2023年7月7日金曜日

(続)TR-3200を現役で楽しむ

「TR-3200を触る。」
https://tr-1300.blogspot.com/2022/10/tr-3200.html

で、導入からとりあえず使える状態にしたところまでを書きました。

ナローFM用フィルタのムラタCFM455Eに入れ替えて、送受信ともにナロー化完成!と満足していました。その後、大きなコンテスト時(時期を考証してみると、去年の全市全郡か年明けのQSOパーティかもしれません)に聴いてみると、どうも20kHz離れた隣の周波数の信号が被ってきます。

スペック的には16kHz幅しか通過していないはずなのですが、自分や相手のズレもあるので、もう少し狭くても良いんでしょうね。CFM455Eのスペックです。





 

 

もう少し狭いやつということで、同じムラタなら12kHz幅のCFM455Fが良さそうですが、2023年の現在においては流通は期待できません。そこで秋月に無いかなと調べてみると、LT455EUという±7.5kHz/6dBの安いフィルタがあります。実用面からの通過帯域を調べた人の話がwebにあって、幅12kHzとのことでした。悪くないじゃんということで取り付けてみると、気持ち狭い感じがします。プラシーボ効果かもしれませんが。


 

 

 

 

 

 

先日の6m and downコンテストで聴いてみると、CFM455Eのときには「隣で強い局が出ていると、メーターフルスケールで被っていた状態」から、「当該周波数の目的信号が、目安ラジケータ半分以下の信号の場合に、隣に誰か出ていると音声が被る状態、当該周波数で無信号の場合はスケルチを開けると隣で出ているのがわかる?くらい」まで改善されました。

LT455EUのスペックをCFM455Eと比べると、秋月:50dB(15kHz)とムラタ:60dB(16kHz)の比較条件の差はありますが、それくらいの条件だと通過幅の差1kHzしかないので、実際は気持ち程度の差なのでしょうけれど、それでも改善したので一旦良しとします。

ちなみに両者のピンアサインはこれ。ピンコンパチではないですが、基板とピンをにらめっこして、インとアウトとアースが取れれば動作します。




 

 

 

 

 

 

TR-3200の基板の受信セクションから、455のセラミックフィルタを外したところ。CFM455Eのサイズよりも一回り大きなサイズのフィルタを取り付けられるように穴が開いていました。

 

私の場合はインかアウトか忘れましたが、どちらかのピンをリードで伸ばして、基板の該当位置まで引っ張っています。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

丹青通商ではCFM455F(幅12kHz)の互換品の日本特殊陶業LF-C12(私が入手したのはCLF-C12という型番。おそらく同じものだと思うんですが)の在庫品が出ていて、これも取り寄せてみています。

やっぱり被るところが気になってしょうがない場合にはこれに変えてみようかと思うのですが、古い無線機の基板を半田ごてで温めて外して付けてとやっていると二次災害が発生すると思うので、弄るのはほどほどにと自粛しているところです。

 

調整中のTR-2200GⅡと並べてみたり、

甲府のアロー電子で水晶(その昔はHC-25Uでしたが、今はHC-50Uと呼称。単価税別1800円、納期約3週間)を注文して、表示周波数と送受信周波数が合うようにしてみたりして、


TR-3200でメインチャンネルを聴いて、CQを出している人が「私が持っている周波数」を指定したときにタイミング良く遭遇できたら、QSOを試みています。

1975年デビューの水晶発振12ch、2Wの少し重い肩掛けハンディ機ですが、ベランダの5/8λ2段のホイップに繋いで満喫しています。

2023年4月3日月曜日

TS-600を愛でる。

開局前に50MHzのSWLを始めたのは、1978年の春あたりから。

その当時、50MHzのSSBで良く使われていたのは、圧倒的にIC-502で、たまにTR-1300、FT-620/Bの人がいて、ちょっとDXっぽい人はTS-600でした。同じ年にFT-625Dの発売があって、600から625に移る人が多かったという印象がありました。IC-501やLINER6の人はレアでした。
我が家の場合、この年の春ごろに父親が突然IC-502とIC-50Lを買ってきて、当初は144の5/8λのGPに繋いだもののあんまりよく聴こえないので、日本RAKのハンディダイポールにしたり、当時流行のタニグチエンジニアリングのSQ-61をあげたりしたのですが、やはり周波数を読めないのがネックで、父親の好みでFT-625Dの導入に至りました。ここにTS-600が割り込む余地はなかったようです。

同年秋に開局した私は、625導入後におさがりのIC-502を自分の部屋に持ち込んで、勉強もせずに夜な夜なローカルの高校生と無駄話をしたものでした。

枕が長いのですが、本題のTS-600です。

TS-600は、CW/LSB/USB/AM/FMと4モードに出られる最初の本当の「オールモード機」でした。HF機と同じく1kHzまで読める安定したVFO、聴きやすい音、強力な内蔵LPFといった強みはあったのの、78年当時では既に機能的に古くなっています。スプリット運用もできず、AGCの切り替えもできません。51.00のFMメインチャンネルQSYも、スイッチ一つでできる後発のFT-625Dに比べると古さは否めません。

でも、開局前の憧れの無線機だったんですね。76年にTS-600が発売されて少しした頃に、トリオにカタログと回路図を請求(注)して、送られてきたカラー印刷のカタログを毎日のように眺めていました。TS-600はCQ誌やラ製の広告にも載ることはあったのですが、いつも600だけがクローズアップされているわけではないので、眺めるにはカタログに勝るものはなかったんですね。その当時住んでいたところには近所にハムショップが無かったので、実物を見る機会がなく、トリオから送ってもらったカタログをとても大切に眺めていました。少し柔らかいフロントパネルのデザイン、緑色のSメータやサブスケールの透過照明はあこがれの対象でした。




600の話を続けます。2000年前後に一度中古で購入して、スケルチが閉じなくなったりで2SC460を交換したりして使っていた時期がありました。その後、引っ越しなどが重なって手放したのですが、2021年の夏に再び盛り上がって、近所のハムショップに中古があるよとの情報に我慢ができず、2度目の購入に至っています。
この筐体は、私の環境ではACでの送信時にハムが入り、まるでFT-620Bみたいだなと苦笑しつつ、電源ユニットの大容量コンデンサを交換してみたりしたのですが、私の環境固有の問題のようで、以降は安定化電源経由で使っています。


 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに、固定ch用水晶をつくりました。5*.00、5*.49、5*.55の3つの周波数です。 .00は51MHzのポジションで使うメインチャンネル用、.49は50MHzのポジションで聴く大田区のビーコン、.55は50MHzのポジションで使うAMで良く使われる周波数用です。でも、水晶を入れたのは良いのですが、意外と使わないんですよね。
※うちの近所の川崎電波研究所がなくなってしまったので、webで検索してアロー電子で作りました。こちらのアロー電子は水晶を1個から作ってくれるので現代ではとても貴重な存在です。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

70-80年代とは違って、TS-600を現代のノイズに囲まれた環境で使うには苦労があります。ある種のノイズはノイズブランカを入れると切れるんですが、近い周波数に強い局が出て来るとノイズブランカを入れたままではガサゴソで使えず、ノイズブランカを切るとノイズまみれになって使えません。特に空気が乾燥した季節はなかなか厳しいです。
このへんはTS-590無印に優位があって、2010年代のノイズブランカ、ノイズリダクション、ノッチでかなり改善されます。今の無線機はもっとすごいんでしょうね。


我が家の50MHzに出られる3台そろい踏みの画像です。画像から察するに、50.100で3台相互に送受信をして調整と確認をしているところではないかと。

600が再び我が家に来てからしばらくの間は、TS-590Sはベンチマーカーというか計測器代わりに使われることが多いので不憫でしたw
SSBの送信音は、600よりもTR-1300のほうが良い音のようです。MC-90を使ってみると、1300では音が良いと驚かれて、600では古い狭い音なのか無反応だったことが多いです。両機ともに使っているクリスタルフィルタは同じなので、フィルタ単体の劣化具合が違うのか、マイクアンプ段の劣化具合か設計の違いってことなんでしょうね。

あと、困ったことにTS-600のマイクの配線とTR-1300のマイクの配線は同じ4ピンながら、マイクとPTTのコールド側の無線機内部側の配線が違っていて、MC-20とMC-50は両機ともに使えるのですが、MC-30Sなど4ピンとしては後期のものは600では使えません。反対に、古いマイクは1300でも使えるんですけどね。
70年代のトリオ機に複数ある4ピンマイク配列ですが、トリオ・ケンウッド純正のマイク変換コネクタMJ-84(メタル8ピンのマイクを4ピンに変換)を使うと、600でも1300でも8ピンマイクを問題なく使えます。さすが純正。
 



















 

 

 

 

(注)ほぼ同じタイミングで高田先生のミズホ通信にMK-610の資料請求をしています。免許をとる1-2年前に、極私的に盛り上がってたんですね。

2022年11月30日水曜日

ACTION☆HANDYの筐体について

TR-3200で430MHzFMを聴くのを楽しんでいる(注)のですが、このTR-2200無印から続く「ACTION☆HANDY」の筐体は、内部に余裕があるせいか聴きやすい音が出ます。

TR-3200で430MHzのメインを聴いていて、「次回433.10、さんてんひとまるにて待機します」なんていうのを聴いていると、3200で3.10を聴いてみたいと思ってしまうのですが、その度に水晶を増やすのは切りがないですし、古い無線機を手軽に楽しむことから遠ざかってしまいます。

 

だったら2mをTR-2300で聴けば良いじゃんってことで、2mならバンド内どこにも出られる2300を出してきてみたのですが、3200の音に慣れてくると2300の音はいまひとつなんです。「ACTION☆HANDY」の後継機種のひとつ、「COMPACT HANDY」TR-2300のは、この2200サイズよりも集積化・小型化していることから、スピーカ周りの音声の響き方がいまひとつで、ダイナミックレンジの狭い音になります。聴いていて楽しい音とはいえません。

以前から我が家にあったTR-1300はSSBなので、2300の音との差はあまり気にしたことが無かったのですが、同じFMだとわかりやすいんですね。この時代の水晶発振の無線機の筐体は余裕があって、やはり良いです。

 

430を聴くならTM-833でいいじゃんってことにもなるんですが、そういうことじゃないんですよね。やっぱり70年代の無線機を今日使うのが楽しいんです。

 

(注)TR-3200にVB-3200を取り付けられるように工事設計変更の届出をして、2022/11/29に審査終了しているのですが、VB-3200の送受切替リレーの接点に劣化があるようで、VB-3200を繋ぐと単体時よりも受信感度が悪くなってしまっています。リレーなら接点洗浄剤でなんとかなるんでしょうけれど、RF GAINの回路に不具合があってこれをパスさせる必要があるなら面倒だなということで、相変わらず接続しないまま本体だけで楽しんでいる状況です。

2022年10月18日火曜日

TR-3200を触る。

1975(昭和50)年秋に発売された"ACTION☆HANDY"は、50MHzSSBのTR-1300と430MHzFMのTR-3200。翌年6月には144MHzFMのTR-2200GIIが加わり、同じデザインで3台揃い踏みの広告の時期があり、その後1978(昭和53年)6月に2200GIIだけは、PLL化された"COMPACT HANDY"TR-2300に代わりました。ちなみにTR-2200GはTR-1200とセットで”マイハンディ”と呼称します。1300や3200と一緒に広告に載った時期があったような。

で、TR-3200であります。

オークションサイトで1200円で出品されていたのをすんなり落札し、掃除をして、電源を入れてみます。パネル側面にはダイモのコールサインJH3***の跡が残っているのが時代な感じ。

電源投入当初はチャンネルセレクタを中心に接触不良があったけれど、だんだんと温まってきてこれも解消。

この個体はメインチャンネルが432.00の頃の初期のモデル(※1)で、水晶は432.00をメインに431-432MHz幅で4波入っているが、現行バンドプランだと1.88とオプションAchに入ってる2.72しか使えません。


まずは、このシリーズ特有の3ピン電源プラグ・ジャックを普通のDCプラグ・ジャック対応にさせる改造を行う。我が家的には必須改造です。

 

 

次にメインダイヤルのみのムギ球照明は寂しいので、ダイヤルとラジケータを電球色LEDで照らせるようにする。ただこれ、いくらLEDが低消費電力であっても、2個点灯させている状態だとムギ球1つくらいを点灯しているのと同じくらい電流が流れているようなので、光らせるのはほどほどに。でも、エネループは以前の単三乾電池よりも容量が大きいので、行って来いでトントン以上でしょうか。

肝心の電波を出すためにはデビエーション調整は必要です。webで見つけられる英語版サービスマニュアルを見ると、半固定ボリュームの調整で済むことが判明。早速、TM-833で隣接周波数を聴きつつ、3200であーあーと声を出してかぶらないように調整完了。


受信については、当時のバンドプランの占有周波数帯幅30kHzの仕様のままなので、上下20kHz離れた信号が受信できてしまいます。つまり、432.24を聴いている状態で、432.22と432.26の信号も受信してしまうので、ナローフィルタへの入れ替えが必要です。これも幸いにして同じ寸法のムラタCFM455Eを入手できたので、これに入れ替えて完了。 

 

 

これで1982(昭和57)年1月8日実施の430MHz帯バンドプランで規定されたFMの占有周波数帯幅16kHzに、40年9か月余りの遅れで対応しました。


このタイミングでTSSで保証認定(※2)を受けて、関東総通局に工事設計変更の届出を行います。指定事項の変更がないので法的には電波を出してもOKの状態に。

(2022/10/27追記 本日無事審査終了、即、VB-3200を届出しました。) 

(2022/11/29追記 届出をしていたVB-3200についても審査終了しました。)

 

せめて12ch分くらいは現行バンドプランの範囲で電波を出せる水晶をそろえたいということでジャンクを物色し、とりあえず送受信周波数を目的周波数に合わせられる水晶を選別してメインチャンネル433.00を含んで12ch分を確保。これでCQを出せます。

45年くらい経過している水晶の劣化は大きく、集めた数の半分くらいは使用を断念しています。トリマにコンデンサを加えてさらに周波数を低くすれば本来想定よりも20kHz下で使えるかもしれません。

受信周波数の調整ポイントは英語版サービスマニュアルに書いてあるので、周波数カウンタがあれば簡単です。送信周波数は送信している電波を計測すればいいですからもっと簡単ですね。

 

水晶集めのついでにVB-3200も確保しました。これは工事設計の変更の審査が終わってから「軽微な変更」で追加する予定。

430MHzのFMも、飛び飛びの周波数で12chしか聴けないとそんなに混んでいる感じはしません。メインを聴いていて「次回3.**にてコールします」といったCQに追従できないところがこれも醍醐味と考えるべきなんでしょうね。 メインを聴き続けているとやっぱり動物園状態であることが把握できて萎えたりするのですが、 それはそれ。

TS-600と一緒にパチリ。70年代の雰囲気全開です。 
 
 
(※1)TR-3200の場合はチャンネルセレクタの12chの内容が、販売時期によって、
(1)昭和40年代のJARL制定チャンネル時代の周波数対応の「431.64-76-88-432.00-12-24-36-48-A-B-C-D」
(2)1976(昭和51)年1月1日施行バンドプラン対応の「432.24-36-48-96-433.00-04-08-12-24-A-B-C」 

 
の二種類があります。RJX-431と432みたいなもんですね。現行バンドプランで出られる周波数が多いのは後者です。どちらも占有周波数帯幅30kHz幅の頃ですから、FMナロー化調整・改造は必要です。運が良ければあなたが入手した個体はナロー化済かもしれません。  (※3) に追記があります。
 
(※2) 販売時に旧スプリアス規定(-60dB)をクリアしている送信機の場合、ざっくばらんに保証会社に相談してみてください。昨今は現行スプリアス規制の経過期間終了後の頃よりは杓子定規なことにはなっていない様子です。ただし、電波法第3章に規定する技術基準の適合は、保証会社ではなく工事設計の変更を行う者:免許人に課されているので、そこはお間違いなきよう。
 
(※3)チャンネルセレクタつまみ、ダイヤルについて
私は(1)と(2)の個体を入手することになり、より状態の良い個体に別のチャンネルセレクタと水晶を移設しています。問題はこのチャンネルセレクタつまみで、イモネジで2か所チャンネル切替スイッチのシャフトに固定しているのですが、これの締め付け具合がいまいちで、舐めてもおらず、バカになってもいないのに緩みがちです。イモネジの先端をもう少し食いつきのよい形状に変更するか、効き目の弱い緩み止め剤の使用を考えているところです。
そういや清掃のために外す際に、イモネジがものすごく固く締め付けられていて、舐めないように外すのに苦労しました。2台ともにです。この12ch切り替えスイッチにつまみを取り付けるために、緩み止め剤が使われていたのかもしれないですね。 
じゃあTR-1300はどうなっているんだろうと興味を持つところですが、外してみたら緩んじゃうってことになると困るので、そちらには手を付けません。
(※3続報 2022年11月5日追記)ホームセンターにいってイモネジ(専門用語では「ホーローセット」というんですね)を買ってきました。
 
銀色は40年前の純正品を取り外したもので、黒い方が今日コーナンで買ってきたもの。黒い方はマイナスネジではなく六角ネジなので締め付けトルクが大きくなるのと、チャンネルセレクタスイッチのシャフトに食い付くほうの先端が鋭利です。これに変更したら問題なく使えるようになりました。これでしばらく様子見します。
 
 
(参考)本文中に資料の出典を書くとわかりにくいので別掲します。
〇1982(昭和57)年1月8日実施の430MHz帯バンドプランは、八重洲無線の取扱説明書ダウンロードページからFT-730取扱説明書より。
昭和40年代のJARL制定チャンネルは、アイコムの取扱説明書ダウンロードページからIC-31取扱説明書より。同機は1973(昭和48)年発売です。古い430MHzバンドプランが見当たらなくて探しました。
〇 1976(昭和51)年1月1日施行バンドプランは、JARLの昭和52年8月31日発行の初級アマチュア無線教科書(これ、私が通った電話級の講習会で使ったものです。)から。

 

2022年2月1日火曜日

文化放送が弱い件

文化放送が弱いんです。

私の拙い経験では、川崎市多摩区、宮前区や横浜市青葉区あたりで聴いていると、送信所が同じような位置で同じ100kWの出力のTBSラジオに比べて、とても弱いです。

我が家の場合ですが、TS-950SDXとベランダに出したHR28で受信するとして、AIPを入れない状態で、文化放送(1134kHz)がメーター読み7つに対し、TBS(954kHz)は9プラス10dBくらいです。耳S的にもぜんぜん信号の力強さが違います。また、文化放送は時間帯によってはQSBを伴って届きます。

昔の中波モノバンドの6石ラジオで、バンドの下側に比べて上側はバリコンの都合でチューニングがクリチカルになるとか、感度が不足するなどの条件がある場合では、(送信所から受信場所への距離その他の条件は無視するとして)バンド中央のTBSラジオに比べてニッポン放送(1242kHz)が弱いなどは考えられます。

ですが、ほぼ現代水準のまともな受信機で比較してこの差ですから、何か理由があるんだろうなと思っています。

他局の例では、久喜(菖蒲)のNHK第一(594kHz 300kW)/第二(693kHz 500kW)、和光のAFN東京(810kHz 1050kW)は当地でも強いです。9+までメーターが振れます。川崎幸区の多摩川河川敷から送信しているRFラジオ日本(1422kHz 西に指向性の50kW)は近いせいかそれなりに強いです。ただし、近さの割りには強さはそれなりです。指向性アンテナがこちらに向いていないせいでしょうか。ニッポン放送(1242kHz 100kW)は木更津からなので、川崎や横浜の山側では強いとは言えませんが、文化放送ほど弱くはないです。

文化放送は我が家だけで弱いというわけではなく、冒頭に書いたように、川崎・横浜の山側の区を行き来している状態のカーラジオでの受信でも同じように弱いので、理由があるんだろうなと考えていました。ちなみに、自宅では強いと思っているNHK第一も、川崎・横浜の山の中を車で走り回っていると、「これほんとに300kWかい」というくらい弱い場合があります。埼玉県東部・南部方向から神奈川県東北部には弱く届く何か条件があるんでしょうかね。


さて、TBSと文化放送の比較検証です。

両局ともに、埼玉県南部である戸田市と川口市から100kWで送信しています。周波数も中波の受信機にとっては不利ではないバンドの真ん中あたりの954kHzと1134kHzです。距離的にもそこまで遠く離れているわけではないですし、ここは東京都心部のビルの谷間というわけでもないですから、都市ノイズに埋もれてしまうこともないです。

試しに、地理院地図を使って、両局の送信所から川崎市宮前区役所への地形断面図を作ってみました。

一つ目。TBS戸田送信所から宮前区役所の例です。

二つ目。文化放送川口送信所から宮前区役所の例です。

 

断面図を比較すると、文化放送のほうが荒川を挟んで都内に入った後の丘陵までの距離が長く、山の上の宮前区役所への到達が有利であるように思えます。反対に、TBSは送信所から2kmを過ぎると、荒川を渡ってすぐに丘陵に入るので、このへんは不利です。

ルートの比較では、文化放送のほうが都心寄りを通るので、障害物は多そうに見えます。距離も6-7km長いです。50MHzで10Wくらいでダイポールで送信した場合には、距離やルート的には文化放送のほうが弱く届きそうなイメージです。でも立派なアンテナに100kWですからねえ。

 

もう一つの面からの比較です。送信所付近の環境はどうでしょう。

TBS戸田送信所付近です。付近には戸田ボート場を始め、荒川が流れ、アンテナ設置条件の良さが伺えます。

文化放送川口送信所付近はというと、住宅地の中にあります。標高は少しこちらのほうが高いとはいえ、TBSに比べると不利ですね。

 

あくまでも仮説ですが、出力が同じで、かつアンテナ単体の性能が同じと仮定する場合、「アンテナの設置条件及び送信所から受信場所へのルート」が文化放送に比べてTBSのほうが有利であると想像できます。

それでも、メーター読みが文化放送7つに比べてTBSが9+10dBですから、こんなに差が開きますかねえ。

送信所から受信場所のルートを同じようにするために、大田区の蒲田や六郷付近(または南方向へその延長)を受信場所にして比較できると良いですね。そうすると、出力は両局ともに同一、ルートもほぼ同等(ルートが同等になるとすると、今度は逆に、TBSのほうが板橋区志村坂上付近の丘陵に近いので不利になるのではと。)、差は送信所付近の水場の有無かしら?と考えることができるかもしれないですね。5900持って出かけてみようかしら。

 

それはそれとして、文化放送が強い埼玉県南部や都内北部ではできないBCLの例をお見せします。当地では文化放送が弱いせいで、1116kHzの新潟放送の受信ができるんです。動画開始からすぐに「BSNラジオ」と言っています。


 

2022年1月24日月曜日

BCLラジオの季節の続きというか

 夏、BCLラジオが欲しかった季節 の続きです。続きの話というには少し内容がずれているのですが、そこはご容赦を。 その後思い出したことがあって、つらつらと書いてみます。

1978(昭和53)年11月23日木曜日(※1)、中波放送がそれまでの10kHzステップから9kHzステップに変更されました。

関東地方でも、

  • NHK第一は590kHzから594kHz(まだ川口送信所の頃)
  • NHK第二は690kHzから693kHz(同鳩ケ谷送信所)
  • FEN(現AFN)は810kHzのまま変わらず
  • TBSは950kHzから954kHz
  • 文化放送は1130kHzから1134kHz
  • ニッポン放送は1240kHzから1242kHz
  • ラジオ関東(現アールエフ・ラジオ日本)は1420kHzから1422kHz

と変わっています。

この少し前、TBSラジオのベリカードをもらったところ、周波数表記の下に「昭和53年11月23日から954kHzにかわります」と印字されていました。周波数変更前は、番組の合間に周波数が変わるよと繰り返し広報が行われていました。

11月22日の夜、ラジオをつけっぱなしで寝てしまい、早朝に目覚めたらラジオのチューニングがずれていることに気づきました。あ、そうだった、今日から周波数が変わるんだったっけと思い出し、ダイヤルを少しだけ左に回してチューニングを取り直したのを覚えています。

ICF-5900。これは近年再入手した個体。

当時、既に私のものとなっていたICF-5900は、中波放送をBFOを入れずに聴く限り(中波でBFOを入れるひとはいないと思いますが)は安定度が良く、意図的にダイヤルを動かさない限りはずれません。そんなことから、私が寝ぼけてずらしたり、安定度が悪かった故のチューニングずれではなく、局側が動いたんだなとすぐに思ったんですね。

この日、朝5時のID以降は試験放送で、9時から新しい周波数での本放送を行うといった編成だった記憶があります。 免許上、そういうことだったんでしょう。

5900のようにアナログダイヤルで選局する場合はたいした影響はないのですが、当時のカーラジオは一部の例外(※2)を除き、大部分が5局程度をプリセットする形式(※3)のもので、数kHzのずれを併せなおしてプリセット(チューニングツマミを回してチューニングをとって、プリセットツマミを引いて、押しなおして設定する)が必要でした。この手の準備は事前に済ませられず、ある日車に乗ってラジオを付けたら、全局チューニングがずれていて、プリセットし直すということがあちこちであったんでしょうね。

 

(※2)当時の我が家の車は、マツダのサバンナGSⅡで、このGSⅡというグレードは、ロータリーエンジンは安いほうの10Aタイプなものの、ラジオは中波だけでしたがモータードライブのオートチューニングタイプの豪華仕様で、チューニングボタンを押すと順方向にモーターでアナログチューナーが動き、強い局で停まって自動選局完了というすごい仕組みでした。

聴きたい局の送信所からみて強電界の範囲で動いている限りは便利なんですが、地方向けの家族ドライブをする際、夜になってから関東地方から離れてしまった場合には、電離層反射でTBSの混信がひどくなってきたのでニッポン放送に移ってみようと思っても、他の地方や国の強い局に埋もれてしまい、チューニングしようにもボタンを押しちゃすぐに停まりの連続で、手動で局を探さないといけないという事態になりました。それこそ意図せず車内BCLの開始になります。そういうときには(※3)のプリセット方式のラジオのほうが良いなと思ったものです。 

90年代80年代も後半に入ってからは、カーラジオでも周波数が読めるシンセサイザのチューナーになったので、便利になったもんだなあと思ったものです。

 

(※1)JL1はいつから割り当てが始まり、終わったのか。 に書きましたが、私の局免許がきたのはこの数日後のことだったんですね。こんなイベントがあったりしたので、無線の免許は早くこないのかみたいな話は忘れていたような気がします。


2022年1月19日水曜日

QYT28試用記

面白いハンディ機が出ました。

出たというか、有志が中国製の面白そうなCB用ハンディ機を見つけて、これを28MHz帯に転用できるかを生産元と交渉し、海外製品の共同購入窓口になった実績のある方が窓口となって頒布を始めた、というものです。

さっと手を挙げた甲斐もあり、初期の頒布の人数に加えてもらって、2022年の年明けに無線機が手元に到着、その後TSSでの保証認定を経て、1/14に関東総合通信局に変更届出をしたところです。※2/7付けで関東総合通信局にて届出の審査が終了し、QYT28は無事第12送信機として増設されました。


私の場合は、移動する局については既に28MHz帯3VAの50Wで許可されているので、この範囲の工事設計の追加であれば、技適又は保証認定を受けた設備を届出することによって、すぐに電波を出せることになります。

これについては「許可を要しない軽微な変更について」といったキーワードで検索をすると、識者の方が解説をしてくれているのでご参考ください。

 

さて、このQYT28ですが、見てくれはなかなかゴツく、70年代から無線をかじっている私には好印象です。軽薄短小もいいんですけど、トランシーバってやっぱりそれなりに存在感が欲しいので、ポケットに忍ばせてという使い方をするわけでないし、これくらいの大きさが好きです。


筐体にはバリもなく、まるで日本製のような品質に見えますが、スイッチを入れたとたんに「うーん、なるほど」という感じの中国製を納得させる大きなビープ音で起動します。(この起動時のビープ音だけは、設定でビープ音をゼロにしても消すことができませんw)

操作性もなかなかの手ごわさで、ロータリーエンコーダを回して周波数を移る際に、いちいち「ポツポツ」と音が出ますし、ロータリーエンコーダをクリックさせても周波数が変わらなかったり、機能を試すうちに固まってスイッチオフ/オンで復帰させることもあります。また、PTTを押して電波が出るまで少しタイムラグがあったりと、正直なところメーカー側での詰めの足りなさに気づきます。このあたりは90年代の日本製の性能的に行き着いたTH-59や89のようなハンディ機とは比べ物になりません。

ですが、2020年代の無線機ということで、きれいなディスプレイもついてますし、S/パワー/SWRメーターは便利です。大きなリチウムイオン電池を搭載しているので、4Wで運用しても電池のもちは良さそうです。

950SDXで送信音をモニタしてみましたが、FMではFMっぽい使いやすそうな変調が、AMでは深い変調がかかっています。最新のAMの変調ってこんなに深くかかるんですね。 また、外部マイクよりも本体マイクでしゃべったほうが変調が深いです。当然ながら、受信時には外部マイクのスピーカではなく、本体スピーカのほうが音質が良いです。

言われている外部マイク使用の際のAM送信時の回り込みは、普段同軸で使っているZCAT-3035にケーブルを巻いてみたりして事前に対策をしたところ、見てくれは悪いですが、とりあえずは問題ないようです。

 

届出を終えた週末、一緒に購入した27MHz用のロッドアンテナを持って近所の山っぽい住宅地に行って試験運用してみました。短時間の運用だったので、QSOには至らなかったですが、CQを出している私の信号を10km離れた場所で52くらいで聴こえたとのことですので、4W+ロッドアンテナで想定どおり飛んでいたということは確認できました。

残念ながら、受信については確認することができなかったのですが、今週末以降、チャンスを見つけて確認したいと思っています。

 

ここまでの時点で気付いたことは、

・スケルチの開閉について、メニューで設定した深さはそれとして、例えばライト点灯ボタンを押すと、押した間だけスケルチが開くような機能が欲しい。

・電池の持ちにも左右されるが、出力を1Wに落として運用できると便利。

・ロータリーエンコーダを使っての周波数変更時のポツポツ音が無くなるとうれしい。でも、チャンネル変更時などの操作反映の遅さ(CPU故?ソフトの出来?いずれにせよメーカーレベルの話で、日本側ではどうにもならないのでは)からすれば、これくらいと考えるべきか。

といったところです。


共同購入サイトの中の人がメーカーとの打ち合わせを重ねた周波数マトリックスについては、頒布が広がると利用者目線の要望が増えると思います。おそらくですが、これ、私の想像ですけど、日本人の細かい感性を件のメーカーの担当者に押し付けて変更を促すと、メーカー側担当者が面倒くさがってついて来れないので、現状に落ち着いたのではと考えています。

将来、可能になったらいいな程度の淡い希望として、ユーザー側で周波数などのチャンネルごとの設定値の編集ができるようになるといいな、でも出来なかったらしょうがないな、くらいでいたほうが良いかもしれません。 

 

個人的には、28MHz台の低いところは海外でビーコンが出ているのでAMで出るべきではないと思っていることや、70年代の違法市民ラジオ的な口調の人がたまに聴こえるのでまあいいやという感じなので、28.800以上で出られれば良いかなと。

29MHz台はシンプレックス運用ができれば十分だと思っていますが、Esが出たときは結構混んでいる印象なので、猛者の中、恐る恐る隙間を見つけて電波を出す勇気wが出てくるかなというところです。 


面白いトランシーバが出てきました。細かいことはそれとして、しばらくは趣味の時間が楽しくなりそうです。

あと、(小さな声で)このハンディ機の50MHzのAM/FM版が出たらいいですね。子供の頃に戻れそう。