2025年9月14日日曜日

AnyTone AT-D168UV(その2、無線機が手元に来ました。)

えらく理屈っぽいマクラでした。と、いうことが前提にあるとして、やっとトランシーバのおはなしです。

国内ベンダーでは諸々の配慮で、DMRのトランシーバは発売されていません。アイコムや、デジタルではD-Starに舵を切ったケンウッドからの発売はないでしょうし、C4FMの普及を狙う八重洲からも出ないでしょう。アルインコからは他社からのOEM供給で日本以外の市場ではアルインコブランドのDMRトランシーバが販売されていますが、日本国内では諸々の配慮なんでしょうか、未発売の状態です。 

webで先達諸氏がDMRの話を書かれています。海外の通販サイトでも安価なDMRトランシーバが販売されていて興味を誘います。eBayでも見かけるのですが、為替の関係でeBay経由の購入は今はあまり面白くないので、それ以外の販路で検討することになります。今回は近隣国の大手販売モールサイトから購入しました。住所氏名などは仕方ないですが、クレジットカード情報を販売サイトに登録するのは怖いので、私の場合はPayPalでの支払いを選択しています。初めてのモールなのでちゃんと届くのか心配でしたが、注文から5営業日で届きました。 

で、来たのはAnyTone AT-D168UVです。現在はJARDの保証リストに載っているので、保証を受けられるので選びました。手間は少ないに越したことないですし。

新たにわかった話なのですが、工事設計には

〇144MHz帯と430MHz帯それぞれ、

〇F2D(その他の周波数変調、リアクタンス変調)

〇F3E(その他の周波数変調、リアクタンス変調)

〇F7W(四値周波数偏移変調)の3モードを書いて、

〇終段は HTL7G06S011P×1、電圧7.2V、出力5W

と書いて 保証書が出ることがわかりました。この機種はJARD保証リストに載っているので系統図は不要ですが、送信周波数逸脱防止にかかる誓約書の提出は必要です。 

VFOモードでアナログFMの周波数を表示中
 
先達の諸氏が書かれているDMRに関する記事を読みつつも、DMRの通信方式の話とトランシーバの設定の話を切り分けて理解することができず、届く前も届いた後もモヤモヤしていたのですが、ようやく整理できつつある状況です。その内容を書いていきます。
DMRの無線機って、DMRとはという概念の理解と、無線機の使い方を理解するまでの敷居が少し高く、安いし楽しそうと無線機を手に入れて、そのあと無線機を前に腕組みして途方に暮れるというパターンがありそうです。

この無線機はメモリチャンネル(取説上ではチャンネルという表記です)が4000chあります。それとは別にVFOのモード、画面の上側がAバンド、画面の下側がBバンドという表記ですが、これをそれぞれ設定できます。
逆にいうと、国内ベンダーの無線機は、すでにお仕着せの設定が終わっているので操作が限定というか簡単になっていますが、そういうことはなく、仕様上の周波数帯めいっぱいの送受信が可能になっているのと、4000chのメモリチャンネルが空っぽになって準備されているだけで、PCにインストールした設定プログラム(この世界ではCPSと呼称しています)から設定ファイル(この世界ではコードプラグと呼称しています)を自分用にカスタマイズ編集して、それを無線機に送って反映させるという手順が必要になります。無線機本体だけでもある程度は設定できますが、PCから設定プログラムを使って編集した設定ファイルを無線機に転送する方法で行ったほうが楽です。 
今回購入のAT-D168UVは、144及び430MHz帯ともに送信範囲は日本のアマチュアバンド向けになっていました。最低限の設定だけであっても、周波数ステップを10kHz又は20kHzにしたり、占有周波数帯幅は仕様の中から12.5kHz幅を選ぶ必要はあります。
プログラムはAnyToneの公式からダウンロードできます。今は「D168UV V1.07 official release 250614」というのが最新のようです。

【プログラムのダウンロードからPCへのインストール、設定プログラムの起動や無線機との接続などは、本題ではないので省略します。】 
 
それとは別に、RadioIDの登録が必要です。これはDMRユーザのコールサインや氏名やQTHを登録しておくもので、送信時にはRadioIDを送出して、自分がだれかを表示する必要があります。事前に登録して、トランシーバ設定時に設定する必要があります。設定しなくても使えないことはないと思いますが、したほうが楽しそうです。 
 
無線機に戻ります。まずはアナログVFOの設定をしなくちゃということで、
〇Aバンド、430MHzはアナログFMで10kHzステップで設定、初期は433.00で起動すること
〇Bバンド、144MHzもアナログFMで10kHzステップで設定、初期は145.00で起動すること
で設定しています。 
次にアナログレピータを使いたいなということで、アナログレピータの周波数を全部メモリに入れました。こんな感じで一件一件入れています。手間ですね。慣れたらcsvファイルで取り込めるので、そっちのほうが楽です。各レコード(各メモリチャンネル)のパラメータは同じところも多いので、設定プログラムをがんばって操作するよりも、csvの行のコピーのほうが効率的です。
 
 
439.98の88.5Hzと77Hzの情報を入れたところで、アナログレピータのメモリチャンネル数は57(うろ覚え)になりました。で、この57チャンネルをひとまとめにして、一つのZoneにします。個別のメモリレコードよりも一階層上の概念にゾーンというものがあると理解してください。Zoneには名前を付けられます。私は「Repeaters」と名前を付けました。
 
ちなみに、メモリチャンネル一つずつに、送受信周波数や出力などの情報を入力します。周波数だけのテーブルがあって、細かい設定は無線機側でやるのではないところが慣れないポイントですね。無線機側だけの操作でできなくはないですが、そのためのスイッチが露出していないのでメニューの階層深いところでの操作になります。
 
同じように、DMRで使われていそうな周波数、デジピータで使われている周波数(DMRデジピーターリスト)もメモリして、それらを「144DMRs」、「430DMRs」(その後144と430をまとめて1つの「DMR CHs」という名前のZoneにまとめました)という名前のZoneにまとめています。下の画像は、設定プログラムで無線機にデータを転送した後で、作った3つのZoneを表示させている例です。

それ以外に、この無線機にはFM放送を受信する機能があります。設定プログラムから、近隣の局の周波数を入れておけば、無線機側にデータを転送した後に聴くことができます。でも、FM放送の受信機能の起動はメニューの階層深いところにあるので、面倒で使わないというのが実際のところです。

いじり始めると、機能的にこうなっていると良いなというポイントがあります。無線機本体の左側、PTTボタンの下に2つPFキーがあるのですが、この2つに機能を割り当てられるようになっています。私の場合は設定プログラムで以下のように設定しています。
 
〇PF1を短く押すと、VFOモードとZone(取説ではVFOとメモリと表記してますが、メモリ群としてのZoneを指すのが正しいです)の切り替え
〇PF1を2秒長押しでAバンドとBバンドの切り替え
〇PF2を長押しするとスケルチが開く

このほか、本日までに考え付いたことを書いてみますと、
今、VFOモードは430と144のアナログFMに設定しています。例えば、DMRで433.30でCQを出して、適当に近くの周波数に移るというシチュエーションを考えてみると、DMRで出ても良い周波数をバンドプラン分めいっぱい延々メモリして、それをZoneにまとめて、Zoneを切り替えて使うという方法が思いつきます。でも、一件一件メモリ登録という作業があるので面倒だなと思って躊躇していました。
が、その後、がんばりました。DMRで433MHz台などでQSOする際に楽なようにZoneを作りました。
作ったのは、144MHz用、431-3MHz用、438MHz用です。それぞれ出てよい場所を10kHzセパレーションにしています。行数(結果としてメモリチャンネル数になります)が多いので、さすがにcsvファイルで編集しています。
431-3MHz台と8MHz台の二つに分かれた理由は、Zoneとしてまとめられるメモリチャンネルの数が250chまでと制限があるので、仕方なくです。
この時点で作ったZoneは6つ(その後5つにまとめてます)なりました。
※このあたりは本項を書いたころの古い内容になります。 
 
 
上に書いたように、うちの個体はPF1キー短押しでVFOモードとZone(取説や設定上はVFOとメモリの切り替えとあります。でも、メモリとはZoneを指します。)の切り替えができるように設定しています。で、Zoneを表示させているときは↑↓キーで6つ(なので5つ)のZoneを順次切り替えられるのがわかりました。これ、意外と便利です。メニューから潜ってわざわざZoneの切り替えをするのではなく、見えるボタンを上下すれば切り替えられます。
 
まずは無線機を購入して、スイッチを入れてみて、とりあえずはアナログFMの運用はできるようにしたいということで、VFOモードを144と430それぞれ10kHzステップで出られるよういして、レピータの周波数を入れて、その次にDMRで使われている周波数を入れて、という手順ですこしずつ覚えていく過程を書きました。この内容は今の設定ファイルの中身に比べると少し古いのですが、そうやって理解したんだなと軽く読んでいただければと思います。
参考にしていただくためにダウンロードできるようにしている設定ファイル(コードプラグ)の最新の内容は後のページに書いています。 

続きます。

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