2025年4月18日金曜日

IC-9700のレピータリストの並べ替え

IC-9700はcsvファイルによりレピータリストを取り込んで本体で表示する機能があります。主にD-Star用途だと思いますが、そちらのほうはよくわかりません。

このレピータリストは、csvファイルでアイコムが公開しているものですが、Dなんとかはともかく、アナログレピータのリストも一緒に入っています。これを知り、ちょっと心を惹かれました。

周波数の低い方から、公開されているリストを見ながら、ここにはアクセスできる、届かないなどとカーチャンク(またはワッチ)をしながら確認して回ることはたまにあります。また、知らない周波数でレピータのダウンリンクが聞こえていて、ここはどこのレピータだろうって思うこともあるじゃないですか。そんなときに無線機がリストを持っていて、ダイヤルを回すとこれがどこのレピータかが表示されると便利だと思います。それを期待しました。

ところが、アイコムが用意しているレピータリストのデータの並び方は、「エリア順の都道府県順のコールサインの昇順の周波数順」です。おそらくですがDなんとかの場合で複数のレピータを介してQSOする場合には、コールサインで覚えている接続先を設定する(のかもしれないですがよくわかりません)のでこれで良いんでしょうけれど、コールサインの次に周波数の昇順ですから、A局の430の次に1200、B局の430の次に1200といった形式で並んでいるので、なんだかデコボコしていて使えません、アナログレピータしか使わない、周波数順にカーチャンク(控えめにね)してチェックする、またはワッチする場合には甚だ不便です。エリアごとに、バンドごとに、周波数順に並んで欲しいです。

文科系のわたくしは、とりあえずこのアナログレピータ(csvの項目名は「13 FMレピータ」)の部分のレコードを並べ替えて、自分の使いやすいイメージに並べ替えようと思います。

手順ですが、Excelで開いて、該当の13 FMレピータ部分を選択します。レコード数はけっこうあります。csv中で一番多いんじゃないですかね。

(1)13の「FMレピータ」部分を黄色などでマーキングするとわかりやすい

(2)S列に「=mid(E**,3,1)」としてコールサインからエリアの数値を抽出

(3)並べ替えでJ列、S列、H列の昇順でソート

(4)S列を削除 消すのを忘れると、S列の分の項目が増えたままになってしまうので、日本語が化けるので注意してください。 

(5)csvで保存 ただしファイル名は大きく変えるとダメのようで、オリジナルの日付の前後あたりに変更して保存するのが無難です。

ソートが終わったらS列を削除しないと、このソートにより、430の0エリアの周波数順、1エリアの周波数順、2エリア…と並び、430の9エリアが終わったら、1200の0エリア、1エリア、2エリア…と並びます。

これを取り込んで(取説11-11あたりから)、レピータリストの呼出の【CALL[DR]】ボタンを長押しして、ロータリーエンコーダでFMレピータを選局すると便利です。アナログレピータの部分だけは 周波数の昇順イメージで局が並びます。

場所によっては、7と0と1エリアが隣り合っているほうが便利な場合などがありますが、そのあたりはエリアの数値の抽出ロジックでIF文でも入れて並べたいエリア順にキーを与えればよいかと。 例えば、北から並べたいのなら、8なら0、7なら1、1なら2、0なら3、2なら4、9なら5といった数値をS列に与えてソートする方法です。

東京の439.98MHzのように、近い距離で、トーン周波数を変えて周波数を共用している例では、ソートにより立川の88.5Hzのレピータと経堂の77Hzのレピータのレコードが隣り合うので、ロータリーエンコーダを1クリック切り替えるだけで聴き分け(聴き分けならトーンスケルチのほうが有用ですね。この場合はアクセス分けでしょうか)ができるようになります。

2025年4月2日水曜日

FT-690mk2とTR-9300のモード変更時の現在周波数の違い

690mk2は純正リニアをつけて、9300はそのまま車に乗せてオンエア可能ということで、両機を比較したことがある方はいらっしゃると思います。  そんなライバルの両機なのですが、

FT-690mk2の項で触れるのを忘れて時間が経ってしまった内容で、

FT-690mk2は、モードボタンでUSB→LSB→CW→FM(変更は一方向)にした後、再びUSBにすると、モードが変わるごとにモード毎のステップの切りの良い00.0kHzに桁合わせが行われるので、SSBのQSO中に誤ってモード変更をするとゼロインしていた元の周波数に戻れません。

例えば50.215.5USBでQSOしている最中にモードボタンを押すと、LSB、CWの順にモードが変わります。モードが変わることについては、遡ることはできません。Fボタンと同時押しで戻れるなんてことができれば良いのですが、Fボタン+モードではNBのオンオフの切り替えになります。問題はFMモードを通過すると、FMモードの最小可変周波数は2.5kHzなので、その単位で桁合わせされてしまいます。50.215.0になるのか、50.217.5になるのかは覚えていないのですが、どちらかに寄せられてしまい、再びUSBに戻っても周波数はそのままで元の周波数ではないため、相手が行方不明(これ、相手から見て、私のほうが勝手に行方不明になっているだけですね)になります。FT-690mk2取扱説明書にはこの挙動のことまでは書いてありません。

この挙動、初めてQSO中にモードボタンを押して(押すなよw)経験したことで、びっくりしたものでした。

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TR-9300は、モード毎に周波数をモード毎の最小端数を覚えているので、ロータリースイッチでパチンとUSBからFMに行ってまたUSBに戻っても、元の周波数に戻れます。
USB/CWだと50.215.5のとき、AMにすると50.215(.0)、FMにすると50.21(0.0)になります。そのままメインダイヤルを触らずに再びUSBにすると50.215.5に戻れます。 AMにしたときに50.216にすると、USBに戻ったときは50.216.5になります。FMのときに50.22にすると、USBには50.220.5で戻ります。 モード毎の最小端数を覚えている仕様です。 

その程度の「覚えている」内容ですが、モードを切り替えて戻ってきたとき(イレギュラーな操作ですけど)に行方不明にならないように、そのモードの最小値を覚えているようです。
USBで受信中に他のモードに切り替えて戻すなんて変なことを、どれだけの人かやるかわかりませんが、私はやる方の人でw、そんなイレギュラーな操作のフールプルーフを念頭に置いたロジックを考えた設計者はすごいと思います。これもTR-9300取扱説明書には書かれてはいません。

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このあたりの細かい話ですが、21世紀に入ってから中古を安価で入手して弄りまくって理解した操作ですけど、発売当時の新製品のときに、雑誌記事にそのあたりまでしっかり書いてあって、それを読む機会があれば良いんですけどね。あとは販売店や人柱のローカルから弄らせてもらって気付くしかないんだよなあ。私はこういうのは調べずに買う口だったりするので、望まない挙動に直面して真っ青という可能性は高かったと思います。

いや、不必要なボタンはQSO中に押すもんじゃないというのはごもっともですね。

※例示の周波数を修正しました。

2025年3月28日金曜日

何年ぶりのTR-9300でしょう

久しぶりにTR-9300を触っています。

50MHzで全てのモードに出られて、周波数が読めて、それなりにコンパクトなのは良いですね。ハンディ機ではないので肩から下げて運用というのには無理がありますが、出先で自動車の中から簡易に運用ができるのは良いです。


トリオでは、最初のPLLオールモード機としてTS-770が1979年に出ています。それ以前にあったアイコムのPLL機のIC-710、221、同じ50MHzではIC-551がありましたが、それらはSSB時には100Hzステップでした。それらとは違い、TS-770はSSB時に20Hzステップでチューニングが取れるので、ほぼアナログVFOと同じ感覚でゼロインができました。同じようにしてくれればよかったのですが、コストダウンでしょうか、モービル運用時はこれくらいで良いだろうという割り切りでしょうか、TR-9000シリーズは100Hzステップと簡略化されてしまっているので、SSBでは相手にちゃんとゼロインすることができません。 そのまたすぐ後に八重洲から出てきたTR-9000シリーズと同じコンセプトのFT-280/680/780シリーズは10Hzステップだったので、TR-9000シリーズは中途半端な感じがしたものでした。

これまでTR-9000シリーズは

○TR-9000G:20年近く前、無線機の数を減らした頃に144を聴いてみたくなって入手、しかし、スルーホール基板の劣化による不具合で実用にはならず。9000Gは何個体か試しましたが、直してもスルーホール基板の劣化でダメになります。

○TR-9500:430のSSBに出てみようと昨年入手。経年でけっこうQRHがあったり、周波数を校正するにも手間がかかりそうでこれはダメだなあと手放す。その後TR-851Dを再び手に入れる。だったら最初から851にすべきですねw

○TR-9300:これも20年近く前に、車で使えそうな50のオールモード機が欲しくなって入手。旅行に一度持ち出した後だったか、役目を終えた感もあり、ローカルに買ってもらった記憶が。

といった感じで、手に入れたものの手放しています。特に9300の場合はSSBの選局のしにくさと100Hzステップがネックでした。

去年、webでTR-9300のRITを送信時も有効にする記事(※)を見つけ、RITのVXO化ができればSSBでもゼロインできるよなあ、いいなあと触発を受けて、適当な個体を入手、マネをしてみたのが我が家の9300です。

(※)「TR-9300 RIT改造FINEチューニング化」などのキーで検索してみてください。ありがたいご教示にたどり着けると思います。

無事、送信時にもRITが有効になって、送信周波数も動かせるようになっています。SSB時の選局のしにくさは仕様なので解決できませんが、そのあたりは無線機に合わせるということで楽しんでます。

この個体を持って私の開局から2年目3年目あたりにタイムリープできれば、オールモードに出られるし、SSBでゼロインできるし、周波数も読めるので、夜な夜なラグチューにばっちりだなって思います。筐体も固定機とは違ってコンパクトだし、勉強机の近くに置くのも良さそうです

当時、IC-502で読めないダイヤルを頼りに同級生と待ち合わせるにしても、みんな502で読めないダイヤルなので、こちらがちゃんとしたアナログの固定機で待ち合わせ周波数どんぴしゃを聴いているだけでは気づけなかったりします。そんなとき、9300のDSボタンを押してワッチすれば10kHz幅でスキャンできるし、さらにノイズブランカを入れておけば強い信号でガサゴソいうのでさらに分かりやすいです。と、書きつつも、TS-600のノイズブランカも近隣周波数の強い信号でガサゴソ賑やかになるので、ノイズブランカでワッチなら600の方が得意?ですねw FT-620、620Bや625はこの辺りどうだったんだろう。9300の優位はタイムリープしないと証明できませんね。

 

こちらの動画は先日FK4(ニューカレドニアはFK「8」だけじゃないんですね)が聴こえていたので動画をば。ノイズがけっこうあるので、高い音で聴きやすく微調整して受信中。これだけのことなら無改造のRITでできますね。

あと、うちのTR-9300は、MC-43Sのダイナミックマイクエレメントをエレクトレットコンデンサマイクに変更して使っています。MC-43Sはゲインがあって元気でいいんですが、音が悪いので、少しでもマトモな音にということで。9000シリーズの6ピンのマイク配線は+8Vが来ていないので、使っていない5番ピンに適当なところから取って電源を入れています。

9000シリーズ付属の6ピンマイクMC-40Sの場合、マイクコネクタとマイク本体の間のケーブルが必要最低限の(マイクホット、PTT、UP、DWN、アース)の5本しか入っていないので、科学教材社ECMのように3端子のもの使う場合には、電源用ケーブルをカールケーブルに沿わせて別配線するしかありません。(※UPだかDOWNから電源を取る方法があるとのことです(未検証)。)マイクのホットと電圧が重畳される前提の2端子のECMユニットを使うなら、コネクタ側でマイクのホットの電源を重畳する方法は考えられますね。

もし、ジャンク箱の中に8ピンのMC-43Sが転がっていれば、マイクの筐体を開いてよくみるとなぜか1本余っている配線があるので、その配線を電源用として使えば、音が悪いので使われずに転がっているMC-43Sを活用できます。 あとはコネクタを6ピンに配線するだけ。使う配線も6本なので問題ありません。MC-43Sの配線を余らせているってことは、ケンウッドはMC-43Sの筐体でコンデンサマイク仕様を出す気があったのでしょうか。

2025年3月26日水曜日

IC-9700(その2)

 IC-9700(その1。その2はあるのかしら) の続きです。 

FMのマイクの問題はまだ解決していないのですが、とりあえずMC-90を直流カット+変換でマイクゲイン100%でマイクの目の前で猫背でしゃべることで行こうと思います。

 

車で走りながら1200MHzのFMでしゃべるシチュは年に何回かあるんですが、あっという間に距離による減衰で交信不能になるのが玉に瑕です。東京湾上の釣り船や品の無いしゃべりの運送業と思しき移動局はけっこう遠くまで聴こえるのに、法令の範囲で運用すると車ではほとんど使えない1200です。

そういうときは混んでる430に移ったり、仕方なく聴いているということになるんですが、せっかく1200でSSBが出る無線機が来たので、SSBに切り換えた場合はどの程度交信可能距離が延びるのかは興味があります。

そんなときでも、144や430のSSBのほうが楽なんでしょうね。なんせ50W出せちゃうんだし。 

でも、車で使う際にどんなマイクを使うべきなんだろう。SRA-198あたりを持ち出すか。その場合はマイクゲイン100%にしないとですね。

IC-9700(その1。その2はあるのかしら)

仲間から、地元のアマチュア無線ショップでICOMフェアをやるんだけど、このタイミングでIC-9700を何人かで買ってみたらどうかな?というお誘いがあって、1200のオールモード機は欲しかったし、ちょうどよいきっかけになるかと思って手を挙げて、晴れてIC-9700が我が家に来ました。

2025年にして、スペクトラムスコープ、SDRというものの初体験になります。スコープはオーディオのグラフと周波数幅を俯瞰してみることを切り替えてできるものです。さすが新しい機能、良いですね。これ無しでは生きていけないわけではないですが、あると便利です。SDRとスーパーヘテロダインの違いはよくわかりません。きっと良いことも悪いこともあるんでしょう。

SDRということで、BPFでアマチュアバンド内への混入を対策した結果でしょうか、広帯域受信機能もありません。80年代以前のように官公署の通信を傍受できるわけではないので、アマチュアバンドだけで良いんじゃないかなとは思います。

 

○SSBについて

SSBは送受信ともにICOMの音っぽい聴きやすい音です。

 

○AMについて

AMは付属のハンドマイクで送信すると聴きやすい音が出ます。それまで使っていたIC-SM2改(科学教材社ECM直結でアンプ無し)や、MC-90を使うと変な音になります。IC-705や9700のAMで送信する音を聴いたことがありますが、FT-817で苦労した送信音に比べると嘘のようなきれいな音です。付属マイクの送信音はAMに限定して好きです。受信のほうは特筆するようなものはありません。

 

○D-STARについて

音は悪いです。V/Uは反射波でQSOするシチュが多いですが、マルチパスに弱く、音声が途切れたりケロケロ言って了解度が悪くなることが多いです。取説にレピータ経由の通信のことを「山かけ」と表現していますが、この表現、あまりセンスを感じません。この変調方式は、おそらく仲間うちのQSOで興が乗ったとき以外は使うことはないと思います。

 

○FMについて

9700で一番の使用用途のFMでのラグチューですが、受信音質は悪いです。20点です。

SP-70をつけてもあまり改善しません。それでも本体スピーカーよりも幾分聴きやすくなるのでSP-70は必須です。SP-70のスピーカーユニットを入れ替えてみようかという意欲がわいています。 

ついでに送信音質もダメです。20点です。

 

○FMの送信音について

おそらく正解は、この1か2でしょう。特に2で決まりじゃないでしょうか。

1.付属ハンドマイクを使ってQSO相手に9700+自分の声は「こうである」と慣れてもらう。

2.ICOM純正オプションのSM30又はSM50を使う。

 

○SSBで純正マイク以外を使いたい

SSBはまだあんまり突き詰めていません。単に1番ピン(マイクのホット)に10μFのコンデンサを入れて直流カットし、ICOM配線からケンウッド配線に変換したMC-90でそれなりの音が出ているようです。9700の送信時のイコライジング設定(とりあえず低音プラス5、高音プラス2で設定した)やフィルタの設定でTS-950SDXの音みたいな音が出ていると思います。

 

○FMで純正マイク以外をなんですが

FMではエレクトレットコンデンサマイクを使うのが簡単なんでしょうね。IC-SM2改(科学教材社ECM直結でアンプ無し)=そのへんのコンデンサマイク でもそれなりにわかりやすい音が出ると思います。

純正ハンドマイクがAM以外ではダメだったので、SM2改を使ったりもしているんですが、TM-833やTR-50でSM2改を使っているときよりも音が悪いというレポートがあります。90年代のモービル機や80年代のハンディ機よりも音が悪いのは悲しい…

MC-90を直流カットと変換したもので、本体マイクゲイン設定を100%にして、SM2改よりは解像度の高い音が出ているとの評価があります。ただ、MC-90は感度は悪くないものの、ゲインがないので一段アンプを入れたくなります。元々使っていた2SC1815の小さなマイクアンプを入れるとマイクゲインは稼げるものの、アースがうまくいかずにゴソゴソガリガリと低級なノイズが混じります。マイクアンプがちゃんと動作していないと思ってTS-590Sに繋ぐと問題なく動きます。ICOM配線に変換するところで変なことになっているんでしょうね。

そもそも、ICOMは1番のマイクのホットに電圧を重畳しています。それとは別に2番から電源を供給できるようになっています。なんでこんなことをやっているのかわかりませんが、そうなっているので合わせないと使えないですから困ったものです。

2番から電源をとるのをやめて、電池でマイクアンプを動作させればよいのかな、でもFMで使うのを念頭においているので、そのへんは簡単にしたいんですよね。そもそもSSB時にはマイクアンプ無しでMC-90のままで使えていて、マイクアンプ不要ですし。 

ここで一点残念なのは、IC-9700には、TS-590Sで便利な「モードごとにマイクゲインの設定値を覚える機能」はありなせん。なので、FMで100%で使っていて、SSBに移る場合には下げないとってことがあります。 

 

○レピータリストのソートしなおし(後日別掲

ICOMがcsvファイルで提供しているレピータリストですが、私の場合はアナログレピータを周波数順にカーチャンク(控えめにね)するときに有効かと思っていました。実際に使ってみると、そのレコードの並び順がコールサイン順になっていて、とても不便に感じます。コールサイン順なので、例えば「JP1YZY 439.02」の次は「JP1YZY 1292.02」、その次は「JP1YZZ 439.04」となったりします。430と1200が交互になったりして、アナログレピータが周波数順に並んでいるのを意識できません。 D-STARの場合はそれでも良いんでしょうね、このあたりはよくわかりません。

なので、アナログレピータのレコードだけを、430でエリア順の周波数順、1200でエリア順の周波数順に並べ直して使っています。そうすると、「CALL【DR】」を長押しした後に、1エリアの430の周波数順を順送りで、同じように1200の周波数順を順送りで選局できるので、自分の用途には合うようになりました。


 

2024年7月3日水曜日

令和6年に再び触るFT-817NDについて

FT-817考 に「なんとも締まりのない話になりましたが、マルチモード、マルチバンドで電池で出られる存在というのは貴重です。そのうち(再び)買っておくべきでしょうか。」と書いて締めていましたが、何年ぶりでしょうか、我が家にFT-817ND(002KN453:新スプ適合)がやってきました。


 

Action☆HandyシリーズやFT-690mk2を触っていると、やはり現代的な性能が欲しくなってきます。連続的に可変できるVFO、HFから430まで自在に移ることができるバンド・モードが実装されているのは魅力的です。

817は初代の発売が2000年、途中で「ND」が付いてニッケル水素充電池が標準装備、さらに新スプリアス規制に適合し、後継のFT-818NDに道を譲り、2023年でしたっけ、ついに818も販売が終了しています。そのせいか、今は中古の817/818の値段がすごいことになっています。私が再び入手した個体は、外観の見栄えや箱入りやフルオリジナルに拘らなかったので、それでも比較的安価で済みました。

対抗馬として考えられたのはIC-705です。大型ディスプレイにHF-430までオールバンド・オールモードで、IFもデジタル化されていて、送信音も吊るしのままで聴きやすい良い音が出ます。ですが、まだそこまでの機種を触るには若干の抵抗があるので、レガシーな817をもう一度触ってみることにしました。

スイッチを入れて関心したのはSSBの受信音が聴きやすいことです。初期のPLLの無線機、FT-690mk2やTR-9300もそうでしたが、それらの世代の無線機は、アナログIFなのにもかかわらず、目的信号のノイズからの浮き上がり具合がいまひとつで、それ以前の完全アナログ機に比べると聴きづらく感じていました。いや、アナログ機でもTR-1300やIC-502は聴きやすいというほどの無線機ではなかったですが、それらに比べても一段劣ると感じていました。

【7/5追記】初期のPLL機でもTR-851のSSBは悪くないです。大昔、FT-100Dと比較してみて、FT-100Dのなんとも言えない聴きにくさに比べて、曇りが取れたような音に感じました。TR-851Dは今も愛用中です。

しかし、FT-817はそろそろPLLの処理が上手になってきた頃だったからでしょうか、デジタルPLL・アナログIF・DSP処理はやってもせいぜいAFくらいのFT-897やFT-920あたりと同様に、混雑をかきわけて使うといった極限的な状況ではなく、普通のQSOをするには十分な聴きやすさがあります。

※デジタルIFのTS-590などの評価については このあたり をごらんいただければ

FT-817には、アサップシステムのダイヤル電動ファンや、海外製品のフレームラックなどのサードパーティ製品がまだ売られていて、好みで買いそろえることができます。

  • アサップシステムの電動ファンですが、元々付いているNidecの低消費電力のファンはうるさいので、私はOMEGA TYPHOONの究極静音タイプに交換しています。また、ファンを回すシチュエーションを考えると、電池駆動のときには回さないでしょうから、この電動ファンのユニットについているスイッチはファンを回すだけのスイッチということにして、このユニット経由の817への電源供給は常時行うように配線の変更をしています。
  • なんでこんなことを言っているかというと、アサップシステムのこの電動ファンを付けるには、内蔵電池ボックスまたはニッケル水素電池を取り去ることになるので、817本体の外側から電源の供給を行うことになります。普段の想定は、「『安定化電源』→アサップシステムの電動ファンのユニット→817背面の電源端子」です。出先で運用する場合は、『安定化電源』が『シガーライター』に代わるか、または『外部に用意したエネループ10本の電池ボックス』ということになります。例えばエネループから供給した際に、オリジナルの配線だと電動ファンが必ず回ってしまうので、そうならないように外部から817に至るラインは直結、電動ファンはスイッチで冷やしたいときだけ回す、というように配線変更したわけです。
  • 【7/4追記】実はこのアサップのファンなんですが、少しTipsがあります。電池蓋の代わりにこれを取り付けるんですけど、寸法に余裕がありすぎてガタが出るんです。具体的に言うと、これを取り付けた状態でダイヤルを回そうとすると、ガタガタと揺れて快適に操作できません。そこで、薄いゴム板を挟みます。ゴム板ですが、適当にホームセンターで売っているものでいいです。2mm程度の厚みがあって、挟むことによりガタを吸収できれば良いです。厚すぎると蓋が閉まらなくなるので注意ですね。で、ゴム板を程よい大きさに切って、ラッチの部分に挟まるようにハサミで切れ目を入れます。
  • 【7/4追記】そして、ラッチに切れ目を差し込んで、閉じると。そうすると、ガタがなくなります。

純正のTCXOユニットやオプションのフィルタは既に販売終了していて、オプションのCWフィルタは法外な値段がついてたりします。TCXOについては第三国での安価なものが出回っているので、それに興味はあるものの、周波数がズレたら合わせなおせば良いと考えてしまうので、今すぐの導入には消極的です。また、フィルタについてはSSB用に限ればまだINRADのメカニカルフィルタが入手可能です。まずはとりあえず手持ちのCFJ455K13を標準のCFJ455K14と比較してみましたが、受信では少し広くなったような気がするものの、送信では差がほとんどわからないといったところです。K13って一時期IFが455kHzのHF機でSSBの送信音を良くするために交換するのがTipsとしてありましたけど、それほどでもないですね。それとも817だから差があまりないと感じるのでしょうか。 



SSBについては、マイクをMC-90にするだけでそれなりの音が出ます。フィルタをINRADの2.9kに交換すればもっと良くなるでしょうけど、かつて一度やってますし、今はもういいかなと。

問題はAMでした。前回触ったときにはAMでの送信には興味がなかったので知らなかったのですが、これがなかなかの曲者です。F長押しメニューのAMマイクゲインはデフォルトでは50という数値に設定されています。また、AMのキャリアレベルについてはABC起動メニュー#69でうちの個体は224と設定されていました。AMというか低電力変調の無線機の場合、キャリアをSSB時の出力の1/4程度に抑えて、変調は気持ち深めというのが原則ですが、まずはそのまま送信してみると、モゴモゴといった浅い変調で、しかも歪んでいます。

そうか、一時期の八重洲の無線機ってAMはダメって話だったっけといった朧気な記憶をもとに、webで調べ始めると、

  1. ABC起動メニューの#69のAMキャリアレベルを190程度まで下げてみる
  2. その上でマイクゲインを下げてみて歪まないポイントを探す

といったことで対策していることがわかります。

キャリアレベルを下げるのは原則どおりですから即マネをしてみます。あと、歪っぽい音はマイクゲイン過多というのも納得できるので、これもマネします。で、送信をしてみると、今度は「わんつー、わんつー」の二回目の「わんつ」あたりで通過型パワー計の針が落ち込みます。ALCが効いたようです。このALC、自然と全体のマイクアンプ段からの出力が抑えられるのではなくて、しきい値を超えた大入力をポイントで抑えているようで、「わんつー」が「 ん っー」になってしまって台無しです。それではということで、

  • ABC起動メニュー#65の50MHzのALCの戻りのレベル調整を変更してみる

ことを試してみたものの、数値を弄っても「 ん っー」は改善されません。ALCの戻りを弄るのも、キャリアレベルを下げる方法はやめることにします。もう一つの対策としてwebで諸氏が挙げられていた

  • ABC起動メニュー#69のAMキャリアレベルを240程度まで上げてみる

ことをやってみます。キャリアレベルを下げることについては、webの諸氏はいわゆるマイナス変調対策と説明されていて、そのとおりだと私も思うのですが、うちの個体はキャリアレベルを下げることによって、「わんつー」と送信したはずの信号なのにALCが盛大に効いて「 ん っー」と出力がカットされてしまうことが大問題なので、多少カットされてもキャリアが減らないように、上げてみるという方向です。マイナス変調上等です。

そうしてみると、ちょっと喋る限りはマイナス変調になってしまうのは仕方ないとして、「わんつー」でALCが効いても「 ん っー」にはならず、それほど出力も落ち込みません。ちょっとシメシメです。

ここまでの総括ではこんな感じです。

  1. AMキャリアレベルが標準の224
  2. AMマイクゲインは標準の50 
  3. その結果はモゴモゴ歪み気味のあまり好きじゃない音【ダメ】
  1. AMキャリアレベル190
  2. AMマイクゲインを20
  3. その結果、マイナス変調は解消したが、大入力時に出力が落ち込み「 ん っー」
  4. ならばALCの戻りを減らしてみても変化なし 【ダメ】
  1. AMキャリアレベルを240
  2. AMマイクゲインを20
  3. その結果、マイナス変調だけど大入力時にも出力の落ち込みはなし【行けるか?】

【行けるか?】というところで、AMマイクゲインを歪まない最大値を見つけて妥協しようかと思ったのですが、「マイクアンプ段からの入力をコンスタントに増やして、常にALCが効いているようにしたら出力が落ち込むということはなくなるのでは?」と思いつき、マイクコンプレッサを使ってみようと思い立ちました。

少し前にジャンクで「動くかも?」と買って、ちょっと電源を入れてみたら案の定動かなくてそのまま死蔵していたカツミのマイクコンプレッサを持ち出して弄り始めます。


 

電池を入れて電源を入れてみると動作がおかしかったのですが、そのうちにその理由はメインのスイッチの接触不良であることが判明し、スイッチの交換によりまずは動作できました。この個体はトリオ4ピン仕様という触れ込みだったので、TR-2300を持ち出して繋いでみます。MC-20→カツミMC-702→TR-2300の送信信号をTM-833でモニタしてみるとこれが見事にサイテーな音です。コンプレッサは生きています。4ピンマイクの出入りで動くことが確認できたので、ケンウッド8ピンマイク仕様に変更して、(八重洲8ピンモジュラー変換経由で)817に繋いで試してみました。


 

まずはSSBでテストしてみたところ、少し圧縮気味の音にはなりますが、TR-2300のFMで試したときに比べるとそれほど悪くないです。リニアを繋いだりパワーを出せるときに使うなら軽くにしろということなんでしょうけれど、使い方次第でアリかなと思います。

次に問題のAMです。まずはキャリア減らし方向のテストですが、見事にダメでした。常時入力過多傾向でALCが効きっぱなしというか送信信号が抑えられっぱなしになります。話になりません。次にキャリアを増やす方向でのテストですが、こちらは程よく変調が深いまま、隣のTS-590からは途切れずに私の声が聴こえます。いけるかも?と期待してしまいます。ただ、まだ客観的に信号を聴いてもらったわけではないので、この前者と後者、

  1. AMキャリアは増やす設定(マイナス変調上等)
  2. AMマイクゲインは20
  3. マイクコンプレッサON

と、

  1. AMキャリアは増やす設定(同 上等)
  2. AMマイクゲインは標準の50の標準状態
  3. マイクコンプレッサOFF

との差がどの程度あるのかというところを比較してみたいと思っています。 ちらっと自分の声を隣のTS-590で聴いた感じだと、マイクゲインを下げてコンプレッサを入れたほうが「歪がひどくならずに音の通りが良い」感じはします。プラシーボかもしれませんが。

【7/4追記】隣に置いたTS-590で聴いただけの比較ですが、端的にいうと、マイクゲインを上げたときと、スピーチプロセッサ(この場合はスピーチコンプレッサですね)を入れたときの違いがあるだけです。どちらかが良いという感じでもないです。なので、平均的な圧縮音声を期待するならコンプレッサ、やさしくしゃべってピークを出さないならマイクゲインを上げる、ということになるでしょう。どのみち817のAM送信音はどうあがいても 期待してはいけない というのが結論になりそうなので、このあたりはお好きに、コンプレッサをいれて平均電力をあげるということをやってみたい(ただし音質の改善があるわけではない)なら使ってみたらどうでしょう、という感じです。

私ですか?せっかく直ったカツミのスピーチコンプレッサを弄るのが面白いので、音質が悪くならない程度に軽く使ってみようかと思っています。 これTS-600で使ってみたいなと思いつつ、同時に600は送信音を期待しちゃいけない無線機だったと思いなおし…


 

しかし、こんな感じで試行錯誤していますけど、IC-705ならつるしのままで、良い・聴きやすい音が出るんだろうなと思います。

今回、817については悪あがきをして次善の設定を見つけようとしていますが、あまり大きな期待はせずに、小さな無線機を性能の範囲で楽しむという方向で考えるべきなんでしょうね。実際、バンド切替スイッチを押したときに、中からリレーの小さなパチパチという音がする様子はかわいらしいですし。

2024年5月15日水曜日

そして令和6年のFT-690mk2です。(続き)

周波数を読める50MHzハンディ機!の続きです。

ここからはノウハウ編ですね。

FT-690mk2を手元に置くにあたりあったほうが良いもの

本体(当然ですね)

この機種は電池ボックスの出来がイマイチで、電池の出し入れに伴う開閉を繰り返すとプラスチックのフレームが割れます。そんな電池ボックスですが、あったほうが良いです。

メタル8ピンのマイク、八重洲純正には拘らない

純正のダイナミックマイクは音が良いのか悪いのかわかりません。690mk2のマイクメタル8ピンコネクタの2番には+5Vが来てるので、ここはエレクトレットコンデンサマイクを使いたいところです。変換コネクタを作ってケンウッドのコンデンサマイクかな。

 

上の画像では変換コネクタ経由でMC-90を繋いでます。小さい無線機にリニア+MC-90って好きです。 

フロントパネルのBNCジャックに取り付けるアンテナ

BNCの50MHz用の短縮ロッドアンテナです。これが無いとさびしいですね。本体に一緒に付いてこないなら探すのが難しそうな気がしますが、実は現行品のサガ電子のSUPER ROD-2があるので、妄想する屋外での運用は夢のままには終わりません。

リニアアンプ

自宅でゆっくり運用するときのためにリニアはあったほうが良いです。電池ボックスを外してその代わりに後ろ側に取り付ける10Wリニアアンプ、FL-6020がありますが、私はこれではなく、HL-66Vを使っています。2Wで押しても20-30W出ますし。

当然ながら、HL-66Vなど汎用のリニアを使う場合は、フロントパネルのBNCジャックからの出力をリニアに持っていくので、両端がBNCプラグとMコネのプラグの中継ケーブルが必要です。

HL-66Vの場合は、リモートコントロール端子に送信時に+3~9Vを加えると連動できるピンがある(よくある送信時にアースに落ちるピンもありますが、今回はTXBを簡単に取り出せるので)ので、690mk2のTXB端子(上側蓋を開けると奥に純正リニアコントロール用の端子があって、その真ん中がTXB)を伸ばして、トーンエンコーダ用の穴から電池ボックスを通して後ろ側に伸ばしたところにミニジャックを付けて、これ経由でコントロールすることにしました。

690mk2のTXBは13.8Vなので、何か負荷を入れて電圧を下げたほうが良いです。私の場合はムギ球代替品の電球色LEDを入れていて、閉じられた電池ボックスの中で無駄に光っています。

 ※電池ボックスの中はサビサビのガリガリなので撮影を省略しました。

こうすると、電池ボックスを外したり、中を触れないのでは?と思うところですが、一度このように配線した後は、電池ボックスを外すことはありません。

じゃ、電池運用の場合はどうするのかというと、電池ボックスのDCジャックは生かしてあるので、普段は安定化電源からDCジャック経由で690mk2への電源供給をし、電池運用時はこのように外付け電池ケースに単三エネループ10本12Vを装填して、これをDCジャックに繋いで使います。
外部電池ケース採用案はニャンダース氏よりお知恵をいただいてます。これで心置きなく単二電池用の部品を取り去って、このような使用法に至ることができました。

電池ボックスのDCジャックですが、センターマイナスなので注意してください。どうせ改造するならセンタープラスに変更するのもアリですが、私の場合は安定化電源用のプラグや外付け電池ケースはセンターマイナスになるように配線しました。

肩掛けベルト

手芸屋さんに売っている平らなベルトや留め具を使っても良いと思ってます。私の場合は、かつてRJX-601のために買った手芸屋さんベルトを流用する予定です。


【FT-690mk2のクラリファイヤについて】

この機種はSSB/CW時には最小25Hzステップなので、ほぼゼロインできます。なのでゼロインのためにクラリファイヤを使う必要はないと思っています。また、ズレた相手局を追いかけるためにクラリファイヤを使う場合がありますが、私の場合、習慣的にこれがないんです。IC-502でデビューして以来、ダイレクトにダイヤルで追いかける癖がついてしまっているので、クラリファイヤを使うことはほぼありません。

で、この690mk2のクラリファイヤは仕様上常時ONになっています。つまり、誤ってクラリファイヤつまみがセンター以外の位置にある状態だと、送受信アントランシーブになってしまいます。クラリファイヤのON/OFFができれば良いのですが、その機能はありません。また、このクラリファイヤつまみのセンタークリックが柔らかく、知らないうちにセンターから外れていることもあります。なんで、八重洲はつまみを引くとONとか、もう一手間かけなかったのかなと。

さらに続けますがw、このクラリファイヤつまみですけど、回そうと力を入れるだけで周波数が動きます。(690mk2から音楽を流して、隣の無線機でゼロインして、隣の無線機で音楽を流して、690mk2で音楽がちゃんと聴けるかという方法の)送受信鳴き合わせチェックのときにわかりました。なんかイヤな感じです。クラリファイヤのON/OFFがスイッチでできれば気にしないのですが、常時入った状態でズレる可能性があるというのは、古い無線機だからということをさし置いてもちょっと困ります。

私の場合はこれがイヤで、本体底面の蓋を開けてアクセスするPLL/PAユニット基板のJ05を抜いて、クラリファイヤつまみへの配線を外しました。クラリファイヤの機能は無くなりますが、このつまみが原因でアントランシーブになるのはもっとイヤなので、これでとりあえずの対策としています。

テクニカルサプリメント(mods.dkにFT-690R2のものがあります)にPLL/PAユニットの回路図などが出ているので、ご興味の向きはどうぞ。

PLL/PAユニットの裏側にアクセスして、送信時もクラリファイヤつまみが生きるようにできれば、送受信周波数ともにつまみ位置とともに動くからOKと思ったのですが、不器用なので、寄木細工のように入れられている基板を外して、その裏側へのアクセスの過程で壊す可能性が高いのでやめました。

2024年5月18日追記 コネクタをまた挿して、クラリファイヤ機能を復活させました。送信してると熱で周波数がズレて、お互いに周波数を合わせあってるうちに、これクラリファイヤ使ったほうが良いのでは?と思い至り、復活です。