2025年6月4日水曜日

TR-9300でAMを送信する(続)

何年ぶりのTR-9300でしょう TR-9300でAMを送信する の続きです。

左から、DX-344、元IC-SM2、ノーマルIC-SM2、MC-90


ちょっと基本方針を確認します。

目的はTS-600やTR-9300でのAMの送信で、きれいな音をお届けするのではなく、多少歪んでも、スプラッタをまき散らさない程度の歪で、私の電波が弱かったり、ノイズに埋もれそうになっているときにある程度の了解度をキープすることです。カツミのマイクコンプレッサを使っても良いのですが、少しでもゲインボリュームを開けると歪が大きいので、これは使わずに、できれば無線機本体のマイクゲインの設定とマイクやマイクアンプでなんとかしたい、というものです。

本来であれば、この手のマイク選びではMC-90が候補として筆頭にあがりますが、TS-600にしろ、TR-9300にしろ、骨とう品になりつつある筐体の昔の狭いクリスタルフィルタにマイクアンプ段の組み合わせなので、MC-90を付けても期待したような鮮明な、解像度の高い音にはならないのではと思っています。また、10Wの無線機ですから、AMの場合にTS-590S無印のようにキャリア25W+内蔵スピーチプロセッサを入れて送信できるわけではないので、まずは相手に届かせるというところから考えないと、先方には了解度の低いおとなしい音になってしまいます。

うちのMC-90には台座にエレキットのマイクアンプを入れています。入れるマイクアンプは、もちろん自作の設計の一石程度のアンプでもOKです。これは主にTS-590のFMでの運用を意図して入れました。以前はマイクアンプ用に006Pを内蔵させていたのですが、最近のIC-9700のFM音質迷走の過程で8ピンマイクコネクタ(ケンウッドなら5番)から電源を取るようにしてしまったので、マイクアンプを使いたい場合には4ピンや6ピンの無線機からは電源が取れません。TR-9300は、コンデンサマイクを使えるように、余っているマイク5番ピンに6-7V程度が出て来るように中を配線したので、8ピンジャックを経由して6ピンプラグに変換すれば使えはするんですが。…あれ、9300でMC-90使えるじゃん。

えー、気を取り直して。主題はAMなんです。AMの送信についてつらつら考えてきましたけど、でもまずMC-90にマイクアンプを入れたAMの音を聴いてみたいな。 

で、聴いてみました。TR-9300で送信して、これをTS-590S無印でヘッドフォンを使って聴く方法です。590は同じ無線機机の近くに置いてあるんですが、少し離れているのでせいぜいメータ9つくらいで受信することになり、ヘッドフォンで聴けばハウリングも無くちょうどよさげです。

〇MC-90の音は素直できれいです。最初は台座のマイクアンプ無しでしゃべってみましたが、それだとおとなしくきれいなMC-90らしい音なのですが、やはり物足りません。マイクアンプを入れてみると、マイクのエレメントにゼロ距離でしゃべれば、入力過大気味ゆえの歪が少し出ます。でもこの歪の加減ですが、音の解像度が下がらないのはさすがで、これ使いたいなあと思わせます。AMのときにはもう少し歪ませたいですが、これ以上歪ませないで使いたい気分になります。例えると、MC-90を繋いだTS-950SDXでSSBで送信するときにスピーチプロセッサを軽く入れて少し歪ませたような音みたいな感じです。今回MC-90はIC-9700に繋ぎっぱなしなので、9300での使用は我慢することにします。やっぱりMC-90は良いですねえ。ケンウッドの無線機だと良い音が出るなあと感心します。

〇次に古いアツデンのDX-344を持ち出してきました。これは単一指向性ダイナミックマイクのアンプ入りです。経年劣化でゲインが少なく感じますが、程よい大きさに設定してしゃべってみると、MC-90よりおとなしい音でした。ちょっと物足りないかな。

〇さらに、IC-SM2のECMを取り外し、これを科学教材社の66円のものに変更してある、少し前までTM-833で常用していたマイクを使います。見てくれはIC-SM2なので、ここでは元IC-SM2と呼称します。SSBやFMでは想定どおりのきれいなコンデンサマイクっぽい音です。でも、このマイクはマイクアンプを取り去っているので、AMでもう少し入力を大きくして歪ませたいというのには少し足りません。 (※)科学教材社の66円ECMはマイクのホット、コールド、+電圧の3端子仕様)です。元SM2の台座を開けて、マイクコネクタからの配線を、マイクのホット、コールド、電圧、PTT、PTTのグランドにして、台座とフレキシブルパイプの連絡もECMの3端子化に伴って配線をやりなおしています。インピーダンスマッチングなどは全く考えていませんが、833やTR-50ではそれなりに良い音で使えています。

〇最後に真打、ここで再び入手したノーマルのIC-SM2です。マイクコネクタのピンアサインをケンウッド仕様に変更しただけのオリジナルです。元々のECMもそのまま、アンプもそのまま台座に入っています。

実は、IC-SM2って長年、それこそIC-502で開局した頃から音が悪いと思い込んでいました。IC-502や、202でも良いのですが、これで送信するIC-SM2の音を聴いたことのある人がどれくらい残っているかわかりませんが、 狭い音がしていた記憶がありませんか。そんな印象をそれこそ半世紀近く持ち続けていたんですが、先日、IC-9700にSM2と同じ仕様のIC-SM5を繋いで出てきた友人の声を聴いて、あれ?そんなに悪くないぞ??と思い直すに至りました。そっか、音が悪かったのは主に502のほうに原因があったんだと気づいたのです。それでも、このときに最初に配線だけをケンウッドにして試したときには、良い音だとは思わなかったんだよなあ。502のときの先入観があったんですかね。

今回またIC-SM2を入手し、ケンウッド配線にして使ってみたんですけど、AMの場合、台座の中のアンプのボリュームを軽く開けた状態で程よい歪を伴った声が聴こえます。もっとボリュームを開けるとすぐに下品方向に変わりますが、マイクアンプを軽く使うくらいならOKでしょう。マイクから口を離せばさらに下品さは軽減できます。SSBやFMでも普通に使える音です。MC-90のようにきれいな解像度の高い音質とは違いますが、そうですね、アドニスのコンプレッションマイクのゲインがある音や、最近のアイコムのSM30などの音がイメージに近いでしょうか。アドニスやSM30も軽く使えば同じなんでしょうね。上品ではありませんが、全体的に圧が出るような感じの音です。また、カツミのマイクコンプレッサを無線機とマイクの間に繋ぐよりもコンパクトで良いです。 

というわけで、送信音が貧弱な昔の無線機にトークパワーが欲しいときに使えるマイクとしてノーマルIC-SM2をしばらく使ってみようかと思います。TS-600では別に電源を引かないと使えないので、9300でのアプローチ悪あがきですね。アスタティックのロードデビルの高音域強調とは違う方向の音質ですが、私の電波の弱いときに了解度維持の助けになるでしょうか。 乞うご期待。

これを書きながら、科学教材社の2端子タイプのECM(53円!)を見つけてしまったので、これをノーマルIC-SM2に付けてみたいなと思い始めてしまった…

2025年6月2日月曜日

TR-9300でAMを送信する

何年ぶりのTR-9300でしょう の続きです。

TS-600の修理と調整をしてEsシーズンに入ったのは良かったのですが、新たな不具合が。送信中にAFが動き続けていて、自分のしゃべる声がスピーカーから聴こえるようになっちゃいました。体の良いモニタ機能と考えるのも良いのですが、しばし600はお休み。

TS-590無印でも良いのですが、どうも新しい無線機では楽しくないので、TR-9300の出番になります。この9300は、マイクのエレメントを科学教材社の66円のECMに変更してあります。インピーダンスマッチングとかは全く考えずに、マイク配線に直結して、別途電源を引いているだけなのですが、純正のダイナミックマイクMC-40S(MC-43Sと同じ)の尖った音とは違って、マイルドで深い変調がかかっているようで気に入っています。

とはいえ、AMで送信することを考えると、もう少し考える必要があるかなとあれこれ始めました。まず、AM時の出力ですが、仕様では3Wとあります。この個体を実測してみると4Wを指します。そして、変調をかけてみるとRFメーターはしゃべりの大きさに応じて振れるのですが、パワー計や電流計をみると変調がかかるごとに数値が下がります。いわゆるマイナス変調ってやつです。もう少しキャリアを減らして、変調がかかるとそれに応じてパワーが出るようにしたいところです。 

上側の蓋を開けて、奥側のドライブユニットを触ってみます。こちら(とてもありがたい) によれば、AMのキャリア調整はVR7、マイクゲイン調整はVR6です。


うちの個体では、変調をかけても電流が下がらない設定は、

〇TR-9300単体で使う場合 キャリア2W、変調をかけて2.5Wくらいか。せいぜいキャリア2.5Wの変調時3Wくらいまで。M57735でこんな感じですから、RJX-601の2SC1306で3Wはやりすぎですね。 

〇HL-66Vを繋ぐ場合 キャリア0.5W、変調時に1.5Wまでに留めると電流は下がらず、この場合66Vの出力はキャリア10Wで変調時15W

でした。 低電力変調だとこんな感じなんでしょうかね。キャリア調整と合わせてマイクゲイン調整をしました。もうちょっと深くしたいとまわしていたら、開く方向に回し切った状態になっています。歪んでいないのでまあ良いでしょう。

いつもリニアの電源を入れっぱなしということでもないので、キャリアを2.5Wくらいにしておきます。この状態だとHL-66Vを通すとキャリア30Wになりますが、しゃべると電流が減って、いわゆるマイナス変調になります。でも仕方ないということにします。

この状態でS7つくらいで入感している局を呼んでみたのですが、クリアだというレポートをもらいました。 本当は友人と長時間シビアにあーでもないこーでもないと調整したいところですが、50のAMが強くもなく弱くもない感じで程よく届く友人がいないので、機会に恵まれません。至近距離の友人にATTとRFゲインを絞って聴いてもらうのも良いんですが、程よく弱いところをノイズ交じりで聴いて欲しいんですよね。難しいです。

あとは、もう少しゲインが高いマイクを使ってみたいと思っています。カツミのマイクコンプレッサーを出してくるのも良いのですが、コンプレッションのゲインを上げると簡単に歪むし、かといってゲインを下げると音が出なくなったりと難しいです。これを使うと簡単に実現できるハイパワー市民ラジオの音は、近くでモニタするとひどいものですが、あれ、実際に遠いところの局が何を言っているのかはよくわかるので、受信状況が悪いときには効果があるんだよなあと関心します。もちろん彼らは出力も大きいんでしょうけれど。エコーも効果的ですよね。アマチュアバンドでやると下品になるので考えものではあります。でもたまにエコーを利かせている人っていますよね。

「マイナス変調」って実践的にはどの程度OKなんでしょう。変調をかけるごとに盛大に電流が下がり、受信側のSメーターもパワーが食われるがごとく下がるという状況があるにしても、了解度が下がらない信号であれば、カッコは悪いですがアリなのかなとも思っています。

送信側では変調時に電流が下がって「マイナス変調だな」と思っていても、受信側ではちゃんと変調に応じてSメーターが数値の大きいほうに振れている場合もあるでしょう。これも結局、実際に受信してもらわないとわからないんだよなあ。 

2025年5月9日金曜日

TS-600その3

TS-600を愛でる。TS-600その2に続き、 TS-600のおはなしを続けます。

現在我が家にある個体は私が使う割りにはけっこう手を入れてます。

(1)電源ユニットのチューブラコンデンサ交換

AMで送信するとハムが乗るんです。まるでFT-620Bみたいと笑ったのですが、笑ってもいられず、とりあえず電源ユニットのコンデンサを全交換しました。チューブラで大容量だったからけっこう高かったんだよな。でも改善していません。いろいろと調べてみると、マイクのラインの引き回しに難があって、これが電源ユニット近くを通っているせいでハムが乗るという話がありました。多芯のシールドケーブルを友人にもらったので、そのうちにマイクラインの引き回しを変えてみようかと思っています。思っているだけでなかなか着手に至りません。

とりあえずはACでは使わず、DCで使うと幾分改善します。 でも、DCで使う場合でも、電源ユニットから何ボルトかを取り出して使っていて通電しないわけではないので、改善が幾分でしかないのは納得できます。

(2)GENユニットのマイクアンプ部のコンデンサとトランジスタ交換

600の送信音ってイマイチなんですよね。たまに600で出ている人がいますが、狭い固い音です。良い音とは感じられません。10.7のクリスタルフィルタ、YF107Sは600以外ではTR-1300でも使われているのですが、1300はMC-90で喋ると好評だったんですけど、600で同じことをやってもあんまり反応がありません。

うちの600の個体の問題かと思い、マイクアンプ段のコンデンサとトランジスタを交換してみたんですが、結果が変わりません。YF107Sが劣化していることも考えられますが、600の別個体も同じように送信音はイマイチだったので、600はこんなもんなのかもしれませんね。そのうちYF107Sを交換してみたいと思うんですが、出品されている値付けが高くて躊躇します。

(3)VFOサブスケール裏とSメーター裏の電球が切れちゃったので交換

古い無線機は電球で照らされる照明が美しいです。特にTS-700/GIIや600の照明は本体のデザインも相まって、透過式の照明が美しいです。しかし、電球ですから、切れちゃうこともあります。古い無線機の電球式の照明が切れた状態ってとても悲しいです。

うちの600もVFOサブスケール裏とSメーター裏の照明が立て続けに切れちゃいました。切れた電球を外してみると、スタンレーの自動車用の12Vの電球と同じ大きさのものであることがわかりました。全く同じ規格のものは見つけられませんでしたが、モノタロウで適当に探すと少し消費電力が少ない電球があったので注文、交換しています。スタンレーじゃなくても小糸でも何でも良いんですけどね。

 

この画像はSメーター裏の電球を引き抜いて外したときのもの。電球がゴムのカバーに包まれていて、後ろからリードが出ています。電球とゴムカバーと一体だと面倒だなと思いつつ、ゴムカバーから電球を外してみたら外れました。接着はされていませんでした。なので、同じようにリードを半田付けしてカバーにはめ込んで終了です。ただし、純正の電球は白いものです。購入したスタンレーは裸電球なので、少し色味が変わります。こんな感じです。


ピントがあっていませんが、雰囲気はわかるでしょうか。元々の状態よりもSメーター照明は明るくなっています。画像でみたイメージどおりです。交換直後は「以前より明るいな」と思いますが、すぐに慣れます。

最初、電球色のLEDに置き換えようと思って試してみたんですが、電球色であっても、実際に透過させて光らせてみると、電球に比べて色が青く出るのでイマイチです。やはりフィラメントの暖かい光がマッチします。

(4)固定チャンネル水晶をアロー電子で作って、51.00、50.49、50.55に一発でQSYできるようにした 

実際には一発ではなく、50.200USBの状態から、固定チャンネルの水晶スロットの1番目に入れている51.00にQSYするには、

①固定チャンネルダイヤルを「1(5*.00用)」にする

②バンドスイッチを「51」にする

③DRIVEツマミで受信最良点(送信が伴うなら送信最良点)に調整する

④モードスイッチをFMにする

が必要です。今のPLLの無線機に比べると時間がかかりますね。



これはもう見ただけになりますが、取説画像のとおり、一番奥の水晶スロットは配線がなく、奥から2番目から1ch、2ch…になります。

 

余談です。

このバンドと固定チャンネルのツマミですが、Action☆HandyシリーズのTR-1300、2200GII、3200のチャンネルツマミと同じものです。描かれている数値や色は違いますが、同じものです。2022年の暮れに眺めていたらやっと気づきました。

この画像は上が600のバンドツマミ、下がTR-3200のチャンネルツマミです。


 

<参考資料>TS-600取扱説明書

ケンウッド公式からダウンロードできるTS-600の取説です。解像度の高い回路図付きのpdfファイルです。ありがたく拝見しましょう。

2025年5月8日木曜日

TS-600その2

TS-600を愛でる。の続きになるのかな、けっこう時間が経ちましたが、その後Xに書き連ねたTS-600の与太話をまとめました。

○AMのときには送受信の周波数が一致せず、受信周波数に対して送信周波数が600Hz下になるのが仕様であること

SSBやCWでは許されないことですが、AMではこうなっています。取説にもちゃんと書いてあります。

600同士がAMでQSOする場合は、このように相手にVFOダイヤルで合わせるとゼロイン合戦で永遠に600Hzずつ送受信の度に動き続けてしまうというおはなしです。だったら、RITツマミに「AM時はここに合わせるとゼロインだよ」という印(印を付ける案は友人談)を11時くらいに付けてくれれば解決します。当時のトリオ開発陣に提案したいですね。

TS-590と鳴き合わせるとこんな感じになりました。うちの個体だと11時です。


○TS-600の電源スイッチから右への横並びのスイッチの一番右隅は「R-DX」だが、輸出版はここがCALスイッチであること

並んでいる一番右のR-DXスイッチをONにするとプリアンプが動作し、ノイズが増えますw。長年これが当たり前だと思っていたのですが、輸出版の「KENWOOD TS-600」はこの位置が「CAL」になっています。600を国内に出す際に、日本の6mマンは目を三角にしてプリアンプを使うだろうという予想をしたのでしょうか。反対に海外では、聴こえないならボリュームを大きくすれば良いだろうということだったんでしょうか。

キャリブレーションですが、国内仕様はスケルチツマミをゼロ位置にするとクリックがあって、このクリックでリレーがカチンと動いてマーカーがONになってダイヤルを校正できます。うちの個体はリレーの動きが悪くてCALを切った後に電波が出なくなったりしてするので、その場合はカチカチやって復旧するのですが、それはさておき、輸出版はR-DXの位置のスイッチでこれをやるんですね。

ところが、そのRigPixのTS-600のページからリンクされているpdfの英語版サービスマニュアル(このリンクうれしい)をみると、並んでいるスイッチのユニット「スイッチユニット」の一番隅のS6が「CAL」ではなく「R-DX SW」になっていて、???となります。

英語を読める国でも仕向け地によってはR-DXになっている場合があるのかな。私はこれ、英語版サービスマニュアル作成の際に国内仕様のサービスマニュアルを単純にコピーしたので、画像が国内版のスイッチユニット基板になっちゃってるという想像をしているところです。

 

以降は余談です。

ところでこのスイッチユニットの一番右ですが、国内版の600はR-DXでした。TS-700(初期)はというと「SPOT」という謎機能です。

謎機能の解説を拡大すると「7. SPOTスイッチ このスイッチのみは、ノンロックタイプで、SSB送信のみに使用します。 SSBの送信時、このスイッチを上側に保持するとキャリア(搬送波)が発射されますので、交信相手にゼロビートを取ってもらうことにより、SSBの周波数同期ができます。」とありました。スイッチを下から摘まみ上げるときだけ動作するんですね。

でも、単にゼロインするだけなら受信音を聴けば良いわけだし、SSBでキャリアレベルでゼロビートを取る目的ってなんだったんだろう。モードスイッチを触らずに送信中に口笛の代わりにキャリアを送信するのって、SWRを測るシチュでは便利そうです。それなら悪くないですね。Belcom LINER2にもスイッチを押してキャリアを出す機能がありました。当時は何か目的があったのかな。

国内仕様の後継のTS-700GIIは、この機能の代わりにFMのナロー化対応のための「WIDE/NARROW」の切り替えになっています。

ちなみに輸出モデルを調べたら、「KENWOOD TS-700」、「TS-700A」や「TS-700G」では、このスイッチは「TONE」でした。レピータ対応ですね。 

さらに余談ですが、TS-600ではR-DXであるこの位置のスイッチ、TS-700GIIの次のTS-700SでようやくR-DXになりました。大混雑の2mでも飽和しないプリアンプが実現したんでしょうね。

2025年4月18日金曜日

IC-9700のレピータリストの並べ替え

IC-9700はcsvファイルによりレピータリストを取り込んで本体で表示する機能があります。主にD-Star用途だと思いますが、そちらのほうはよくわかりません。

このレピータリストは、csvファイルでアイコムが公開しているものですが、Dなんとかはともかく、アナログレピータのリストも一緒に入っています。これを知り、ちょっと心を惹かれました。

周波数の低い方から、公開されているリストを見ながら、ここにはアクセスできる、届かないなどとカーチャンク(またはワッチ)をしながら確認して回ることはたまにあります。また、知らない周波数でレピータのダウンリンクが聞こえていて、ここはどこのレピータだろうって思うこともあるじゃないですか。そんなときに無線機がリストを持っていて、ダイヤルを回すとこれがどこのレピータかが表示されると便利だと思います。それを期待しました。

ところが、アイコムが用意しているレピータリストのデータの並び方は、「エリア順の都道府県順のコールサインの昇順の周波数順」です。おそらくですがDなんとかの場合で複数のレピータを介してQSOする場合には、コールサインで覚えている接続先を設定する(のかもしれないですがよくわかりません)のでこれで良いんでしょうけれど、コールサインの次に周波数の昇順ですから、A局の430の次に1200、B局の430の次に1200といった形式で並んでいるので、なんだかデコボコしていて使えません、アナログレピータしか使わない、周波数順にカーチャンク(控えめにね)してチェックする、またはワッチする場合には甚だ不便です。エリアごとに、バンドごとに、周波数順に並んで欲しいです。

文科系のわたくしは、とりあえずこのアナログレピータ(csvの項目名は「13 FMレピータ」)の部分のレコードを並べ替えて、自分の使いやすいイメージに並べ替えようと思います。

手順ですが、Excelで開いて、該当の13 FMレピータ部分を選択します。レコード数はけっこうあります。csv中で一番多いんじゃないですかね。

(1)13の「FMレピータ」部分を黄色などでマーキングするとわかりやすい

(2)S列に「=mid(E**,3,1)」としてコールサインからエリアの数値を抽出

(3)並べ替えでJ列、S列、H列の昇順でソート

(4)S列を削除 消すのを忘れると、S列の分の項目が増えたままになってしまうので、日本語が化けるので注意してください。 

(5)csvで保存 ただしファイル名は大きく変えるとダメのようで、オリジナルの日付の前後あたりに変更して保存するのが無難です。

ソートが終わったらS列を削除しないと、このソートにより、430の0エリアの周波数順、1エリアの周波数順、2エリア…と並び、430の9エリアが終わったら、1200の0エリア、1エリア、2エリア…と並びます。

これを取り込んで(取説11-11あたりから)、レピータリストの呼出の【CALL[DR]】ボタンを長押しして、ロータリーエンコーダでFMレピータを選局すると便利です。アナログレピータの部分だけは 周波数の昇順イメージで局が並びます。

場所によっては、7と0と1エリアが隣り合っているほうが便利な場合などがありますが、そのあたりはエリアの数値の抽出ロジックでIF文でも入れて並べたいエリア順にキーを与えればよいかと。 例えば、北から並べたいのなら、8なら0、7なら1、1なら2、0なら3、2なら4、9なら5といった数値をS列に与えてソートする方法です。

東京の439.98MHzのように、近い距離で、トーン周波数を変えて周波数を共用している例では、ソートにより立川の88.5Hzのレピータと経堂の77Hzのレピータのレコードが隣り合うので、ロータリーエンコーダを1クリック切り替えるだけで聴き分け(聴き分けならトーンスケルチのほうが有用ですね。この場合はアクセス分けでしょうか)ができるようになります。

2025年4月2日水曜日

FT-690mk2とTR-9300のモード変更時の現在周波数の違い

690mk2は純正リニアをつけて、9300はそのまま車に乗せてオンエア可能ということで、両機を比較したことがある方はいらっしゃると思います。  そんなライバルの両機なのですが、

FT-690mk2の項で触れるのを忘れて時間が経ってしまった内容で、

FT-690mk2は、モードボタンでUSB→LSB→CW→FM(変更は一方向)にした後、再びUSBにすると、モードが変わるごとにモード毎のステップの切りの良い00.0kHzに桁合わせが行われるので、SSBのQSO中に誤ってモード変更をするとゼロインしていた元の周波数に戻れません。

例えば50.215.5USBでQSOしている最中にモードボタンを押すと、LSB、CWの順にモードが変わります。モードが変わることについては、遡ることはできません。Fボタンと同時押しで戻れるなんてことができれば良いのですが、Fボタン+モードではNBのオンオフの切り替えになります。問題はFMモードを通過すると、FMモードの最小可変周波数は2.5kHzなので、その単位で桁合わせされてしまいます。50.215.0になるのか、50.217.5になるのかは覚えていないのですが、どちらかに寄せられてしまい、再びUSBに戻っても周波数はそのままで元の周波数ではないため、相手が行方不明(これ、相手から見て、私のほうが勝手に行方不明になっているだけですね)になります。FT-690mk2取扱説明書にはこの挙動のことまでは書いてありません。

この挙動、初めてQSO中にモードボタンを押して(押すなよw)経験したことで、びっくりしたものでした。

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TR-9300は、モード毎に周波数をモード毎の最小端数を覚えているので、ロータリースイッチでパチンとUSBからFMに行ってまたUSBに戻っても、元の周波数に戻れます。
USB/CWだと50.215.5のとき、AMにすると50.215(.0)、FMにすると50.21(0.0)になります。そのままメインダイヤルを触らずに再びUSBにすると50.215.5に戻れます。 AMにしたときに50.216にすると、USBに戻ったときは50.216.5になります。FMのときに50.22にすると、USBには50.220.5で戻ります。 モード毎の最小端数を覚えている仕様です。 

その程度の「覚えている」内容ですが、モードを切り替えて戻ってきたとき(イレギュラーな操作ですけど)に行方不明にならないように、そのモードの最小値を覚えているようです。
USBで受信中に他のモードに切り替えて戻すなんて変なことを、どれだけの人かやるかわかりませんが、私はやる方の人でw、そんなイレギュラーな操作のフールプルーフを念頭に置いたロジックを考えた設計者はすごいと思います。これもTR-9300取扱説明書には書かれてはいません。

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このあたりの細かい話ですが、21世紀に入ってから中古を安価で入手して弄りまくって理解した操作ですけど、発売当時の新製品のときに、雑誌記事にそのあたりまでしっかり書いてあって、それを読む機会があれば良いんですけどね。あとは販売店や人柱のローカルから弄らせてもらって気付くしかないんだよなあ。私はこういうのは調べずに買う口だったりするので、望まない挙動に直面して真っ青という可能性は高かったと思います。

いや、不必要なボタンはQSO中に押すもんじゃないというのはごもっともですね。

※例示の周波数を修正しました。

2025年3月28日金曜日

何年ぶりのTR-9300でしょう

久しぶりにTR-9300を触っています。

50MHzで全てのモードに出られて、周波数が読めて、それなりにコンパクトなのは良いですね。ハンディ機ではないので肩から下げて運用というのには無理がありますが、出先で自動車の中から簡易に運用ができるのは良いです。


トリオでは、最初のPLLオールモード機としてTS-770が1979年に出ています。それ以前にあったアイコムのPLL機のIC-710、221、同じ50MHzではIC-551がありましたが、それらはSSB時には100Hzステップでした。それらとは違い、TS-770はSSB時に20Hzステップでチューニングが取れるので、ほぼアナログVFOと同じ感覚でゼロインができました。同じようにしてくれればよかったのですが、コストダウンでしょうか、モービル運用時はこれくらいで良いだろうという割り切りでしょうか、TR-9000シリーズは100Hzステップと簡略化されてしまっているので、SSBでは相手にちゃんとゼロインすることができません。 そのまたすぐ後に八重洲から出てきたTR-9000シリーズと同じコンセプトのFT-280/680/780シリーズは10Hzステップだったので、TR-9000シリーズは中途半端な感じがしたものでした。

これまでTR-9000シリーズは

○TR-9000G:20年近く前、無線機の数を減らした頃に144を聴いてみたくなって入手、しかし、スルーホール基板の劣化による不具合で実用にはならず。9000Gは何個体か試しましたが、直してもスルーホール基板の劣化でダメになります。

○TR-9500:430のSSBに出てみようと昨年入手。経年でけっこうQRHがあったり、周波数を校正するにも手間がかかりそうでこれはダメだなあと手放す。その後TR-851Dを再び手に入れる。だったら最初から851にすべきですねw

○TR-9300:これも20年近く前に、車で使えそうな50のオールモード機が欲しくなって入手。旅行に一度持ち出した後だったか、役目を終えた感もあり、ローカルに買ってもらった記憶が。

といった感じで、手に入れたものの手放しています。特に9300の場合はSSBの選局のしにくさと100Hzステップがネックでした。

去年、webでTR-9300のRITを送信時も有効にする記事(※)を見つけ、RITのVXO化ができればSSBでもゼロインできるよなあ、いいなあと触発を受けて、適当な個体を入手、マネをしてみたのが我が家の9300です。

(※)「TR-9300 RIT改造FINEチューニング化」などのキーで検索してみてください。ありがたいご教示にたどり着けると思います。

無事、送信時にもRITが有効になって、送信周波数も動かせるようになっています。SSB時の選局のしにくさは仕様なので解決できませんが、そのあたりは無線機に合わせるということで楽しんでます。

この個体を持って私の開局から2年目3年目あたりにタイムリープできれば、オールモードに出られるし、SSBでゼロインできるし、周波数も読めるので、夜な夜なラグチューにばっちりだなって思います。筐体も固定機とは違ってコンパクトだし、勉強机の近くに置くのも良さそうです

当時、IC-502で読めないダイヤルを頼りに同級生と待ち合わせるにしても、みんな502で読めないダイヤルなので、こちらがちゃんとしたアナログの固定機で待ち合わせ周波数どんぴしゃを聴いているだけでは気づけなかったりします。そんなとき、9300のDSボタンを押してワッチすれば10kHz幅でスキャンできるし、さらにノイズブランカを入れておけば強い信号でガサゴソいうのでさらに分かりやすいです。と、書きつつも、TS-600のノイズブランカも近隣周波数の強い信号でガサゴソ賑やかになるので、ノイズブランカでワッチなら600の方が得意?ですねw FT-620、620Bや625はこの辺りどうだったんだろう。9300の優位はタイムリープしないと証明できませんね。

 

こちらの動画は先日FK4(ニューカレドニアはFK「8」だけじゃないんですね)が聴こえていたので動画をば。ノイズがけっこうあるので、高い音で聴きやすく微調整して受信中。これだけのことなら無改造のRITでできますね。

あと、うちのTR-9300は、MC-43Sのダイナミックマイクエレメントをエレクトレットコンデンサマイクに変更して使っています。MC-43Sはゲインがあって元気でいいんですが、音が悪いので、少しでもマトモな音にということで。9000シリーズの6ピンのマイク配線は+8Vが来ていないので、使っていない5番ピンに適当なところから取って電源を入れています。

9000シリーズ付属の6ピンマイクMC-40Sの場合、マイクコネクタとマイク本体の間のケーブルが必要最低限の(マイクホット、PTT、UP、DWN、アース)の5本しか入っていないので、科学教材社ECMのように3端子のもの使う場合には、電源用ケーブルをカールケーブルに沿わせて別配線するしかありません。(※UPだかDOWNから電源を取る方法があるとのことです(未検証)。)マイクのホットと電圧が重畳される前提の2端子のECMユニットを使うなら、コネクタ側でマイクのホットの電源を重畳する方法は考えられますね。

もし、ジャンク箱の中に8ピンのMC-43Sが転がっていれば、マイクの筐体を開いてよくみるとなぜか1本余っている配線があるので、その配線を電源用として使えば、音が悪いので使われずに転がっているMC-43Sを活用できます。 あとはコネクタを6ピンに配線するだけ。使う配線も6本なので問題ありません。MC-43Sの配線を余らせているってことは、ケンウッドはMC-43Sの筐体でコンデンサマイク仕様を出す気があったのでしょうか。