2025年8月31日日曜日

MULTI PalmsizerⅡであります。(その1)

CQ誌1978年(昭和53年)9月号の広告です。福山電機から面白いハンディが出ました。

既存の2m水晶発振式ハンディ(手で持てるハンドヘルド機)であるマランツのC145に比べてかなり小さく、八重洲の水晶発振式のFT-202に比べても小さい、MULTI PalmⅡがまず出ました。この水晶発振式のPalmシリーズは、福山一流の無線機らしくない無骨ではない、かわいらしい(とはいえファンシーなものではありません)好感の持てるデザインでした。
無線機のデザインから少し離れた良さという意味ではマランツの機種も良いものがありますが、福山のデザインはまたこれとも違うんですね。マランツは繊細な良さ、福山はかわいらしい感じです。そのかわいらしさは、TS-600/700のデザインと通じるものがあると思います。

先行したPalmⅡの後、430MHz用のPalmⅣ(水晶発振6ch)とほぼ同時に出たPalmsizerⅡは、ハンドヘルドとしては初めてのPLL機です。同じ年にTR-2300がPLLで出ていますが、これはハンディと呼称しているものの肩掛けのポータブル機です。翌79年にハンドヘルドではFT-207がPLLで出てきますが、それに先んじての発売でした。

PalmsizerⅡは、PLLユニットを取り外してPalmⅡのフロントパネルに交換するとPalmⅡに変身することができます。PalmⅡは同じようにPLLユニットをつけるとPalmsizerⅡに変身できるという、面白いコンセプトです。
PalmⅡを設計した段階でそこまで目論んでいたのかは不明ですが、多チャンネルが進む2mでPalmⅡの6chの水晶発振は現実的じゃないですから、PLL化は視野に入れていたんでしょうけど、先行したPalmⅡの電源や送受信の基本部分は共用して、発振段にPLLを増設して合体ロボットのように変身とは面白いです。

今年、ようやくオークションで入手できました。ごくたまに出品されるのですが、見逃しているうちに終わっていることが多く、今回はうまくタイミングが合いました。CQ誌の広告で見てから何年ぶりかな、一度、ハムフェアで販売店ブースのジャンク500円の箱の中にあるのを見たことがあったのですが、動きそうな感じではなかったので見送って以来の現物を触ることになります。

わりときれいな個体で、回路図入りの取説もついていて、申請は楽にできそうです。スペアナを持っていないので、そのうちJARDで測ってみようかと、とりあえずは調整を。IC-9700という素晴らしいスペアナもどきがあるので、周波数や近接周波数のスプリアスを見ることができるのは時代のせいですね。

PLLの周波数は良さそうです。9700のスペクトラムスコープの真ん中で針が立ちます。出力は300mWくらいかな、もうちょっと出ると良いなとドライブやファイナル回りのトリマを回して500mWくらいになりました。これくらいなら見回せる範囲での連絡くらいなら使えるでしょう。プラスマイナス500kHzくらいのスパンでみると、ちょっとニョキニョキ針が生えています。これが規定値以下かどうかが焦点ですね。

うまくタイミングが合って、JARDの計測サービスをやる水木曜日に休めたので、さっそく行ってきました。無変調で測る帯域外(占有周波数対幅の外側でかつスプリアス領域の内側)領域、高調波や低調波のスプリアス領域ともに適合でした。出力は自宅のSX-1000で測るよりも出ていて700mWでした。これなら繰り上げして1Wと思い込んで良いでしょう。一応2mのBPFも探して持参したのですが、使わずに済みました。ニョキニョキも規定値以下ということでよかった。リニアは繋げませんね。

で、計測データをもらって、送信機追加の届出をして、免許的には使えることになりました。 

続きます) 

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