2024年5月15日水曜日

そして令和6年のFT-690mk2です。(続き)

周波数を読める50MHzハンディ機!の続きです。

ここからはノウハウ編ですね。

FT-690mk2を手元に置くにあたりあったほうが良いもの

本体(当然ですね)

この機種は電池ボックスの出来がイマイチで、電池の出し入れに伴う開閉を繰り返すとプラスチックのフレームが割れます。そんな電池ボックスですが、あったほうが良いです。

メタル8ピンのマイク、八重洲純正には拘らない

純正のダイナミックマイクは音が良いのか悪いのかわかりません。690mk2のマイクメタル8ピンコネクタの2番には+5Vが来てるので、ここはエレクトレットコンデンサマイクを使いたいところです。変換コネクタを作ってケンウッドのコンデンサマイクかな。

 

上の画像では変換コネクタ経由でMC-90を繋いでます。小さい無線機にリニア+MC-90って好きです。 

フロントパネルのBNCジャックに取り付けるアンテナ

BNCの50MHz用の短縮ロッドアンテナです。これが無いとさびしいですね。本体に一緒に付いてこないなら探すのが難しそうな気がしますが、実は現行品のサガ電子のSUPER ROD-2があるので、妄想する屋外での運用は夢のままには終わりません。

リニアアンプ

自宅でゆっくり運用するときのためにリニアはあったほうが良いです。電池ボックスを外してその代わりに後ろ側に取り付ける10Wリニアアンプ、FL-6020がありますが、私はこれではなく、HL-66Vを使っています。2Wで押しても20-30W出ますし。

当然ながら、HL-66Vなど汎用のリニアを使う場合は、フロントパネルのBNCジャックからの出力をリニアに持っていくので、両端がBNCプラグとMコネのプラグの中継ケーブルが必要です。

HL-66Vの場合は、リモートコントロール端子に送信時に+3~9Vを加えると連動できるピンがある(よくある送信時にアースに落ちるピンもありますが、今回はTXBを簡単に取り出せるので)ので、690mk2のTXB端子(上側蓋を開けると奥に純正リニアコントロール用の端子があって、その真ん中がTXB)を伸ばして、トーンエンコーダ用の穴から電池ボックスを通して後ろ側に伸ばしたところにミニジャックを付けて、これ経由でコントロールすることにしました。

690mk2のTXBは13.8Vなので、何か負荷を入れて電圧を下げたほうが良いです。私の場合はムギ球代替品の電球色LEDを入れていて、閉じられた電池ボックスの中で無駄に光っています。

 ※電池ボックスの中はサビサビのガリガリなので撮影を省略しました。

こうすると、電池ボックスを外したり、中を触れないのでは?と思うところですが、一度このように配線した後は、電池ボックスを外すことはありません。

じゃ、電池運用の場合はどうするのかというと、電池ボックスのDCジャックは生かしてあるので、普段は安定化電源からDCジャック経由で690mk2への電源供給をし、電池運用時はこのように外付け電池ケースに単三エネループ10本12Vを装填して、これをDCジャックに繋いで使います。
外部電池ケース採用案はニャンダース氏よりお知恵をいただいてます。これで心置きなく単二電池用の部品を取り去って、このような使用法に至ることができました。

電池ボックスのDCジャックですが、センターマイナスなので注意してください。どうせ改造するならセンタープラスに変更するのもアリですが、私の場合は安定化電源用のプラグや外付け電池ケースはセンターマイナスになるように配線しました。

肩掛けベルト

手芸屋さんに売っている平らなベルトや留め具を使っても良いと思ってます。私の場合は、かつてRJX-601のために買った手芸屋さんベルトを流用する予定です。


【FT-690mk2のクラリファイヤについて】

この機種はSSB/CW時には最小25Hzステップなので、ほぼゼロインできます。なのでゼロインのためにクラリファイヤを使う必要はないと思っています。また、ズレた相手局を追いかけるためにクラリファイヤを使う場合がありますが、私の場合、習慣的にこれがないんです。IC-502でデビューして以来、ダイレクトにダイヤルで追いかける癖がついてしまっているので、クラリファイヤを使うことはほぼありません。

で、この690mk2のクラリファイヤは仕様上常時ONになっています。つまり、誤ってクラリファイヤつまみがセンター以外の位置にある状態だと、送受信アントランシーブになってしまいます。クラリファイヤのON/OFFができれば良いのですが、その機能はありません。また、このクラリファイヤつまみのセンタークリックが柔らかく、知らないうちにセンターから外れていることもあります。なんで、八重洲はつまみを引くとONとか、もう一手間かけなかったのかなと。

さらに続けますがw、このクラリファイヤつまみですけど、回そうと力を入れるだけで周波数が動きます。(690mk2から音楽を流して、隣の無線機でゼロインして、隣の無線機で音楽を流して、690mk2で音楽がちゃんと聴けるかという方法の)送受信鳴き合わせチェックのときにわかりました。なんかイヤな感じです。クラリファイヤのON/OFFがスイッチでできれば気にしないのですが、常時入った状態でズレる可能性があるというのは、古い無線機だからということをさし置いてもちょっと困ります。

私の場合はこれがイヤで、本体底面の蓋を開けてアクセスするPLL/PAユニット基板のJ05を抜いて、クラリファイヤつまみへの配線を外しました。クラリファイヤの機能は無くなりますが、このつまみが原因でアントランシーブになるのはもっとイヤなので、これでとりあえずの対策としています。

テクニカルサプリメント(mods.dkにFT-690R2のものがあります)にPLL/PAユニットの回路図などが出ているので、ご興味の向きはどうぞ。

PLL/PAユニットの裏側にアクセスして、送信時もクラリファイヤつまみが生きるようにできれば、送受信周波数ともにつまみ位置とともに動くからOKと思ったのですが、不器用なので、寄木細工のように入れられている基板を外して、その裏側へのアクセスの過程で壊す可能性が高いのでやめました。

2024年5月18日追記 コネクタをまた挿して、クラリファイヤ機能を復活させました。送信してると熱で周波数がズレて、お互いに周波数を合わせあってるうちに、これクラリファイヤ使ったほうが良いのでは?と思い至り、復活です。

2024年5月14日火曜日

周波数を読める50MHzハンディ機!

6mハンディ機のないものねだり集 に書きましたが、私の世代が知る50MHzハンディ機に関する印象はこんな感じです。

水晶発振の場合は周波数を読めますが、VFOの場合は大雑把な目盛を参考に勘を鍛えるしかないですし、VXOの場合はVFOよりはマシなものの、それでも目分量でVXOダイヤルを回して選局することになります。

1978年にRJX-610が発売されて、ハンディ機としては初めてデジタル表示で周波数を読めるようになりましたが、この当時は50MHzSSBの平日の夜は混雑して、私が住んでいた1305市付近では50.600以上の周波数でようやく安住の地を見つけるのが通例でした。なので、RJX-610では役者が不足していたんですね。

この頃のわたくしは、自分の部屋におさがりのIC-502を持ち込んで、窓際に1/4λのホイップをガムテープで留めて、中学校の同級生や市内の高校生と夜な夜な喋っていたものでした。502は50MHz台の1MHz幅をフルカバーしていたので、上のほうで待ち合わせをする場合でも追いかけられたんですね。しかし、周波数を読めないので、「50.580で待ち合わせだよ」と言われても自力ではそこに行けないので、前の晩にラグチューしたままの周波数でダイヤルをいじらずに翌晩待ち合わせなんてこともありました。仲間の一人がIS(インターバルシグナル)代わりに音楽を流して、ゼロインして聴きながら待つなんてこともありました。そんな頃、502のダイヤルを眺めて、周波数を読めると楽なんだけどなあと思ったものです。

その数年後、昭和57年の暮れあたりかな、近所の高校生にIC-505を貸してもらったことがあります。PLLのデジタル表示でAM以外は出られる、505の場合は電源があれば10W出るしとすごいなと思ったものです。でも、IC-551と同じで、SSB時の周波数ステップが最小でも100Hzなので、ゼロインもできないし、肝心の無線機としての機能はまだまだと思ったものでした。

で、FT-690mk2です。


この機種、正直なところノーマークでした。大学時代に中学の同級生(この同級生が中学と大学の同級生だったりするんですが)の家に行くとこれがあって、小さいし、周波数は読めるし、SSB以外のモードも出られるし、周波数ステップの切り替えが面倒そうだけど、中学の頃にこういうのがあればなあと思いました。でも、そのころは430MHzFMでラグチューしたり、車に無線機を積んで走り回ったりと無線がからんでも別の興味に移っていたので、欲しいというところまでの熱意は湧きませんでした。

余談ですが、この同級生、ピコ6のオプションを集めてセットにしておかもちのようなラックに収納してみたり、430出ようよと誘ったことがありましたが、それに応じてマランツのC4800を買ってみたり、ハンディトーキー型のハンディ機を何台も持っていたりと、小さい無線機が好きでした。少し前だったらFT-817や818、今だったらIC-705を嬉々として使ってるんだろうなと想像しています。元気かな。

話は690mk2にもどりますが、就職した後、平成に入った後あたりでしょうか、何かのついでに秋葉原のロケットの店頭で見かけて、この機種買っておいた方が良いかなあなんて思いつつも、歩き出したらもう忘れてといった具合で、令和6年の今まで忘れていた存在でした。

長年、IC-502、TR-1300やRJX-601のように、周波数が読めない無線機に興味が行っていたので、肩掛けスタイルのハンディ機で、現代においても実用になるのってあるのかなと興味を持ち、少し調べてみると、

IC-505(FM/SSB/CW)

FT-690(FM/AM/SSB/CW)

FT-690mk2(FM/SSB/CW)

といった機種が浮かびます。505や690無印はSSB時の最小ステップが100Hzなのでイマイチです。反面、690無印の場合はAMにも出ることができます。690mk2の場合はSSB時25Hzステップなので、これなら使えそうということで探してみることにしました。

リニアアンプFL-6020とセットだったりセットじゃなかったり色々ですが、1万円以下で入手できるんですね、面白がって触ってみるくらいならお手頃です。

 

続きます。

2024年5月13日月曜日

ケンウッド純正マイクの評価

以前友人と行ったトリオ・ケンウッドのマイクの評価です。Hi-FiのSSBは目指していません。送信フィルタが広いならそれなりに、狭くてもそれなりに聴きやすい音だと良いなというポイントで評価しています。

画像がないのでつまらないですが、「kenwood MC-10」などと画像検索してみてください。だいたいヒットすると思います。

 

・MC-10(4ピン)(小判型。オバQとも呼ばれる。VU機向けの500Ω版とHF機向けの2kΩ版がある)×

・MC-20(4ピン)(TR-1300ほかAction☆Handy、TR-2300やTR-7500/GRの純正)ゲインはある。FMで使うと音は悪い。AMやSSBだと違うようだけど、良くはない。MC-20の場合は経年変化で「聴けない音ではない」場合もあるので、どうしても使いたい場合は個体差を含めて要検討。個人的評価では×だけど、このマイクのデザインが好きな人は多いと思う。私も好き。

・MC-30S(4ピン)(TS-120世代のノイズキャンセルマイク)×、話にならない。

・MC-35S(4ピン、30Sと同型のハイインピーダンス版)使ったことがないので不明だが、MC-30Sと同じなら期待しないほうが。

・MC-40(6ピン。MC-43Sの6ピン版)MC-43Sと同じで×。6ピンの純正はこれしかない。

・MC-42S(8ピン。MC-43Sのハイインピーダンス版だと思い込んでいたのですが、ヤフオクで見かけたこのマイクの取説ではTS-780や660に使えると書いてありました。何か配線が違うんですかね。インピーダンスは500Ωでした。)一時期持ってたけど使った記憶がない。

・MC-43S(8ピン。現行品の8ピンダイナミックマイク)ゲインはあるが音は悪い。話にならない。×

・MC-44(8ピンorモジュラー。TM-833純正、通称しゃもじ)△未満。エレクトレットコンデンサマイクなのに音が薄っぺらい。薄っぺらいのは833で使った場合かもしれない。要追試。マイクアンプ段の出来が良いTR-50で使ってダメならやっぱりダメ。

・MC-45DM(8ピンorモジュラー。MC-44のDTMF付き)△未満。MC-44と同じ。

・MC-46(8ピン。TR-50純正やSMC-31と同型筐体のエレクトレットコンデンサマイク、DTMF付き)○、ただしHF機には回り込みが起きることもあり向かない。

・MC-47(8ピン)TS-50/60純正。中身が43Sと同じなら期待しないほうが良いが。

・MC-48B(8ピン。MC-46と同じ、型番だけ違う。仕向け地違い?)〇

・MC-49(モジュラー)MC-44しゃもじのモジュラー版説あり。詳細不明。

・MC-50(4ピン)×、ただし、何を使っても音が悪いTS-600にはこれで良いかも。大昔、50MHzにFT-625Dで出てた頃は、アツデンDX-857からMC-50に変えて使っていました。音の悪さ加減が良いスピーチプロセッサになってたのかしら。音の良さよりも飛びに寄与するマイクとして使ってましたね。

・MC-60(8ピン)×、カッコは良いのだが音は悪い。中古でMC-90を探すべき。

・MC-80(8ピン)△、HF機にも使えるコンデンサマイク。マイクアンプ内蔵で深い変調をかけられる。でもFMで使うのが良いのでは。

・MC-85(8ピン)立派なメーターが付いている。使ったことがないので不明。

・MC-90(8ピン)◎、ゲインは無いが、音は良い。1石マイクアンプと電源用の006Pを台座に入れて使えば良し。2種類あるマイクのエレメントカバーはスリットが少ないほうが音が良い。

・型番不明のTR-50純正(8ピン。MC-48Bと同じ筐体のダイナミックマイク)音は良くない。×

・型番不明のTW-4000純正(8ピン。MC-43Sに機能追加ボタンが付いている。)×。MC-43Sと同じ。

 

私見:

○MC-90にマイクアンプを内蔵させれば万能
HF機からFM専用機まで、ハンディ機でもこれで行くのが猛者。でもエレクトレットコンデンサマイクとは周波数特性が違うので、変調の深みやパンチはない。マイクアンプを入れても上品な音で物足りないと感じるかもしれない。

○ハンドマイクならMC-46やMC-48Bが良い。エレクトレットコンデンサマイクなので、メタル8ピンなどマイクコネクタまで電源が来ている機種には使える。ただし、国内ではここ20年で2回しか見たことが無い。ebayでは見かける。同じ筐体のハンディ機用のマイク、SMC-31はおそらくエレクトレットコンデンサマイクだと思うんですけど、スピーカを取り外して試してみたいところです。

○8ピン用としてHF機からFM機まで使えるMC-43Sは、音はサイテーだけどケンウッドユーザの場合は一本持っていると助かるときがある。ダイナミックマイクなので電源無しでも使える。


わたくしの場合:

〇MC-90の台座に1石マイクアンプと006Pを入れてます。台座底面のスイッチは音質の切替ですが、音質切替基板を取り去ってマイクアンプのON/OFF/スルーで使っています。ケンウッドのHF機の場合はマイクアンプの電源は入れずに直結で、SSB以外でゲインが欲しい場合にはマイクアンプをON。そのほか、V/UのSSBが出る無線機でも強電界のラグチューにも使うことがあります。かつて、FT-817にINRADのSSBワイドフィルタとリニアアンプをつけて、これにMC-90で出て面白がったことがあります。TR-1300でもリニアで相手局まで強い信号を届けられる前提なら悪くないですよ。

〇TM-833などでのFMラグチュー用には、ケンウッド純正マイクではなく、IC-SM2のマイクエレメントを松下のものに交換したものを使います。

〇TR-851などV/UのSSBが出る無線機では、MC-46やMC-48Bを使うと、ゲインはあるし、それなりにアリな音になります。FMラグチューもこれでも良し。無難なマイクです。

2024年4月16日火曜日

6mハンディ機のないものねだり集

私の場合、電話級をとった前後、いちばん無線機を触っていた時期に目の前にあったのがIC-502でした。

ご存じのとおり、502は周波数が読めなくて、温まるまでの間はQRHが大きいという印象の無線機です。これを触りながら、周波数を読めたらずいぶん違うんだけどなと思ったものでした。

そこで、記憶と少しのインターネット上の調査をもとに、私が知っている範囲の6mハンディ機のないものねだり集というのを書いてみました。

---TR-1100B以前は省略

TR-1200 FMでスケルチが使えない、52.5MHzより上に出られない
RJX-601 周波数を読めない、キャリブレが50.0MHzで、51のメインがわからない
IC-502 周波数を読めない(より深刻)上、QRHが大きい

---ここまで周波数を読めない

TR-1300 VFO-40なしでは50.258までしか出られない
RJX-610 デジタル表示だけどQRHが大きい

---PLL化以降

IC-505 SSBが100Hzステップでゼロインできない、AMモードが無くなったBFO入りでしか聴けない、FMがオプション(505はIC-551と違ってA3Hも無くなっちゃったんですね)
FT-690 SSBが100Hzステップでゼロインできない
FT-690mk2 SSBが25Hzステップになったものの、AMモードが無くなった

---以降、いきなりFT-817に至る


※CQ-Pシリーズとピコシリーズは除外してます。

〇CQ-P6300はTR-1200やRJX-601の販売時期に出ていたので、購入する際の比較に挙がったと思うのですが、他の6400(アナログVFOでAM/水晶発振でFM)と6500(アナログVXO、CW/SSB)はそれぞれの機構の旬から遅れていたので、特別この機種が好きという理由がないと買う人はいなかったのかなと。ツクモの広告には安い値段でよく出てましたよね。私は6400の値段をみて欲しいと思いつつも、やっぱり古いんだよなあと思って食指が伸びないよう抑えていました。

〇ミズホのピコシリーズはまた一般的なハンディ機の購入動機とは違うかなと。キットを作ってみたいとか、高田先生のファン(私もそうですけどね)に訴えるものがあって、長期にわたり販売されてました。 ピコシリーズの場合は「ないものねだり」ではなく、自分でなんとかする、または、これはこういうものだと割り切る向きが多かったのではと。

2023年8月10日木曜日

(続)そして2023年のFT-207へ。

長い長いマクラの続きになります。

このFT-207ですが、業界初めてのハンディ機のデジタルディスプレイ、テンキーボード実装、PLLシンセサイザによる200ch、肩掛けではなくハンディトーキー型と先進的な形で発売されました。1979年の秋です。ガワはFT-202の流用で、その部分だけは真新しさを感じませんが、この小ささで144MHz帯どこにでも出られるという、画期的な機能でデビューしました。

翌年1980年の晴海のハムフェアで、現地で会ったローカルがこれを持っていて、簡単な改造で148.99まで聴けるようになっているのを見せてもらって、小さなヘリカルホイップと電池でいろいろできるんだと感動しました。

 









 

 

 

このHPの7セグデジタル表示が良いんですね。蛍光表示管でもニキシー管でもなく、未来的なLEDのデジタル表示です。この当時、この7セグLEDを使った腕時計がありました。消費電力の関係から常時点灯ではなく、時計を触る(龍頭を押す?)と表示が点灯する形式だった記憶があります。また、電卓でもこのLEDを使ったものがありました。どれも格好よく、欲しいと思ったものです。

ちなみに、この時代にはまだロータリーエンコーダは実装されていません。周波数の変更はテンキーで直接入力するか、UP/DNキーで上下します。外部マイクからのコントロールもできません。操作性については、後年のIC-3Nをはじめとするサムホイールスイッチの機種のほうが勝ります。テンキーは一見便利そうなのですが、まだまだです。でも、148.41など当時の埼玉県で人気の周波数に即QSYしたいときにはサムホイールをパチパチ動かすよりも速かったので、便利なところも見つけられました。

FT-207については、上で先進的、画期的と書いたのですが、他の機種からの流用部分も目立ち、まだ実験機的な要素は残っていると感じました。FT-207ではなく「CPU-207」として出してきてもよかったのかもしれません。外部マイクを繋ぐと、受信音声が本体スピーカとマイク内蔵スピーカの両方から出るというなかなか笑えるところもあります。

それでも他のメーカーを機能的に一気に追い越して出てきたことはすごいと思います。デザインについてはFT-207は一目でFT-202の流用とわかりましたが、翌年デビューのFT-208/708になると八重洲らしからぬ格好良いデザインになりました。残念ながらHPのLEDはFT-207限りで、FT-208の世代からは液晶表示+バックライトになってしまいましたが。

で、縁あってFT-207は2023年の春に私の手元に来ました。エージングをし、送受信テストをしてみると、送受信のFズレがあります。受信感度はそれなりですが、追及して設定を追い込むほどのものではないですから現状のままとして、周波数ズレはなんとかしたいところです。

八重洲が公式に出している取説をみたり、RigPixに置いてある英語版取説をみながら調整します。 とりあえず書いてあるとおりの調整をして、誤差数kHzまで合わせて概ね良しとします。

それにしても、この機種は肩掛け型のTR-1300/2200GⅡ/3200シリーズやTR-2300よりも小型化への努力を感じます。部品間の間隔が狭く、不具合部品の交換に苦労しました。現在みたいにチップコンデンサの多用こそないものの、従来型部品が狭いピッチで並び、基板上の線も細いですし、基板間の連絡も細いケーブルで行われています。経年劣化もあり、ちょっとのテンションで細いケーブルの半田が外れ、作業中にそのようなことがおきると中断してどこから外れたかを探してメモるという二次作業が発生します。

ちなみに、このハンディトーキーには、両側面にストラップを付けられるようになっていて、もともとは純正の肩掛け紐が用意されていました。2023年の今では入手するのは難しいので、手芸屋さんなどで代替品になるものを探していたのですが、

〇三角環 ニコン純正品が使えそう(ただし未検証)

〇ストラップ  ニコン純正品が使える

がありました。三角環は本体に残っていたのでそのまま使えたのですが、ストラップのほうは、カメラ量販店の通販で上のリンクのメーカー公式サイトよりも安価に入手して使っています。

また、元からついていた純正のニッカド電池が劣化してしまっているので対策を考えました。この機種は、現代のスマートフォンのように、充電ケーブルで充電した電池で動きます。配線を電池の端子に直結すれば動きますが、そうすると安定化電源なしでは動かせません。せめて電池で動かして持ち歩けるようにしておきたいところです。

webを調べると、電池を内蔵させる動画の例示(音が出ます。注意)がありました。 これだということで、真似しました。単四アルカリ電池を使えば10.5Vなので仕様どおりの出力が出ると思われますが、私の場合は単四エネループを使っています。8.4Vと電圧が低いかな?と思いきや、ちゃんと動いてます。2Wフルパワーで送信するシチュエーションが想像できないので、これでよいかなと割り切りました。

ここで使った単四電池ケースですが、秋月で売られているものは寸法的にギリギリまたは入らない可能性(実際、仲間が秋月のを試したのですが、入らず、単四電池ケース側の不要部分を削って入れたとのことです。)があったので、他を探して買っています。

その後、なんだかんだで保証認定を受けて、第〇送信機追加の届出審査終了を経て電波を出せる状態にするに至っています。でも、窓際でヘリカルホイップでメインチャンネルを聴いていても、144MHzのFMは空いているのか、あんまり声が聴こえないところが現代なんでしょうね。

※電池については、ebayで純正ニッカド電池FNB-2と同じ寸法でニッケル水素電池があったので買ってみたところ、経年劣化で使えないことが判明、返品・返金処理をしてもらってます。古いニッカド互換のニッケル水素電池は容量も大きく魅力的ですが、需要もそんなにないでしょうし継続的に作られているわけではないので、古い劣化した在庫が流通している可能性があるようです。

2023年8月9日水曜日

FT-207です。まずは長い長いマクラ編。

1978年1月に144MHz帯のナロー化とFMを145MHz台に移すバンドプランの完全施行があって、これを機に、144MHzFM機は水晶発振の時代からPLLシンセサイザの多チャンネル時代に移りました。

それまでの40kHzセパレーションに対応したワイドFMの水晶発振トランシーバでは、受信フィルタを16kHz以下の狭帯域のものに変更すること、送信のデビエーションを40kHz幅から16kHz幅に収めることと、FMに割り当てられた145MHz台の水晶に交換しないと出られなくなりました。

この少し前のCQ誌には大々的にFMトランシーバのナロー化改造特集があって、各メーカーの機種別に改造方法が記載されました。免許を取る前の私も、父親からもらった水晶発振12ch機、FT-2Fをナロー化改造して、ほとんどのchの送受信別々の水晶を発注して、145MHz台で送受信できるように備えたものでした。

FT-2Fとは何ぞやというところですが、八重洲が公式に同機のマイナーチェンジモデルであるFT-2FBの取扱説明書を公開しているので、興味のある方はみてみてください。

 

マクラが長いですが、もう少し続きます。

件のFT-207が出る前の年である1978年に、水晶発振6chでハンディトーキーのFT-202が発売されます。このころの144MHzハンディ機は、

〇70年代初頭から続くマランツのSR-C145BN(Nはナロー、水晶発振5ch、ハンディ型)(後から気付いたのですが、このころ既にマランツからはC145BNの後継のC145G(ナロー、水晶発振6ch、ハンディ型)が発売されていたようです。この機種もけっこうな付け焼刃ですね。)を筆頭に、

〇トリオのTR-2200Gのナロー化対応機TR-2200GⅡ(水晶発振12ch、肩掛け型)、

〇アイコムからはIC-502と同じ形のIC-212(ナロー、水晶発振16ch、縦型の肩掛け型)、

〇NECからCQ-P2200N(水晶発振12ch、同じくNはナローの意、肩掛け型)、

〇福山からMULTI Palm2(水晶発振6ch、ハンディ型)

が販売されていました。ですが、どの機種も大混雑の144MHzFMなのに水晶発振で少しのチャンネルですから、関東地方の高いところに登ってCQCQなんてやろうものなら、持ってる周波数全部空いてないなんてことが頻発したと思います。

当時のバンドの混雑状況、しかしPLLシンセサイザにするには価格転嫁が難しい、開発コストもかかる、新機種を出すならナロー化145MHz台移行のバンドプラン完全施行後の早い時期にと各社考えていたのだと思います。

それにしてもFT-202はバンドプラン完全施行後の1978年になった後に出てきていますから、当時CQ誌を眺めていた私でも、業務機を転用して当座を凌いでいるんだろうなと達観して見ていました。広告には中学生が自転車で運用する姿を使ったりで、私らにワクワク感を喚起しようと努力してましたが…ね。

eham.netのFT-202Rレビューを読んでみると、「old brick HTs」と表現していて面白いです。この世代のハンディトーキーは煉瓦くらい大きいですからね。

事実、1978年の初夏、私自身が電話級の講習会に通っていた頃には、トリオからTR-2300が発売、ハンディ機も多チャンネル化の時代に入りました。同じころ福山からはデザインがかわいらしいMULTI Palmsizer2が発売され、145MHz台を20kHzセパレーションでフルカバーで出られるようになり、時代が進んだ感がありました。

そんな中、1979年になって、前年にFT-202で初めてハンディ機市場に入った八重洲が、デジタルディスプレイ付きの144.00-145.99MHzまでフルカバーのFT-207を発売しました。筐体はFT-202と共通のハンディトーキー型ですが、テンキーボードが筐体正面にあり、周波数を直接入力してQSYすることができる、未来を感じる機種です。

その当時、CQ誌の広告ページを舐めるように読んでいた私(こう書くとちょっと気持ち悪い中学生ですねw)は、このテンキーボードは既に発売されていたのCPU-2500(八重洲の最初の144MHzPLL機)のマイクロホンに実装されているテンキーの流用だと一目でわかりましたが、それでも、価格が高くなっても出してみようという実験的要素が伺えたCPU-2500の先進的なところを、低価格を目指すハンディ機に取り入れて出してきたというところも含めて、八重洲は付け焼刃的なFT-202から一気に他メーカーを追い越してきたなと感じたものでした。

<明日に続きます。>

※バンドプランの画像は、1978年春から夏にかけて私が受講した電話級の講習会の教科書から。それまで買いそろえていた144MHz台(144.36から144.96まで)の水晶が軒並み使えなくなるというのはインパクトが大きかったです。たった12chのFT-2Fでしたが、水晶入れ替えでかなりお金がかかりました。

※付け焼刃的な展開で出てきたFT-202の頃の他メーカーの機種は、ハンディ型は水晶発振5-6ch、肩掛け型は12-16chです。自宅で据え置いて使うには不向きのハンディ型は、時代遅れ感満載のチャンネル数の少なさですが、各社PLLシンセサイザ機を出す前の一時しのぎと割り切って少ないチャンネル数で良しとしたのでしょうね。12chの肩掛け型については旧来の機種を引っ張る形で、古さを感じて買う買わないはユーザサイドに任せた展開だったのでしょう。アイコムのIC-212は16chと中途半端ですが、 同社はそれまで144MHzFMのハンディ機(可搬機)が無かったので、IC-502と同じ顔で出してみましたというところなのでしょうけれど、当時これを見た私は、502と同じ顔は面白く感じても、水晶発振かぁ、追加でお金かかるじゃんとあまり刺激を感じませんでした。

※CPU-2500ですが、八重洲のトランシーバの名前である「FT」がついてないんですね。それゆえ実験的な販売だったんだろうなと。後継のFT-227 MEMORIZERには「FT」がついてますからね。 

※ちなみに、FMの145MHz台完全移行の144MHz帯でしたが、関東では1年で1プリフィックス進むくらいの局数の増加と、PLLシンセサイザによる10kHzセパレーション200ch機の発売で、結局バンド中20kHzおきにFMでしゃべるおじさんたちで埋まるという状況でした。でも結果的に20kHzセパレーションとナロー化だけはちゃんと実現できましたね。

※TR-2300の項ではここまで濃厚なマクラは書かなかったんですが、当時TR-2300は私にとっては先進的なあこがれの機種で、手が届かないイメージがありました。我が家にあったFT-101、625DやFT-2Fは身近でしたが、トリオ製品ってあこがれるものの、後年TM-401やTH-45を買うまでどうも縁遠かったんです。それで、TR-2300の項では後々に手に入れたあこがれの無線機ということで、無線機本体の話に終始したんですね。対して、本項については、目の前にあった八重洲のトランシーバを苦心してナロー化したり、その後中途半端な機種(FT-202ですね)が出たのを眺めたりした後で、新たに発売されたFT-207を見た印象が強かったので、こんな書き方になった次第です。

2023年7月7日金曜日

(続)TR-3200を現役で楽しむ

「TR-3200を触る。」
https://tr-1300.blogspot.com/2022/10/tr-3200.html

で、導入からとりあえず使える状態にしたところまでを書きました。

ナローFM用フィルタのムラタCFM455Eに入れ替えて、送受信ともにナロー化完成!と満足していました。その後、大きなコンテスト時(時期を考証してみると、去年の全市全郡か年明けのQSOパーティかもしれません)に聴いてみると、どうも20kHz離れた隣の周波数の信号が被ってきます。

スペック的には16kHz幅しか通過していないはずなのですが、自分や相手のズレもあるので、もう少し狭くても良いんでしょうね。CFM455Eのスペックです。





 

 

もう少し狭いやつということで、同じムラタなら12kHz幅のCFM455Fが良さそうですが、2023年の現在においては流通は期待できません。そこで秋月に無いかなと調べてみると、LT455EUという±7.5kHz/6dBの安いフィルタがあります。実用面からの通過帯域を調べた人の話がwebにあって、幅12kHzとのことでした。悪くないじゃんということで取り付けてみると、気持ち狭い感じがします。プラシーボ効果かもしれませんが。


 

 

 

 

 

 

先日の6m and downコンテストで聴いてみると、CFM455Eのときには「隣で強い局が出ていると、メーターフルスケールで被っていた状態」から、「当該周波数の目的信号が、目安ラジケータ半分以下の信号の場合に、隣に誰か出ていると音声が被る状態、当該周波数で無信号の場合はスケルチを開けると隣で出ているのがわかる?くらい」まで改善されました。

LT455EUのスペックをCFM455Eと比べると、秋月:50dB(15kHz)とムラタ:60dB(16kHz)の比較条件の差はありますが、それくらいの条件だと通過幅の差1kHzしかないので、実際は気持ち程度の差なのでしょうけれど、それでも改善したので一旦良しとします。

ちなみに両者のピンアサインはこれ。ピンコンパチではないですが、基板とピンをにらめっこして、インとアウトとアースが取れれば動作します。




 

 

 

 

 

 

TR-3200の基板の受信セクションから、455のセラミックフィルタを外したところ。CFM455Eのサイズよりも一回り大きなサイズのフィルタを取り付けられるように穴が開いていました。

 

私の場合はインかアウトか忘れましたが、どちらかのピンをリードで伸ばして、基板の該当位置まで引っ張っています。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

丹青通商ではCFM455F(幅12kHz)の互換品の日本特殊陶業LF-C12(私が入手したのはCLF-C12という型番。おそらく同じものだと思うんですが)の在庫品が出ていて、これも取り寄せてみています。

やっぱり被るところが気になってしょうがない場合にはこれに変えてみようかと思うのですが、古い無線機の基板を半田ごてで温めて外して付けてとやっていると二次災害が発生すると思うので、弄るのはほどほどにと自粛しているところです。

 

調整中のTR-2200GⅡと並べてみたり、

甲府のアロー電子で水晶(その昔はHC-25Uでしたが、今はHC-50Uと呼称。単価税別1800円、納期約3週間)を注文して、表示周波数と送受信周波数が合うようにしてみたりして、


TR-3200でメインチャンネルを聴いて、CQを出している人が「私が持っている周波数」を指定したときにタイミング良く遭遇できたら、QSOを試みています。

1975年デビューの水晶発振12ch、2Wの少し重い肩掛けハンディ機ですが、ベランダの5/8λ2段のホイップに繋いで満喫しています。