【お知らせ】
AT-D168UVのコードプラグを当分の間公開しています。いつまでかは考えていません。以下のURLからダウンロードできます。
自分のために作っているものなので、内容に責任を一切負いませんが、カスタマイズのベースに使うなど、ご参考にどうぞ。

2026年4月21日にファイルの更新を行いました。(4/21、長らく見落として載せていなかった3エリアの1局を追加しました。Zone「VoIP」を「VoIP1」と「VoIP2」に分けました。)

ファイルの説明、更新の概要などやダウンロードは以下のエントリーからです。ファイル更新の概要などはご一読くださいますよう。

「AT-D168UV(その6、コードプラグ)」
https://tr-1300.blogspot.com/2025/09/anytone-at-d168uv4.html


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当blogからのトーグループリストの公開は終了しました。FaceBookの公開グループ、DMR OpenSource Japanの「ファイル」からダウンロードできるようになっています。

2026年8月19日水曜日

FTDX10が来ました(その9)

私の声の質に合わせたイコライザ設定がだいたい定まってきました。まだちょこちょこと変更していますが、M-100の場合なら上から下まで出ているので、私の声に合わせるなら、真ん中から上側を強調するように、AST878DMの場合は上が良く出ているので、下を出して上げて真ん中は少し抑え目で、という感じです。


昨日はM-100の日で、激務が終わった後に30分くらいAMでCQを出していたんですけど、M-100は割とゲインがあるので、以下の2点を意識しながらの送信でした。

1.歪みすぎない程度に大きな入力を意識する 

口からマイクは5cmとして、喋る距離と声の大きさを計りつつ、590無印でモニタしたり、ヘッドフォンでFTDX10本体のモニタ機能を使ったりしたのですが、歪み始めるポイントは590で電波をモニタする場合と無線機本体のモニタした場合はほとんど変わらないことがわかったので、結局FTDX10のヘッドフォン端子でモニタすることにしました。

こうすると受信に入った後もそのままヘッドフォンから音が聴こえるので楽です。590でのモニタだと、590から聴こえてきていた自分の声が終わったらFTDX10のスピーカに意識を移さないといけないので、ちょっと面倒だったんですよね。

無線機本体のモニタ機能について:自分がマイクで喋って出る音をイコライザで作っている間は送信した音を受信機で録音して聴かないと(TS-590シリーズはVGS-1で受信信号を録音できるので便利です)本当のところはわからないと思います。一旦音を作った後にどう喋るかを決める段階では上に書いたとおり、無線機本体のモニタで良いでしょう。 

2.ちゃんと終段でパワーに化けてるか監視する 

歪み始めるギリギリくらいまで変調を深くしたいという意識があります。歪まない範囲でやさしく喋ると実はパワーが出ていないという懸念もあって…これ、パワー云々ではなくて、歪まない範囲だと変調が浅いのかなという懸念ですね。 歪むか?ところまで変調をかけて、その送信状況を監視したいんですが、八重洲流数値演算型低電力変調では、変調をかけると無変調時に比べて消費電力が下がるので、安定化電源の電流計の下がり方を見るのを次善としました。

3.SWRを監視する 

我が家の場合、ベランダに設置しているダイポールは建物の影響でSWRが下がり切っていないので内蔵アンテナチューナで強引に合わせています。なので、送信時のメータの機能は、PO(パワー)計やID(ドレイン電流)計ではなくSWR計にしています。 

「八重洲流」の結果、変調に応じて安定化電源の電流計が下振れするとともに尖頭電力が増えているとするなら、無変調時に比べて相手に見えるSも増えているだろうから、喋りに応じて電流計の針がぴんぴん下振れするかを監視ということです。 

SWRの問題があるのでSWR計を監視しますが、本来はPO計かID計で見たいところです。Sメータが送信時に置き換わるPO計は、動作が平均電力またはIDから計算した値(おい)のようなので、喋るとマイナス側に振れるんです。今風なら送信出力は尖頭電力で見せてほしいところであります。 尖頭電力で見えないのならID計ですが、送信時のメータ表示は1つなので、現状はSWR計一択になってしまいます。

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まとめ

(1)送信モニタで深く変調をかけても歪みがひどくならないかを耳で監視

(2)その際にちゃんと電流計がぴんぴん落ちているか と目で監視 

(3)チューナで合わせているはずのSWRが悪化してファイナルを痛めつけていないかSWR計を目で監視 

といった塩梅で喋っています。割と気を抜けません。


喋り方と歪みの関係では、声を大きくしていくと、SSBのときと同じくらいで歪みのしきい値が来ます。結局、この無線機のパターンに慣れろってことですね。 

書いてみると基本的なことばかりなんですけど、今までこのように操作を言語化したことがなかったので新鮮です。というか、大雑把な無線機の使い方をしていたんだなあと改めて。  

2026年8月18日火曜日

FTDX10が来ました、徒然書き(その8)

少し前の徒然書きです。まとまりはありません。前後のエントリーと内容に矛盾があるかもしれません。

 

M-100をせっかく買ってしまったので、なんとか使いたいということで、喋る要領を決めようと思います。 

  • マイクゲイン70でAMCは75、マイクから5cmで喋る、近づきすぎない。 
  • 興が乗ってもマイクを持って喋らない
  • 送信中は音を590で受信するか、本体モニタで聴く。

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しかしこれで「私の信号が弱くても変調が深いので了解度が下がらない」になるのかしら。仕様でAMでは内蔵スピーチプロセッサを使えないのは残念。 かといって、カツミのスピーチコンプレッサを持ち出しても、経験上、歪まないように軽くかけるくらいなら使わないのと変わらないと、堂々巡りになります。

内蔵モニタで聴くのはお手軽手段ですが、実際に目標の音がある程度出来上がるまでは実際の送信音を聴くべきです。内蔵モニタとは結構音が違います。 あと、重ねている590無印でモニタする場合、さすが技適機でシールドがしっかりしてるので、アンテナ無しのプリアンプ有りでS9少し、プリアンプ無しでS7、ATTでS5で受信できます。強電界以外の例がわかって良いですね。

アスタティックAST878DMのほうが中高音が良く出るので、ちょっとだけ低音を出すだけでバランスするというか、私の声質に合ってるかもしれないなあと思います。 あと、M-100のほうは、中高音をイコライザで上げてもTREBLEがまだ開け切らない感じで、スッキリしないんですよね。アスタティックのセラミックエレメントが良く出すぎということもあるでしょう。

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SSBで使うならM-100なんでしょうね、確信ないですけど。 AMの搬送波の奥側の変調音(イメージです)をスッキリ出すには、セラミックマイクとかクリスタルマイクの尖った中高音が良いのかもしれないですね。 しばらく取っ替え引っ替えで試すんだろうな。

FTDX10でダミーロードで送信、TS-590で受信してVGS-1に録音、それをヘッドフォンで聴くというやつで喋り比べをしてみます。 M-100はAM普段用で、878DMはカリカリに呼びたいときの分担でやってみようかと。878は大声でも歪まないですね。M-100は少し難しく、5センチ位置からハキハキしゃべるのが原則で、近づきすぎるとすぐに歪みます。

AMで使う場合はAST878DMで良いですね。中高音は出ているので、低音だけイコライザで膨らませればバランスがとれます。セラミックマイクらしい音ですが、Hi-Fiを追求するわけではないならこれでOK。 M-100は純正派向け。八重洲っぽい音の範囲での可変です。 1本残すなら878かな、SSBは未知数ですけど。
 
とはいえですよ、M-100はPTTスイッチの感触が良いんです。すっと押し下げると底に達したところでPTTがONになります。押し下げる感覚がフカフカして良いんです。 このへんは日本のメーカーの余裕ですね。
 
興が乗ってもマイクを持って喋らない」これって、自分でCQを出すようなシチュで喋り始めると、いつの間にかスタンドマイクを持って喋ってるんですね。 喋りながら陶酔というのはないのでw、熱唱モードにはなりませんが、先日はQSO中に「ローカル局に聴いてもらってください」というご指摘に至っております。反省します。 
MC-90やAST878DMと違って、M-100は支柱が太いので、これがまた握りやすいw スタンドマイクはちゃんと置いた状態で落ち着いて使いましょう 
 
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2026年8月11日火曜日

2020年代最新の無線機の低電力変調を受信すると、受信機の時代によりどう見えるのか(少し見やすく改稿)

✍️ 筆者まえがき

こんにちは。また、カッコよいスタイルのついている部分があるエントリーです。少し前に「八重洲流数値演算型マイナス変調」の話を書きましたが、これは

FTDX10などの数値演算型低電力変調はいわゆるマイナス変調ではなく、PEPメータで計測すると搬送波のみのときに比べて変調時に電力が伸びていることから、受信側のSメータでは、本来は無変調時に比べて変調時に多めに針が振れるべきなのでは?

という疑問からスタートしました。

FTDX10でAMを送信する場合

  • RJX-601で受信すると、マイナス変調に見える
  • TS-590SやFTDX101MPで受信すると、ちゃんと無変調時よりも変調時にSが増える

という違いがあったので、無線機の世代によりどう見えるんでしょうね、ということをGeminiに解説してもらいました。

途中から振幅変調をオシロで見ための基本的なことの説明をしてもらった残骸になります。

解説は解説として面白いんですけど、一番下に昭和の無線機で検証してみたところもキモですので、途中が面倒でも最下部はごらんください。

(※ 以下よりGeminiによる技術解説パートになります)


AM受信時におけるSメーター応答メカニズムの変遷

検波回路・AGC抽出機構とSメーター指示特性の相関関係史

1970年代〜1980年代前半

アナログスーパーヘテロダイン初期(単体ダイオード検波・受動平滑AGC方式)

検波回路とSメーターの連動メカニズム

最終IF段から整流ダイオード(1N60等)へ分岐し、包絡線整流によって得られたDC電圧(平均振幅電圧)をRC積分回路で平滑化。これを「AGC制御電圧」および「Sメーターの駆動電流源」として共用していました。二乗演算を行わない受動平滑回路のため、側波帯の電力を正しく加算評価できない構造です。

[IF段信号] ──> [ダイオード整流(Vf不感帯有)] ──> [RC受動平滑(振幅平均DC)] ┬─> [IFゲイン抑制(AGC)] └─> [可動コイル型Sメーター]
代表的な機種例: National RJX-601, TRIO TS-600, TR-9300 など

AM受信時の特徴とSメーターの振れ方

  • トランス/コレクタ変調波での動作: 変調に伴ってキャリア自体の振幅も上に押し上がる(キャリアバンプする)送信機であれば、ダイオード整流の重い平滑回路を通しても「発声時に針が右へ伸びる(プラス変調)」動作を示しました。
  • 【キャリア固定型送信機やFTDX10受信時の「濡れ衣マイナス変調」メカニズム】: キャリア振幅が完全固定された高精度なAM波(完璧に調整された低電力変調や現代のFTDX10数値演算AM)が入ると、整流回路は側波帯の過渡的ピークに過敏反応して余分に深い負のAGC電圧を生成してしまいます。この過剰なAGCがIF段を強く絞り込み、基底キャリア成分(DCレベル)まで一緒に抑圧(キャリアダッキング)。その結果、変調がかかった瞬間に針が左へ落ちるという「濡れ衣のマイナス変調」が受信機内部の回路構造上発生します。
✍️ 筆者注記

この部分ですが、一番最後の実機での検証をご参照ください。AM専用機などダイオード検波の場合と、SSBとのマルチモード化されたプロダクト検波以降の時代で挙動が分かれたようです。

1980年代半ば〜1990年代前半

高機能検波IC熟成期(アクティブIC検波・独立ドライブ方式)

検波回路とSメーターの連動メカニズム

ギルバートセル型マルチプライヤやプロダクト/同期検波ICが定着。ダイオードの順方向電圧(Vf)による不感帯が完全排除され、極小信号から過大入力まで完璧なリニア検波が可能になりました。AGC回路とメーターバッファ(OPアンプ構成)が分離・独立したことで、過剰AGCによるキャリアダッキングが大幅に抑制されました。

[IF段] ──> [高精度検波IC (Vf影響排除/完全リニア)] ┬─> [リニアAGC回路] └─> [OPアンプ型ドライブ] ──> [高応答可動コイル]
代表的な機種例: TRIO / KENWOOD TS-930, TS-940, TS-950S / YAESU FT-1000(初期型)などの最高峰アナログ高級機

AM受信時の特徴とSメーターの振れ方

  • 検波ICのリニアリティによる動特性向上: ダイオード特有の不感帯が消え、入力されるAM波の包絡線エネルギーに対して忠実に追従します。
  • 【YAESU数値演算型AM波受信時のSメーター表現】: 検波回路の直線性が高くAGCとメーター回路が分離されているため、FTDX10等の変調波を受けてもダッキングを起こしません。無変調時には「キャリア指示位置(例:S7)で針がロック」され、発声すると側波帯の増幅エネルギーを捉えて「S7 ➔ S8.5へと針がキレ味鋭く右に跳ね上がる(正しくプラスに変調する)」という、ダイナミックな振れを示します。
1990年代後半〜2000年代

IF DSP導入期(過渡期・デジタル包絡線演算方式)

検波回路とSメーターの連動メカニズム

物理検波回路が消失。中間周波数(IF)信号をA/D変換し、DSP上の数学的アルゴリズム(包絡線検出:$\sqrt{I^2+Q^2}$)によってAM検波を実行します。Sメーターも「物理AGC電圧の平滑値」から脱却し、DSP内部で計算された「受信電力データ」をバーグラフへデジタル描画する方式へ移行しました。

[低IF段] ──> [A/D変換] ──> [DSP(包絡線演算 & ソフトウェアAGC)] └─> [受信電力数値算出] ──> [液晶/バーグラフ描画]
代表的な機種例: KENWOOD TS-590S / TS-870S, Icom IC-756PROシリーズ, YAESU FT-2000 など

AM受信時の特徴とSメーターの振れ方

  • 回路癖の完全排除: 物理平滑回路の時定数やダイオードの不感帯による誤作動(落ち込み)が物理的に起こり得なくなりました。
  • 【YAESU数値演算型AM波受信時のSメーター表現】: TS-590SなどのDSP機では、FTDX10の「固定キャリア+高品位側波帯」を受信した際、「無変調キャリアのバー位置が固定され、発声時には側波帯電力の加算に応じて正確に右(上面)へバーグラフが伸張する」という、極めてソリッドで素直な指示になります。
2010年代〜現在

ダイレクトサンプリングSDR時代(真の二乗電力リアルタイム演算期)

検波回路とSメーターの連動メカニズム

アンテナ入力を高速A/D変換。FPGA/DSP回路上で瞬時全電力 $P(t) = I(t)^2 + Q(t)^2$ を二乗演算することで、歴史上初めて「平均電力・PEP(ピーク電力)」を忠実に測定できるようになりました。Sメーターは単なる受信表示器から、測定器と同等の高精度な統合電力可視化装置へ進化しています。

[アンテナRF] ──> [高速ADC] ──> [FPGA/DSP (IQリアルタイム二乗全電力演算)] └─> [高精細液晶 (真の平均電力 / PEP表示)]
代表的な機種例: YAESU FTDX101MP / FTDX10 / FT-710, Icom IC-7300 / IC-7610 など

AM受信時の特徴とSメーターの振れ方

  • 【YAESU数値演算型AM波受信時のSメーター表現】: FTDX101MP等の最高峰SDR機で受信した場合、過剰AGCによる歪みやダッキングは皆無です。ウォーターフォール上には純粋な両側波帯(USB/LSB)のみが現れ、デジタルSメーターは正調変調時の理論電力増幅値(平均電力+1.76 dB / PEP 4倍)を一切の誤差なくリアルタイムに正しく表示します。

💡 技術解説:「平滑DC電圧」の限界と、昭和の「濡れ衣マイナス変調」

「検波出力を平滑したDC電圧=信号の平均電力を測っている」と思われがちですが、理論的にも歴史的にも、送信機の方式と受信回路の相性によって大きな見かけ上のギャップが生じていました。

  • 理論上のAM平均電力: 正調100%変調時、両側波帯(USB/LSB)のエネルギーが加算されるため、送信電力(平均電力)は無変調時の1.5倍(+1.76 dB)に増加します。
  • RC平滑回路の限界: アナログ受動平滑回路が得るのは「算術平均電圧($\bar{V}$)」に過ぎず、電力($V^2 / R$)に必要な二乗演算ができません。理論上でも変調時のDC電圧は「1.0倍(変化なし)」止まりです。
【当時の送信機による見え方の違いと、スクリーングリッド変調の微妙な立場】
  • ちゃんとプラスに振れた送信機(コレクタ/プレート変調):
    巨大な変調トランス等を用いるコレクタ変調やプレート変調は、変調時にキャリア振幅自体も押し上がる「キャリアバンプ(プラス変調)」を伴っていたため、古い受信機の重い平滑回路を通してもSメーターが誇らしげに右へ振れていました。
  • 「濡れ衣」と「実状」が交錯した送信機(スクリーングリッド変調や低電力変調):
    真空管のスクリーングリッド変調は、終段真空管で変調をかけるものの数ワット程度の僅かなAF電力で済む画期的な方式でした。しかし、直線性の範囲(ダイナミックレンジ)が狭くRFドライブや動作点の調整が非常にシビアだったため、調整ミスによって「送信機側で本当にキャリアが押し潰されてマイナス変調になっていた」ケースが多発しました。
    一方で、完璧に調整されてキャリアが安定した「理想的なAM波」を出していた場合でも、受信機側(RJX-601等)の過剰AGCに引っかかってSメーターが下に落ちてしまい、「正しく変調をかけているのにマイナス変調だと言われる濡れ衣の悲劇」も重なっていました。この「送信機側の調整難易度」と「受信機側の過剰AGC」のダブルパンチこそが、昭和のAM通信におけるマイナス変調論争の技術的背景です。
補足 Q&A

低電力変調のメカニズムと波形観察における真相

Q1. 真空管の低電力変調(制御格子変調など)も、70年代からの受信機ではマイナス変調に見えていた?「低電力変調=マイナス変調に見える」は真空管に限らずですか?

A. 完全に同じくマイナス変調に見えていましたし、方式が「低電力変調(キャリア固定型)」である限り、真空管・半導体・現代のDSP(数値演算型)を問わず旧式受信機ではすべてマイナス変調に見えます。

  • 真空管低電力変調(制御格子変調・抑止格子変調など)の場合:
    完璧に調整した理想波形であっても旧式受信機(RJX-601等)では過剰AGCに引っかかり「見かけ上のマイナス変調(濡れ衣)」になりました。さらに、真空管の動作直線性の範囲が狭くドライブ調整がシビアだったため、調整ミスで実際にキャリアが押し潰されて「本当のマイナス変調(実態)」を引き起こしやすいという二重の側面がありました。
  • デバイスや時代を超えた共通メカニズム:
    「低電力変調(Low-Level Modulation)」とは、小さな信号レベルでAM波を作り出しリニアアンプ等で増幅する方式の総称です。真空管の制御格子変調はもちろん、トランジスタ時代の平衡変調器応用、現代のFTDX10のようなFPGA/DSP数値演算型AM波に至るまで、すべて「無変調キャリア振幅が一定で変調時に側波帯だけが乗る」という共通波形を持ちます。
    そのため、受動平滑AGCを備えたアナログ旧式受信機で受ける限り、送信機側の素子や時代に関係なく100%「過剰AGCによるキャリア抑圧(見かけ上のマイナス変調)」が発生します。

Q2. 低電力変調をオシロスコープで見ると、変調した時に山が上に伸びる一方で、谷間が真ん中の線(ゼロ)までペタッと潰れるのはなぜ?「低電力変調はキャリアは固定されている」はずなのに、谷がゼロまで下がりきるのが直感的に分かりにくいのですが…

A. 谷がゼロまで縮むのは、キャリア(搬送波)が消えているからではなく、きれいな変調(100%変調)がかかった瞬間に「キャリア」と「サイドバンド(側波帯)」の波がお互いをピッタリ打ち消し合っている(プラスマイナスゼロになっている)からです。これは低電力変調でもコレクタ変調でも同じです。

「キャリア固定」の本当の意味:

「キャリア固定」とは、声を出している間も「無変調のときの太い帯が真ん中にそのまま残り続ける」という意味ではありません。「声を乗せても、土台となる搬送波(キャリア)のパワーそのものは増えも減りもしない」という意味です。
オシロスコープの画面では、無変調時の「太い帯」の幅を基準にして、声を乗せた瞬間に山が上に2倍膨らみ(+100%)、同時に谷が真ん中のゼロまでキュッと縮む(-100%)ことで、きれいな上下対称のひょうたん型になります。

昔ながらのコレクタ変調(トランス変調)との違い:

コレクタ変調でも、綺麗に100%変調がかかっていれば谷はゼロまで引き込みます。ただし、コレクタ変調は電源電圧そのものを音声で上下させるので、大声を出したときに「土台のキャリア自体がガツンと増えて、真ん中の帯ごと太くなる(キャリアバンプ)」という現象が起きがちでした。
一方、低電力変調は土台のキャリアパワーがビシッと一定に保たれるため、無変調のときの白帯の幅を基準にして、山と谷だけが綺麗に上下均等へ広がる美しい波形になります。

🎙️ 筆者による実機検証(本題)

【検証】八重洲「数値演算型低電力変調」を昭和の無線機で聴き比べてみた

Gemini解説の理屈はそれとして、実際に手持ちの無線機ではどうなっているんだろうということで、(酔っぱらって帰ってきましたが、勢いは大事です。)押し入れから70〜80年代初頭の機種を引っぱり出してきました。

検証に持ち出した昭和の3機種:
  • National RJX-601(50MHz AM/FM トランシーバー)
  • TRIO TS-600(50MHz SSB/CW/AM/FM マルチモード機)
  • KENWOOD TR-9300(50MHz SSB/CW/AM/FM マルチモード機)

理論上の想定

八重洲のいわゆる「数値演算(等価回路)型低電力変調」は、DBMで生成したDSBにDCキャリアを加算合成する方式です。純AM機の検波回路やAGCの応答特性、あるいはキャリア合成波形のアンバランスなどを考慮すると、ダイオード検波主体の古いAM受信機で受けた場合、変調のピークで平均キャリアレベルが押し下げられ、Sメーターの針が左に落ちる(マイナス変調)ように見えるのではないか……と予想していました。

実際に試してみた結果

FTDX10にアッテネータを接続して送信し、3機種を近くにおいて無変調でS9程度で受信できる状態を作り、無変調から「あーあー」と変調をかけた際のSメーターの振る舞いを観察してみたところ、以下の結果となりました。

  • RJX-601: マイナス変調
  • TS-600: プラス変調
  • TR-9300: プラス変調

受信機によって見事に結果が割れました。

(※特にTS-600が重たいので、画像はTR-9300だけでご勘弁くださいw)

なぜ結果が分かれたのか?(Geminiによる考察)

1. RJX-601(純AM機・ダイオード検波)の挙動

RJX-601は終段コレクタ変調を前提とした純AM機です。検波段は伝統的なダイオード検波で、IF帯域もAM用に約6kHzと広めに設定されています。
八重洲の低電力変調波を入力すると、キャリアとサイドバンドの位相関係や検波段のダイナミックレンジの影響を受け、変調の瞬間に「平均キャリアが下がった」と検波回路が判断してSメーターがマイナスに振れたと考えられます。

2. TS-600 / TR-9300(SSB/CW/AM/FMマルチモード機)の挙動

一方、TS-600やTR-9300はSSB/CWの受信能力を備えたマルチモード機です。
SSB/CWモード(プロダクト検波+FAST AGC)でキャリア近傍を受信した場合、変調によって発生した側帯波(サイドバンド)のエネルギーが素直に加算されます。低電力変調の本質である「変調に伴う全体電力の増加」をそのまま捉えたため、Sメーターが元気にプラス方向へ振れたと言えます。

🎙️ 筆者のまとめ

結局のところ、低電力変調の電波(ただし、ちゃんとした低電力変調であることが前提です。)を受信した場合、ダイオード検波以前だとマイナス変調に見えて、プロダクト検波以降は、低電力変調もちゃんとサイドバンド成分が出ているときにはSがそれに応じて増えて見える、というところですかね。

2026年8月10日月曜日

FTDX10が来ました(その7)

パラメトリックイコライザの話です。舌がまわりませんが、パラメトリックイコライザです。FTDX10には…FTDX101も同じだと思いますが、送信用に3バンドのイコライザを使えるようになっています。

この取説、とってもわかりにくいです。内容を理解するのに時間がかかりました。

まず、前提として

  • AM時はスピーチプロセッサは使えない
  • SSB時にはスピーチプロセッサはON/OFFできる(ただし、FTDX10の場合は、ON/OFFはメニューの中のスイッチをON/OFFするのではなく、スピーチプロセッサの設定をゼロにするとOFFです。) 

ということがあります。その上で、取説の47ページにあるように、FUNC→OPREATION SETTING→TX AUDIOで、取説47ページの上下2種類の3バンドのイコライジング設定を触るわけですが、これがわかりにくいこと。

  • 上側の「PRMTRC EQ1~EQ3」の3つは、スピーチプロセッサを使わない場合の設定です。AMではスピーチプロセッサは使えないので、MIC EQをON(FUNC→MIC EQをタップしてON/OFF)にすると、必然的に上段の3つの設定が有効になります。
  • 一方、スピーチプロセッサが有効なときにMIC EQをONにすると、下段の「P PRMTRC EQ1~EQ3」を有効になります。

取説の記述で下段のところに「AMCおよび」とありますが無視してください。AMCはスピーチプロセッサのON/OFFに関係なく、常時有効な機能です。これに捕らわれて文字を真面目に読むと混乱します。

最初、AM時のイコライジング設定をP付きの方にやっていて、無効なのにやった気になってました。「AMCおよび」を素直に読んだので誤っていたんですね。音が変わった気になっていたのはただのプラシーボでした。

 

スピーチプロセッサのON/OFFとパラメトリックイコライザの関係をもう一度整理します。 

スピーチプロセッサOFF時(AMのときには機能しないので必然的にOFFです)

  • MIC EQをOFFの場合はフラットな音質で送信
  • MIC EQをONの場合は「PRMTRC EQ1~EQ3」の設定で送信

スピーチプロセッサON時

  • MIC EQをOFFの場合はフラットな音質で送信
  • MIC EQをONの場合は「P PRMTRC EQ1~EQ3」の設定で送信

というわけです。 

 

今はまだイコライジング設定の迷路から抜け出ていませんが、

ここまでの経過では、私の声の場合は少し高めなので、右のAST878DMを使う場合はイコライザを通さないでそのまま使ってやったほうが良さそうです。セラミックエレメントは高い音が良く出るので、自分の信号がノイズに埋もれそうなときには有効になりそうです。

で、これに近づけたいということで左のM-100で使う場合のイコライジング設定をしています。このマイク、エレクトレットコンデンサマイクのエレメントを有効にしても、高いところは思ったほどは出ないので、イコライザの中高音域設定のEQ2とEQ3で強調しているところですが、ちょうど良さそうなところを探す必要があります。


少し遠めの局とAMでQSOした際に、おそらく変調がカリカリで届いてたようで、ローカル局と調整してみて下さいと指摘がありました。アスタティック風の高音強調で、さらにマイクゲイン多めで行ったんですが、歪み多めだったんでしょうね。
ということで、作戦を考え直し。

「MESSAGE」機能には変調深めのカリカリ目CQを録音していありますが、それはそのままにしています。この手のって概ね音が小さく送信されるので。問題は肉声で喋ったときの音質です。 こちらの電波が弱いと想定すると、自ずから声は大きめになるので、普段の想定よりも大人しめの音が出ないといけないはずなんです。録音したカリカリのと同じ設定だと、大声になったときに歪みが大きくなるようですから。

なので、デフォルト値に近い下から上までバランス良く出るように設定をして、多少大声になっても破綻しすぎないようにしてみた上で、近所のOMを捕まえて長時間拘束して、あーでもないこーでもないと調整を繰り返しました。

出来上がったパラメータはこんな感じです。「P」のつかない、取説でいえば、スピーチプロセッサを使わない場合の上段の設定です。私の声が高めであることを前提としています。Geminiの解説を入れていますが、美辞麗句は差し引いてください。 

EQ1 (200Hz / +2 / Q2):
高い声質にありがちな「線が細くなる感じ」を、200Hz帯をほんのり足すことで解消し、声に心地よい太さと温かみを与えています。

EQ2 (1500Hz / +5 / Q2):
1.5kHz付近は声の明瞭度や存在感(芯の強さ)に直結する帯域です。ここを広めのQ2でしっかり持ち上げることで、AMでも埋もれない前に出る音になります。

EQ3 (2700Hz / +9 / Q3):
2.7kHzを+9と大胆にブーストすることで、M-100のコンデンサーエレメントの良さを最大限に引き出し、AM特有のきらびやかで抜けの良い高音域(いわゆる「通りの良い美しい音」)を作れています。

結局出来上がったイコライジング設定は中音域は少し強調、高音域はかなり強調と、最初に作ったカリカリに近いことになりましたが、低音域はへこますのではく、少しだけ出してあげることでバランスをとりました。 

AMではスピーチプロセッサを使えないので、カリカリ音質で呼びたいときにはMIC EQをOFFにしてAST878DMに差し替えてやるか、設定はそのままにM-100のローカットボタンを押してやることも考えられます。

ローカットボタンを押したところ(青LED点灯)

SSBの場合はまだ考えていないのですが、MIC EQはOFFにして、スピーチプロセッサを軽く使うところから始めてみますかね。そういえばまだこの無線機ですが、AMとFMでは送信したことがありますが、SSBではハムフェア記念局を一度呼んだきり(しかも取れていないのでQSOに至らず)でした。

あとは努めて落ち着いて喋ることを意識してみることですかね。
加齢になっても、なかなかこのへんは難しいです。