2025年8月31日日曜日

MULTI PalmsizerⅡであります。(その3)

というわけで宿題が残りました。

〇マイクジャックの外部マイク用の配線と、スピーカの内部と外部の切り替え部分の精査

なんで精査かというと、電池を押し込んだりいろいろやっているうちに、あそこやここのリード線の半田付けが取れて内部スピーカから音が出ない!なんてことに。電池の押し込みと音の復旧のために切り替えスイッチの半田を外したりして、もう一度リード線の一本一本を確認する羽目になっています。作業の前に画像をとっておけば良いのに、簡単に終わるとナメるとこうなるという典型例です。

ロジック的には難しくなく、本体スピーカに行っている配線を外部と切り替えるようにスイッチを使うこと、PTTはあの線とあの線をショートなのでその旨配線をすれば良いし、そんなに大変じゃないと思うんですが、重たい腰を下ろす前に一気にやる必要があります。 

本体内蔵のスピーカ(兼マイク)から分岐させて、スピーカと、あの線とあの線からPTTを取り出してテストしてみると、音も出て、送信する際にはスピーカからも変調がかかるので、これでOKということで終了。

〇スピーカの大きいスピーカーマイクの入手

今風のではなく、少し古い大きなスピーカのついているのを探しますかね。SMC-30あたりが良さそうな気がするので確保します。

(追記)確保しました。古いので、筐体もスピーカーマイクとしては大きめで、立派なスピーカが付いてます。受信音はまあまあ、送信音はそれなりです。

〇パネル取り付け用DCジャックの取付

前述のとおり、元々のマイクジャック用の穴を使ってDCジャックを外に出さないと外部電源で使えなくなるというか、電池の充電ができなくなるのでなんとかしないといけないのです。これは秋葉原に捜索の旅に行ってきました。マル信のDCジャックに良さそうなのがあったのでラジオデパートの門田無線で購入です。

また、作業中にスピーカの内外切り替えスイッチが壊れてしまったのですが、幸いにして別用途で同じようなスイッチを買ってきていて事なきを得ています。でも、ツマミ部分が短くて、取り付けた状態で操作しようとするとつまようじかボールペンが必要に…(※後からツマミの長いスイッチを手配して解決しました。(その2)のスイッチ部の画像はツマミが短いスイッチに置き換えた直後のものです。ツマミの先っぽが低くて見えにくいでしょ。)

見てくれに関してうまくリカバリできたと思います。元からこうなっていたに違いないと自分で思い込むことにして、とりあえずはひととおりの整備完了です。もちろん、DCジャックの配線は、なんでそうしたかよくわからないセンターマイナスから標準的なセンタープラスに変更しています。幸いにして完全にジャックの端子が浮いているので、プラスとマイナスをひっくり返して配線するだけで済みました。下の画像、こちらから見て右側面下側の白いところは「このジャックはセンタープラスだよ」と書いたラベルです。

というわけで、完成です。スピーカーマイクのコネクタが標準状態とは反対側から出ていますが、ご愛敬ということで。 

スピーカ部分のパンチ穴がかわいらしいPalmsizerⅡです。

MULTI PalmsizerⅡであります。(その2)

次の段階です。

この無線機を実用的に使うためには解決しないといけないポイントがあります。

〇純正の電池はニッカド。昭和53年モノなので、ヘタった結果、以前の所有者により廃棄されて付属していません。現物があれば電池の規格がわかるのですが、残念ながらカタログから想像するしかありません。

最初は23Aという小さな12V電池を並列で5つ繋いで1時間程度の運用ができるようにしました。とりあえず動けばよいということであればこれでも良いんですが、保証を受けて届出をしちゃったので、もうちょっとマトモな電池にしたいところです。

カタログ画像や本体の電池スペースの寸法を測りつついろんなサイトを見てみると、単三の2/3の長さの2/3AA電池という規格があるようです。このサイズでニッカドもあるんですが、ニッカドってメモリ効果ですぐにダメになるので、現代ならニッケル水素電池を使いたいですね。2/3AA規格でもニッケル水素電池を見つけることができました。

裸で入れるのは危険なので、バッテリー用の収縮チューブ(電池を包んでドライヤーで温めると縮んでそれっぽくなるんですね)で電池パック状にしてから入れることにします。
初めての電池パック加工だったので想定よりも大きくなってしまいました。無理やり押し込んでなんとかしました。次(は無いはず)はもうちょっと上手にできるかも。


〇外部マイク端子が現在の規格ではなく、互換のプラグを見つけられません。プラスチックの筐体に穴をあけて取り付けられているので、穴を広げて普通の4ピンマイクジャックにしても良いのですが、ダメ元で同じくらいのサイズの外周12mmの「航空コネクタ」というのを買ってみました。でも1mm大きくてこれも合わず。これは普通の4ピンプラグとの比較。

モンキーで挟んでいるのは、左が航空コネクタ、右がPalmsizerⅡに付いていたコネクタです。

仕方がないので外部マイクジャックの穴の拡張工事を行うことになりました。リーマーがあるので、この手はすいすいっとできます。プラスチックなので力も要らず。きれいにできたじゃんと悦に入っていると、ふと違和感が。

外部マイクジャックの穴と対照の位置に同じような大きさで丸くDCジャック用の穴が開いてるのですが、誤ってDCジャック用の穴を拡張(=破壊)してしまいました。マイクジャックの取付はできたものの、反対側の元々のマイクジャック用の穴ではDCジャックの位置決めができなくなってしまいました。接着剤で留めるのもどうかと思うので、11mm径よりも大きいパネル取り付け用のDCジャックを探さないといけなくなりました…

すでに破壊後の画像。航空コネクタのジャックを仮止めしているところに、本来はDCジャックがあるはずでした。 こうなったら両方の穴を拡張してなんとかするしかないです。

〇外部マイク端子に来ている4本の線がよくわかりません。回路図にもこのへん載っていないんです。回路図はPalmⅡのものにPLL部を書き加えただけのもののようで、PalmSizerⅡの実態と合っていないようです。

上のブロックダイヤグラムにはコンデンサマイクと思しきものとスピーカーマイク両方の絵が描いてありますが、下の定格には「内蔵スピーカー兼用マイク」とあります。

元々のマイクジャックの裏側に4本来ているということは、①マイク②PTT③アースとグランド④音声くらいのものだと思うんですけど、なんか違うんです。一部の線同士をショートさせると送信になるので、これがPTTとグランドなんだなというのはわかりますが、マイクのラインがよくわからないんですね。

また、この無線機には、スピーカの外部と内部の切り替えスイッチがわざわざついています。FT-207の例では、外部スピーカーマイクをつなげると、本体と外部と両方から音が出ていて、マイクについても両方から拾っていたような記憶が。

マイクとスピーカが共用(というかスピーカでしゃべる)という前提で考えると、スピーカの内部と外部の切り替えは、そのまま「マイクとスピーカ」の外部切り替えなんだろうなと思い始めました。
外部マイクに使うのは、普通のダイナミックマイクみたいに薄いフィルムが振動するのもではなく、少し強度のあるスピーカである必要があります。使っていないスピーカーマイクを流用するとして、これのマイク配線は使わず、スピーカ部分だけをマイクとスピーカとして使うように配線する必要がありそうです。

【追記】ダイナミックスピーカ兼用マイクですから、今回は航空コネクタに置き換えましたが、普通の4ピンメタルジャックに置き換えたとして、ピンアサインをそのまま、これまた貴重な金色っぽい変な色の福山のMULTI400Sなどのモービル用のダイナミックマイクを落札して繋ぐと、受信時にダイナミックマイクのフィルムを破いて壊すといったことが想像できます。なので、互換性を考えずに航空コネクタに置き換えてよかったんでしょうね。

たぶん、メーカー側も、その当時に福山のほかのマイクをつないで壊すことが考えられたので、4ピンマイクプラグが物理的に挿さらない、変なコネクタを使ったんだろうなと想像しています。

 

続きます。

MULTI PalmsizerⅡであります。(その1)

CQ誌1978年(昭和53年)9月号の広告です。福山電機から面白いハンディが出ました。

既存の2m水晶発振式ハンディ(手で持てるハンドヘルド機)であるマランツのC145に比べてかなり小さく、八重洲の水晶発振式のFT-202に比べても小さい、MULTI PalmⅡがまず出ました。この水晶発振式のPalmシリーズは、福山一流の無線機らしくない無骨ではない、かわいらしい(とはいえファンシーなものではありません)好感の持てるデザインでした。
無線機のデザインから少し離れた良さという意味ではマランツの機種も良いものがありますが、福山のデザインはまたこれとも違うんですね。マランツは繊細な良さ、福山はかわいらしい感じです。そのかわいらしさは、TS-600/700のデザインと通じるものがあると思います。

先行したPalmⅡの後、430MHz用のPalmⅣ(水晶発振6ch)とほぼ同時に出たPalmsizerⅡは、ハンドヘルドとしては初めてのPLL機です。同じ年にTR-2300がPLLで出ていますが、これはハンディと呼称しているものの肩掛けのポータブル機です。翌79年にハンドヘルドではFT-207がPLLで出てきますが、それに先んじての発売でした。

PalmsizerⅡは、PLLユニットを取り外してPalmⅡのフロントパネルに交換するとPalmⅡに変身することができます。PalmⅡは同じようにPLLユニットをつけるとPalmsizerⅡに変身できるという、面白いコンセプトです。
PalmⅡを設計した段階でそこまで目論んでいたのかは不明ですが、多チャンネルが進む2mでPalmⅡの6chの水晶発振は現実的じゃないですから、PLL化は視野に入れていたんでしょうけど、先行したPalmⅡの電源や送受信の基本部分は共用して、発振段にPLLを増設して合体ロボットのように変身とは面白いです。

今年、ようやくオークションで入手できました。ごくたまに出品されるのですが、見逃しているうちに終わっていることが多く、今回はうまくタイミングが合いました。CQ誌の広告で見てから何年ぶりかな、一度、ハムフェアで販売店ブースのジャンク500円の箱の中にあるのを見たことがあったのですが、動きそうな感じではなかったので見送って以来の現物を触ることになります。

わりときれいな個体で、回路図入りの取説もついていて、申請は楽にできそうです。スペアナを持っていないので、そのうちJARDで測ってみようかと、とりあえずは調整を。IC-9700という素晴らしいスペアナもどきがあるので、周波数や近接周波数のスプリアスを見ることができるのは時代のせいですね。

PLLの周波数は良さそうです。9700のスペクトラムスコープの真ん中で針が立ちます。出力は300mWくらいかな、もうちょっと出ると良いなとドライブやファイナル回りのトリマを回して500mWくらいになりました。これくらいなら見回せる範囲での連絡くらいなら使えるでしょう。プラスマイナス500kHzくらいのスパンでみると、ちょっとニョキニョキ針が生えています。これが規定値以下かどうかが焦点ですね。

うまくタイミングが合って、JARDの計測サービスをやる水木曜日に休めたので、さっそく行ってきました。無変調で測る帯域外(占有周波数対幅の外側でかつスプリアス領域の内側)領域、高調波や低調波のスプリアス領域ともに適合でした。出力は自宅のSX-1000で測るよりも出ていて700mWでした。これなら繰り上げして1Wと思い込んで良いでしょう。一応2mのBPFも探して持参したのですが、使わずに済みました。ニョキニョキも規定値以下ということでよかった。リニアは繋げませんね。

で、計測データをもらって、送信機追加の届出をして、免許的には使えることになりました。 

続きます) 

2025年8月24日日曜日

ハムフェア2025

2025年のハムフェアです。昨年から場所を有明GYM-EXに移して2度目になります。東京ビックサイトに比べて交通的には不便になりますが、これもだんだん慣れるんでしょう。

今年はUnidenが戻ってきました。70年代のほんの一時期ですが、輸出向けのCB機のノウハウを投入して、HF機と2mのモービル機で参入してきましたが、すぐに撤退していきました。アマチュア向けって商売としてはめんどくさそうですしね。


こちらはアンケートに答えてもらえたUniden名前入りキャップ。黒に黒の刺繍ってカッコいいじゃないですか。もらえたのがうれしくてかぶってみたのですが、私の頭が大きいのでちょっとサイズが合わないのが残念です。でもかぶるぞ。そのうち似合うようになると思います。

ユニデンの技術の方がいらっしゃったので、展示されているFCC規格の40ch機、ハンディ機とモービル機を国内アマチュア向けの10mトランシーバとして出せません?とお願いしてみました。彼らも企業ですから採算が取れないと難しいでしょうけれど、テスト的に出してくれないかなあ。

ユニデンブランドのピカピカした無線機で合法的に電波を出すなんて、なんか楽しくないですか? 一緒に技術の方に話をしたにゃん氏はハンディ機のほうが切り口として良いという提案をしていました。ユニデンのハンディ機も出来がよさそうですね。

出展したブースの数は去年よりも増えて、あと、感染症の流行にも慣れたんでしょうね、人出が多かったです。あまりにも混んでいるので、初日は早々に撤退、埼玉時代の友人と飲んでました。二日目は少しは空いているだろうということで、会場をゆっくり回って、お祭りを満喫して帰ってきました。

  
今年は、先日JARDで計測してきた(帯域外領域、スプリアス領域ともに現行基準に適合!)こいつを見せびらかせるご披露するつもりで会場に持ち込んだんですが、首から下げるとけっこう重たく感じるんですね。年齢のせいもあるんでしょうけど、TH-59なんかと比べるとやっぱり重たいです。でも、会場で144MHzを聴いていたのですが、430よりも空いていて、1200と同様に連絡用に使えそうだなという感触がありました。144は飛ぶので、パワーを絞っても届くので良いですね。
来年は本格的にこいつでやりますか!なんて思うんですが、電池の内蔵方法と外部マイクで悩む必要があります。このPalmSizerⅡの話は改めて書きたいと思います。