2020年7月2日木曜日

立ちはだかるTS-950SDX(TS-590無印の受信音を追求するの続き)

続きです。
自分的にはこれで良いと思う設定を見つけて、しばらくの間TS-590無印を楽しんでいました。そこで、自分の中の理想の一つである、TS-950SDXの455KHzのみの6kフィルタを通過させた音との比較をしてみたいという欲望がふつふつと湧いてきました。

自分の周りでは、最近になってTS-950SDXブームが来ており、複数台所有の猛者が2人もいます。私自身は2011年の地震の少し前に手放して、一旦は過去の無線機になったものの、TS-590無印を入手してから経験する初めての聴きづらさに、590を経験した後に950SDXで聴いてみたらどんな感想を持つだろうという興味を持っていました。


(TS-950SDXの上にTS-590無印、さらにその上にちらっと写っているのは、590に接続したトリオSP-70)
























ふとした偶然が重なり、昨日、我が家に再びTS-950SDXが来ました。当然ながら以前手放した個体とは別のものですが、細かいことを言わなければ状態も悪くなく、私が「これが950SDXだ」と思っていた性能は期待できるでしょう。
しかし、大きい…重い…

2台にアンテナをつないで、早速スイッチを入れます。ちょうど21でEsが出ており、国内が良く聴こえます。両方で同じ局にゼロインしつつ、ぱっぱっとアンテナを切り換えつつ、聴き比べ開始です。
950SDXのほうはやはり古さが目立ちます。チューニングの際にVFOダイヤルを回したときの受信周波数の変化する音の体感的な遅れが最初に気になります。この、体感的な遅れは、590無印と比べてということではなく、950SDXを10年少し前に使っていた時期にもそう思った記憶があります。

音に関してですが、自分好みに追い込んだ590が結構健闘するのではと思っていたら、比べてしまうと、やはり950の「8.8MHzはスルーで455KHzのみを通過させた6kで聴いたSSB」は聴きやすいです。人の声が自然と耳に入ってきます。
ノイズや妨害信号がある場合は、フィルタを狭めるなりなんなりして、そのときはじめて眉間にしわを寄せて集中することになります。

一方のTS-590無印ですが、ここまでがんばって設定したグラフィックイコライジングの成果で、AF的な音色を自分好みにしても、IFから通過してくる幅の広さの信号の音声成分がすべて一旦耳に入り、耳の中で人の声を分離するプロセスがあるように感じています。
なので、ある程度耳障りの良いイコライジングカーブを作ってあげても、(950SDXに比べて)音量をあげてその中から(眉間にしわを寄せて)人の声を解釈する作業がもうひと手間必要なんですね。
もちろん、これはフィルタの幅の選択やイコライジングカーブの設定で緩和できますが、950SDXの6kそのままは実現できません。950SDXを到達点という視点でみると、どうしてもこうなってしまいます。でも仕方ないです。アナログの無線機でこういう世界に入って、これが普通だと思っていたわけですから。

90年代の高級機向け技術でIFをアナログフィルタで構成するのと、2010年のIFDSP普及機との比較ですからフェアじゃないとは思うのですが、やはりアナログのセラミックフィルタやクリスタルフィルタを経由する信号は、帯域間際の信号の切れ方などはファジーなところがありますが、自然な音で聴こえます。
この自然な音というのが重要で、イコライジングカーブの設定で音声を加工しなくても、そのままで聴きやすい音で聴こえるのです。

ただし、設定を煮詰めたTS-590無印も、950SDXに比べて大きく劣るかというと、確かに聴感では完全には追いつけないものの、IFDSPフィルタのばっさりと切れるところは素晴らしいですし、デジタル処理によるノイズブランカやノイズリダクションやノッチは適正な深さに設定すればよく効きますし、ボタン一発で消えるビートキャンセルやオートノッチは使ったらこれが無い状態に戻るのには抵抗があります。ノイズや妨害信号がある場合は、590無印のほうがはるかに機能的です。当時としてはよく効くNBや比較的使いやすいマニュアルのノッチがついている950SDXですが、これにはかないません。
アナログ慣れした私の耳にはTS-950SDXの音はよく馴染み、聴き疲れしないところは強みです。しかし、自分好みの音に詰めたTS-590無印もけっこう良い勝負になったのではと思っています。というか、950が来たからもう590は売ってしまおうかと短絡的な考えにならないところが、590の粘り腰(表現が古いw)ってところでしょうか。

2台の比較の結論としては、HFをダイヤルをくるくる回してながら聴きしたいときにはTS-950SDXが最適です。近所の局とラグチューも950です。6KHzの幅の中に耳で解析できないような混信が発生するまでは、950SDXを使いたくなります。
しかし、帯域内に混信が発生した後のシチュエーションとしては、最初に950SDXを2つのIFともに2.7kHzのフィルタに設定してスロープチューンを使ってということをやるわけですが、スロープチューンにしても、アナログフィルタの組み合わせで上下を切るよりもIFDSPのほうがきれいに切れるので、ここからは590のほうが性能が上で、更に混信の中のQSO継続ということであれば590が勝ります。
そういうシチュエーションで使い分けをするかは別として、そうするために持っておいても良いのではと思うところです。50MHzの100Wはこれで免許されてますし。

机の上がいっぱいになりましたが、しばらくこのまま併用していこうと思います。
というか、比較が終わったら950SDXは売却しようと思っていたのですが、こっちも手元に置いておきたいと思ってしまいます。いけませんねえ。

(後注1)「TS-590無印を入手してから経験する初めての聴きづらさ」を後から読んで、TS-2000SXで50MHzSSBを聴いているときに、ノイズと受信信号の分離が悪く感じて、どうも信号がノイズに埋もれる感じがする、なるべく帯域外のノイズを減らないかとプリセレクタを入れてみたりしたことを思い出しました。これって、目的信号が弱かったとか、TS-2000SXの50MHzの感度が悪かったんじゃなくて、IFDSPフィルタはいちばん広いのが良いと思い込んだことや、受信DSPイコライザの設定を詰めなかったので、当初の590無印同様に聴感が悪かったんだと思います。もうちょっと突き詰めてというか、そういう気付きがあれば良かったと思います。
でも、TS-2000の場合は、590無印で最初にすぐに感じた、「もうどうにもならないほど喋ってる人の声がノイズの前に出て来ない」というほどの違和感は感じなかったんですけどね。

(後注2)「TS-950SDXの455KHzのみの6kフィルタを通過させた音」が何度も出てきますが、これ、6kHz幅を聴いているものの、Hi-Fi的な聴感ではないです。セラミックフィルタやクリスタルフィルタを通過した自然な音がしています。むしろ、590の受信DSPイコライジングで加工した音(しかも私の場合はIFDSPフィルタは4k弱の幅で聴いてます)のほうが低音域と高音域が出ていて、ドンシャリ感があります。そのドンシャリ的な音を耳に全部入れた後、人の声を浮き出させるといった脳みその解析プロセスがあるので疲れちゃう…となります。

(後注3)2021年2月24日、青字部分を訂正、加筆しました。

2020年7月1日水曜日

TS-590無印の受信音を追求する

と、GタイプではないTS-590S(以下、TS-590無印)について、聴きやすい設定は無いかと試行錯誤、というかより良い聴き心地を目指していた(おおげさ)ところです。

TS-590無印の受信系の音質に関する主な設定は、
(1)DSPIFフィルタによる、IF通過帯域のスロープチューン的な可変
(2)受信DSPフィルタによる、AF的な音質の味付けの調整
の2つがあります。

こんな話は、2012年のTS-590無印が市場に出た当初にみなさんがけっこうやっていると思います。手が届く価格帯の中古の無線機を後年になってからいじるような私の場合、その当時の論に触れる機会が既になく、webに残っている識者の方々の記事を読むくらいがせいぜいなところが現状です。
で、しかも、私がここにこのようなことを書いても、これが世間の目に触れることもないわけですがw

(1)のDSPIFフィルタの可変については、スロープチューン的なツマミを可変して上下の帯域を絞ることができます。これは音質にも直結して、絞ると鼻つまみ的な音になります。広げると広くなったような音になりますが、TS-590の場合はいっぱいに広げても聴きやすくなるかというとそうでもないです。ただし、IFを通過する周波数を上下からばっさりと切れるので、帯域内に混信がある場合にはこれを切る手段としてはとても有効です。これは素晴らしいと思います。さすがIFDSPというやつです。
私の場合、TS-590がA/Bと切り換えて持てる二つの設定値を、A:100Hz-4000Hz、B:100Hz-2800Hz(つまり、通過帯域2.7KHzでダウンコンバージョンを使いたいとき ※ )としています。
Aの場合はながら聴き、Bの場合は混信があるときなど、少し真面目に聴きたいときに使います。

(※)21MHz以下のクラシックなアマチュアバンドの場合で2.7KHz以内を通過させる場合にはダウンコンバージョン(11MHz)の回路を通り、それよりも広い設定の場合にはアップコンバージョン(73MHz、10MHz)を経てということで、通る中間周波数によって(メリットデメリットを含んだうえで普及機にどれくらいコストをかけられるかということも踏まえた上で)相当(それにふさわしいレベル)の性能が発揮できるというシロモノです。
このあたりは TS-590 徹底解説集 を読んでみて下さい。特に、PDFの7ページにある、「1受信 1.1コンバージョン方式」を読むと、なるほどねということが書いてあります。

(2)については、受信した信号をオーディオ的に加工して聴きやすくするものです。
TS-590無印の場合は、「切」「ハイブースト1/2、フォルマント・パス、バス・ブースト1/2、フラットがプリセットされていて、他にPCをUSBで接続した上で設定できる「ユーザ設定」を使うことができます。
TS-590無印の購入当初「受信した人の声が前に出てこない、聴きにくい」という印象を持ち、未だにこれを払しょくできていません。購入後は「切」の状態で長く使っていて、これで人の声が聴きにくいと騒いていたのですが、フォルマント・パスやハイブースト2(Hb2)にすることにより改善しました。無線機を通じてよく聞く声の周波数帯域は、これらの設定値で増幅(または減衰しない)ことで強調できているようです。
少し前に気が向いて、ファームウエアをアップデートした際に、ARCP-590(ケンウッドが未だに提供し続けてくれているありがたいPCコントロールソフト、これはGタイプ用ではなく、「無印」用です。)で、プリセットのイコライジングのカーブを見てみました。

まず、良かったハイブースト2(Hb2)です。












フォルマント・パスはこんな感じ












フラットはこんな感じ












「切」、オフはこんな感じ。












驚いたのは、切っている状態と、「フラット」は違うということです。聴感上確かに違うように感じていたのですが、メニューの一番最初と後ろで、スイッチ一回押しでパタパタと比較できない位置にプリセットされていたのでこんなに差があるのに気づきませんでした。
道理で、人の音声帯域が含まれる(と思われる)高い周波数を減衰させているんですから、「切」では聴きにくいはずです。

私のユーザ設定はこれ。ハイブースト2(Hb2)を参考に、少しだけ弄った状態です。上の3つのバンドはこの画像では絞っていますが、その後設定を見直しをして、一番上まで上げてあります。












このユーザ設定と、(1)の「IFDSPをいっぱいに広げて使わないこと」の併用で、ずいぶんと聴感は改善しました。
 
もう一つ、書き忘れていたのですが、590本体のスピーカではなく、
(3)外部スピーカ(トリオSP-70)で聴くこと
でさらに改善しました。このTS-600や700用の古いスピーカですが、TS-590無印(Gタイプでも良いと聞きました)と相性が良く、(1)(2)に加え、これで聴くと了解度がかなり向上します。(1)(2)(3)の合わせ技を駆使すれば、TS-950SDXに迫れるかもと言っても言い過ぎではないでしょう。
 
これらのおかげで、(以上赤字部分、2021年2月24日追記)スイッチを入れて、ゼロインして、いきなり眉間にしわを寄せて信号に集中することになって、すぐに疲れるという状況からは脱せたような気がしています。
これなら、TS-950SDXの455KHzだけ通す6kHz幅の受信音とそん色ないところまで行けるかも?と思って、本日テストをしてみたところなのであります。(続きます)

2019年9月13日金曜日

IC-SM2を使うのだ。

ハムフェアで見つけたお宝のIC-SM2を使うべく、早速配線をケンウッド8ピンに変更しました。

全てが完了するまでの四苦八苦を記録のために記しておきますw

1段階:
アイコムの「エレクトレットコンデンサマイクはマイクのホット側に電源が重畳されている」という仕様を確認。まずはとりあえず使えれば良いということで、ケンウッドの5番ピンからの+8Vとマイクのホット側をショートさせて、IC-SM2のマイクアンプとエレクトレットコンデンサマイクユニットの動作を確認。とりあえずマイクの体をなすことに安堵。
ただし、こうするには8Vをマイクアンプが内蔵されているIC-SM2の台座まで引っ張ってくる必要があるので、マイクケーブルをオリジナルの3芯から手持ちの8芯のもの交換した。

2段階:
この状態ではケンウッドのマイクのホット側に重畳された8Vが無線機に戻ってしまうので、それは不味かろうと、直流をカットするために電解コンデンサを入れる。手元に47μFのものがあったので、それを適当にマイクのホット側と8Vをショートする(無線機側から見た)手前に入れる。しかし送信するとハムる。
このあたりで、冷房下での作業が原因か、風邪をひく。

3段階:
ハムの原因は二つあると思われ、一つ目は電解コンデンサによる直流カットがうまくいっていないこと、二つ目はマイクのシールドがうまくいっていないこと(繋がっていればよいだろうと適当な配線をしたので、芯線をマイクのホット、芯線を取り巻くシールドでマイクのコールドとしていないからと想像)とした。
風邪ひきの中、頭の整理。

4段階:
二つの原因のその一、コンデンサの極性が反対だったことに気付きw、無線側から見て手前がプラス、反対側がマイナスと改めた。しかし、ハムは改善せず。手で持つとハムが治まるなど、安定しないのでマイクのアースに不備があるのではと想像。
風邪は治っていないが、作業をする。

5段階:
一晩経って、それではともう一つの原因を解決するため、マイクのホットとコールドを適正なケーブルで接続すべきとして、マイクケーブルの半田付けをやりなおす。ハムは治まった。しかし、音が悪い。ダイナミックレンジがエレクトレットコンデンサマイクとは思えないほど狭い。そうだった、IC-SM2は音が悪いのだ。40年前もそうだった。
送信テストする声が風邪ひきの鼻声である。

-----ここまででハムフェアから6日経過-----
6段階:
ハムフェア終了から最初の土曜日午前中、狭い音(プラス風邪ひきの鼻声)で送信しつつのローカルラグチューでヒントをもらう。
「1.エレクトレットコンデンサマイクのユニットを交換すべし、2.アイコムの内蔵アンプは取り去って直結で使え、3.台座裏側のボリュームは便利だが使わない、4.フレキシブルパイプの先の送話口の先は、薄い部分を傷をつけないようにテープや布で保護した上でラジペンでネジの反対方向に慎重に回すと外れる」

7段階:
そして午後、作業に入る。エレクトレットコンデンサマイクのユニットは手持ちが二つ。一つは3極(マイクのホット、コールド、電源)、もう一つは2極(マイクのホットに電源+が重畳、コールド)。当然ながら簡単な3極のユニットを採用する。そして、マイクアンプのユニットを取り去り、配線終了。自分で「あーあーあー」とやって隣の無線機でモニタをしても、鼻声であるが明らかに音が広い。
これで完了である。これで完了である!(涙)


全てが完了し、ケンウッド仕様に配線変更され、更にスポンジ風防を装備したIC-SM2であります。そういやIC-SM2を新品で買ったときにスポンジ風防が付いてましたね。色もこんな感じのグレーでした。開局当初にIC-502で出ていた当時のことを思い出します。
実はこのスポンジ風防、IC-SM2には有効で、このマイクは正面でしゃべると10~20cm離れていてもけっこう吹くんです。なので上に書いた試行錯誤と並行して、通販で探してたのところでした。
ちなみに寸法は、【高さ4.8cm、幅3cm 内径1.5㎝ 深さ3.8cm】のものを選びました。これでぴったりです。

ついでにMC-90のものも揃えました。こちらは【高さ:約72mm、内径:約35mm、外径約(60~65)mm】です。こちらもぴったりです。
両方とも【】の中の内容で検索すると商品がヒットすると思います(2019/9/13現在)。
そして、やっと風邪が治りつつあります。

2019年9月12日木曜日

ハムフェア2019

2019年は8/31-9/1の土日となったハムフェアです。
今年は実のところ明確に欲しいものがなくて、お祭り自体を楽しもうという趣旨で土日ともに行ってきました。

まず初日。一般展示ブースで楽しいものはないかなと歩き回ってみると、早い時間ではクラニシのNT-616が複数5000円で出ていました。これはお買い得。午後にはもう姿が消えてました。

でも最初に忘れずにJARLにカードを出さなきゃということで、メーカーブースを横切ってJARLのコーナー方向に歩くと、買わねばと思っていた「BCLマニュアル」が山積みでした。即購入。カードを出しに行かないと忘れてたところでした。
そして、途中のCQ出版社ブースで旧型機のメンテナンス本、TR-1300とVL-1300の記事があるものを購入しました。古いリグを単に磨く趣旨の記事ではなく、半固定ボリュームの位置や調整について書かれているので今後の参考にしようかと。

あと、これも早い時間でしたけど、ハイモンドの電鍵HK-704の未使用品と思しきものが安かったので、これは即買いでした。他にも数種類ありました。OMの引退処分品なのかな。
70年代のトランシーバを見かけると楽しくなりますが、今年は、JARDの新スプリアス保証リストに記載されない機種は極端に安くて誰も見向きもしないか、そもそもあまり見かけないという傾向がありました。
そろそろお昼かなという頃、地面に直置きのジャンクっぽい出し方の中に、かつてIC-502シリーズとセットで売られていたIC-SM2があったので、百円玉数個で購入、これが今年のわたし的目玉でした。
書籍とお宝
MC-90の両隣に並ぶお宝
お昼にちょっとだけビールを飲んで、午後はペースを落としてぐるぐる回って、会場の雰囲気を満喫し、大井町の飲み屋さんへ、そして大井町からの始発電車で目をつぶるともう地元駅でした。


二日目。一日目は仲間と一緒に回ったのですが、二日目は来年はひょっとしたら会場確保ができずに開催が無いかもしれないし、一人で祭りの余韻でちょっとだけ回ってみようと、午後の早めに短時間滞在のつもりで行ってきました。
初日のTH-59に代わって、二日目のお供はTR-2300です。この手のポータブルトランシーバを会場に持ち込むのは、高校二年生のとき、晴海にIC-502を担いで行って以来です。
今日はこのTR-2300で、会場内でQSOをしてみようと思います。
休息スペースの白い机の上で記念局の信号を受信中のTR-2300(わたくしの第一送信機)
ロッドアンテナが折れるのが困るので、純正ヘリカルホイップに挿し換えての受信です。まずは8J1HAMが出ていたので、パイルが治まってから呼んでみると一発で応答。会場内からなので当然だと思うでしょうが、会場内からハンディ機で呼ぶライバルが多いんです。無事QSOの後、メインを聴いていると別の記念局のCQが聴こえます。サブチャンネルに移ったところですかさず呼ぶと、QSO成立。会場内でQSLカードを発行してもらいました。
開局当時のハンディトランシーバを持ち込んでハムフェア会場でQSOをするという重要なミッションが終わったので、あとは少しだけ会場をブラブラして引き上げました。

二日目の午後、がらんとしたイベントスペース。祭りの終わりの雰囲気ですね。

2019年8月22日木曜日

夏、BCLラジオが欲しかった季節

夏というと、小学校のころの、7月下旬に出たラジオの製作の最新号を何度も読みつつ、BCLラジオが欲しいと願いながら長い休みを過ごしたことを思い出す。いや、ある時期ではBCLではなくて無線の免許を取ってRJX-601でQSOしたいとか、そういうことを願った夏もあったのだけど、今回はBCLばなし。

私がBCLというものを知ったのは、スカイセンサー5800のテレビCMをみたとき。
5800の発売は1973年4月で、同機の初期のCM、ラジオ・オーストラリアのワライカワセミ版で刺激を受けて、その後にBBCのビッグベンの鐘の音版を見たという記憶がある。
その当時、BBCのシンガポール中継の日本語放送が7180kHzでやっていて(懐かしのラジオの製作のラ製データシートを参照) 、父親の部屋にあったFT-101のAMモード(ただしSSBフィルタで聴いていたので音が悪い)で聴くことができたのだが、子供にはそれではつまらなくて、FT-101では聴けない9MHz帯や11MHz帯のラジオ・オーストラリアを自分の部屋でBCLラジオで聴きたかったのであった。

しかし、私はそのCMを認識した後、時期的には小学校4年の1974年の夏から秋の時期に、東芝サウンド750GTVを親から買ってもらっていたのだ。
このサウンド750GTVを選んだ当時の心境を思い出してみると、
・5800は〇〇くんの父親が持っているので後追いはつまらない。
・自分の部屋にテレビが欲しかった。しかし親からみたら自室にテレビとなると全く勉強をしなくなる恐れがあるとされた。まあ音声だけなら許されるのではないか。
・サウンド750GTVでは短波の3.9-12MHzを聴けるのでBCLだってできるだろう。
・3.9MHz帯や7MHz帯のBCLならFT-101で聴けばよいし、ラジオよりも安定して聴ける。
といった判断があったと思う。
今から思えば、値段もほぼ変わらない5800や当時既に併売されていたサウンド750GSを買っていれば我慢することなくBCLをできたはずなのに、当時の私はなぜかテレビ音声を優先したのだった。(当時頭を支配したと思われる「全員集合を聴いたら楽しいよね」という発想は誤りで、土曜日の8時台はお茶の間のテレビで全員集合を見てたし、そこにはサウンド750GTVの出番はなかったのだ…)

で、案の定、買ってもらった後は、画面なしの音声だけのテレビではつまらなく、12MHz以上の周波数は聴けずで、BCLラジオにすればよかったーと後悔する日々を送ることになった。
でも、BCL用として使うには物足りなくても、両親の帰省先についていったときに、夜になってからロッドアンテナを伸ばして短波帯を聴くと、自宅では聴けない数の放送局がバンドいっぱいに聴こえて感動したものだった。

私がBCLラジオを手に入れたのは1977年になるのだが、その前年、クーガー22001010の発売があって、2200の値段の高さに遠慮してより安価な1010をねだったことがあった、しかし、ラジオばっかり欲しがってとそれは却下された。
そのときになぜ欲しいのだと訊かれ、持ち歩ける小型のラジオが欲しいのだと(本当の本当はクーガー2200が欲しいのだが、適当なこじ付けでそう言った。小型のラジオが欲しいのは事実なので本音でもあり…小型というのなら本当はICF-7800が欲しいと思っていた。)言うと、代わりに秋葉原のラジオセンターの中の店で買ってもらったのが松下RF-527だった。
このRF-527は中波とFMしか聴けない小さなラジオだが、小学校高学年当時に毎月のように行っていたキャンプに持って行って聴くのに重宝した。

そして待ちに待った1977年の秋、ついに手に入れたBCLラジオがスカイセンサー5900だった。クーガー2200のほうが性能が良いのはわかっていたが、やはり3万円を超す値段に恐れをなし、5900を選ぶことに。
青い箱から出して、ラ製で飽きるほど眺めた筐体の実物に感動し、同時に買ったキャリングケースに入れつつも、ケースに入れると筐体のデザインが隠れてしまうので脱がしてみたりと、しばらくはケースに入れたり出したりしていたことを思い出す。あと、スイッチを入れて受信した音の印象が「こもった音」だったのもよく覚えている。

ここから先は夏休みでも夏でもない話になるのだが、5900の、というよりBCLラジオの一番の思い出は、電話級の免許状が来て局免許を申請している最中だった中学2年の秋、高崎線から直通の上越線各駅停車(上野発長岡行き。当時は上野発6時台、14時台、23時台と一日3本あった。)で埼玉から新潟まで行ったときに、窓際に5900を置いて車窓を眺めながらヘッドフォンで聴き続けたこと。
地元駅から電車に乗って、最初は県内に送信所がある中波放送を聴いてみる。NHK第一(78年当時はまだ川口にあった)、TBSラジオ(戸田)や文化放送(川口)が強い。そのうちにそれらが聴こえにくくなり、NHKFMの前橋放送局が聴こえにくくなると、SW1に切り換えてNSBを3.925MHzと6.055MHzとを切り換えながら聴く。
埼玉の自宅ではフェージングを伴って聴こえる電波が、群馬に入ってしばらくしたあたりまで行くとSINPO=55555で安定して聴こえていた。千葉県長柄から送信している電離層反射の電波は、埼玉で聴くよりもある程度の遠さがあったほうがよく聞こえるということを知識では知っていても実際に経験したのは面白かった。

でも、この後は局免許が来て自分で電波を出し始めてしまうので、念願のBCLラジオを満喫したのは約1年だった。小学校の頃から頭の中に温め続けた期間が長かったのにもかかわらず。

2019年8月2日金曜日

TH-59とTH-89

 久しぶりにハンディ機の話題です。TH-59及びTH-89の両機ともに1995年モデルだそうです。
 私がこれらを入手したのはもっと後です。2002年以降しばらくの間1200MHzのトランシーバを集めるのに執心していた時期があって、当時は同好の士がけっこういて値段が高かったのを覚えています。

 当初はTH-89を手に入れて、不具合を直してもらった後、BNCで使える短いアンテナを探してみたりと楽しんでいました。
 TH-59はある年のハムフェアで見つけて、手ごろな値段だったので即買いをしました。運よくキーパッドDTP-2が取り付けてあるモデルで、今となっては貴重です。こちらもSMA用の短いアンテナを探してつけています。
 この両機を比べてみると、TH-89のほうがTH-59よりも一回り大きく、厚みがあります。なので、TH-59の入手後はハムフェアなどで仲間と連絡をとりながら歩くには、コンパクトなTH-59ばかりを使っていました。

 そろそろハムフェアだな(気が早いw)ということで、約1年ぶりに動作の確認をしようとしまい込んでいた箱から出してきてみると、TH-89を入れているソフトケースが加水分解でベトベトになっています。これはまずいとケースから出して電池を入れてみると、無事動作しました。ほっとして、濡れタオルで清掃後、記念撮影です。
 TH-89のソフトケースの加水分解は2度目で、最初はぴったり被せるタイプのSC-42(単三電池用の電池ケースBT-9対応)を使っていたのですが、これが2年くらいでベトベトに。仕方ないので大雑把な汎用ソフトケースSC-40に入れていたのですが、こちらも10年くらいで加水分解です。
 TH-59で使っているBT-9対応のソフトケースSC-38は少し怪しいながらもここまで耐っているので、TH-89内部から加水分解を促進する物質が出ているのでしょうかw
 この手のハンディ機って、同じ1200MHzのTR-50のようなポータブル機とは違って、自宅で使うというシチュが無いですから、ほんとハムフェアみたいなイベントでしか電源が入らないんですね。
 というわけで、TH-59を入手後にこちらばかりを使っていて、TH-89のほうは数年電源も入れずにいた罰があたったのでしょうか。今年はTH-89を使うことにします。

参考にこの2機種のTipsを。
(1)電池ケースBT-9で運用する場合、エネループを使うとTH-59は電圧不足で送信するとRFメーターが点滅します。TH-89の場合は大丈夫です。ある年のハムフェアでTH-59にエネループで持って行って、あわてて単三電池を探し回ったことがありました。
(2)純正のアンテナは長いので、短いのに交換するとスマートです。
TH-59の場合は、ナテックのH35Sがおすすめです。第一電波にもSMA対応の短いホイップSRH805Sがありますが金色のリングが入っています。金色がちょっとアレな感じがする場合にはナテックです。ただし、ナテックのこのホイップは430MHz/1200MHz用ですので…おそらくマランツC601が発売された頃にそれ用に販売されたのでしょう…144MHzでは使えません。たぶん。
 TH-89の場合は、第一電波のRH-3がおすすめです。画像では指でこすった結果消えてますが、エレメント部分に青いレタリングで商品名などが書いてあります。これはアリかなと思います。
(3)一般的なQSOであればSMC-33や34のようなスピーカーマイクを使うのが良いと思いますが、お尻のポケットにハンディ機を挿して会場内を練り歩くということであれば、特定小電力機などで多く使われた、ケンウッド純正のイヤホン付きタイピンマイクのEMC-3をおすすめします。
 特定小電力用のイヤホンマイクでケンウッド用とされている安いものがあります。そのような製品の中になぜかマイクプラグとイヤホンプラグの間隔がTH-59/89とは違って挿せないということがあったのでご注意を。おそらく近年の特定小電力トランシーバUBZシリーズには合うのかもしれませんが、TH-59/89では使えない例がありました。

2019年7月30日火曜日

米国の同期のみなさんの動向はどうなっているのだ。

 私が東京VEチームの試験で最初の米国の資格(エレメント1と2でTechnician Plus)をとったのが2002年のこと。KC2J*Qが割り当てられました。その翌月、名古屋に出張になったので、宿泊を一日延ばして名古屋VEチーム(現在は活動停止)の試験でエレメント3と4に合格してAmateur Extraになりました。KC2J*Qは一度も運用しないまま、Aで始まる5文字のコールサインにアップグレードし、AB2**となりました。その後、渡米する機会はあったものの、現地で電波を出す機会なく、英語もいまいちなまま、今日に至っています。
 それから15年以上経過して、最初に割り当てを受けたKC2J**の同期(と勝手に呼びますが)の26人のみなさんは今どうなっているのかに興味をもって、調べてみました。
 この手の情報は日本よりも公開範囲が広く、FCCのULSのライセンスサーチで簡単に調べられます。画像の上にあるとおり、調べたのは今年の5月下旬です。(系統立てて検索するのではなく、単純にコールサインを入れて行う検索はこちらです。)
 黄色の17人はそのまま現在も有効です。TechnicianからGeneralになった人もいますが、コールサインはそのままです。
 また、緑色の5人はVanity Callsign Systemを使って1×3(W1ABCなど)になった人です。1人は、この1×3のコールサインが気に入ったようで、Extraになった後もそのまま使っているようです。また、1人は1×3のVanityを2回やっていますね。
 色のついていない人は、Expired、失効した人です。4人います。一人だけExtraになった上で失効している人がいますが、それは私ですw
 26人の17年後の生存率は84.6%です。まずまずではないでしょうか。日本の場合と比較する場合、日本の5年に対して米国の場合の免許の更新は10年に1回なので生存率は日本に比べて高いはずです。その間日本では2回免許の更新があります。2回のフィルタって大きいですね。そのあたりは考慮しないといけません。

 ここからは余談です。
 しかし、なんで私は失効したんでしょう。ダメですね。10年経過の少し前に、最初に借りた住所を使えなくなってしまったので、次の住所をどうしようかと考えていたのですが、その後すっかり忘れていて、ある日気付くと、10年経過後に2年ある復活可能期間を過ぎていいて、何もない状態になっていました。
 2014年にFCCが失効者に対する救済のルールを改正したので、さっそくこれに乗ることにし、横須賀・逗子VEチームの試験でエレメント2を受験し、無事復活することができました
 ただし、単純に旧コールサインに戻れるわけではありません。私の扱いは、2014年にエレメント2を受けた際の住所である7エリアでのExtraの新規合格者と同じです。受験時にFRN(FCC Registration Number)を申告することにより、失効したライセンス保持者であることを示して、エレメント2合格時に結びつけをしてもらうのですが、それであってもコールサインは新規に7エリアでExtraとしての順次指定を受けます。元の2エリアのコールサインに戻りたければ、Vanityを使って、空いていれば戻れるという仕組みです。

 今のところ、新たな7エリアのコールサインを指定されたままになっています。Vanityにすれば戻れるのはわかっているのですが、特別な並びでない、単なるAB2**に戻ったとしてもこれがVanityで指定されたものとわかるのが少々恥ずかしいです。
 FRNで検索すればすぐにわかるのですが、2002にTech+でKC2J**、すぐにAB2**、そして失効、復活したのが7エリアで、AF7**であるという私の履歴が簡単に表示されます。その上VanityでAB2**に戻ったとなると、それも記録されて表示されるわけですが、こいつ何やってんだwということがわかってしまいます。
 順次割り当てで指定されたコールサインはRadio Serviceの欄が「HA」と表示されます。Vanityの場合はここが「HV」となって、さらに個別のコールサインを表示させるページでは、ご丁寧にコールサイン欄が「AB2**(Vanity)」と表示されるんですね。
 マヌケは承知で戻るか、それとも今のままにするか。どうしましょうね。