタは変えてやろうと思って既に入手済だったのですが、今はジャンク箱のどこかに埋まっているはず、サルベージしておかないともったいないです。これを使って、平時は村田の広いフィルタで送受信、QRMで上下の周波数を切りたいときには狭いフィルタに切り替えて使うというのでも試してみましょうか。

最初、この記事を書いたときには、W4RTのDual Filter Optionを入れることにより、純正の村田のセラミックフィルタに加えて、メカニカルフィルタを2つ追加できるものだと思っていて、それは面白そうだと妄想していたんですが、調べてみると、このDual Filter Optionsを入れる場合には、純正の村田のフィルタを取り去る必要があるとのことでした。下の画像の右側の画像(ややこしい)に白くCeramic Filter Removedとの表現があります。
結局、純正のフィルタバンクが1つ、オプション用に1つあって、オプションのほうはメニューでCW用なのかSSB用なのか選ぶことができるという817の仕様の範囲で楽しむことになります。妄想していたように3つは入らないということで。
http://www.w4rt.com/Manuals/FT817-FAQ.pdf から抜粋

ところで、817ってSSBフィルタを切り替えると、切り替えたほうのフィルタで送信しちゃうんでしたっけ、確かそうだったような…、それとも配線をして村田の代わりにINRADの広いやつをデフォルトのフィルタとして認識させていたのかしら…、ちょっと記憶があいまいです。
比較する対象として適当ではないのですが、少ないフィルタのバンクをやりくりするという意味で引き合いに出してみると、TS-130S/Vの場合はオプションのフィルタに切り替えても、送信だけは元々のフィルタで送信するので、元々のフィルタの位置にワイドフィルタを入れて、オプションのバンクには狭いほうを入れていますが、817は切り替えに連動しちゃうんじゃなかったかな…。

また、フィルタもそうなんですが、今度使うのなら、出先でも音の良いマイクロホンで電波を出してみたいです。移動運用でいちいちMC-90を持って歩くわけにはいかないですからね、817と相性の良い、歪の少ない音が出るハンドマイクって無いでしょうか。

なんとも締まりのない話になりましたが、マルチモード、マルチバンドで電池で出られる存在というのは貴重です。そのうち(再び)買っておくべきでしょうか。

2016年8月28日日曜日

70年代のトランジスタラジオ その2

今回は東京半導体工業のJK-86。
同社からナイスキットという名称で6石と8石と2つのラインナップで販売されていた中波専用ラジオのキットで、今回の個体は8石版。6石のほうはJK-69という形式名だった記憶が。
外観は6石も8石もなくて共通です。73年前後のラ製の巻末の販売店の広告を見ると、これが掲載されていると思います。ラ製本誌での紹介記事もありました。

小学校4-5年のころでしょうか、父親にねだって、これの6石版を買ってもらいました。なんで6石版だったんだろう。その分部品点数が少なくて安いことから、父親の小遣いへの圧迫度が低かった、工数が少なくなる分子供でも簡易に作れそうだった、という理由でしょうか。

数年前に手に入れたこの画像の個体は、電池を入れてみて音が鳴らないことを確認しただけで、以降は手を入れていません。

実は、この製品にはウイークポイントがあって、バリコンの回転部の中心に選局ダイヤルをねじ留めしているんですが、これが緩むんです。
で、さらにその留めているねじの上から、周波数が書いてあるラベル(画像でいえば青く写っている部分です。)を貼るので、一度緩んだ場合にはラベルを剥がさないといけないんですね。
緩んじゃラベルを上手に剥がして、ドライバーで増し締め、またラベルを貼る、ということを繰り返していると、ラベルの見栄えが悪くなることに加え、ダイヤルのねじ留め部分がプラスチックのままで金属で強化されていないため、ついには割れて選局不能になってしまうのです。

この個体も半分くらいラベルを剥がした跡があって、ダイヤルを停めるねじが緩んでガタがある状態なのですが、まずは長い時を超えてなつかしい筐体を間近に見たかったという願望が叶ったことで満足することにします。

改めて筐体を眺めていると、TR-3500に比べても一回り大きく、初心者向けキットであるがゆえ小型化に主眼を置いていないせいで、けっこう音が良かったことを思い出します。こんなことを書いていると直したくなってきますねw

2016年8月27日土曜日

70年代のトランジスタラジオ その1

SONY TR-3500。後年トリオから発売された430MHzFMハンディ(既にケンウッドになった後かしら。こちらのTR-3500は片手で掴めるハンディトランシーバだった。)と同じ型番だが、これはソニーのラジオ。webで調べてみると、73年発売とのこと。
トランジスタラジオというと、60年代の前半などは立派な革ケースに入っていて、いかにも大事に扱われるものという雰囲気があったが、このころになると高級(高性能、多機能)のラジオと、普及価格で手軽に買えるものがいろいろとラインナップされていた。

当時のソニーのラジオ総合カタログ(あれ、何ページくらいあったんでしょう。ちょっとした冊子でしたね。)をみると、多種多彩なモデルが掲載されていた。

TR-3500はそのカタログでは後ろのほうの廉価なラジオが並ぶページにひっそりと載っていたと思う。変な小学生だった私は、そんなカタログを隅から隅まで読み込んでいて、家電店のラジオのコーナーに行っても、どのラジオがどんな性能で、どれくらいの価格でということをひととおり反芻できたほどだった。
※その変な特性は、のちに無線機だったり、自動車だったりという分野にも発揮されたのでした。

TR-3500はこれ。一定年齢より上の人なら、一度は見たことがあるかもしれません。
6トランジスタの単三2本で動作する中波専用ラジオです。バリコンの直線性は、よくある上の周波数になると選局がクリチカルになるというやつで、これでBCLをやるには、かなりのやせ我慢が必要です。
このモデルはこの黒地にシルバーパネルのもののほか、青や赤のものがありました。
MADE IN JAPANです。70年代も後半になるとこういった安価な製品はどんどん海外生産になっていくのですが、これはぎりぎりその前ということなのでしょう。

小学生のころに祖父の家に行くと、いつもこの黒地にシルバーのTR-3500があって、ラジオとかそういう類のものが大好きだった私は、祖父の家に行くたびにこれを弄り回して、あんまり弄っていると電池が無くなるから、と叱られたものでした。

この個体は近年オークションでジャンクを落札して、基板に取り付けられている部品のはんだ付けをし直して再び聴けるようにしたものです。たまにスイッチを入れてみると、NHK第一からRFラジオ日本(この局名はあまり好きじゃない。ラジオ関東のほうがしっくり来ます。)まで、ちゃんと聴こえます。
決して音が良くないのですが、耳が疲れてくるまでの小一時間、当時を思い出しながら聴くという楽しみ方をすべきなんでしょう。オークションでもけっこう見ますから、このモデルに郷愁を感じる方はぜひ。

2016年8月24日水曜日

ハムフェア2016

画像はまったくありませんが、行ってきました。
晴海でやっていたころは近所のOMに乗せてもらって行ったりしたもんですが、長い休眠期間後は気付いたら横浜でやってたりしていて、そのあたりから毎年行くようになりました。

毎年そうですが、私はあんまり新製品に関心がないというか、新製品はいずれ情報が出回るし、販売している限りお店に行けば触れますから、ハムフェアで最優先で見ることもなかろうということで、ケンウッドのブースのキャップ目当ての抽選以外、メーカーブースにはあまり近寄りません。

むしろ、一般展示の中古・ジャンク販売のブースをぐるぐると回るのが好きです。普段見られない古いトランシーバやアクセサリの実物を見られるチャンスですからね。

さて、かつてはVFO-40を不意にゲットしたり、珍しいTR-50用ソフトケース(新品!)を見つけたりしたハムフェアですが、今年はというと、

・TR-2300、まあまあきれい、箱入り、ソフトケース付(こちらもきれいでした)
 これは私の趣味ですね。初日午後に会場を去るまであったので、同好の士が少ないのかな、と少しさびしかったり。
・TS-130V、まあまあきれい
 何台か出てましたが、綺麗な筐体で安いのがあったので置く場所があれば欲しかった。しかし我が家には既にTS-130Sが一台あるので…
・複数のブースで見かけたND-1200(日本電装の144MHzFMハンディ機。430版のND-4200も置いてあった。)
 毎年見かけますが、日本電装のハンディは一度電源を入れて使ってみたいです。
・IC-302
 これ一台で電池を入れると430のSSBに出られるのは面白そう。でも、QRHがあるだろうな…
・PS-6
 TR-7500と一緒に使う純正電源。TR-7200シリーズの純正電源PS-5に付いているパタパタ時計はこれには付いていない。とても安かったので心が動いたものの、去年も電源を買っているので自粛。でもこういうのって一期一会なんですよね。
・西無線のNTS-200
 同社が最近出したデジタル表示のではなく、ピコトラみたいなVXOの2mSSBトランシーバ。去年は関西の販売店ブースの中古のコーナーにこれの6m版があって、欲しいと思ったら一瞬にして無くなっていました。
・TR-3200とVB-3200のセット、箱入り、きれい但し高い
 珍しいものがあると眺めてましたが、値付けが高かったので見るだけ。
・三協特殊無線のKF-51、まあきれい
 羊羹状の筐体のシリーズの50MHz版です。わりときれいでした。
・MC-90
 安価にきれいな送信音が出せる良いマイク。送信時の占有周波数帯幅の広さ関係なく、印象の良い音で送信できます。きれいなのを2本くらい見かけたかな。

あたりが目に付きました。
毎年ですが、古くは60年代から80年代くらいまでの機器の現物をいろいろ見ることができるのは楽しいです。
PS-6は会場から出るまで悩んだのですが、販売店ブースで第一電波の144/430のロッドアンテナとDSP500だけを買って、会場を去ります。

途中駅の駅裏の居酒屋に寄り、少々酔ってのご帰宅と相成りました。

2016年8月23日火曜日

安定化電源カスタマイズ(というには大げさ)

この前の7への移動で重さに閉口した安定化電源をなんとかしようということで、第一電波のDSP500をハムフェアで購入しました。
金額的にもう少し出すともっと容量の大きい電源が買えるので、値付け的には微妙ではありますが、なんといっても軽さが魅力です。

ただひとつ問題が。DCの出力端子のビス留め部分が狭く、ショート防止のために私の全てのトランシーバの電源コードに使っている丸型端子を留めることができないことが判明。

最初、DC出力端子を覆っている金属製のフィン状の部分を折るなりして外してみようかと思ったのですが、難しそうで断念し、電源機の筐体の外側でなんとかすることを考えてみました。






要は、キッチンから小さなタッパーウエアを拝借し、これに陸軍端子をつけるという簡単なおはなし。



















以前にIKEAで椅子のビス止め用に電動ドリルを買ったので、これでちょちょいと穴を開け、近所のホームセンターで買って持っていたリーマーで穴を広げ、陸軍端子を取り付けて、ジャンクの電源ケーブルの切れっぱしをハンダ付けして完了です。
ヒューズは無線機側の電源ケーブルに挿入されているので省略。
現代風にフェライトコアを入れてみました。これでスイッチングノイズ対策もばっちり(かもしれない)。
※後日、フェライトコアをタッパーの中に収納しました。画像ではタッパーの横にコアが出てますが、これが中に入ったら少しだけ見栄えが良くなりました。


しかし、こんなに軽くて小さな筐体で5Aも取れるなんて、すごい時代になりましたね。
筐体の冷却の点で最近の受信時にも2Aくらい流れちゃうトランシーバに使うには心もとないですが、昔の10Wクラスのものなら余裕ということですよ。
第7送信機のTR-7500や第10送信機のTR-9300が手ぐすね引いて待っているようですw
(いや、blogのタイトルからすれば、VL-1300やVB-2300が手ぐすね、と言わなければいけないところですね。)

2016年8月16日火曜日

TR-2300 ポータブル7、ホテルの部屋から

子供のころからいつかやりたいと思っていた、旅行先のホテルの部屋でQSOというのをやってみました。

今回は、旅行先の現地の友人と会う直前の時間に余裕があったので、そのタイミングに試してみようと、
・TR-2300本体
・MC-20
・電源コード
・背面のMコネからL字に方向を変更しBNCに変換できるコネクタ
・これに接続する短めのアンテナ
・そして安定化電源
とともに移動です。

現代風の装備からすれば容積も重さもあるのですが、車で移動だったのでそのへんは気にせずに、また、電源もホテルからQRVと決めていたので、重ささえ我慢すれば電池不足で送信できなくなる心配もありません。
しかし、電源が重たいw 第一電波のDSP500などを購入すれば、ずっと軽くなるのですが、次回があるかわからないので、今回は倹約モードで。

アンテナも、BNCで接続する144MHzに使えるゲインもあるロッドアンテナが市販されているのですが、やはり次回があるかわからないので、ジャンク箱の中にあった144/430/1200広帯域受信対応の50cmくらいのアンテナを試してみようかと、持参です。

全体図はこんな感じ。かつてやりたかった構図そのものです。
今回宿泊した部屋はホテルの5階。窓ガラスは安全のために開けることはできないものの、網線が入っているタイプではないので電波が遮られる心配はありません。

スイッチを入れて、ダイヤルをぐるぐると回してみると、何局か聞こえます。職業ドライバーが仕事の話をしているのではなく、地元の言葉で無線家らしい会話をしているのがうれしいです。
そんなQSOを聴きながらうとうとしていると、自由時間が少なくなっているのに気づきます。まずい、電波を出さないとw
あわてて起き出し、CQを出してみます。何度かメインチャンネルで送信してみるのですが、反応がありません。
内蔵ロッドアンテナならどうだろうと、今度はそちらでCQを出してみると、応答あり(涙)

念願のTR-2300での移動地でのQSOです。今回のシチュエーションと、こういう楽しみ方をしている、といった話をすると、先方は私よりもキャリアの長い方で、ちょい古めの無線機の話で盛り上がり、長話にお付き合いいただくことになりました。いやあ、楽しかった。

往路をカーラジオでFMを聴きながら走行中、中国のFM放送局がEスポで何局も聞こえていたので、TR-1300を…いや、9300を持って来れば良かったかな?とも思ったのですが、それは次回の楽しみとしましょう。

時間を見つけて短時間で、というのも旅行のメインストリームを邪魔しない効率的な楽しみ方だと思います。短い時間に楽しんだのを名残惜しみ、次の機会はいつかな、と胸の中に温めておくのも良いですね。

2016年8月10日水曜日

妄想:TR-1300

TR-1300は、
・キャリア発振の10.6985MHz
・水晶発振の8.2-4MHz(水晶3つ)、または8.2-9.2MHzを発振するVFO
・15.5MHzの水晶(水晶4つ)を2逓倍(こちらをVXOで可変)
を混合して50MHz台を得ている。

細かい字が見えない回路図、ブロックダイヤグラムやwebで集めた情報をまとめて、適当に計算してみると、

となる。ただし、これは机上計算なのでご注意。うそかもしれないので。
川崎電波研究所(2017年2月8日追記:残念ながらお辞めになったとの情報がありました。)に水晶を注文して試してみたいところ。どうせ1300で50.110なんて聞かないでしょうし。
ちなみに、VX配線を切断している場合にチャンネルセレクタをVFOの位置にしたら50.085MHzが出るという話は 復古的無線機展示館 トリオ6m機の部屋修理のヒント を参照しました。
水晶の置き換えをした後で、新スプリアス基準に基づく保証認定を受けたいと思っているところですが、JARDで対応してもらえるといいのになあと。