2025年5月9日金曜日

TS-600その3

TS-600を愛でる。TS-600その2に続き、 TS-600のおはなしを続けます。

現在我が家にある個体は私が使う割りにはけっこう手を入れてます。

(1)電源ユニットのチューブラコンデンサ交換

AMで送信するとハムが乗るんです。まるでFT-620Bみたいと笑ったのですが、笑ってもいられず、とりあえず電源ユニットのコンデンサを全交換しました。チューブラで大容量だったからけっこう高かったんだよな。でも改善していません。いろいろと調べてみると、マイクのラインの引き回しに難があって、これが電源ユニット近くを通っているせいでハムが乗るという話がありました。多芯のシールドケーブルを友人にもらったので、そのうちにマイクラインの引き回しを変えてみようかと思っています。思っているだけでなかなか着手に至りません。

とりあえずはACでは使わず、DCで使うと幾分改善します。 でも、DCで使う場合でも、電源ユニットから何ボルトかを取り出して使っていて通電しないわけではないので、改善が幾分でしかないのは納得できます。

(2)GENユニットのマイクアンプ部のコンデンサとトランジスタ交換

600の送信音ってイマイチなんですよね。たまに600で出ている人がいますが、狭い固い音です。良い音とは感じられません。10.7のクリスタルフィルタ、YF107Sは600以外ではTR-1300でも使われているのですが、1300はMC-90で喋ると好評だったんですけど、600で同じことをやってもあんまり反応がありません。

うちの600の個体の問題かと思い、マイクアンプ段のコンデンサとトランジスタを交換してみたんですが、結果が変わりません。YF107Sが劣化していることも考えられますが、600の別個体も同じように送信音はイマイチだったので、600はこんなもんなのかもしれませんね。そのうちYF107Sを交換してみたいと思うんですが、出品されている値付けが高くて躊躇します。

(3)VFOサブスケール裏とSメーター裏の電球が切れちゃったので交換

古い無線機は電球で照らされる照明が美しいです。特にTS-700/GIIや600の照明は本体のデザインも相まって、透過式の照明が美しいです。しかし、電球ですから、切れちゃうこともあります。古い無線機の電球式の照明が切れた状態ってとても悲しいです。

うちの600もVFOサブスケール裏とSメーター裏の照明が立て続けに切れちゃいました。切れた電球を外してみると、スタンレーの自動車用の12Vの電球と同じ大きさのものであることがわかりました。全く同じ規格のものは見つけられませんでしたが、モノタロウで適当に探すと少し消費電力が少ない電球があったので注文、交換しています。スタンレーじゃなくても小糸でも何でも良いんですけどね。

 

この画像はSメーター裏の電球を引き抜いて外したときのもの。電球がゴムのカバーに包まれていて、後ろからリードが出ています。電球とゴムカバーと一体だと面倒だなと思いつつ、ゴムカバーから電球を外してみたら外れました。接着はされていませんでした。なので、同じようにリードを半田付けしてカバーにはめ込んで終了です。ただし、純正の電球は白いものです。購入したスタンレーは裸電球なので、少し色味が変わります。こんな感じです。


ピントがあっていませんが、雰囲気はわかるでしょうか。元々の状態よりもSメーター照明は明るくなっています。画像でみたイメージどおりです。交換直後は「以前より明るいな」と思いますが、すぐに慣れます。

最初、電球色のLEDに置き換えようと思って試してみたんですが、電球色であっても、実際に透過させて光らせてみると、電球に比べて色が青く出るのでイマイチです。やはりフィラメントの暖かい光がマッチします。

(4)固定チャンネル水晶をアロー電子で作って、51.00、50.49、50.55に一発でQSYできるようにした 

実際には一発ではなく、50.200USBの状態から、固定チャンネルの水晶スロットの1番目に入れている51.00にQSYするには、

①固定チャンネルダイヤルを「1(5*.00用)」にする

②バンドスイッチを「51」にする

③DRIVEツマミで受信最良点(送信が伴うなら送信最良点)に調整する

④モードスイッチをFMにする

が必要です。今のPLLの無線機に比べると時間がかかりますね。



これはもう見ただけになりますが、取説画像のとおり、一番奥の水晶スロットは配線がなく、奥から2番目から1ch、2ch…になります。

 

余談です。

このバンドと固定チャンネルのツマミですが、Action☆HandyシリーズのTR-1300、2200GII、3200のチャンネルツマミと同じものです。描かれている数値や色は違いますが、同じものです。2022年の暮れに眺めていたらやっと気づきました。

この画像は上が600のバンドツマミ、下がTR-3200のチャンネルツマミです。


 

<参考資料>TS-600取扱説明書

ケンウッド公式からダウンロードできるTS-600の取説です。解像度の高い回路図付きのpdfファイルです。ありがたく拝見しましょう。

2025年5月8日木曜日

TS-600その2

TS-600を愛でる。の続きになるのかな、けっこう時間が経ちましたが、その後Xに書き連ねたTS-600の与太話をまとめました。

○AMのときには送受信の周波数が一致せず、受信周波数に対して送信周波数が600Hz下になるのが仕様であること

SSBやCWでは許されないことですが、AMではこうなっています。取説にもちゃんと書いてあります。

600同士がAMでQSOする場合は、このように相手にVFOダイヤルで合わせるとゼロイン合戦で永遠に600Hzずつ送受信の度に動き続けてしまうというおはなしです。だったら、RITツマミに「AM時はここに合わせるとゼロインだよ」という印(印を付ける案は友人談)を11時くらいに付けてくれれば解決します。当時のトリオ開発陣に提案したいですね。

TS-590と鳴き合わせるとこんな感じになりました。うちの個体だと11時です。


○TS-600の電源スイッチから右への横並びのスイッチの一番右隅は「R-DX」だが、輸出版はここがCALスイッチであること

並んでいる一番右のR-DXスイッチをONにするとプリアンプが動作し、ノイズが増えますw。長年これが当たり前だと思っていたのですが、輸出版の「KENWOOD TS-600」はこの位置が「CAL」になっています。600を国内に出す際に、日本の6mマンは目を三角にしてプリアンプを使うだろうという予想をしたのでしょうか。反対に海外では、聴こえないならボリュームを大きくすれば良いだろうということだったんでしょうか。

キャリブレーションですが、国内仕様はスケルチツマミをゼロ位置にするとクリックがあって、このクリックでリレーがカチンと動いてマーカーがONになってダイヤルを校正できます。うちの個体はリレーの動きが悪くてCALを切った後に電波が出なくなったりしてするので、その場合はカチカチやって復旧するのですが、それはさておき、輸出版はR-DXの位置のスイッチでこれをやるんですね。

ところが、そのRigPixのTS-600のページからリンクされているpdfの英語版サービスマニュアル(このリンクうれしい)をみると、並んでいるスイッチのユニット「スイッチユニット」の一番隅のS6が「CAL」ではなく「R-DX SW」になっていて、???となります。

英語を読める国でも仕向け地によってはR-DXになっている場合があるのかな。私はこれ、英語版サービスマニュアル作成の際に国内仕様のサービスマニュアルを単純にコピーしたので、画像が国内版のスイッチユニット基板になっちゃってるという想像をしているところです。

 

以降は余談です。

ところでこのスイッチユニットの一番右ですが、国内版の600はR-DXでした。TS-700(初期)はというと「SPOT」という謎機能です。

謎機能の解説を拡大すると「7. SPOTスイッチ このスイッチのみは、ノンロックタイプで、SSB送信のみに使用します。 SSBの送信時、このスイッチを上側に保持するとキャリア(搬送波)が発射されますので、交信相手にゼロビートを取ってもらうことにより、SSBの周波数同期ができます。」とありました。スイッチを下から摘まみ上げるときだけ動作するんですね。

でも、単にゼロインするだけなら受信音を聴けば良いわけだし、SSBでキャリアレベルでゼロビートを取る目的ってなんだったんだろう。モードスイッチを触らずに送信中に口笛の代わりにキャリアを送信するのって、SWRを測るシチュでは便利そうです。それなら悪くないですね。Belcom LINER2にもスイッチを押してキャリアを出す機能がありました。当時は何か目的があったのかな。

国内仕様の後継のTS-700GIIは、この機能の代わりにFMのナロー化対応のための「WIDE/NARROW」の切り替えになっています。

ちなみに輸出モデルを調べたら、「KENWOOD TS-700」、「TS-700A」や「TS-700G」では、このスイッチは「TONE」でした。レピータ対応ですね。 

さらに余談ですが、TS-600ではR-DXであるこの位置のスイッチ、TS-700GIIの次のTS-700SでようやくR-DXになりました。大混雑の2mでも飽和しないプリアンプが実現したんでしょうね。